原発性アルドステロン症
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/02 08:42:04」(JST)
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原発性アルドステロン症 |
分類及び外部参照情報 |
アルドステロン
|
ICD-10 |
E26.0 |
ICD-9 |
255.1 |
DiseasesDB |
3073 |
MedlinePlus |
000330 |
eMedicine |
med/432 |
MeSH |
D006929 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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原発性アルドステロン症(げんぱつせいアルドステロンしょう、英: primary aldosteronism, PA)は、副腎皮質の病変により血中のアルドステロン濃度が上昇する病気。報告者の名前を取ってConn症候群(コンしょうこうぐん)ともいう。
目次
- 1 概念
- 2 病態
- 3 分類
- 4 原因
- 5 症状
- 6 検査
- 7 治療
- 8 歴史
- 9 脚注
- 10 関連項目
概念
アルドステロン症の一つであり、本来のアルドステロン分泌臓器である副腎皮質が原因で発症するアルドステロン症。 以下、アルドステロンをAld、血圧をBP、ナトリウムをNa、カリウムをK、上昇を↑、低下を↓、因果関係を(原因)→(結果)、血漿アルドステロン濃度をPAC、血漿レニン活性をPRA、と表記する。
病態
- 高ナトリウム血症: Aldの電解質コルチコイド作用によって血中Na濃度↑
- 低カリウム血症 : Na↑の代わりにK↓
- 血圧上昇 : Na↑→血漿浸透圧↑→循環血漿量↑→BP↑。
分類
一側性の副腎皮質腺腫を特に狭義の原発性アルドステロン症と言う。
- アルドステロン産生腺腫
- 片側性副腎過形成
- 片側性多発微小結節
- アルドステロン産生副腎癌
- 特発性アルドステロン症(両側副腎球状層過形成)
- グルココルチコイド奏効性アルドステロン症(家族性アルドステロン症I型)
- 家族性アルドステロン症II型
- 異所性アルドステロン産生腫瘍
原因
副腎皮質球状帯の腺腫や過形成。
症状
- 典型的には低K性高血圧であるが、K正常例も多い。2次性高血圧症例の中でも高頻度であるため、無症状でも一度はスクリーニング検査が必要である。
- 低カリウム血症による症状として、脱力感、四肢麻痺、テタニー、知覚障害、多尿、多飲などを生ずる。
- 血圧上昇による症状として、高血圧、めまい、動悸、頭痛なども見られる。
検査
- 身体基本検査
- 血圧 : AldはRAA系を介して血圧を上昇させる働きがある。血漿アルドステロン濃度↑→血圧↑。
- 血液検査
- 血漿アルドステロン濃度 (PAC) ↑ : 原発性にPACが上昇する。PACが正常範囲内だとしても、血漿レニン活性(PRA)が抑制されている場合も本症の可能性が否定されないため、PAC/PRAの比で判断する。PAC(pg/mL)/PRA(ng/mL/hr)>200で本症を疑う。PACの単位に注意を要する(ng/dLとpg/mLと単位が検査施設によって異なることがある)。[1]
- 生食負荷試験:本症の場合、生理食塩水の点滴によるPACの抑制が見られない。
- 迅速ACTH負荷試験:アルドステロン産生腺腫の場合、ACTH負荷によるPACの過大反応が認められる。
- 血漿レニン活性 (PRA) ↓ : ホルモンであるレニンはBP↑によりネガティブフィードバックがかかって活性が下がる。BP↑→PRA↓。
- フロセミド立位負荷試験:フロセミド静注後2時間立位負荷をかける。正常ではPRAの上昇が見られるが、本症ではPRAは抑制されたままとなる。
- カプトプリル負荷試験:カプトプリルを投与し、血圧やPAC、PRAを測定する。正常ではPRAの上昇が見られるが、本症ではPRAは抑制されたままとなる。
- 血清カリウム濃度↓ : アルドステロン過剰分泌によるカリウム排泄作用が見られる。
- 副腎静脈サンプリング:ACTHを負荷し、左右副腎静脈から血液(PAC、コルチゾール)を採取する。典型的には病側のアルドステロン過剰分泌と、健側の抑制が見られる。
- 画像検査
- CT:副腎腫大。数mmの微小腺腫であることも多く、腫大がある側に本当に機能性腺腫があるのかどうかは判らない(副腎静脈サンプリングが必要)。
- 副腎シンチグラフィ:アドステロールの取り込みが見られる。
- 心電図
- QT延長 : K↓による
- ST低下 : K↓による
- U波出現 : K↓による
- アルドステロン症の鑑別疾患
- アルドステロン症の共通症状として、低カリウム血症、高重炭酸イオン血症を予めあげておく。
PRA |
PAC |
BP |
診断 |
理由 |
↓ |
↑ |
↑ |
原発性アルドステロン症 |
PAC↑→BP↑→PRA↓ |
↑ |
↑ |
↑ |
腎血管性高血圧 |
PRA↑→PAC↑→BP↑ |
↑ |
↑ |
→ |
バーター症候群 |
|
↑ |
↑ |
↑ |
レニン産出腫瘍 |
|
↓ |
↓ |
↑ |
リドル症候群 |
|
↓ |
↓ |
↑ |
偽性アルドステロン症 |
BP↑→PRA↓→PAC↓ |
治療
- 片側性腺腫・癌は、原則として手術。両側からの過剰分泌(両側過形成や両側アルドステロン産生腺腫)の場合は抗アルドステロン薬。グルココルチコイド奏効性アルドステロン症ではデキサメサゾンの投与。
- 種々の降圧薬にて血圧コントロールする。
- 対症療法として化学療法を行う。
- 塩化カリウム腸溶剤 : K摂取促進のため
- スピロノラクトン : アルドステロン受容体拮抗薬であるスピロノラクトンは本症の病態に合致している。
- エプレレノン : スピロノラクトンよりもMRに対する選択性が高く、抗アンドロゲン作用の副作用が少ない。
- 根治療法として手術療法を行う。手術は腫瘍側副腎の摘出。
歴史
発見
1953年にポーランド人により発見され、ポーランドの医学雑誌に掲載されたが、英語ではなくポーランド語で書かれており当時ポーランドが共産圏であったこともあって1955年にコン博士によって報告されたこととなっている。
脚注
- ^ http://endocrine.umin.ac.jp/rinsho_juyo/aldosteron_senmon.html 日本内分泌学会によるガイドライン
関連項目
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Japanese Journal
- 乾皮性閉塞性亀頭炎を台併したコーン症候群の1例 : 第267回北陸地方会
Related Links
- 原発性アルドステロン症(げんぱつせいアルドステロンしょう、英: primary aldosteronism, PA)は、副腎皮質の病変により血中のアルドステロン濃度が上昇する 病気。報告者の名前を取ってConn症候群(コンしょうこうぐん)ともいう。
- 症候群の一覧(しょうこうぐんのいちらん)は、固有名として使われる症候群を示す。 ... 症候群; コフィン・ローリー症候群; コリーアイ症候群; コルサコフ症候群; コルネリア・デ・ ランゲ症候群; 混合型性腺形成不全症候群; コン症候群 · コンパートメント症候群(前 脛骨 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- primary aldosteronism, PA
- 同
- コン症候群 Conn syndrome Conn's syndrome、コン-ルイス症候群 Conn-Louis syndrome
- アルドステロン産生腺腫 aldosterone producing adenoma APA
- 関
- 特発性アルドステロン症 ← 原発性アルドステロン症の下位概念。原発性アルドステロン症の約10%を占める
- アルドステロン症
概念
疫学
- 30-50歳に多く、女性に多い。(YN.D-59)
病因
病因に基づく分類
- SURO.277
病理
- 2cm以下の小さなものが多い、らしい。 ⇔ クッシング症候群の原因となる副腎腺腫は2-4cmのものがおおい、らしい。
病態
- 参考2
- 浮腫は生じない:aldosterone escapeによる。
- 高血圧
- 低カリウム血症:アルドステロンの影響で皮質集合管で排泄される。正常な場合もある。詳しくは資料2
- 代謝性アシドーシス ← 低カリウム血症による
- 高ナトリウム血症:中等度。volume expansionの持続により浸透圧調節中枢のセットポイントが数meq/Lだけ上昇する。けっかとして血中ナトリウム濃度が143-147mEq/Lに維持される。
- 低マグネシウム血症:アルドステロン過剰による。ヘンレのループ上行脚でマグネシウムの再吸収が行われるが、aldosterone escapeが持続している場合、マグネシウムの再吸収が抑制される。
症状
検査
診断
- 血清アルドステロン濃度の高値、血漿レニン活性の低値、コルチゾール分泌正常
治療
治療目標
- 血漿中のアルドステロン濃度を正常化、あるいは鉱質コルチコイド受容体を阻害すること。
治療法の原則
- 参考1
- 片側の病変は手術療法で治療可能である。
- 特発性高アルドステロン症は鉱質コルチコイド受容体拮抗薬で治療する。
- 糖質コルチコイド反応性アルドステロン症は生理的な量の糖質コルチコイドの投与で治療する。
疾患別治療法
参考
- 1. [charged] Treatment of primary aldosteronism - uptodate [1]
- 2. [charged] Clinical features of primary aldosteronism - uptodate [2]
[★]
- 英
- aldosteronism
- 同
- アルドステロン過剰症 高アルドステロン症 hyperaldosteronism
- 関
- コン症候群 (アルドステロン産生腺腫) 80-90%
- 特発性アルドステロン主要 副腎皮質球状層の過形成 10%程度
-
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候