出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/07/05 06:37:08」(JST)
| オケラ | |||||||||||||||||||||
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| オケラ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Atractylodes japonica | |||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||
| オケラ(朮) |
オケラ(朮、Atractylodes japonica)はキク科オケラ属の多年草。近縁種とともに生薬として用いられる。また若芽を山菜として食用にもする。別名、ウケラ、カイブシとも呼ばれている[1]。中国植物名は、東蒼朮(とうそうじゅつ)、関蒼朮(かんそうじゅつ)[1]。
日本の本州、四国、九州などに分布し[2]、国外では朝鮮半島、中国東北部に分布する。日当たりと水はけがよい山野や丘陵地、山地に生え、草原や林中、林縁でよく見られる[1][3][4][5]。
多年草[5]。雌雄異株で、根茎は長く節がある[3]。春の芽出しは白い絹毛があり、芽が伸びるにつれて茎も葉も堅くなる[3]。
草丈は60センチメートル内外になり[2]、茎の下部の葉は羽状に裂けて、奇数羽状複葉になる[3]。葉は堅く、葉縁にはトゲ状の鋸歯がある[2]。花序の下側につく苞葉も羽状。花期のころになると、根葉はなくなる[3]。
花期は秋(9 - 10月)[5]。茎頂に頭花をつけ、花は白色または淡紅色で目立ち[2]、アザミに似て筒状花だけの房状の頭状花序となる。雄しべと雌しべの両方を持つ両性株と、雌しべだけが機能する雌株がある[4]。魚の骨を想起させる苞[注釈 1]に花は囲まれているのが特徴[2][5]。
果実は痩果で、暗褐色で、形は狭楕円形でやや平たい[5]。果皮には長い伏毛が上向きに密生する[5]。痩果よりも長い長さの揃った冠毛が多数つき、淡褐色で羽毛状である[5]。果実期も、独特な苞葉が残る[5]。
「山でうまいはオケラにトトキ…」と俚謡で唄われるほど、白毛に覆われた新芽は、山菜としてよく知られている[2]。
| 生薬・ハーブ | |
|---|---|
| 原料 | オケラ (植物)(根茎部) |
| 成分 | アトラクチロン (C16919) |
| 臨床データ | |
| 法的規制 |
|
| 投与方法 | 経口(湯液) |
| 識別 | |
| KEGG | E00150 D06780 |
| 別名 | 白朮 |
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オケラ属の本種と近縁種の根茎は、古くから朮(じゅつ)という生薬として利用された。中国原産で栽培されるものにオオバナオケラ A. ovata、ホソバオケラ A. lancea などがある。
根茎は薬用部位になり、蒼朮(ソウジュツ)、日本薬局方では白朮(ビャクジュツ)と称する生薬である[1]。基原により白朮を区別する場合は、本種のものを和白朮、オオバナオケラのものを唐白朮という。中国では、ホソバオケラ、シナオケラ、オケラなどを蒼朮といい、白朮はオオバナオケラを充てている[1]。白朮は、オケラの地上部の茎葉が枯れた11月頃に、根茎を掘り上げて採取し、水洗いして土砂を落とし、外皮のコルク質を除いて陰干ししたものである[2][3]。中国原産のホソバオケラの根茎を乾燥したものが蒼朮で、香味が優れており、日本でも栽培されている[3]。なお、古くはホソバオケラなどの根茎(現在の蒼朮(ソウジュツ))の皮を剥いだものを白朮とも称しており、漢方古典でいう「白朮」と現在の白朮とは別のものを指すことがある。
根茎は精油成分を含み、主な成分は、アトラクチロン20%、セスキテルペン、アトラクチロジン、アセトアルデヒド、フルフラルデヒドなどである[2]。この精油には、胃から十二指腸へと胃の内容物を移動させる働きがあるともいわれており[2]、健胃を目的として用いられることもある。漢方では、これら精油成分が消化管内の停水を除き、吸収を促す駆水剤と考えられていて[2]、四君子湯、補中益気湯、健脾湯などの漢方方剤に使われる。また屠蘇散にも白朮が用いられる。白朮1種だけで健胃や整腸に役立つものではなく、他の漢方薬との相乗効果によって配剤される[2]。
民間では、悪心、嘔吐、下痢、膝関節腫痛、芳香健胃、利尿、胃内停水、頻尿、むくみ、発汗解熱に効果が期待されていて、晩秋に根茎を掘り上げて刻み天日乾燥したものを、1日量3 - 10グラムを400 ccの水にに入れて半量に煎じた温かい液を3回にに分けて服用される[1]。熱感がない冷える体質の人によいとされ、手足がほてり顔がのぼせる人や、胃腸に熱があってのどが渇く人には服用しないとされる[1]。
新緑の5 - 6月頃の白毛に包まれた若芽は食用になり、生育につれて毛が少なくなるころまでが山菜として利用されている[2]。採集した若芽は、塩ひとつまみ入れた湯で軽く茹でて、お浸しや和え物にするか、天ぷらなどに調理される[1][2]。
8世紀に編まれた『万葉集』に、武蔵野の「うけら」の花を詠んだ歌がある[6]。
刻んで焚くと、疫病よけになると信じられた[4]。京都八坂神社では、除夜の鐘とともに正月に白朮(オケラの根茎)を焚く白朮祭(をけらさい)が行われており、この火を火縄に移して持ち帰り、これを火種に雑煮を煮て新年を祝う「おけら火」という行事がよく知られている[2]。
梅雨時に室内で焚き、カビ止めにも用いられていた[3]。
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