ドリペネム
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Japanese Journal
- フィニバックス(新薬のプロフィル,<特集>○○ミクス : 医薬品のパラダイムシフト)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フィニバックス点滴静注用0.25g
組成
成分・含量:
禁忌
本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
バルプロ酸ナトリウムを投与中の患者[てんかんの発作が再発するおそれがある。(「相互作用」の項参照)]
効能または効果
適応菌種>
- ドリペネムに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属(エンテロコッカス・フェシウムを除く),モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,緑膿菌,アシネトバクター属,ペプトストレプトコッカス属,バクテロイデス属,プレボテラ属
適応症>
- ○ 敗血症,感染性心内膜炎*○ 深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎*○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染*○ 骨髄炎,関節炎*○ 咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む)*○ 肺炎,肺膿瘍,膿胸,慢性呼吸器病変の二次感染*○ 複雑性膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎(急性症,慢性症),精巣上体炎(副睾丸炎)*○ 腹膜炎,腹腔内膿瘍*○ 胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍*○ 子宮内感染,子宮付属器炎,子宮旁結合織炎*○ 化膿性髄膜炎*○ 眼窩感染,角膜炎(角膜潰瘍を含む),眼内炎(全眼球炎を含む)*○ 中耳炎*○ 顎骨周辺の蜂巣炎,顎炎
*通常,成人にはドリペネムとして1回0.25g(力価)を1日2回又は3回,30分以上かけて点滴静注する。
なお,年齢・症状に応じて適宜増減するが,重症・難治性感染症には,1回0.5g(力価)を1日3回投与し,増量が必要と判断される場合に限り1回量として1.0g(力価),1日量として3.0g(力価)まで投与できる。*通常,小児にはドリペネムとして1回20mg(力価)/kgを1日3回,30分以上かけて点滴静注する。
なお,年齢・症状に応じて適宜増減するが,重症・難治性感染症には,1回40mg(力価)/kgまで増量することができる。ただし,投与量の上限は1回1.0g(力価)までとする。
注射液の調製方法
フィニバックス点滴静注用0.25g(力価)10mL容量瓶,フィニバックス点滴静注用0.5g(力価)20mL容量瓶
通常,生理食塩液100mLを用いて,よく振盪して溶解する。注射用水は溶液が等張とならないため使用しないこと。また,L-システイン及びL-シスチンを含むアミノ酸製剤と配合すると,著しく力価が低下するので,配合しないこと。
フィニバックスキット点滴静注用0.25g(力価)
溶解液(日局生理食塩液)部分を手で押して隔壁を開通させ,更に溶解液部分を繰り返し押して薬剤を完全に溶解する。
(詳しい溶解方法については,キット製品の外袋及びカバーシートに記載の溶解操作方法を参照のこと。)
高度の腎障害のある患者では,投与量を減らすか,投与間隔をあけるなど患者の状態を十分に観察し,慎重に投与すること。
腎機能障害患者への投与に際しては,下表を目安に投与量を調節すること。[「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照]
本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
本剤の使用に際しては,投与開始後3日を目安として更に継続投与が必要か判定し,投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。
慎重投与
ドリペネムに関する注意
カルバペネム系,ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
高度の腎障害のある患者[血中からの消失が遅延するので,投与量を減らすか,投与間隔をあけて使用すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)]
肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者,全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
てんかんの既往歴あるいは中枢神経障害を有する患者[痙攣,意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。]
生理食塩液に関する注意
心臓,循環器系機能障害のある患者[ナトリウムの負荷及び循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ,症状が悪化するおそれがある。]
腎障害のある患者[水分,塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく,症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
ショック,アナフィラキシー様症状(頻度不明):ショック,アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,観察を十分に行い,不快感,口内異常感,喘鳴,眩暈,便意,耳鳴,発汗等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎(0.1〜1%):偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので,腹痛,頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸(頻度不明):肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明):急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
汎血球減少症,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少(頻度不明):汎血球減少症,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,咳嗽,呼吸困難等の異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し,間質性肺炎が疑われる場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
- 好気性のグラム陽性菌,グラム陰性菌及び嫌気性菌に対して,幅広い抗菌スペクトルを有し,特に緑膿菌に対しては既存のカルバペネム系抗生物質に比べ強い抗菌力を有する 15)。
作用機序
- 細菌の細胞壁合成酵素であるペニシリン結合蛋白(PBP)に結合し,細菌の細胞壁合成阻害により抗菌作用を発揮し,その作用は殺菌的である。
黄色ブドウ球菌ではPBP1に,緑膿菌ではPBP2,3に,大腸菌ではPBP2に高い結合親和性を示した 15)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:
- ドリペネム水和物(JAN)
Doripenem Hydrate
略号:
化学名:
- (+)-(4R,5S,6S)-6-[(1R)-1-Hydroxyethyl]-4-methyl-7-oxo-3-[[(3S,5S)-5-[(sulfamoylamino)methyl]-3-pyrrolidinyl]thio]-1-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic acid monohydrate
分子式:
分子量:
化学構造式:
性状:
- 白色〜微黄褐白色の結晶性の粉末である。
水にやや溶けにくく,メタノールに溶けにくく,エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
融点:
- 明確な融点を示さない。(140℃以上で徐々に着色する。)
分配係数:
★リンクテーブル★
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