- 英
- congenital biliary dilatation, CBD
- 同
- 先天性総胆管嚢胞 congenital choledochal cyst、先天性総胆管拡張症
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概念
- 先天性胆道拡張症とは先天的に肝外胆管が嚢状・紡錘状に拡張した疾患。(SSUR.612)
疫学
病態
- 乳幼児期に発症することが多いが、成人期まで無症状のことがある(SSUR.612)
- 10歳までに発症
- 膵胆管合流異常 pancreatico-biliary maljunctionが多くの場合認められる。ほぼ100%らしい。
- 高率に胆管癌を合併。
症候
治療
- 以前は胆嚢の出口?に問題があったと考えられていたので、胆嚢から腸管に胆汁をバイパスする手術が行われていた。
胆管癌の予防
- 高率に胆管癌を合併するために、積極的に胆管切除(嚢腫切除)、胆嚢摘出、胆道再建術(SSUR.612)が必要。
- 手術は、トライツ靭帯より肛門側で空腸を切断し肝臓に吻合。先ほどの空腸と肝臓を吻合した空腸を端側吻合。
参考
- http://www.kms.ac.jp/~hospital/results/sinryouka/p_surgery/index2.html
関連疾患
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/16 16:08:27」(JST)
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先天性胆道拡張症(せんてんせいたんどうかくちょうしょう、英: congenital biliary dilatation, CBD)は、生まれつき胆道が広がった病気。
目次
- 1 概念
- 2 疫学
- 3 症状
- 4 検査
- 5 治療
- 5.1 治療原則
- 5.2 術式
- 5.3 治療効果の判定
- 5.4 手術の合併症
- 6 予後
概念
先天的に胆道が拡張する疾患である。
疫学
女児に多い。東洋人に多い。
症状
3大主症状は、腹痛、黄疸、腹部腫瘤。また時々大便が白くなる。時々大便が白くなる事を間欠的灰白色便と言う。合併症は総胆管に穴があき、漏れ出た胆汁が腹膜炎を起こす。これを穿孔性胆汁性腹膜炎と言う。また胆道が詰まって黄疸になる。胆道が詰まって黄疸になる事を閉塞性黄疸と言う。閉塞性黄疸がさらに進行すると肝硬変になる。閉塞性黄疸が進行して肝硬変になる事を胆汁性肝硬変と言う。
検査
- 血清アミラーゼが高い。
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は、内視鏡を十二指腸へ入れてそこからカテーテルを通じて、総胆管へ造影剤を注入してX線透視する臨床検査。これでは異常に拡張した総胆管が認められる。
- 超音波検査(腹部エコーとも呼ばれる)により拡張した総胆管や肝内胆管が認められることがある。
- 核磁気共鳴画像法(magnet resonance imaging; MRI)では、単純な断層写真だけではなく、現在はMRCP(magnet resonance choledocho-pancreatography)と呼ばれる膵管・胆管を描出する検査が用いられる。
治療
治療原則
先天性胆道拡張症は、膵胆管合流異常によって起こる肝外/内胆管・肝・膵に及ぶ疾患であるので、保存的治療では根治せず、外科治療を要する。もし根治術が15歳以降に遅れれば、胆道癌が10%に発生する だけでなく胆嚢癌も高率に起こすため、これを予め防止することも治療の目的の一つである。そのためには癌の発生母地を切除すること、発癌物質を生むと思われる胆汁・膵液の混合をなくすことが重要である。1970年代初期の症例で、拡張部胆管と消化管を内瘻化した患者のほぼ全例に、胆管炎・肝内胆管結石・悪性腫瘍などの合併症を認める 。このことから治療では、癌の発生母地となる拡張部を含む総胆管・胆嚢はすべて切除すべきであると考えられる。
術式
現在の標準術式は、拡張部胆管を切除し、肝門部で肝管-空腸吻合を行い、空腸をRoux-enY吻合することである。 肝内胆管が拡張している場合は、術中胆道造影で拡張部の下流に胆管の狭窄があるかないかを確認することが大切である。狭窄部が無い場合は肝門部での肝管-空腸吻合術で十分で、時間経過とともに拡張部は縮小する。しかし狭窄部がある場合は、これを残存すれば術後に胆汁のうっ滞から胆管炎・肝内結石を合併するので、狭窄部まで胆管を切除するか、狭窄部を拡張する必要がある。いずれも不可能なら、肝切除を考慮する。
治療効果の判定
手術の効果は、術後の全身状態の軽快(腹痛・嘔吐の消失)・血清総ビリルビン値低下・胆道系酵素低下・胆管炎消失から判断する。
手術の合併症
手術の合併症は、肝管空腸吻合部狭窄による胆管炎の再燃である。肝門部にはしばしば拡張部の下流に狭窄部があり、これを術中に見逃すと吻合部に狭窄を残すことになるので注意が必要である。胆管炎の再燃は、黄疸・発熱・肝内胆管の拡張によって診断し、再手術によって狭窄部を切除・肝管空腸再吻合を行う。
膵内胆管切除時に膵管を損傷すると、膵管狭窄・閉塞を合併する。膵酵素の上昇・膵管拡張・発熱・腹痛で診断し、再手術で膵管狭窄・閉塞部を形成し、膵十二指腸吻合が必要になる。
しかし膵管損傷を避けるために膵内胆管を長く残せば、残存胆管に胆管炎を合併してしまう。その際は、再手術で残存胆管を切除する。
予後
標準術式を行った場合の予後は良好であるが、悪性腫瘍の合併に留意しつつ経過を観察することが大切である。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P-41 大きな嚢胞状拡張を示す先天性胆道拡張症に対する腹腔鏡下手術(先天性胆道拡張症2,ポスターセッション,第48回日本小児外科学会学術集会)
- P-40 先天性胆道拡張症に合併した総肝管隔壁症の1例(先天性胆道拡張症2,ポスターセッション,第48回日本小児外科学会学術集会)
- P-39 先天性胆道拡張症術後,術後吻合部狭窄に起因する胆管炎に対する治療のタイミングに苦慮している1例(先天性胆道拡張症2,ポスターセッション,第48回日本小児外科学会学術集会)
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- 先天性胆道拡張症 *** 膵胆管合流異常 *** 闘 病 記. あまり聞いたことのない病名だと 思います。私自身も、初めて耳にしました。 生まれつき膵管と胆管がおかしなところで つながっているのだそうです。 手術が必要だと知り、心配で、不安で、必死になって ...
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- 8歳の女児。腹痛のため両親とともに来院した。昨日の夕食後から上腹部痛があり、夜半に食物残渣を嘔吐し、今朝も痛みが改善しないため受診した。今朝の排便は軟便で色は茶褐色という。意識は清明。身長 120cm、体重 23kg。体温 37.8℃。脈拍 80/分、整。血圧 100/72mmHg。呼吸数 20/分。眼球結膜に軽度黄染を認める。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しているが肝・脾を触知しない。上腹部に軽度の圧痛を認め、腸雑音は減弱している。血液所見:赤血球 467万、Hb 13.7g/dL、Ht 42%、白血球 18,700、血小板 30万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、総ビリルビン 4.7mg/dL、直接ビリルビン 4.0mg/dL、AST 267U/L、ALT 270U/L、アミラーゼ 539U/L(基準 37~160)。CRP 0.9mg/dL。腹部超音波検査で胆嚢の腫大を認めた。MRCP(別冊No. 15)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D036]←[国試_114]→[114D038]
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- 胆道疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E036]←[国試_106]→[106E038]
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- 胆道疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [112C018]←[国試_112]→[112C020]
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- 65歳の男性。腹部超音波検査で異常を指摘され来院した。症状は特に認めない。磁気共鳴胆管膵管像<MRCP>を以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D037]←[国試_102]→[102D039]
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[正答]
※国試ナビ4※ [109D008]←[国試_109]→[109D010]
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※国試ナビ4※ [106A007]←[国試_106]→[106A009]
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[正答]
※国試ナビ4※ [109I014]←[国試_109]→[109I016]
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- 3歳の女児、急性の右上腹部痛と発熱とを訴えて来院した。約2年前から同様の症状が時々あった。右上腹部に鶏卵大の圧痛ある腫瘤を触知下。肝との境界は不明瞭である。体温39℃、白血球16,000、総ビリルビン4.5mg/dl。
- 最も考えられるのはどれ?
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- 新生児期、乳児期に高間接型ビリルビン血症をきたす疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I008]←[国試_110]→[110I010]
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- 新生児期に光線療法の対象となる黄疸を生じるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D011]←[国試_113]→[113D013]
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※国試ナビ4※ [103D005]←[国試_103]→[103D007]
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※国試ナビ4※ [095B033]←[国試_095]→[095B035]
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発症時期
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- 英
- liver transplantation、liver transplant、hepatic transplantation、hepatic transplant
- 同
- 肝臓移植
- 関
- 臓器移植
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肝臓移植 : 約 343,000 件
肝移植 : 約 1,350,000 件
適応疾患
- 従来の内科的・外科的治療が奏効しないか、もしくはそれらによっても延命が期待できないあらゆる進行性・不可逆性の末期肝疾患が適応
適応外
参考
- http://www.tokyo-med.ac.jp/surg5/kansyousai.htm#7
国試
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- 英
- choledochal cyst
- →先天性胆道拡張症
- 関
- 総胆管嚢胞、胆管嚢胞、胆管嚢腫
[show details]
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- 英
- bile duct
- 関
- 胆管系
胆道の正常計測値
- 腹部超音波テキスト p.88
- 胆嚢径 :長径8cmx短径4cm以下
- 胆嚢壁圧:3mm以下
- 総胆管径: 8mm以下 9mm以上 10mm以上
- 総肝管径: 6mm以下 7mm以上 8mm以上
- 肝管径(右・左):4mm以下
- 肝内胆管径: 1mm以下
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- 英
- dilation、dilatation、enlargement、extension、dilate、distend、enlarge、extend、dilated
- 関
- 延ばす、延長、及ぶ、拡大、散大、伸長、伸展、増大、怒張、伸びる、広がる、膨張、拡張型、伸び、伸張
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- 英
- sis, pathy
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- 英
- congenital、congenita、congenitally
- 関
- 先天、先天的
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- 英
- biliary dilatation
- 関
- 先天性胆道拡張症