-舌の咽頭部に触れると嘔吐が起こる
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/27 10:44:59」(JST)
この項目では、症候について説明しています。サルトルの小説については「嘔吐 (小説)」をご覧ください。 |
ICD-10 | R11. |
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ICD-9 | 787 |
嘔吐(おうと)とは、動物やヒトの口から胃の内容物を吐き出す行為、又は症状である。
一般に過度の飲酒や摂食、腐敗・変質した食物の摂取、過度の運動、体調不良などの際にまず脳内の「嘔吐中枢」が刺激され、「吐き気」を催し、それに続いて嘔吐する(但し吐き気が来ないままいきなり嘔吐する場合もある、特に乳幼児や泥酔している場合)。嘔吐の結果、吐き出されたものを「吐瀉物(としゃぶつ)」と呼ぶ。また舌の奥に指を入れたりして吐き気を催すことを「嘔吐反射」という。咳・嚏(くしゃみ)・射精と同様、反射であることから、本人の意思では制御できない。
また、車や船舶、遊園地の遊具などで長時間もしくは激しく揺れる環境下にあった場合、「酔い」が発生して嘔吐に至る場合がある。この他、高温になる閉所、きつすぎる衣服(特に着物)、帽子、ヘルメット、日本髪の鬘(結婚式、舞踊発表会、等)、等の重量があったり蒸れたりする物を長時間着用の場合や、他者の嘔吐(いわゆる貰いゲロ)、吐瀉物、排泄物、等、を見たり聞いたり各種の悪臭を嗅いだり、恐怖映画、マインドクラッシャー等の不快な映像、音声を見たり聞いたりした場合にも、精神的なストレスから、吐き気・嘔吐を引き起こす場合が多い。
バス酔いなどする人は、予めエチケット袋(ビニール袋など)を持ったり、薬局などで売られている酔い止め薬を乗車前に飲むと良い。長距離バスや観光バスなどでは、エチケット袋が用意されている場合が多い。
嘔吐行為を強制的に停止させようとするとパニック状態に陥る場合がある。
嘔吐物が気管に入らないように頭を下に向けて吐かせる。吐くだけ吐いてすっきりさせる。気分が悪く吐きそうだが吐けないなどの場合は、指を舌の奥に入れるなどの嘔吐反射を用いる。特に臭気が不快感を催させるため、吐瀉物の処理はし尿など汚物全般に準じ、また嘔吐に際して着衣が汚れないよう注意を必要とする。吐いた後は十分に水分及び塩分補給をすべきであるが、その際に冷たいものを飲ませるとそれが胃に刺激を与え、さらに吐いてしまう場合がある。そのため、体温程度に温めたスポーツドリンクなどを与えるのが望ましい。
意識を失っている場合や、意識がはっきりしない場合などは、嘔吐の後に窒息する危険性があるため、喉の奥や鼻腔の中に吐瀉物が詰まっていないか注意する必要がある。緊急的には指で掻き出したり、後ろから抱きかかえて鳩尾(みぞおち)を斜め後ろ上方に押し込むなど、喉の奥にモノが詰まった時同様の処置をするが、乳幼児の場合などでは、逆さにして背を強く叩いたり、大人が口で幼児の鼻と口を覆って吸い出すことも行われる場合がある。
吐かせた、または吐いた後は、患者に回復体位を取らせるのが望ましいが、回復体位を取らせるのが難しい場合は、嘔吐物により窒息しないために体を横に向けて寝かせる。特に意識が朦朧としている場合や意識を失っている場合、嘔吐物が気管に入り、窒息の危険がより高まるために仰向けに寝かせてはならない。
また、飲み込んだ物を強制的に吐かせるために催吐薬を用いる場合もある。
上記の(早期の治療が必要な場合)の場合、至急医師の診察を受け、原疾患の治療を受けるべきだが、特に異常が無く不定愁訴として嘔気・嘔吐が起きる場合、消化器機能改善剤であるメトクロプラミドやドンペリドン、ドパミン遮断効果・鎮静効能のある抗精神病薬のクロルプロマジン等の投与を対症療法として使用される場合がある。
成人では消化器の領域の感染症や潰瘍などによって起こる嘔吐が最も多いのだが、小児ではその他の疾患も鑑別に上がってくる。先天性腸閉鎖は腸回転異常でも起こるし、輪状膵でも起こりえる。治療には原因精査が必要である。これらの疾患ではその他の奇形の精査も重要となることがある。
発症時期 | 疾患 | 吐物 | 画像所見 |
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出生直後 | 先天性食道閉鎖症 | 泡沫様 | coil up sign |
出生数時間~1週間 | 先天性腸閉鎖症 | 胆汁性 | microcolon 多数のniveau |
出生数時間~1週間 | 鎖肛 | 直腸体温計が入らない、倒立位撮影 | |
出生数時間~1週間 | ヒルシュスプルング病 | megacolon caliber change narrow segment | |
出生2,3週 | 肥厚性幽門狭窄症 | 噴水状嘔吐 | string sign umbrella sign showlder sign |
数ヶ月~2歳 | 腸重積 | 胆汁性、黄色吐物 | かにの爪、target sign |
吐瀉物のことを婉曲した語。吐瀉物は飲食したさまざまな種類の食物が混ざっていることから、小間物の扱う商品(日用品・化粧品はど)は種類が多く、いろいろな商品が混じっているため、それになぞらえた。また、小間物屋が商品を広げて見せながら、商売をしている姿に似ていることから、俗語として、飲食したものを吐き出す行為。反吐を吐くこと。また、吐瀉物そのものを指す。
ウィキメディア・コモンズには、嘔吐に関連するメディアがあります。 |
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国試過去問 | 「083A047」 |
リンク元 | 「発作性上室性頻拍」 |
関連記事 | 「嘔吐」「反射」 |
発作性上室頻拍 : 約 23,600 件 発作性上室性頻拍 : 約 16,900 件 発作性上室頻拍症 : 48 件 発作性上室性頻拍症 : 約 4,730 件 上室性頻拍 : 約 27,900 件 上室性頻拍症 : 約 7,050 件
中枢性刺激 | 化学受容器引金帯刺激 | 薬物 | アポモルヒネ、モルヒネ、ジギタリス、抗菌薬、抗癌薬、降圧薬、アミノフイリン、コルヒチン、アルコール |
毒物 | 重金属、ガス | ||
放射線 | 各種癌治療後 | ||
感染症 | 細菌毒素 | ||
内分泌疾患 | 肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス/高血糖高浸透圧症候群、尿毒症、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群 | ||
代謝疾患 | 甲状腺クリーゼ、副腎不全、Addison病 | ||
直接刺激 | 脳圧亢進 | 頭部外傷、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、脳への放射線療法後 | |
脳循環障害 | ショック、低酸素脳症、脳梗塞、片頭痛、脳炎、髄膜炎 | ||
上位中枢刺激 | 神経性食思不振症、不快感、てんかん、ヒステリー、抑うつ状態、うつ病、過度の嫌悪感、不快感、拘禁反応による恐怖、ストレス、視覚・嗅覚・味覚的刺激 | ||
末梢性刺激 | 消化管疾患 | 舌咽頭疾患 | アデノイド、咽頭炎 |
食道疾患 | 胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、食道癌 | ||
胃腸疾患 | 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎、急性虫垂炎、消化性潰瘍、食中毒、消化管腫瘍、寄生虫、食中毒、Mallory-Weiss症候群 | ||
消化管通過障害 | 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群 | ||
腹膜疾患 | 腹膜炎 | ||
胆膵疾患 | 急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、膵癌、胆管癌 | ||
肝疾患 | 急性肝炎 | ||
循環器疾患 | うっ血性心不全、狭心症、急性心筋梗塞 | ||
泌尿器科疾患 | 尿路結石、腎結石、急性腎炎、腎盂腎炎、腎不全 | ||
耳鼻咽喉科疾患 | 中耳炎、Meniere病、乗り物酔い | ||
眼科疾患 | 緑内障 | ||
呼吸器科疾患 | 肺結核、胸膜炎、肺癌、咳嗽発作 | ||
婦人科疾患 | 子宮付属器炎、月経前症候群、更年期障害 | ||
脊髄疾患 | 脊髄癆、多発性硬化症 | ||
膠原病 | 結節性多発動脈炎、強皮症、側頭動脈炎 |
新生児 | 乳児 | 幼児~学童 | |
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 | 敗血症・髄膜炎・水頭症・脳奇形・尿路感染症 | 髄膜炎・脳炎・脳症・虐待児・尿路感染症・呼吸器感染症・心疾患・薬物中毒・誤嚥 | 脳炎・脳症・脳腫瘍・肺炎・中耳炎・頭部外傷・薬物中毒・心筋炎・不整脈 |
よくある消化器疾患 | 溢乳・空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐・胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症・壊死性腸炎 | 食事過誤・空気嚥下・便秘・腸管感染症・幽門狭窄症・腸重積症・胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー | 腸管感染症・急性虫垂炎・肝・腹部外傷・肝炎・胆嚢炎・膵炎・腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症 |
主な代謝性疾患 | 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 | 先天性副腎過形成・Reye症候群 | アセトン血性嘔吐症・ケトン性低血糖症・糖尿病性ケトアシドーシス・Reye症候群 |
その他 | 起立性調節障害・神経性食思不振症 | ||
外科的疾患 | 食道閉鎖・狭窄症・胃軸捻転・十二指腸閉鎖・狭窄症・腸回転異常・捻転・小腸閉鎖症・Hirschsprung病・胎便性イレウス・稀に腸重積・肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 | 肥厚性幽門狭窄症・腸重積・腸回転異常・捻転・Hirschsprung病・虫垂炎 | 虫垂炎・腸重積・腸回転異常・捻転・上腸間膜動脈症候群・腫瘍・嚢胞 |
[反射]
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