出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/14 04:24:52」(JST)
医師国家試験(いしこっかしけん)とは、国家資格の一つである医師免許を取得するための国家試験。
毎年2月中旬ごろに施行され、その規定は医師法第9?16条に定められている。
医学部入試の競争率が高い一方で、医師国家試験の合格率は殆どの大学医学部で90パーセント前後と、司法試験など他の国家資格のそれよりも高くなっているが、その理由として医師国家試験は「医学の正規の課程を修めて卒業すること」が受験の前提条件とされているためである。つまり、医学部入試に合格した後、最終学年(第6学年)にまで進級し、さらに卒業試験に合格して医学部を卒業するまでの一連の課程が必須となっており、結果的に医師国家試験にほぼ合格できる知識を具有していると見なされた者だけが受験できるため、必ずしも試験自体が容易であるということにはならない。
なお、医師国家試験合格率は、時に大学の評価に関係することがあるため、近年ではカリキュラムの一部に医師国家試験予備校の授業や模擬試験を採用するなどの対策を講じている医学部も少なくない。
また2001年-2005年までの問題、解答は非公表であったが、2005年11月11日に厚生労働省Web上にて公表となった。
医師法第11、12条の規定に基づく。
なお、医師法に直接記載されていないが、試験実施年の3月中までに大学の医学正規課程を卒業する見込の者も、厚生労働省の告示に基づき受験資格を得る[1]。
厚生労働省より公示される試験内容は以下の通りのみ。
試験内容は上記の通りのみで、司法試験のように出題科目が限定されているのではなく、USMLEのような段階的でもなく、基礎医学・臨床医学・社会医学などすべての医学関連科目が出題範囲である。また、科目ごとの試験ではなく、すべての科目を取り混ぜた総合問題形式である。
それぞれの専門分野から選出された「医師国家試験委員」によって考案され出題される。4年に1度「医師国家試験出題基準」が出され、概ねそこに列挙された項目・疾患・症候等を基本として出題される。
各回が下記の内容で構成された計500問の選択肢問題で、A~Iブロックに分けて3日間の日程で実施される。
問題冊子は全ブロックで問題文と別冊に分けられており、別冊には問題文が参照する検査画像や写真、図などが含まれる。また、マークシートは記入欄が縦並びと横並びのパターンが存在する。得点は一般問題を1点、臨床実地問題を3点として計算され、不適切問題の削除等の得点調整を経て、後述の合格基準をすべて満たした場合に合格となる。なお、各回の問題及びその正答例については、合格発表後の毎年4月頃に厚生労働省ホームページに掲載される。
以下をすべて満たした者を合格とする(一般問題・臨床実地問題の基準については合格発表時に掲示される)。
必修問題で採点除外などの調整がなされた場合は、採点対象の問題について8割以上の得点で合格となる(2006年からは、採点対象外となった問題が不正解だった場合のみ当該問題を採点から除外すると変更されたため、受験者により必修問題の満点は異なる)。また、禁忌肢の選択数は3問以下などに変更されることがある。
医師国家試験の合格率をみてみると、第1~100回までの平均では84.2%であったが[2]、近年は80%台後半を推移している。
回 | 当該年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第2/3回 | 1947(昭和22) | 1,897 | 1,515 | 79.9% |
第4/5回 | 1948(昭和23) | 2,947 | 1,768 | 60.0% |
第6/7回 | 1949(昭和24) | 6,282 | 4,677 | 74.5% |
第8/9回 | 1950(昭和25) | 7,906 | 7,097 | 89.8% |
第10/11回 | 1951(昭和26) | 7,809 | 7,425 | 95.1% |
第12/13回 | 1952(昭和27) | 5,765 | 5,248 | 91.0% |
第14/15回 | 1953(昭和28) | 3,824 | 3,252 | 85.0% |
第16/17回 | 1954(昭和29) | 3,513 | 3,112 | 88.6% |
第18/19回 | 1955(昭和30) | 4,167 | 3,481 | 83.5% |
第20/21回 | 1956(昭和31) | 3,987 | 3,459 | 86.8% |
第22/23回 | 1957(昭和32) | 3,369 | 2,932 | 87.0% |
第24/25回 | 1958(昭和33) | 3,621 | 3,043 | 84.0% |
第26/27回 | 1959(昭和34) | 3,543 | 3,260 | 92.0% |
第28/29回 | 1960(昭和35) | 3,352 | 3,218 | 96.0% |
第30/31回 | 1961(昭和36) | 3,526 | 3,231 | 91.6% |
第32/33回 | 1962(昭和37) | 3,359 | 3,108 | 92.5% |
第34/35回 | 1963(昭和38) | 3,268 | 3,102 | 94.9% |
第36/37回 | 1964(昭和39) | 3,210 | 3,127 | 97.4% |
第38/39回 | 1965(昭和40) | 3,140 | 3,034 | 96.6% |
第40/41回 | 1966(昭和41) | 3,175 | 3,078 | 96.9% |
第42/43回 | 1967(昭和42) | 3,109 | 3,048 | 98.0% |
第44/45/46回 | 1968(昭和43) | 6,686 | 6,544 | 97.9% |
第47/48回 | 1969(昭和44) | 3,568 | 3,347 | 93.8% |
第49/50回 | 1970(昭和45) | 3,875 | 3,741 | 96.5% |
第51/52回 | 1971(昭和46) | 3,909 | 3,723 | 95.2% |
第53/54回 | 1972(昭和47) | 4,441 | 3,963 | 89.2% |
第55/56回 | 1973(昭和48) | 5,002 | 4,146 | 82.9% |
第57/58回 | 1974(昭和49) | 5,418 | 4,076 | 75.2% |
第59/60回 | 1975(昭和50) | 5,553 | 4,295 | 77.3% |
第61/62回 | 1976(昭和51) | 6,174 | 4,643 | 75.2% |
第63/64回 | 1977(昭和52) | 6,756 | 4,937 | 73.1% |
第65/66回 | 1978(昭和53) | 7,593 | 5,562 | 73.3% |
第67/68回 | 1979(昭和54) | 8,846 | 6,003 | 67.9% |
第69/70回 | 1980(昭和55) | 9,905 | 7,087 | 71.5% |
第71/72回 | 1981(昭和56) | 10,648 | 7,253 | 68.1% |
第73/74回 | 1982(昭和57) | 11,207 | 7,497 | 66.9% |
第75/76回 | 1983(昭和58) | 10,361 | 7,914 | 76.4% |
第77/78回 | 1984(昭和59) | 10,822 | 8,449 | 78.1% |
第79回 | 1985(昭和60) | 8,808 | 7,542 | 85.6% |
第80回 | 1986(昭和61) | 9,507 | 7,951 | 83.6% |
第81回 | 1987(昭和62) | 9,940 | 8,573 | 86.2% |
第82回 | 1988(昭和63) | 9,672 | 7,854 | 81.2% |
第83回 | 1989(平成元) | 10,037 | 8,829 | 88.0% |
第84回 | 1990(平成2) | 9,448 | 7,862 | 82.9% |
第85回 | 1991(平成3) | 9,812 | 8,256 | 84.1% |
第86回 | 1992(平成4) | 9,515 | 7,988 | 84.0% |
第87回 | 1993(平成5) | 9,664 | 8,698 | 90.0% |
第88回 | 1994(平成6) | 9,255 | 7,982 | 86.2% |
第89回 | 1995(平成7) | 9,218 | 7,930 | 86.0% |
第90回 | 1996(平成8) | 9,057 | 8,088 | 89.3% |
第91回 | 1997(平成9) | 8,898 | 7,843 | 88.1% |
第92回 | 1998(平成10) | 8,716 | 7,806 | 89.6% |
第93回 | 1999(平成11) | 8,692 | 7,309 | 84.1% |
第94回 | 2000(平成12) | 8,934 | 7,065 | 79.1% |
第95回 | 2001(平成13) | 9,266 | 8,374 | 90.4% |
第96回 | 2002(平成14) | 8,719 | 7,881 | 90.4% |
第97回 | 2003(平成15) | 8,551 | 7,721 | 90.3% |
第98回 | 2004(平成16) | 8,439 | 7,457 | 88.4% |
第99回 | 2005(平成17) | 8,495 | 7,568 | 89.1% |
第100回 | 2006(平成18) | 8,602 | 7,742 | 90.0% |
第101回 | 2007(平成19) | 8,573 | 7,535 | 87.9% |
第102回 | 2008(平成20) | 8,535 | 7,733 | 90.6% |
第103回 | 2009(平成21) | 8,428 | 7,668 | 91.0% |
第104回 | 2010(平成22) | 8,447 | 7,538 | 89.2% |
第105回 | 2011(平成23) | 8,611 | 7,686 | 89.3% |
第106回 | 2012(平成24) | 8,521 | 7,688 | 90.2% |
第107回 | 2013(平成25) | 8,569 | 7,696 | 89.8% |
第108回 | 2014(平成26) | 8,632 | 7,820 | 90.6% |
北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県の12都道府県で行われる。東京都には例年全受験者の3割以上の人数が集中するため、受験会場が2箇所設けられることが多い。
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