- 英
- brainstem auditory evoked potential, BAEP, ABR
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聴覚脳幹誘発電位(ちょうかくかんのうゆうはつでんい、英: brainstem auditory evoked potentials、 BAEP)とは、ヒトでは音刺激後におよそ10ms以内に5~7個の陽性頂点を示す聴覚誘発電位のことで脳幹聴覚路に由来する。聴力障害の有無の判定、脳幹部病巣の部位診断、脳死の判定、手術中のモニタリングなどに利用される[1]。
目次
- 1 概要
- 2 結果
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
概要[編集]
反応時間により10msec以内の短潜時反応、10msec~50msecの中間潜時反応、50~500msecの長潜時反応に分類される[2]。本人の意志とは無関係に誘発されるものを外因性の誘発電位、本人の判断に従って初めて出現するものを内因性誘発電位という[2]。外因性誘発電位で広く使われているものは聴性脳幹反応である[2]。
結果[編集]
聴性脳幹反応[編集]
波形 |
由来 |
正常値(平均±SD) |
正常上限(平均+3SD) |
Ⅰ |
聴神経 |
1.70±0.17 |
2.21 |
Ⅱ |
蝸牛神経核 |
|
|
Ⅲ |
上オリーブ核(橋) |
3.85±0.22 |
4.51 |
Ⅳ |
外側毛体核(橋) |
|
|
Ⅴ |
下丘(中脳) |
5.77±0.22 |
6.43 |
Ⅵ |
内側膝状体(視床) |
|
|
Ⅶ |
聴放線(視床皮質) |
|
|
Ⅰ-Ⅲ |
|
2.16±0.13 |
2.55 |
Ⅲ-Ⅴ |
|
1.92±0.13 |
2.31 |
Ⅰ-Ⅴ |
|
4.07±0.18 |
4.61 |
脚注[編集]
- ^ 医療情報科学研究所 『医師国家試験のためのレビューブック・マイナー 第5版』、2012年。ISBN 978-4896324532。
- ^ a b c 南山堂医学大辞典 第12版 ISBN 978-4525010294
参考文献[編集]
- 神経筋電気診断の実際 ISBN 4791105486
- 臨床神経生理学 ISBN 9784260007092
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 日本臨床神経生理学会
- 誘発電位マニュアル
- 誘発電位アトラス
- 誘発電位解釈のポイント
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 研修医のための誘発電位実践ガイド 早わかり誘発電位(2)視覚誘発電位と聴覚脳幹誘発電位
- 高須 正規,高橋 純子,斉藤 賢一,鈴木 浩悦,鈴木 勝士
- 電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス 99(687), 43-47, 2000-03-14
- ElマウスはddYマウス由来の反射性癲癇モデル動物である。飼育観察で、Elマウスの癲癇発作が聴覚刺激により誘発される可能性が示唆された。著者らは聴覚脳幹誘発反応(ABR)に着目し、系統間、日令間および雌雄間での潜時、振幅および波形パターンを比較し、両系統の聴覚刺激に対する応答の差異を解析した。既報に従って、脳硬膜上に4つの電極を設置し、脳波を導出した。クリック音刺激を与え、同期したEEGを1024 …
- NAID 110003287689
Related Links
- 聴覚脳幹誘発電位(ちょうかくかんのうゆうはつでんい、英:brainstem auditory evoked potentials, BAEP、auditory brainstem responses, ABR)とは、ヒトでは音刺激後に およそ10ms以内に5~7個の陽性頂点を示す聴覚誘発電位のことで脳幹聴覚路に由来 ...
- 蝸牛神経と脳幹部聴覚路由来の反応で音刺激から10msecの間に発生する6-7個の 電位により構成される。この反応は、意識や ... (2) 検査の意義 ABRは、各波形の起源 も明らかにされており、診断的価値が極めて高く、難聴や脳幹障害の診断に幅広い臨床 応用が期待できる。乳幼児の聴覚 ... (日本脳波筋電図学会による"誘発電位測定指針" より) ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- auditory brain-stem response auditory brainstem response ABR
- 同
- 脳幹聴性誘発反応 brainstem auditory evoked response BAER、脳幹誘発反応 brainstem evoked response BSER、脳幹電気反応聴力検査 brainstem electric response audiometry BERA、聴覚脳幹誘発電位 brainstem auditory evoked potential BAEP
- 関
適応
- 他覚的聴力検査:乳幼児、詐聴が疑われる患者
- 疾患の検査:聴神経腫瘍、脳幹障害
- 意識レベルの確認:脳死判定時の脳幹機能の評価
- 術中モニター:脳幹や第7、第8脳神経付近の手術に際して、手術操作による聴力障害の発生を防ぐ
解釈
- NCUR.173
参考
- http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/nou/ABR.htm
国試
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[★]
聴覚脳幹誘発電位 brainstem auditory evoked potential, ABR
[★]
- 英
- audition, hearing
- 同
- 聴感覚
- dB = 20 log10 (被験音圧)/(基準音圧)
聴覚の受容器
- 集音・共振による音圧増強: 20dB
- 鼓膜面積:アブミ骨底面積比と耳小骨連鎖のてこ比による音圧増強: 27dB
-
- 基底膜の幅・柔らかさ・外有毛細胞による伸縮作用が異なる。
- 前庭階の入り口に近い基底膜が高周波数に応じて振動する (SP.240)
基底膜振動の伝播と進行波
SP.
基底膜振動の伝播は進行波と呼ばれる。
-周波数同調特性
SP. 240,251,252
-同調曲線
SP. 240,250,251
-特徴周波数
SP. 240,250
- 同調曲線上で、応答の閾値が最小値をとる周波数はその系が最も応答しやすい周波数(=特徴周波数)となる。
-周波数帯域
周波数帯SP. 239
-周波数局在性
SP. 202,206,241,250,258,260
- 振動周波数が高くなるに従い、振動の頂点は蝸牛管基部に生じる
- 蝸牛器官、らせん神経節、蝸牛神経核、上オリーブ核、台形体核、外側毛帯核、下丘、内側膝状体、聴皮質はすべて周波数局在性を有する(SP.250)
コルチ器 (2007年後期生理学授業プリント)
- 蝸牛基底部から頂部に至るらせん状の構造を全体として形成する
- 蝸牛の回転の内側に配列する
- 1列
- 3500個/蝸牛
- 感覚毛(不動毛。×動毛)
- 受容器細胞として主役
- 求心線維の90-95%が分布
- 内柱細胞 inner pillar cell
- コルチのトンネル tunnel of Corti
- 外柱細胞 outer pillar cell
- 外有毛細胞 outer hair cell
SP. 240-243,245-252,259
- 蝸牛の回転の外側に配列する
- 3-4列
- 20000個/蝸牛
- 感覚毛(不動毛。×動毛)
- 遠心性細胞が分布
- 膜電位に応じて長さを変化させ、基底膜同調特性に非線形的な増強を与えると考えられている。
- ヘンゼン細胞 Hensen cell
- 網状板(=網様膜)
- 蓋膜
- 蝸牛神経線維
- 遠心性線維(蝸牛神経節経由)
- 求心性線維(上オリーブ核(延髄)由来)
受容器電位 receptor potential
SP. 50,185,219,220,243
- 受容器電位の発生から聴神経におけるインパルス発生まで
- 1. 有毛細胞の感覚毛屈曲
- 2. 有毛細胞における受容器電位の発生
- 3. 有毛細胞から求心性線維への神経伝達物質(グルタミン酸)放出
- 4. 求心性線維終末におけるEPSP発生
- 5. 求心性線維終末における活動電位の発生
蝸牛マイクロフォン電位 cochlear microphonics potential, CM
SP. 247
- 聴覚刺激を与えることで、内耳および内耳周辺では刺激をを忠実に反映した電気信号が記録される。この電位をマイクロホン電位と呼ぶ(SP.247)
- 蝸牛マイクロフォン電位は感覚毛の振動で生じた受容器電位の総和(PT.163)
内リンパ腔電位 endolymph potential (=蝸牛内直流電位)
SP. 246,247
難聴
- 伝音性難聴とは、伝音機能の不良(音の伝達不良)によって起こる難聴であり、鼓膜破損や耳小骨硬化、慢性中耳炎などで起こり、骨伝導には問題がない。低音域で障害があらわれ、補聴器で補正できる。
- 感音性難聴とは、音の受容に問題があって起こる難聴であり、コルチ器官や聴神経あるいは聴神経核などの障害、利尿剤・老化による有毛細胞の変性などで起こる。高音域で障害があらわれ、補聴器で補正できない。
聴覚の伝導路
SP. 254-
- 1. 蝸牛・コルチ器官・有毛細胞
- 2. 蝸牛神経線維
- 3. らせん神経節(=蝸牛神経節) [一次ニューロン]
- 4. 蝸牛神経核 cochlear nucleus
- 5. 上オリーブ核群
- 6. 台形核
- 7. 外側毛帯
- 8. 外側毛体格
- 9. 下丘
- 10. 内側膝状体
- 11. 視床枕・網様核
- 12. 大脳皮質第一次聴覚野
- 13. 大脳皮質聴覚連合野
- 14. 大脳皮質感覚性言語中枢
(Q.book p.107)
伝導路における交叉
- 交叉は台形体・下丘で行われるが、反対皮質の優位性は低い
- 聴覚は両側性に中枢に伝わる
- 4-6個のニューロンを比較的多数のシナプスを中継して中枢に至る
[★]
- 英
- brain stem
- ラ
- truncus cerebri, truncus encephali
概念
中枢
循環中枢
以下3つの中枢が存在し、相互に干渉し合う。
昇圧中枢(交感神経興奮性中枢)
降圧中枢(交感神経抑制性中枢)
呼吸中枢
嘔吐中枢
排尿中枢
[★]
- 英
- voltage、potential、electrical potential、electric potential
- 関
- 可能、可能性、潜在的、ボルテージ、ポテンシャル、有望、電圧
[★]
- 英
- evoked potential, evoked potentials, EPs
- 関
- 大脳誘発電位
[★]
- 英
- induction
- 関
- 誘導