イミペネム、シラスタチン
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イミペナーム点滴用0.5gバッグ
組成
- 本剤は、注射剤(用時溶解)本体と、溶解液(生理食塩液)からなる。
注射剤
*有効成分(1キット中)
- 日本薬局方 イミペネム水和物 0.5g(力価)
日本薬局方 シラスタチンナトリウム 0.53g(シラスタチンとして 0.5g)
添加物(1キット中)
溶解液
成分(100mL中)
禁忌
- 本剤の成分によるショックの既往歴のある患者
- バルプロ酸ナトリウム投与中の患者[本剤との併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発することがある。](「相互作用」の項参照)
効能または効果
<適応菌種>
- イミペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属
<適応症>
- 敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)
- 通常成人にはイミペネムとして、1日0.5〜1.0g(力価)を2〜3回に分割し、30分以上かけて点滴静脈内注射する。
小児には1日30〜80mg(力価)/kgを3〜4回に分割し、30分以上かけて点滴静脈内注射する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、成人で1日2g(力価)まで、小児で1日100mg(力価)/kgまで増量することができる。
<注射液の調製法>
- カバーシートをはがし、溶解液(生理食塩液)部分を手で押して隔壁を開通させ、薬剤部分と溶解液部分を交互に押して薬剤を完全に溶解する。
(詳しい溶解操作方法については、バッグ製品の外袋及びカバーシートに記載の「溶解操作方法」を参照)
腎障害患者
- 腎機能障害患者では腎機能に応じて用量、用法を調節し、血中蓄積による副作用発現を防ぐ必要がある。本剤の場合は投与量による調節が望ましい。(「重要な基本的注意」の項参照)
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
慎重投与
- カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
- 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
- 高度の腎障害を有する患者[痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
- てんかんの既往歴あるいは中枢神経系障害を有する患者[痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。]
- 肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
- 本剤は、生理食塩液100mLに溶解するため、次の患者には慎重に投与すること。
- 心臓、循環器系機能障害のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
- 腎障害のある患者[水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
痙攣、呼吸停止、意識障害、意識喪失、呼吸抑制、錯乱、不穏
(頻度不明)
- 中枢神経症状があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。特に、腎障害や中枢神経障害のある患者に起こりやすいので、投与する場合には注意すること。
ショック、アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- 初期症状として、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗又は呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)
(頻度不明)
重篤な肝障害
(頻度不明)
- 劇症肝炎、肝炎等の重篤な肝障害、肝不全、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
気管支痙攣、間質性肺炎、PIE症候群
(頻度不明)
- 喘息発作及び誘発等の気管支痙攣、また発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
汎血球減少症、骨髄抑制、無顆粒球症、溶血性貧血
(頻度不明)
- 重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
急性腎不全、尿崩症
(頻度不明)
- 重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
偽膜性大腸炎
(頻度不明)
- 血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血栓性静脈炎
(頻度不明)
薬効薬理
抗菌作用
- イミペネムの抗菌スペクトルは広く強い抗菌力を示す。ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属に対して抗菌作用を示す。
作用機序
- イミペネムは細菌の細胞壁ペプチドグリカン架橋形成を阻害することにより殺菌作用をあらわす。
シラスタチンナトリウムの薬理作用
- イミペネムは腎臓に局在するデヒドロペプチダーゼ-I(DHP-I)により分解され、不活性化される。シラスタチンナトリウムはデヒドロペプチダーゼ-I(DHP-I)の阻害薬であり、イミペネムの不活性化を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
イミペネム水和物
一般名
- イミペネム水和物(Imipenem Hydrate)
別名
略号
化学名
- (5R,6S)-3-[2-(Formimidoylamino)ethylsulfanyl]-6-[(1R)-1-hydroxyethyl]-7-oxo-1-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic acid monohydrate
分子式
分子量
性状
- ・白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。
・水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
シラスタチンナトリウム
一般名
- シラスタチンナトリウム(Cilastatin Sodium)
略号
化学名
- Monosodium (2Z)-7-{[(2R)-2-amino-2-carboxyethyl]sulfanyl}-2-({[(1S)-2,2-dimethylcyclopropyl]carbonyl}amino)hept-2-enoate
分子式
分子量
性状
- ・白色〜微帯黄白色の粉末である。
・水に極めて溶けやすく、メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
・吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- cilastatin
- 化
- シラスタチンナトリウム cilastatin sodium
- 商
- イミスタン、イミペナーム、インダスト、チエクール、チエナム、チエペネム
- ジヒドロペプチダーゼ1阻害薬、イミペネム作用増強の合剤成分
[★]
- 英
- imipenem
- 商
- イミスタン、イミペナーム、イミペネム・シラスタチン、インダスト、チエクール、チエナム、チエペネム
- 化
- イミペネム水和物 imipenem hydrate