- 英
- cyclooxygenase, COX
- 関
- プロスタグランジン、脂肪酸シクロオキシゲナーゼ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/07 21:11:15」(JST)
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シクロオキシゲナーゼ |
識別子 |
EC番号 |
1.14.99.1 |
CAS登録番号 |
9055-65-6 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
cyclooxygenase 1 |
Crystallographic structure of prostaglandin H2 synthase-1 complex with flurbiprofen.[1]
|
識別子 |
略号 |
PTGS1 |
遺伝子コード |
COX-1 |
Entrez |
5742 |
HUGO |
9604 |
OMIM |
176805 |
PDB |
1CQE (RCSB PDB PDBe PDBj) |
RefSeq |
NM_080591 |
UniProt |
P23219 |
他のデータ |
EC番号 |
1.14.99.1 |
遺伝子座 |
Chr. 9 q32-q33.3 |
cyclooxygenase 2 |
Cyclooxygenase-2 (Prostaglandin Synthase-2) in complex with a COX-2 selective inhibitor.[2]
|
識別子 |
略号 |
PTGS2 |
遺伝子コード |
COX-2 |
Entrez |
5743 |
HUGO |
9605 |
OMIM |
600262 |
PDB |
6COX (RCSB PDB PDBe PDBj) |
RefSeq |
NM_000963 |
UniProt |
P35354 |
他のデータ |
EC番号 |
1.14.99.1 |
遺伝子座 |
Chr. 1 q25.2-25.3 |
シクロオキシゲナーゼ (Cyclooxygenase,COX;EC1.14.99.1) はアラキドン酸をプロスタノイドと呼ばれる生理活性物質の一群に代謝する過程に関与する酵素である。プロスタノイドにはプロスタグランジンやトロンボキサンなどのアラキドン酸代謝物が含まれる。COXには3つのアイソザイムがあり、それぞれCOX-1、COX-2、及びCOX-3と呼ばれる。
目次
- 1 概要
- 2 COX-1とCOX-2
- 3 炎症とCOX-2
- 4 がんとCOX-2
- 5 COX-2選択的阻害薬による血栓症のリスク増加
- 6 脚注
- 7 関連項目
概要[編集]
生体膜由来のアラキドン酸はアラキドン酸カスケードと呼ばれる代謝経路を経て生理活性物質に変換されることが知られている。膜結合蛋白質であるCOXは同一酵素内にCOX活性部位とペルオキシダーゼ活性部位を有し、COX活性はアラキドン酸からプロスタグランジンG2 (Prostaglandin G2,PGG2) を生成する過程に、ペルオキシダーゼ活性はPGG2をPGH2に変換する過程に関与している。
詳細にはホスホリパーゼA2により細胞膜のリン脂質から切り出されて細胞外に存在しているアラキドン酸が膜に存在するCOXによりPGG2に代謝されるとPGG2は二重膜構造をとっている細胞膜の膜間スペースに移動する。するとPGG2はまたCOXによる代謝を受けるが今度はペルオキシダーゼ活性によりPGH2へと変換される。その後細胞質へ移動したPGH2は各種酵素により種々のプロスタグランジン類及びトロンボキサンA2 (Thromboxane A2,TXA2) へ代謝され、種々の生理活性を示す。非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) はCOX活性を阻害して抗炎症効果を示すがペルオキシダーゼ活性の阻害は行わない。
COX-1とCOX-2[編集]
COX-1とCOX-2の2つのアイソザイム(アイソフォーム)はそれぞれ約600アミノ酸残基からなる蛋白質でありアミノ酸配列の相同性は高いが(約60%の相同性)、組織における発現は異なる。COX-1は全身の組織に広く分布し、小胞体に発現している酵素であり構成型と呼ばれる。また、ステロイドによってはその活性はほとんど抑制されない。COX-1は種々の刺激により誘導されることはなく、常時細胞内に一定量存在している。一方COX-2は脳や腎臓などで恒常的に発現するがその他の組織では普段は発現が低く、炎症組織において発現が誘導されることから誘導型と称される。COX-1とは異なり、COX-2は主に核膜に存在しステロイドによってその活性が強く阻害される。また、近年、COX-1と僅かに異なり、脳内に多く存在するCOX-3が発見され、研究が進められている。COX-3は、アセトアミノフェンに特異的に阻害され、痛みの知覚に関与すると言われている。
炎症とCOX-2[編集]
COX-2はサイトカインや増殖因子などの刺激により発現が誘導されることが知られている。炎症時にはCOX-2を介したPGE2やPGI2等の産生が亢進する。PGE2は血管透過性の亢進、血管拡張及び発痛に、PGI2は血管拡張及び発痛に関与し、炎症反応をそれぞれ進行させる。COX-2を介した作用として、細胞の増殖、運動性、接着、アポトーシス抑制の亢進などが明らかにされてきたが、それらの作用機序は,いまだ不明な部分が多い。
シクロオキシゲナーゼ |
|
COX-1 |
COX-2 |
遺伝子 |
第9染色体q32-33 |
第1染色体q25.2-25.3 |
遺伝子サイズ |
22kb |
8.3kb |
アミノ酸数 |
576 |
603-4 |
発現細胞 |
ほぼ全ての細胞 |
炎症関連細胞(刺激後)、癌細胞 |
役割 |
胃粘膜保護、血流・血圧維持、血小板凝集 |
炎症、癌の増殖 |
基質特異性 |
高い |
低い |
グルココルチコイドによる阻害 |
阻害されない |
発現抑制 |
がんとCOX-2[編集]
動物実験では、COX-2発現により腫瘍増殖の亢進やCOX-2経路阻害により発がん抑制が見られるなど、COX-2の発がんへのなんらかの関与が示唆される。COX-2を選択的に阻害する薬剤によるがん治療薬の臨床応用が期待されている。特に、COX-2の高発現が大腸がんやその転移でみられることから、COX-2選択的阻害剤を利用した大腸がんの予防や治療への応用が期待され、その臨床試験も実施されている。
COX-2選択的阻害薬による血栓症のリスク増加[編集]
炎症性疾患などに対する薬物治療にアスピリンなどのCOX阻害薬を用いるとプロスタグランジンの産生を抑制することから炎症反応を抑えることができるが、一方で副作用としての胃潰瘍がしばしば問題となる。これは構成型COXによって産生されるPGE1が胃粘膜の血流を増加させ、粘膜を保護する役割を担っているからである。エトドラク(ハイペン錠)、メロキシカム(モービック錠)、セレコキシブ(セレコックス錠)等のCOX-2選択的な阻害薬はCOX-1に対してほとんど阻害作用を示さず、炎症組織に発現しているCOX-2の活性のみを抑制するため副作用が小さいと考えられ、臨床試験が行われてきた。しかし、結果は血栓症のリスクを高めるだけだった。これは、COX-2が血管拡張作用があり血小板凝集を防ぐプロスタサイクリン(PGI2)を阻害しながら、COX-1が触媒し血管収縮・血小板凝集をおこすトロンボキサンA2(TxA2)産生を阻害しなかったことに起因すると考えられている[3]。なお、セレコキシブは心血管イベントを増大させるという報告があり、米国では同じ報告があったロフェコキシブが発売中止となっている。
脚注[編集]
- ^ PDB 1CQE; Picot D, Loll PJ, Garavito RM (January 1994). “The X-ray crystal structure of the membrane protein prostaglandin H2 synthase-1”. Nature 367 (6460): 243–9. doi:10.1038/367243a0. PMID 8121489.
- ^ PDB 6COX; Kurumbail RG, Stevens AM, Gierse JK, McDonald JJ, Stegeman RA, Pak JY, Gildehaus D, Miyashiro JM, Penning TD, Seibert K, Isakson PC, Stallings WC (1996). “Structural basis for selective inhibition of cyclooxygenase-2 by anti-inflammatory agents”. Nature 384 (6610): 644–8. doi:10.1038/384644a0. PMID 8967954.
- ^ 大和証券ヘルス財団調査研究助成の実績:水島徹『胃潰瘍も心筋梗塞も起こさないNSAIDsの開発』,熊本大学
関連項目[編集]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- メダカ卵巣におけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)及びプロスタグランジンE2受容体EP4bの発現と排卵への関与
- 急性炎症下における脊髄後角表層のシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)陽性細胞について
Related Links
- シクロオキシゲナーゼ (Cyclooxygenase,COX;EC1.14.99.1) はアラキドン酸をプロスタ ノイドと呼ばれる生理活性物質の一群に代謝する過程に関与する酵素である。プロスタ ノイドにはプロスタグランジンやトロンボキサンなどのアラキドン酸代謝物が含まれる。
- COX-1は動物細胞に幅広く分布し、体内局所での状況変化に速やかに対応する生理的 応答に関与するため細胞内小胞体に発現している構成(常在)型 ... COX-2は誘導型 酵素であり炎症や腫瘍形成などの病態に関係し、細胞内では核膜に主として存在する.
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- aspirin-induced asthma, AIA
- 関
- アスピリン過敏症、アスピリン
概念
疫学
- やや女性に多い(男女比=2:3ないし1:2) 30代
- 気管支喘息患者の10%に存在
病因
- アスピリン、酸性非ステロイド性抗炎症薬。
- タートラジン、パラベンなどの食品添加物、医薬品添加物、香水中の化学物質、自然界のサリチル酸化合物、コハク酸エステル型副腎皮質ステロイド薬も原因となりうる。(SPU.236)
病態生理
- アスピリンや酸性非ステロイド性抗炎症薬によりシクロオキシゲナーゼが阻害されると、アラキドン酸代謝はリポキシゲナーゼによるロイコトリエン合成がもっぱら行われることになる。気管支拡張作用のあるプロスタグランジンの産生が低下し、気管支収縮作用のあるロイコトリエンが増加することが本疾患の本態であると考えられている。
病理
臨床像
- 1. 皮膚アトピー
- 2. 発作は通年性で重症。⇔喘息は季節性であり、春と秋である。
- 3. 鼻茸(鼻ポリープ)を高率に合併
- 4. 重症、難治性のためステロイド依存性
症状
- 薬物を摂取してまもなくより呼吸困難が出現。時に急激に悪化し、突然死のおそれがある。
3主徴
合併症
治療
- 対症療法:酸素投与(呼吸困難により動脈血酸素分圧の低下が見られた場合)
- 薬物療法:気管支喘息の薬物治療に準じる
- β刺激薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:軽症から重症まで好んで用いられ、著効
- 副腎皮質ステロイド:リン酸エステル型を使用する コハク酸エステル型は禁忌
- デカドロンないしリンデロンを8mg IVないしPO
副腎ステロイド製剤
参考
- 1. [charged] アスピリンによる呼吸器疾患の増悪 - uptodate [1]
- 2. [charged] 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(アスピリンを含む):アレルギー反応および偽アレルギー反応 - uptodate [2]
- 3. [charged] アスピリン悪化呼吸器疾患(AERD;アスピリン喘息):非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)負荷および脱感作 - uptodate [3]
国試
[★]
- 英
- aspirin
- 商
- アスファネート配合、イスキア配合、サリチゾン、ゼンアスピリン、ニチアスピリン、ニトギス配合、バイアスピリン、バッサミン配合、バファリン配合、ファモター配合
- 関
- アスピリン喘息、アセチルサリチル酸 acetylsalicylic acid ASA、アスピリン中毒
構造
分類
-
薬理作用
抗炎症薬
- 脳の体温調整中枢を抑制して解熱。感覚中枢の興奮を抑制? → 鎮痛 1.5g/day
- 少量で血小板凝集を低下。血栓、塞栓を予防 → 40-100mg/day
- 関節リウマチにおける抗炎症には → 3g/day
動態
- アスピリンは弱酸性。胃でプロトンを放出。大部分は回腸で吸収される。
- アスピリンは組織、血漿、特に肝臓に存在するエステラーゼにより30分以内にサリチル酸塩となり抗炎症作用を呈する。25%は酸性?、抱合されて排出される。25%は未変化のまま排泄される。アルカリ尿で排泄されやすい。Cox抑制作用は不可逆的アセチル化反応による。持続時間は血漿半減期に関係しない。半減期は短いが、作用は持続することに注意する。
作用機序
注意
禁忌
- バイアスピリン錠100mg
- 1. 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2. 消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により,胃の血流量が減少し,消化性潰瘍を悪化させることがある.(ただし,「慎重投与」の項参照)]
- 3. 出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため,出血傾向を助長するおそれがある.]
- 4. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある.]
- 5. 出産予定日12週以内の妊婦[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
- 6. 低出生体重児,新生児又は乳児[「小児等への投与」の項参照]
- YN.D-34
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3399007H1021_1_13/3399007H1021_1_13?view=body
[★]
- 英
- prostaglandin, PG
- 関
- プロスタグランジン受容体、アラキドン酸カスケード
種類
プロスタグランジンの腎臓における作用
- PRE.43
- AHDは腎臓の様々な細胞・組織(ヘンレループ太い上行脚、集合管、腎髄質の間質、糸球体メサンギウム)でプロスタグランジンの産生を誘導する。ここで産生されたプロスタグランジンはADHの小売り様作用と血管に対する作用の両方を阻害する。抗利尿作用はADHによりGi,Gqを介したcAMP産生の抑制による。プロスタグランジンは局所に作用しADHが過剰に働かないように振る舞う。
- → NSAIDと腎障害の関係 NSAID腎症
[★]
- 英
- prostaglandin synthase
- 関
- シクロオキシゲナーゼ、プロスタグランジン合成酵素、プロスタグランジンシンテターゼ、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素、プロスタグランジンH合成酵素
[★]
- 英
- prostaglandin H synthase、PGH synthase
- 関
- シクロオキシゲナーゼ、プロスタグランジンシンターゼ、プロスタグランジンシンテターゼ、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素、PGH合成酵素
[★]
- 英
- cyclooxygenase-2 cyclooxygenase 2 COX-2 COX2
- 関
- シクロオキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ1、アスピリン、NSAID、糖質コルチコイド
- 炎症に伴うサイトカインと炎症メディエーターはCOX-2の産生を誘導する。(GOO.674) ← つまり、このシクロオキシゲナーゼが炎症部位におけるプロスタグランジンの産生に関わっている。よって、COX-2を抑制することで消炎作用が得られる。
- アスピリンとNSAIDはCOX enzyme and prostaglandin産生を抑制する。一方、アラキドン酸代謝において、リポキシゲナーゼの代謝経路は抑制しない。このためロイコトリエンの形成は抑制されない。(GOO.674)
- 糖質コルチコイドはCOX-2の発現誘導を抑制する。また、phospholipase A2の活性も抑制する(アラキドン酸の産生に関与)。
[★]
- 英
- cyclooxygenase-2 inhibitor
- 関
- シクロオキシゲナーゼ2阻害薬、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害薬
[★]
- 英
- cyclooxygenase-1
- 関
- シクロオキシゲナーゼ-1
[★]
- 英
- cyclooxygenase-1
- 関
- シクロオキシゲナーゼ1
[★]
- 英
- arachidonic acid cyclooxygenase
[★]
- 英
- cyclo
- 関
- 環状、サイクロ