- 英
- Gaucher disease, Gaucher's disease
- 同
- グルコシルセラミドーシス glucosyl ceramidosis、Gaucher病
- 関
- リピドーシス lipidosis。リソソーム蓄積症、スフィンゴ脂質蓄積症。リソソーム病
- 表:HIM.2452
- first aid step1 2006 p.99
- グルコセレブロシド(グルコシルセラミド)--(×グルコセレブロシダーゼ)-→セラミド + グルコース
概念
病型
- I型(成人型, 慢性非神経型)
- II型(乳児型, 急性神経障害型)
- III型(若年型, 亜急性神経型)
遺伝形式
病変形成&病理
症候
- 主徴:肝脾腫、貧血、骨痛、出血傾向
- 肝脾腫、大腿骨無菌性壊死、皮膚色素沈着、脳神経症状。
- hepatosplenomegaly, aseptic necrosis of femur, bone crises, Gaucher’s cells (macrophages) (first aid step1 p.99)
I型
II型
- 乳児期に発症し、急激に進行。
- 肝脾腫
- 身体発達:遅延?
- 神経症状:痙攣、後弓反張、咽頭痙攣
- 精神症状:知能障害、精神発達遅滞?
- 予後:
III型
- 肝脾腫に加え神経症状を伴うが、その発症は2型に比べて遅く、神経症状の程度も進行も緩徐。
検査
- ゴーシェ細胞(肝臓、脾臓、骨髄、リンパ節に見られる。PAS陽性の巨大細胞)
WordNet
- a disorder of lipid metabolism; abnormal levels of certain fats accumulate in the body
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/13 11:38:02」(JST)
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ゴーシェ病(ゴーシェびょう、Gaucher's disease)は1882年、フランスの医師フィリップ・ゴーシェ(w:Philippe Gaucher)によって発見された病気で、遺伝的要因により生まれつき、グルコセレブロシダーゼという酵素が不足であったり欠損していたりして活性が低下するため、グルコセレブロシド(糖脂質)をセラミドに分解できず、肝臓、脾臓、骨などにグルコセレブロシドが蓄積してしまう疾患である。またゴーシェ病は、ライソゾーム病、先天性代謝異常症、常染色体劣性遺伝に分類される。
世界で確認されている患者数は約5千人で、日本国内では100人に満たない程度という希少な難病である。特にユダヤ系の人種に多く見られる。一般的な治療薬として認可されているセレザイムは非常に薬価が高いため、現在ライソゾーム病として特定疾患に認定されている。
目次
- 1 タイプ
- 2 症状
- 2.1 肝臓・脾臓への症状
- 2.2 血小板減少に伴う貧血症状
- 2.3 骨症状
- 2.4 神経症状
- 3 治療法
- 3.1 臓器摘出・切除法
- 3.2 酵素補充療法
- 3.3 骨髄移植
- 3.4 遺伝子治療
- 3.5 その他
- 4 歴史
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
タイプ
病気の発症の時期や神経症状の有無、そして神経症状の重症度により3つのタイプに分別される。
- I型(成人型)
- 神経症状を伴わず、発症年齢が幼児から成人にわたり慢性に経過する。
- II型(乳児型)
- 乳児期に発症し、急速に進行する神経症状(斜視、開口困難、けいれんなど)を伴う。
- III型(若年型)
- 乳幼児期に徐々に発症し、神経症状を伴うが、II型に比べて緩徐な経過をたどる。
症状
主な症状としては肝臓や脾臓の肥大や、血小板減少により貧血症状が起こったり、骨が大変もろくなり、非常に骨折しやすくなったり変形(X脚など)する。また、タイプによっては神経症状が出る患者もいる。
肝臓・脾臓への症状
- ゴーシェ細胞が肝臓や脾臓に蓄積することによる臓器の腫れ
血小板減少に伴う貧血症状
- 骨髄にゴーシェ細胞が増えるためおこる造血能低下
- 脾臓の腫れにより赤血球、白血球、血小板などの破壊が亢進し、血球成分の減少
骨症状
- 骨髄にゴーシェ細胞が蓄積するために、骨髄内の血流障害や骨皮質が薄くなるため、病的な骨折、骨痛、骨変形など
神経症状
- ゴーシェ病のタイプにより神経症状が現れる
- 脳にゴーシェ細胞が蓄積されるため、けいれん、斜視、開口困難などの症状を引き起こす
- 神経障害、各種神経症状に伴う栄養障害、呼吸障害などを引き起こす
治療法
以下のような治療法が研究・確立されているが、いずれも対症療法的な方法となり、疾患そのものの根治は大変困難である。
臓器摘出・切除法
酵素補充療法が確立される前に行われていた治療法である。肝臓や脾臓など肥大した臓器を外科手術により全摘出または一部を切除したりスライスして細切れにする処置である。ただし全摘・部分切除すると病巣が無くなる代わりに、その他の部位(骨など)に異常をきたしやすくなる場合もあるので要注意である。
酵素補充療法
不足している酵素グルコセレブロシダーゼを製剤により補う事(酵素補充療法)により、症状の改善を計るのが現在では一般的な治療法。そのため、セレザイム(ジェンザイム社)という製剤で、継続的な点滴投与で酵素補充するのが一般的な治療法として確立されている。これにより肥大した臓器は徐々に標準に戻り、骨も強化され骨折しづらくなる。しかしセレザイムの分子量が大きいため、血液脳関門を通過できないためか神経症状には明らかな効果は無いようである。
また、問題点としてセレザイムは薬価が大変高額な点がネックとなっている。また根絶治療では無いため、症状が改善されたからといって投与を停止すると、ほぼ間違いなく再び症状が悪化してしまうため継続投与が必須である。そのため一部の都道府県では公費負担がされていたが、2001年よりライソゾーム病として特定疾患治療研究事業に認定され、全国的に公費負担されるようになった事により、一部の自己負担金で安心して治療が受けられるようになった。
骨髄移植
患者の造血幹細胞をドナーの造血幹細胞に入れ替える骨髄移植を行い、酵素活性の異常をともなった血液細胞(特に白血球、マクロファージなど)を正常な血液細胞に置き換えることにより、グルコセレブロシド(糖脂質)の分解を可能にする治療法。治療における効果は、酵素補充療法を上回るが、白血病における骨髄移植同様、患者と白血球の型(HLA抗原)が一致するドナーを見つけるのが困難な点や、拒絶反応などの危険性が大きいのが難点なので、あまり行われていないようである。
遺伝子治療
現在のところ研究段階である。
その他
合併症として骨折しやすくなったり貧血体質になったりするので、カルシウム剤や増血剤の投与が行われることもある。
歴史
- 1882年 - ゴーシェ病がフィリップ・チャールズ・アーネスト・ゴーシェの博士論文で発表。
- 1998年3月 - 「セレザイム」が厚生省から認可される。
- 2001年 - 「ライソゾーム病(ファブリー病を除く)」として特定疾患治療研究事業に認定される。
- 2007年 - ゴーシェ病I型に対してのセレザイム投与による骨密度改善効果が発表された[1]。
関連項目
- セレザイム - ゴーシェ病治療専用の点滴用製剤
- ライソゾーム - 別名、リソソーム、ライソソーム (lysosome)
- ライソゾーム病 - ゴーシェ病が特定疾患で認定されている名前
- リピドーシス
- グルコセレブロシダーゼ - ライソゾーム内にある酵素の一つ
- グルコセレブロシド - 糖脂質
- 特定疾患
- 公費負担医療
- 先天性代謝異常症
外部リンク
- ジェンザイム・ジャパン株式会社 - 製薬企業のジェンザイムのサイト
- ゴーシェ病
- セレザイム(R) - ジェンザイムによる製品情報ページ(医療関係者向け)。
- 日本ゴーシェ病の会 - 日本での公式な患者会
- Gaucher Hotweb - 患者間のコミュニティサイト。
- GaucherHouse
- 特定疾患情報 - 難病情報センターの情報
- Gaucher Disease - U.K.のゴーシェ病公式サイト
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Japanese Journal
- ニーマン・ピック病C型治療薬ミグルスタット(ブレーザベス®カプセル100 mg)の薬理学的特性および臨床効果
- 北谷 照雄,高橋 修哉,池谷 理
- 日本薬理学雑誌 141(3), 160-167, 2013
- ブレーザベス®カプセル100 mg(一般名:ミグルスタット)は,植物および微生物から抽出されたポリヒドロキシル化アルカロイド(イミノ糖)に属する化合物で,スフィンゴ糖脂質(GSL)の生合成経路の最初の過程に関わる,グルコシルセラミド合成酵素活性阻害作用を有している.このことから,当初,いくつかのスフィンゴ糖脂質蓄積症(ゴーシェ病,ファブリー病,GM2ガングリオシドーシス,GM1ガングリオシドーシス …
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- 井上 幹大,内田 恵一,長野 由佳,井出 正造,橋本 清,松下 航平,小池 勇樹,杉山 謙二,楠 正人
- 日本小児外科学会雑誌 48(3), 571, 2012-05-01
- NAID 110009582160
- 孤発性パーキンソン病のリスク遺伝子 (特集 パーキンソン病--最近の進歩) -- (病因・病態の解明)
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★リンクテーブル★
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- 8か月の乳児。発達の遅れを主訴に来院した。4か月健診で肝・脾の腫大を指摘され経過観察されていた。2か月前から全身の筋緊張亢進が著明になった。首はすわっているが、寝返りとお座りとはできない。身長64.1cm(-2.3SD)、体重6.9kg(-2.2SD)。顔貌に異常を認めない。腹部は膨隆し、右肋骨弓下に肝を5cm、左肋骨弓下に脾を7cm触知する。
- 診断に有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A044]←[国試_104]→[104A046]
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- 英
- hepatomegaly, hypertrophy of the liver
- 同
- 肝肥大
- 関
- 肝臓
概念
症状
- ほぼ無症状。
- 著名に腫大すれば、周囲臓器圧迫により腹満感や息苦しさを訴えることがある。
診察
- 健常者でも約20%に右肋骨弓下に肝を触れる
- 右肋骨弓下に2横指触れれば肝腫大と診断可能
頻度
- 右心不全:100%
- 一過性肝腫脹:高頻度(80%以上)急性心不全、急性ウイルス感染症、薬物性肝障害。
- 持続的肝腫大:高頻度(80%以上)脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変。原発性胆汁性肝硬変、ヘモクロマトーシス、Wilson病、巨大肝嚢胞、巨大肝血管腫。
原因
- 脈管:特発性門脈圧亢進症、肝静脈閉塞(バッド・キアリ症候群)、右心不全
- 蓄積:脂肪肝、ヘモクロマトーシス、アミロイドーシス、ウィルソン病、糖原病、
- 炎症:急性ウイルス性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、結核、サルコイドーシス、種々のウイルス感染、寄生虫感染、膠原病
- 胆汁鬱滞:肝内胆汁うっ滞、肝外胆汁うっ滞、原発性硬化性胆管炎
- 腫瘍浸潤:白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患
- 肝腫瘍:肝細胞癌、胆管細胞癌、肝芽腫、肝嚢胞、肝海綿状血管腫、転移性肝癌
診断
- 血液検査で肝機能、アルブミン、肝炎ウイルス、ANA、ANA、EBV、CMVを評価
- 腹部超音波検査、腹部造影CT、MRCPが有用
- 腫瘍を疑う場合にはPIVKA II, AFP, CEA, CA19-9
鑑別診断
- DIF
[★]
- 英
- lysosomal storage disease, lysosomal disease
- 同
- リソソーム蓄積症、リソゾーム病、ライソソーム病、ハリソン病 Harrison disease
- 関
- 糖原病
[show details]
[★]
- 英
- lipidosis
- 同
- 脂質蓄積症 lipid storage disease、網内系脂肪蓄積症
- 関
- リソソーム病。異脂肪血症、脂質代謝異常、異リポ蛋白血症、脂質蓄積症
[★]
- 英
- splenectomy
- 同
- 摘脾、脾摘、脾臓摘出、脾摘出、(国試)脾摘術、脾臓摘出術
適応
注意
- 血小板増加による血栓症 → 脾摘後血栓症
- 免疫能低下
- 易感染性
- 莢膜を持つ菌に感染しやすくなる→脾網内系はIgMを産生する場らしい?
- 脾摘後重症感染症症候群 脾摘後敗血症
[★]
- 英
- miglustat
- 商
- ブレーザベス、Zavesca
- 関
- ゴーシェ病、グルコシルセラミド
- 他に分類されない代謝性医薬品
- (グルコシルセラミド合成酵素阻害薬;I型ゴーシェ病治療
- a rarely used miscellaneous agent.
indications This drug is used to treat adults with mild to moderate type 1 Gaucher disease.
contraindications Pregnancy and known hypersensitivity to this drug prohibit its use. Mosby's Medical Dictionary, 8th edition.
http://en.wikipedia.org/wiki/Miglustat
http://www1.actelion.com/en/scientists/development-pipeline/phase-4/miglustat-zavesca.page
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- 英
- type 1 Gaucher disease
- 関
- ゴーシェ病、ゴーシェ病2型、ゴーシェ病3型、1型ゴーシェ病、1型Gaucher病
[★]
- 英
- type 2 Gaucher disease
- 関
- ゴーシェ病、ゴーシェ病1型、ゴーシェ病3型、2型ゴーシェ病、2型Gaucher病
[★]
- 英
- type 3 Gaucher disease
- 関
- ゴーシェ病、ゴーシェ病1型、ゴーシェ病2型、3型ゴーシェ病、3型Gaucher病
[★]
- 英
- type 1 Gaucher disease
- 関
- ゴーシェ病1型、1型Gaucher病
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患