- 英
- spleen
- 関
- 脾臓
WordNet
- a large dark-red oval organ on the left side of the body between the stomach and the diaphragm; produces cells involved in immune responses (同)lien
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- 脾臓(ひぞう) / 〈U〉不きげん,かんしゃく
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/04 03:50:52」(JST)
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脾臓 |
脾臓
|
ラテン語 |
lien, (ancient Greek語: splen) |
英語 |
Spleen |
動脈
|
脾動脈
|
静脈
|
脾静脈
|
神経
|
脾神経叢
|
脾臓(ひぞう)は、循環器系内に組み込まれた臓器である[1]。以下の記述は特に断りがない限りヒトの脾臓について記述する。
目次
- 1 形態と構造
- 2 脾臓の機能
- 3 脾臓痛
- 4 東洋医学における「脾」
- 5 脾臓の病気
- 6 注釈
- 7 関連項目
形態と構造
人体の左の上腹部にあり、上方は横隔膜に、内側は左の腎臓と接している。前方には胃が存在する。肋骨の下に隠れており通常は体表からは触れない。 脾臓の大きさは長さ12cm、幅7.5cm、厚さ5cm程度で、腎臓のようなソラマメに似た形をしている。重量は100~200g程度と、内部に流れ込んでいる血液量で変化する。柔らかく、色は暗赤色、赤紫色、煉瓦色である。
左胃大網動脈が胃の後で膵臓の上縁に沿って左側に入り脾動脈となる。このため膵臓ガンなどで膵臓の尾部を摘出する際は栄養動脈である脾動脈が失われるため脾臓もいっしょに摘出することがある[2]。
脾臓の表面は白く厚い被膜で覆われている。この皮膜が脾動脈にそって脾臓の内部まで入り込み脾柱という構造を形成する。この脾柱はさらに脾臓の実質内で柱網と呼ばれる網目状になり、間隙を脾臓実質である白脾髄、赤脾髄が埋めている。脾柱内を通る動脈は、白脾髄の中心を通る脾髄動脈へ分岐する。白脾髄は白い斑状組織で、細網線維組織の間に血液中を移動してきたリンパ球など免疫を司る血球が集まっている。動脈は更に細くなり末梢が赤脾髄に入る。赤脾髄は細網線維組織である脾索(ビルロート索)と、細長い袋状に見える毛細血管の脾洞からなる赤い組織で、脾洞には赤血球が充満している。脾洞の内皮には細網内皮系(マクロファージなど)が集まり、これらの活動によって赤脾髄にはヘモジデリンの沈着が見られる。脾洞中には時には造血幹細胞が見られる(後述)。脾洞中の血液は静脈血となって脾柱静脈,脾静脈を経て門脈へ流れるが,一部の血液は中心動脈から直接脾洞へ入っている。
脾臓の機能
- 免疫機能:白脾髄でB細胞(Bリンパ球)、Tリンパ球、形質細胞を成熟させ、血液を増殖の場とする病原体に対する免疫応答の場となる。循環血中の莢膜を持つ細菌の濾過とIgMオプソニン抗体を産生する場でもある。脾摘された人が肺炎球菌やインフルエンザ菌、マラリアなどに感染すると重症化しやすい。
- 造血機能:骨髄で造血が始まるまでの胎生期には、脾臓で赤血球が作られている。生後はその機能は失われるが、大量出血や骨髄の機能が抑制された状態では再び脾臓での造血が行われることがある(髄外造血)。ラットやマウスでは出生後も造血が行われる。
- 血球の破壊:古くなった赤血球の破壊を行う。赤血球中のヘモグロビンを破壊し鉄を回収する働きもある。摘出により溶血性貧血が改善された例がある。
- 血液の貯蔵機能:血液を蓄える機能がある。人間ではそれほど多くの血液の貯留はされないが、犬や馬などの動物では大量の血液が貯留されている。筋肉が大量の酸素を必要とするような運動時には、脾臓から貯蔵されていた血液を駆出することで充分な酸素を筋肉へ送り届けることが出来る。
こうした重要な機能も、循環器系の一部で機能の代替が行えるため、手術等によって脾臓を失ってもただちに致死することはない。
脾臓痛
脾臓への動脈が未発達な若年などが急激な運動などをすると、脾臓中の血液が一斉に体内に送り出されて一時的な虚血となり、脇腹の痛みとして感じることがある。
東洋医学における「脾」
いわゆる五臓六腑(五臓:肝・心・脾・肺・腎)の1つである「脾」は「脾臓」とは異なる。五臓の脾は主に消化吸収などを担っており、解剖学的に対応する臓器はむしろ「膵臓(すいぞう)」である。これは脾臓と膵臓を別の臓とは考えず、ひとつの臓(脾臓+膵臓=脾)と考えられていたのではないかという説もあるが、正確な理由は現在もわかっていない。膵臓は黄色い組織であるため、脂肪と考えられて脾臓に膵臓の機能が割り当てられた可能性もある。
脾臓の病気
脾腫
脾臓が何らかの原因で大きくなってしまった状態を脾腫という。原因としては、肝硬変などによる門脈圧亢進症、白血病・骨髄増殖性疾患・感染症などの浸潤性疾患の2種がある。脾腫が著明になると、脾臓の機能が亢進した状態になり、血球の破壊がどんどん進むため貧血や出血傾向などが出現する。このような状態では対処法として手術によって脾臓を摘出することがある。
- 脾臓摘出術(脾摘)が適応となる疾患
- 遺伝性球状赤血球症、不安定ヘモグロビン症、温式自己免疫性溶血症(温式AIHA)、サラセミア、PK欠損症(pyruvate kinase deficiency)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP;idiopathic thrombocytopenic purpura)etc.
注釈
- ^ 生化学辞典第2版、p.1042 【脾臓】
- ^ 東京医科歯科大学 Web
関連項目
五臓六腑 |
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五臓 |
肝臓 - 心臓 - 脾臓 - 肺臓 - 腎臓
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六腑 |
胃 - 大腸 - 小腸 - 胆嚢 - 膀胱 - 三焦
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Japanese Journal
- Gelatin sponge sheet combined with gelatin glue as new topical hemostatic materials : a preliminary report in an animal model
- Wang Zhen,Kotani Yutaka,Tamura Atsushi,Kawasumi Akari,Tsuji Misaki,Hayashi Maho,Ikeda Junki,Orikasa Taichi,Takamori Hideki,Torii Hiroko,Ozamoto Yuki,Morita Shinichiro,Tsujimoto Hiroyuki,Hagiwara Akeo
- 同志社大学理工学研究報告 54(1), 36-40, 2013-04-00
- … 本実験では(A)ゼラチンスポンジとゼラチン糊との組み合わせ、(B)タココンブ単独、(C)ゼラチン糊単独の3種類の止血材について、犬の脾臓表面を損傷させた実験モデルを用いて止血効果を比較した。 …
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- Laparoscopic Distal Pancreatectomy Preserving the Spleen and Splenic Vessels for Benign and Low-Grade Malignant Pancreatic Neoplasm
- Ikeda Tetsuo,Yoshiya Shohei,Toshima Takeo,Harimoto Norifumi,Yamashita Youichi,Ikegami Toru,Yoshizumi Tomoharu,Soejima Yuji,Shirabe Ken,Maehara Yoshihiko,池田 哲夫,吉屋 匠平,戸島 剛男,播本 憲史,山下 洋市,池上 徹,吉住 朋晴,副島 雄二,調 憲,前原 喜彦,イケダ テツオ,ヨシヤ ショウヘイ,トシマ タケオ,ハリモト ノリフミ,ヤマシタ ヨウイチ イケガミ トオル,ヨシズミ トモハル,ソエジマ ユウジ,シラベ ケン,マエハラ ヨシヒコ
- 福岡医学雑誌 104(3), 54-63, 2013-03-25
- … 十分に享受しうる術式と考えられる.腹腔鏡下膵体尾部切除術特に脾および脾動静脈を温存する術式は平成24年度から保険収載され膵体尾部の良性・低悪性度腫療に対する第一選択の術式として位置づけられてくると言っても過言ではないであろう.良性・低悪性度腫療に対しても従来は通常型膵癌と同様に脾切除を伴う膵体尾部切除を行うのが一般的であった.Warshaw …
- NAID 120005295632
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- 59歳の男性。鼻出血と膿性鼻漏とを主訴に来院した。1か月前から著しい鼻痛が続いている。鼻腔内粘膜の発赤とびらんとを認める。血液所見:赤血球 408万、Hb 12.1g/dl、Ht 34%、白血球 8,300、血小板 35万。免疫学所見:CRP 16.8mg/dl、PR3-ANCA陽性。副鼻腔単純CTで鼻腔から上顎洞、筋骨洞、眼窩内に及ぶ腫瘤を認める。鼻内腫瘍の生検で壊死組織、炎症細胞浸潤および多核巨細胞を認める。
- 確定診断のために精査が必要な臓器はどれか。2つ選べ。
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- 関
- 脾
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- 肝→心→脾→肺→腎 → 肝 ・・・
- 肝:精神運動を安定化し、栄養素の代謝と解毒を司る
- 心:意識レベルを保ち、意識的活動を統括し、覚醒・睡眠レベルを調節する
- 脾:食物を消化吸収し、水穀の気を生成する
- 肺:呼吸により宗気を摂取し、全身の気の流れを統括し、水穀の気の一部から血と水を生成する
- 腎:成長、発育、生殖能を司り、骨・歯牙を形成・維持する。
参考
- http://allchinainfo.com/health/wuzang
[★]
- 英
- hepatosplenomegaly
- 同
- 肝脾腫大
- 関
- 脾腫、肝腫
[★]
- 英
- partial splenic arterial embolization
[★]
- 英
- splenomegaly
- 関
- 脾腫