- 英
- dantrolene
- 同
- ダントロレンナトリウム dantrolene sodium
- 商
- ダントリウム
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/09 18:16:55」(JST)
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ダントロレン
|
IUPAC命名法による物質名 |
1-{[5-(4-ニトロフェニル)-2-フリル]メチリデンアミノ}イミダゾリジン-2,4-ジオン |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C(US) |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口, 点滴静脈注射 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
70% |
代謝 |
肝臓 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
7261-97-4 |
ATCコード |
M03CA01 |
PubChem |
CID 2952 |
DrugBank |
APRD00901 |
ChemSpider |
2847 |
化学的データ |
化学式 |
C14H10N4O5 |
分子量 |
314.253 g/mol |
SMILES
- C1(CN(C(N1)=O)N=CC2=CC=C(O2)C3=CC=C(C=C3)[N+]([O-])=O)=O
|
ダントロレン(英:dantrolene)とは筋弛緩薬の1つ。横行小管から筋小胞体への興奮の伝達過程を遮断することにより筋小胞体からのCa2+の遊離を抑制し、筋弛緩を引き起こす。
関連項目[編集]
- 術中合併症
- 全身麻酔
- クロルジアゼポキシド
- 悪性高熱症
- 悪性症候群
- こむら返り
参考文献[編集]
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 6回目のセボフルラン麻酔時に発症した劇症型悪性高熱症の1症例
- イレウスに対して手術待機中であった統合失調症症例に発症した悪性症候群の周術期管理経験
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ダントリウムカプセル25mg
組成
有効成分(1カプセル中)
添加物
- 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、赤色3号、黄色5号、ゼラチン
禁忌
- 閉塞性肺疾患あるいは心疾患により、著しい心肺機能低下のみられる患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]
- 筋無力症状のある患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]
- 肝疾患のある患者[本剤による肝障害が疑われる症例が報告されている。]
効能または効果
- 下記疾患に伴う痙性麻痺
- 脳血管障害後遺症、脳性麻痺、外傷後遺症(頭部外傷、脊髄損傷)、頸部脊椎症、後縦靱帯骨化症、脊髄小脳変性症、痙性脊髄麻痺、脊髄炎、脊髄症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、スモン(SMON)、潜水病
- 通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として1日1回25mgより投与を始め、1週毎に25mgずつ増量し(1日2?3回に分割投与)維持量を決定する。ただし、1日最高投与量は150mgとし3回に分割投与する。
なお、ダントリウムカプセル50mgは上記の用量において1回50mgを投与する場合に用いる。
- 全身こむら返り病
- 通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として1日1回25mgより投与を始め、1週毎に25mgずつ増量し(1日2?3回に分割投与)維持量を決定する。ただし、1日最高投与量は150mgとし3回に分割投与する。
なお、ダントリウムカプセル50mgは上記の用量において1回50mgを投与する場合に用いる。
- 悪性症候群
- ダントロレンナトリウム水和物注射剤の静脈内投与後、継続投与が必要で経口投与が可能な場合、通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として1回25mg又は50mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
なお、ダントリウムカプセル50mgは上記の用量において1回50mgを投与する場合に用いる。
慎重投与
- 肝障害もしくは肝機能異常が以前にみられた患者[本剤による肝障害が疑われる症例が報告されている。]
- 腎障害のある患者[排泄が遅延するおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 慢性下痢症状のみられる患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 他の薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- イレウスのある患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
黄疸(0.1%未満)、肝障害(頻度不明)
- 黄疸、肝障害があらわれることがあるので、肝機能検査を定期的に実施し、異常がみられた場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ慎重に投与すること。
PIE症候群(頻度不明)
- PIE症候群(発熱、咳嗽、呼吸困難、胸痛、胸水貯留、好酸球増多等を伴う症状)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
胸膜炎(頻度不明)
- 胸膜炎があらわれることがあるので、胸痛、胸水貯留等が認められた場合には観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
イレウス(0.1%未満)
- イレウスがあらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸不全(0.1?5%未満)
- 悪性症候群患者への投与において、呼吸不全があらわれることがあるので、呼吸不全が疑われた場合には臨床症状及び血液ガス等のデータを参考に、呼吸管理を実施しながら本剤を投与すること。
ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)
- ショック、アナフィラキシー様症状(顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
痙性麻痺、全身こむら返り病
弛緩作用
筋弛緩作用及び協調運動失調作用4)5)
- マウスにおいて、morphineによる挙尾反応に対する抑制作用より筋弛緩作用を、また、回転棒滞留試験より協調運動失調作用を検討したところ、ダントロレンナトリウム水和物はクロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ツボクラリン等に比し、より選択的に筋弛緩作用を発揮することが示された。
骨格筋に対する作用6)
- ウシガエル長指伸筋標本及びラット横隔膜神経標本の単収縮に対し強い抑制作用が認められた。
作用部位7)?11)
- 骨格筋の興奮?収縮連関に直接作用することが、種々の実験により証明されており、この興奮?収縮連関のどの部位に作用するかについては、筋小胞体からカルシウムイオンが遊離する機構を抑え、トロポニンに結合するカルシウムイオンを減少させることが示唆され、特にT?システムから筋小胞体に信号が伝達される場がダントロレンナトリウム水和物の主作用部位と推定されている。
悪性症候群
悪性症候群モデルにおける改善作用12)?14)
- ラット悪性症候群モデルにおいて、体温上昇、筋硬直及び血清クレアチンホスホキナーゼ活性の上昇を抑制した。
細胞内カルシウムイオン動態に対する作用15)?18)
- カエルの骨格筋において、急速冷却による拘縮を抑制した。一方、マウスの培養神経芽細胞及び脳シナプトゾームにおいて、それぞれC48/80及びベラトリンによる細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を抑制した。また、視床下部切片において、ベラトリンによるセロトニンの遊離を抑制した。
作用機序
- 悪性症候群の原因として、骨格筋における筋小胞体からのカルシウムイオン遊離亢進並びに中枢神経系における細胞内カルシウムイオン濃度上昇に伴うドパミン?セロトニン神経活性の不均衡が推定されている。ダントロレンナトリウム水和物は骨格筋において筋小胞体からのカルシウムイオン遊離を抑制し、中枢神経系において細胞内カルシウムイオン濃度上昇を抑制し神経伝達物質の遊離亢進を抑制する結果、ドパミン?セロトニン神経活性の不均衡を改善するものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
分子式
分子量
性状
- ダントロレンナトリウム水和物は帯黄だいだい色?濃だいだい色の結晶性の粉末である。プロピレングリコールにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、水又は酢酸(100)に極めて溶けにくく、アセトン、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107E053]←[国試_107]→[107E055]
[★]
- 抜管後の術後呼吸抑制の原因薬物と拮抗薬の組合せで適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G017]←[国試_108]→[108G019]
[★]
- 英
- suxamethonium
- 同
- サクシニルコリン succinylcholine、塩化サクシニルコリン succinylcholine chloride, SCC
- 化
- 塩化スキサメトニウム suxamethonium chloride
- 商
- サクシン、レラキシン、Anectin
- 関
- 薬理学
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分類
構造
作用機序
薬理作用
動態
適応
- 気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・喉頭痙攣の筋弛緩
- 精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩
- 腹部腫瘤診断時
注意
禁忌
副作用
- SAN.71改変
- 1. 筋肉痛:強い攣縮が起こるために筋痛をきたす。
- a) 外眼筋攣縮:眼圧亢進を来たし、緑内障を生ずることがある。この眼圧亢進は投与後1-6分で5-10mmHgほど上昇
- b) 脳圧亢進
- c) 腹筋の攣縮:胃内圧亢進を来たす。
- 治療:ダントロレン:筋小胞体からのカルシウム遊離を阻害
[★]
- pyrexia
- 英
- malignant hyperpyrexia, MH
- 同
- 悪性高体温症 malignant hyperthermia
- 関
- 悪性高熱
病因
- (最も多い)
- (起こりにくい)
病態生理
- 骨格筋内の筋小胞体からのカルシウムイオンの異常な遊離亢進により筋強直
- 小胞体のカルシウムチャネルにおけるアミノ酸配列に異常が見られることによる
症状
- 高熱(40℃以上)、筋硬直、頻脈、不整脈、高度のアシドーシス、多臓器不全
診断
診断基準
- 15分間で0.5℃以上 or 1時間で1℃以上の体温の上昇
- 発症後にミオグロビン尿が見られる
- ETCO2の上昇
鑑別疾患
発症が疑われたとき
- 疑わしい薬物の投与中止
- 発熱がある場合は、ダントロレンを投与
- 冷却(大量輸血、対外循環)
- 輸液(アシドーシス・電解質の補正)
- 利尿剤の投与
治療
- 麻酔の中止
- 純酸素の吸入
- 全身を冷却
- 対ショック療法
- ダントロレンの投与
[★]
- 英
- hydantoin
- 同
- グリコリル尿素 glycorylurea
[★]
ダントロレン。ダントロレンナトリウム
[★]
ダントロレン。ダントリウム
[★]
- 英
- dantrolene sodium
- 関
- ダントロレン、ダントリウム