- 英
- GABAA receptor
- 関
- GABA受容体、GABA
- イオンチャネル型受容体
- α・β・γサブユニットからなり、αが1つ、βが2つ、γが2つからなる。
- アゴニストはGABAであり、βサブユニットへの結合に伴ってCl-チャネルが開口する
- 各種の薬物がサブユニットに結合し、アロステリック作用によりGABAの作用を増強する
- α:ベンゾジアゼピン
- β:バルビツール酸
- γ:エタノール
- β:picrotoxin cuculline
- GABAの作用を抑制する
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/09 19:32:48」(JST)
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ニコチン性アセチルコリン受容体 (nAchR: PDB 2BG9)の構造。GABA
A受容体に非常によく似ている。
[1][2][3] 上図:細胞膜に埋め込まれたnAchRの側面。
下図:細胞外面から見た受容体。GABAとベンゾジアゼピン(BZ)の結合部位のおおよその位置はそれぞれα-およびβ-サブユニットの間とα-およびγ-サブユニットの間である。
GABA
A受容体の概略構造。
左: GABA
A単量体サブユニットは脂質二重層(青い球に薄黄色のラインが結合したもの)に埋め込まれている。4つの膜貫通のα-へリックス(1–4)は円柱で描かれている。Cys-ループ受容体(GABA
A受容体を含む)のファミリーの受容体の特徴であるN末端細胞外ドメイン中のジスルフィド結合は黄色の線で描かれている。
右:5つのサブユニットは塩化物アニオン透過孔を中心に対称的に配列している。細胞外ループは便宜上表示していない。
GABAA受容体 (GABAAR) は、イオンチャンネル型受容体およびイオンチャネル内蔵型受容体の一つである。リガンドは主要な中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)である。活性化されると、GABAA受容体はCl−を選択的にイオンチャンネルを透過させることにより、神経細胞に過分極が生じる。これにより、活動電位が生じにくくなり神経伝達の阻害効果を引き起こす。規定液中のGABAA-介在IPSP(抑制性シナプス後電位)の逆転電位は−70 mVで、GABABIPSPとは対照的である。
GABAAの活性部位は、GABAならびにムッシモール、ガボキサドール、およびビククリンなどいくつかの薬物との結合部位である。また、タンパク質には間接的に受容体の活性を調節するアロステリック結合部位がいくつかある。これらのアロステリック部位は特に、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系、エタノール(アルコール)[4]、神経活性ステロイド、吸入麻酔薬、およびピクロトキシンを含む様々な薬物の標的である[5]。
目次
- 1 GABA受容体のA
- 2 ベンゾジアゼピンの標的
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
§GABA受容体のA
GABAA受容体は、3種類あるGABA受容体のAであり、AとCがイオンチャンネル型受容体で、BがGタンパク質結合型受容体である。このうち、本項で解説するGABAA受容体が、長らく睡眠薬の主な標的であった。
GABAA受容体は、隣接した様々な結合部位からも、アロステリックに調節されている。GABAA受容体は、GABAに占有されるとCl−チャネルを開口し、クロライドイオンの透過性を高めることで、神経細胞の発火を抑制する。
§ベンゾジアゼピンの標的
GABA
A受容体は、αが2個、βが2個、γが1個(図ではα1が2個、β2が2個、γ2が1個)の5個のサブユニットから成る5量体であり、GABAの結合部位や、アロステリック調節部位としてのベンゾジアゼピン結合部位が存在する。
受容体のサブユニニットには、α、β、γ、δ、ε、π、θ、ρが存在する。GABAA受容体は、αが2個、βが2個、γが1個のサブユニットからなる。
ベンゾジアゼピン結合部位には、脳などの中枢型のω1、ω2と、臓器など末しょう型のω3の3種のサブタイプが存在する。この用語について、国際薬理学連合(英語版)(IUPHAR)は、もはや使われていない「BZ受容体」や「GABA/BZ受容体」ではなく、また「ベンゾジアゼピン受容体」の用語を「ベンゾジアゼピン部位」(benzodiazepine site)に置き換えることを推奨している[8]。
ベンゾジアゼピン系薬は、ベンゾジアゼピン結合部位に結合することで、クロライドイオンの透過性を高めるGABAの作用を増加させる。Cl−チャネルの開口回数が増えることで、GABAの薬理作用が増強されることになる。
バルビツール酸系薬では、低濃度ではベンゾジアゼピン系薬と同様であるが、高濃度では直接Cl−チャネルの開口時間を延長する。またバルビツール酸系薬は、脳全体を抑制するという作用部位の違いがあり、このことが安全性の違いに反映されている。(しかしながらベンゾジアゼピンによる死亡も国際的な問題とはなっている[9]。)
§脚注
- ^ Richter L, de Graaf C, Sieghart W, Varagic Z, Mörzinger M, de Esch IJ, Ecker GF, Ernst M (March 2012). "Diazepam-bound GABAA receptor models identify new benzodiazepine binding-site ligands". Nat. Chem. Biol. 8 (5): 455–464. doi:10.1038/nchembio.917. PMC 3368153. PMID 22446838.
- ^ Campagna-Slater V, Weaver DF (January 2007). "Molecular modelling of the GABAA ion channel protein". J. Mol. Graph. Model. 25 (5): 721–30. doi:10.1016/j.jmgm.2006.06.001. PMID 16877018.
- ^ Sancar F, Ericksen SS, Kucken AM, Teissére JA, Czajkowski C (January 2007). "Structural Determinants for High-Affinity Zolpidem Binding to GABA-A receptors". Mol. Pharmacol. 71 (1): 38–46. doi:10.1124/mol.106.029595. PMC 2583146. PMID 17012619.
- ^ Santhakumar V, Wallner M, Otis TS (May 2007). "Ethanol acts directly on extrasynaptic subtypes of GABAA receptors to increase tonic inhibition". Alcohol 41 (3): 211–21. doi:10.1016/j.alcohol.2007.04.011. PMC 2040048. PMID 17591544.
- ^ Johnston GAR (1996). "GABAA Receptor Pharmacology". Pharmacology and Therapeutics 69 (3): 173–198. doi:10.1016/0163-7258(95)02043-8. PMID 8783370.
- ^ Barnard EA, Skolnick P, Olsen RW, Mohler H, Sieghart W, Biggio G, Braestrup C, Bateson AN, Langer SZ (1 June 1998). "International Union of Pharmacology. XV. Subtypes of gamma-aminobutyric acidA receptors: classification on the basis of subunit structure and receptor function". Pharmacol. Rev. 50 (2): 291–313. PMID 9647870.
- ^ “Overdose Facts & Stats”. International Overdose Awareness Day. 2014年1月20日閲覧。
§参考文献
- 石郷岡純、日本睡眠学会編集 「睡眠薬の作用機序」『睡眠学』 朝倉書店、2009年2月、101-107頁。ISBN 978-4254300901。
- 村崎充邦、日本睡眠学会編集 「睡眠学の歴史と現況」『睡眠学』 朝倉書店、2009年2月、649-651頁。ISBN 978-4254300901。
- 碓氷章、日本睡眠学会編集 「薬理・作用機序」『睡眠学』 朝倉書店、2009年2月、661-665頁。ISBN 978-4254300901。
§関連項目
- GABA受容体
- GABAA-ρ受容体
- GABAB受容体
- グリシン受容体
§外部リンク
- Receptors, GABA-A - the US National Library of Medicine Medical Subject Headings (MeSH)
- Olsen RW, DeLorey TM (1999). “Chapter 16: GABA and Glycine”. In Siegel GJ, Agranoff BW, Fisher SK, Albers RW, Uhler MD. Basic neurochemistry: molecular, cellular, and medical aspects (Sixth ed.). Philadelphia: Lippincott-Raven. ISBN 0-397-51820-X. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/bv.fcgi?rid=bnchm.section.1181.
- Olsen RW, Betz H (2005). “Chapter 16: GABA and Glycine”. In Siegel GJ, Albers RW, Brady S , Price DD. Basic Neurochemistry: Molecular, Cellular and Medical Aspects (Seventh ed.). Boston: Academic Press. pp. 291–302. ISBN 0-12-088397-X.
- Uusi-Oukari M, Korpi ER (2010). Regulation of GABAA Receptor Subunit Expression by Pharmacological Agents. Pharmacological Reviews, pp 97–135. PMID 20123953.
睡眠導入剤と鎮静剤 (N05C) |
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GABAA
アゴニスト/PAM |
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GABAB
アゴニスト |
- 1,4-ブタンジオール
- アセブル酸
- GABOB
- GHB (ナトリウムオキシベート)
- GBL
- GVL
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H1 インバース
アゴニスト |
抗ヒスタミン系: |
- カプトジアミン
- シプロヘプタジン
- ジフェンヒドラミン
- ドキシルアミン
- ヒドロキシジン
- メタピリレン
- フェニルアミン
- プロメタジン
- プロピオマジン
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抗うつ薬 |
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抗精神病薬 |
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α1-アドレナリン
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
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その他: |
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α2-アドレナリン受容体
アゴニスト |
- 4-NEMD
- クロニジン
- デトミジン
- デクスメドエトミジン
- ロフェキシジン
- メデトミジン
- ロミフィジン
- チザニジン
- キシラジン
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5-HT2A
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
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その他: |
- エプリバンセリン
- ニアプラジン
- プルバンセリン
- ボリナンセリン
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メラトニン
アゴニスト |
- アゴメラチン
- LY-156,735
- メラトニン
- ラメルテオン
- タシメルテオン
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オレキシン
アンタゴニスト |
- アルモレキサント
- SB-334,867
- SB-408,124
- SB-649,868
- スボレキサント
- TCS-OX2-29
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その他 |
- アセカルブロマール
- アプロナール
- ブロミソバル
- カンナビジオール
- カルブロマール
- エンブトラミド
- エボキシン
- フェナジアゾール
- ガバペンチン
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 3P256 GABAA受容体の側方拡散動態が抑制性シナプス足場タンパク質の安定性を決める(神経・感覚(細胞・膜蛋白質・分子),第48回日本生物物理学会年会)
- Niwa Fumihiro,Bannai Hiroko,Mikoshi Katsuhiko
- 生物物理 50(SUPPLEMENT_2), S190, 2010-08-15
- NAID 110008103188
- メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(ロゼレム^【○!R】錠8mg)の薬理作用と臨床試験成績
- 平井 圭介,加藤 浩紀,西川 久夫,行弘 信仁,西山 啓次,宮本 政臣
- 日本薬理学雑誌 136(1), 51-60, 2010-07-01
- … 既存の睡眠薬は,GABAA受容体に作用して睡眠を誘発する.GABAA受容体は,脳幹毛様体,辺縁系,海馬,小脳,脊髄,大脳皮質辺縁系など広範囲に存在し,種々の神経伝達物質を含有する神経に対して, Cl?イオンの細胞内流入を介して抑制的に作用する.そのため,睡眠誘発作用は示すものの,その睡眠は自然睡眠とは異なり,筋弛緩作用,前向性健忘,反跳性不眠,依存性などの種々の有害作用を …
- NAID 10026544589
- 新規抗てんかん薬トピラマート(トピナ^【○!R】錠)の薬理作用と臨床成績
- 小林 実,渡邉 雅範,中村 譲治
- 日本薬理学雑誌 132(1), 45-52, 2008-07-01
- … る.また,作用メカニズムとして,(1)電位依存性ナトリウムチャネル抑制作用,(2)電位依存性L型カルシウムチャネル抑制作用,(3)AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用,(4)GABA存在下におけるGABAA受容体機能増強作用および(5)炭酸脱水酵素阻害作用が考えられており,グルタミン酸による興奮性伝達とGABAによる抑制性伝達を同時に調節し得ることが,トピラマートの特徴と考えられる.本邦の臨床試験では …
- NAID 10024383347
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- │GABA関連薬│ ←→GABA/GABA受容体/抗痙攣薬/痙攣物質/抗不安薬/薬物依存 ... GABAA受容体-Clチャネル複合体のピクロトキシン結合部位に結合し、Cl-チャネルを 直接開口する。 その結果、細胞内にCl-が流入してシナプス膜に分極を引き起こす。 ...
- シナプスでは、シナプス前膜から放出され、後膜の膜上にあるGABAに対する受容体 タンパク質と結合して作用を発揮する。GABAは、脳内でグルタミン酸のα位の カルボキシル基が酵素反応により除かれることによって生成される。また、血液脳関門を 通過しない ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- nitrazepam NZP
- ラ
- nitrazepamum
- 商
- ネルボン、ベンザリン、カルスミン、チスボン、ネルロレン、ノイクロニック、ヒルスカミン
作用機序
- GABAA受容体のαサブユニットに結合し、GABAの作用を増強する→Cl-の透過↑
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- 英
- GABA-A receptor、GABAA receptor
- 関
- ベンゾジアゼピン受容体、GABA-Aレセプター、GABAAレセプター、GABAA受容体
[★]
GABAA受容体、GABAAレセプター、GABA-A受容体、GABA-Aレセプター
- 関
- GABA-A receptor
[★]
- 英
- GABAA receptor
- 関
- GABA-A受容体、GABA-Aレセプター、GABAA受容体
[★]
- 英
- GABAA receptor
- 関
- GABA-A受容体、GABAAレセプター、GABAA受容体
[★]
- 英
- receptor
- 同
- レセプター、リセプター
- 関
種類
First Aid FOR THE USMLE STEP 1 2006 p.199
一般的作動薬
|
受容体
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G protein subunit
|
作用
|
アドレナリン ノルアドレナリン
|
α1
|
Gq
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血管平滑筋収縮
|
α2
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Gi
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中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制
|
β1
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Gs
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心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解
|
β2
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骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出
|
β3
|
肥満細胞脂質分解亢進
|
アセチルコリン
|
M1
|
Gq
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中枢神経
|
M2
|
Gi
|
心拍数低下
|
M3
|
Gq
|
外分泌腺分泌亢進
|
ドーパミン
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D1
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Gs
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腎臓平滑筋弛緩
|
D2
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Gi
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神経伝達物質放出を調節
|
ヒスタミン
|
H1
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Gq
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鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み
|
H2
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Gs
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胃酸分泌
|
バソプレシン
|
V1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
V2
|
Gs
|
腎集合管で水の透過性亢進
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チャネルの型による分類(SP. 154改変)
イオンチャネル連結型受容体
Gタンパク質共役型受容体
受容体とシグナル伝達系
リガンド、受容体、細胞内情報伝達系
PKA,PKC
癌細胞における
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- butyl
- 英
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- 同
- γ-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、γ-アミノ酪酸、γアミノ酪酸、ガンマアミノブチル酸
- 関
- GABA受容体。ブチル
構造
生合成
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- 英
- accept, acceptance
- 関
- 受け取る、承認、受諾、認容、認める、受け入れる
[★]
- 英
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- ラ
- corpus、corpora
- 関
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[★]