- 日
- ほちゅうえっきとう
- 関
- 脾虚、参耆剤
- 和漢診療学 第2版
目標
- 種々の原因(虚弱体質・結核症などの慢性疾患、貧血症、外科手術後など)によって全身倦怠、食欲不振、咳嗽、微熱、盗汗、動悸、不安などの症状が持続的に存在する場合に用いられる(和漢診療学 第2版.299)。
生薬
病態
- 少陽病期、虚証 (医学辞書) あるいは 少陽病期、心下痞鞭型、虚証(和漢診療学 第2版.299) に対して用いられる。
適応
- 病後の体力低下、食欲不振、夏痩せ、感冒・慢性気管支炎(こじれて症状の長びくもの)、結核症(陳旧性・老人性結核)。
- 消化機能の衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質の者の次の諸症:夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症(和漢診療学 第2版.299)
鑑別
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補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、漢方方剤の代表的な処方。
目次
- 1 概要
- 2 組成
- 3 適応
- 4 相互作用
- 5 副作用
- 6 注意事項
- 7 局方収載
- 8 脚注
概要
漢方の古典である中国の医書『内外傷弁惑論』(1247年)に記されている補気剤の代表的処方であり「医王湯」の別名を持つ。
金元時代の名医である李東垣(杲)(1180年-1251年)により『脾胃論』(1249年)において記された処方である。当時の中国は戦乱が続き民衆は飢えと疲労で心身ともに疲弊しきっていた。熱性疾患で多くの人が死亡した。その疾患を治療する目的で李東垣の師である張潔古の処方に工夫を加え完成したのが当薬であると言い伝えられる。
李東垣は、脾胃、すなわち消化器官および代謝機能を行う器官が人の健康維持に最も重要なものと考え、病気の回復、予防、その他の臓器の機能の正常化は、脾胃の機能にかかっていると考えた。熱性疾患も脾胃の調理を最優先すべきと考えその方法をとった。
補中の「中」とは、漢方では腹部を差す。中を補う、すなわち胃腸の働きをよくすることで体力を回復をさせ、疲れ、食欲不振、胃弱、胃アトニー、夏ばて、こじらせた風邪、痔、または病中、病後、手術後などの弱った体力を回復させる。また、内臓全体を持ち上げる作用があるとされる。
組成
- 人参 4.0 (滋養強壮作用)
- 白朮 4.0
- 黄耆 3.0 (滋養強壮作用)
- 当帰 3.0
- 柴胡 2.0
- 陳皮 2.0 (胃腸の働きをよくする)
- 大棗 2.0
- 生姜 2.0 (胃腸の働きをよくする)
- 甘草 1.5
- 升麻 1.0 (のどの痛み、痔に効く)
適応
- 虚弱体質
- 胃腸障害
- 疲労倦怠
- 病後の衰弱
- 食欲不振
- ねあせ
- 痔
相互作用
併用注意
次の薬剤との併用により、偽アルドステロン症、ミオパシーが出現しやすくなる[1]。
- 甘草含有製剤
- グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤
副作用
次の副作用がある[1]。
重大な副作用
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパシー、肝機能障害、黄疸
その他
発疹、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢
注意事項
以下の者は、服用に注意。
- 医師の治療を受けている人。
- 高齢者
- 妊婦又は妊娠の可能性のある人。
- 生後3ヶ月未満の乳児。
- 発疹・かゆみ等、アレルギーの既往歴のある人。
- 1ヵ月以上服用しても症状がよくならない場合は医師に相談。
局方収載
第十五改正の日本薬局方から、上記構成生薬を乾燥エキス化した「補中益気湯エキス」(Hochuekkito Extract)が収載された。[2]
脚注
- ^ a b ツムラ製品情報『ツムラ補中益気湯』
- ^ 「医薬品各条 生薬等 補中益気湯エキス」『第十五改正日本薬局方』p1266、厚生労働省公式webページ、2009年2月4日閲覧
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Japanese Journal
- 臨牀指針 補中益気湯(TJ-41)の術前投与が膵頭十二指腸切除術後合併症に及ぼす影響 : Prognostic nutritional indexとSurgical Apgar Scoreを用いた検討
- 補中益気湯と漢方系サプリメント併用により早期に妊娠に至った精子無力症の2症例
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
太虎堂の補中益気湯エキス散
組成
- 本品7.5g中
日局ニンジン 4.0g
日局ビャクジュツ 4.0g
日局オウギ 4.0g
日局トウキ 3.0g
日局チンピ 2.0g
日局タイソウ 2.0g
日局サイコ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
日局ショウキョウ 0.5g
日局ショウマ 1.0g
上記生薬より抽出した水製乾燥エキス5550mgを含有する。
- 添加物として日局乳糖水和物、日局ステアリン酸マグネシウムを含有する。
効能または効果
- 元気がなく胃腸のはたらきが衰えて疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労けん怠、病後の衰弱、食欲不振、ねあせ
- 通常成人1日7.5gを3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
重大な副作用
間質性肺炎:
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
偽アルドステロン症:
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
ミオパシー:
- 低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸:
- AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- pyrexia
- 同
- 熱 fever, thermogenesis
- 関
- 熱型、≠高体温(体温調節機構の破綻による)、不明熱
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
概念
分類
- 微熱:37.5℃以上 37.0~37.9℃(YN.)
- 発熱:38.0℃以上
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- 37.1~38.0℃:微熱
- 38.1~38.5℃:軽度発熱
- 38.6~39.0℃:中等度発熱
- 39.1℃~:高熱
小児
病態生理
- 発熱サイトカイン(IL-1, TNF)が視床下部に作用してPGE2の産生を亢進し、PGE2により体温調節中枢を司る細胞内のcAMP濃度が上昇することでの体温セットポイントがあがる。
熱源の精査
- 咽頭、肺、胆道系、泌尿器系、皮膚・軟部組織(蜂窩織炎、褥瘡)
疾患と発熱
膠原病と発熱
発熱40℃(PMID 8107744)
発熱の後に関節炎(PMID 8107744)
原因不明の熱の鑑別
- 感染症
- 腫瘍
- 膠原病
- 薬剤熱 → 比較的元気、比較的徐脈、比較的CRP
- 体温1℃上昇に付き心拍数20上がる。これ以上の上昇が見られる場合、敗血症を疑う。 ← 1℃に付き10上がるという資料もあり(比較的徐脈)
発熱を伴う内科的緊急疾患
- 内科レジデントの鉄則 第2版 p.6
院内における発熱の鑑別疾患
- 感染性 :肺、泌尿器、褥瘡、クロストリジウム・ディフィシル感染症、カテーテル関連感染症
- 非感染性:薬剤熱、偽痛風、深部静脈血栓症
小児科における発熱の原因
| 年齢
|
原因
|
| 乳児(生後3ヶ月未満)
|
敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎、B群溶連菌感染、グラム陰性桿菌
|
| 乳児(生後3ヶ月以降)
|
ウィルス感染(突発性発疹などの発疹性疾患)、中耳炎、尿路感染症、消化器・呼吸器疾患、川崎病
|
| 幼児、学童期
|
溶連菌感染症、伝染性単核球症、膠原病、factitious fever(詐病)、学校での感染症の流行
|
- 乳児における中耳炎、尿路感染症は症状が発熱であることが多く原因が追及しづらい。鼓膜を観察したり、尿の培養をすることが重要かもしれない。
小児における発熱
- SPE.63
新生児・乳児における発熱
see also step beyond resident 2 救急で必ず出会う疾患編 p.20
- 3ヶ月未満は免疫力が弱く重症細菌感染症にかかりやすい。
- 生後 :対処
- 0-1ヶ月 :入院。血液検査・各種培養検査を。
- 2-3ヶ月 :外来で小児科医が診察し、血液検査で細菌感染が疑われれば入院
- 4-6ヶ月 :外来で小児科医が診察し、発熱以外に所見がなければ、十分な水分摂取を指示し、翌日再診を。
- 6ヶ月以降:食欲・機嫌がよければ、翌日再診を。
漢方医学
[show details]
- 臨床医の漢方治療指針より
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実熱
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虚熱
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| 発病
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急速に発病
|
緩徐に発病
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| 症状
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悪寒、高熱 顔面紅潮 苦痛あり、四肢運動多 声大きく明瞭 口渇強い 便秘 色調濃い尿
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軽度悪寒、熱覚 顔面蒼白 苦痛少なく、静かに臥床 声小さい 口渇少ない 軟便、下痢 薄い色調の尿
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| 脈
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早く大きく、緊張
|
小さく早く、緊張なし
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| 舌苔
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厚くて乾燥、白~黄~褐色
|
薄くて白い、無苔、鏡面舌
|
| その他
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頭痛、関節痛、無汗~発汗
|
倦怠感、眩暈感、盗汗
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| 実熱
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麻黄湯
|
悪寒、発熱、頭痛、関節痛
|
| 葛根湯
|
悪寒、発熱、頭痛、肩背部のこり
|
| 小柴胡湯
|
午後からの発熱、食欲不振、口の苦み
|
| 柴胡桂枝湯
|
詳細孤島の症状、関節痛、腹痛
|
| 大柴胡湯
|
胆嚢炎、便秘
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| 柴陥湯
|
詳細孤島の症状、咳嗽、胸痛
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| 黄芩湯
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発熱、腹痛、下痢
|
| 虚熱
|
桂枝湯
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発熱、軽度の頭痛、発汗
|
| 桂麻各半湯
|
発熱、発疹
|
| 参蘇飲
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発熱、食欲不振、咳嗽、あつがる
|
| 柴胡桂枝乾姜湯
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微熱、上半身の自汗、盗汗、食欲不振、背部の冷汗
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| 竹じょ温胆湯
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発熱、咳嗽、不眠
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| 補中益気湯
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微熱、倦怠感、食欲不振、盗汗
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| 滋陰降火湯
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微熱、下半身の脱力感、盗汗、咳嗽
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| 滋陰至宝湯
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微熱、倦怠感、食欲不振、精神不安定状態
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| 真武湯
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陰病、微熱、食欲不振、倦怠感、いつも寝ている
|
| 麻黄細辛附子湯
|
陰病、微熱、寒がる
|
[★]
- 関
- 気虚、脾虚
[★]
- 関
- 脾
[★]
- 関
- 気
[★]
- 日
- しょうさいことう
- 関
- 柴胡剤
鑑別
- 1)大柴胡湯:体力充実し、胸脇苦満、腹壁の緊張が著明、便秘傾向
- 2)柴胡桂枝湯:体力中等度以下、自然発汗傾向、頭痛、顔面紅潮、腹直筋緊張
- 3)補中益気湯:体力中等度以下、全身倦怠、易疲労、軽度の胸脇苦満
- 4)柴胡加竜骨牡蛎湯:大柴胡湯に似るが、抑うつ傾向、不安、不眠、易怒などの精神症状が著しい。
- 腹大動脈の拍動亢進
[★]
- 関
- 漢方製剤、補中益気湯