アンジオテンシンII
WordNet
- the 9th letter of the Roman alphabet (同)i
PrepTutorEJDIC
- 『私は』私が
- iodineの化学記号
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/11 08:36:23」(JST)
[Wiki ja表示]
アンジオテンシン(angiotensin)とは、ポリペプチドの1種で、昇圧作用を持つ生理活性物質である。なお、アンギオテンシンと呼ばれることもあるが、近年ではあまり用いられない(厚生労働省のウェブサイトでは両者の混用[1][2]がみられる)。
目次
- 1 概説
- 2 作用機序
- 3 降圧剤の標的として
- 4 関連項目
- 5 脚注
概説
アンジオテンシンにはI~IVの4種が存在し、これらのうち、アンジオテンシンII〜IVは心臓の収縮力を高め、細動脈を収縮させることで血圧を上昇させる。なお、アンジオテンシンIには血圧を上昇させる効果は無い。
アンジオテンシンの原料となるアンジオテンシノゲンは肝臓で産生される他、肥大化した脂肪細胞からも産生・分泌される[3]。 このアンジオテンシノゲンは、腎臓の傍糸球体細胞から分泌されるタンパク質分解酵素であるレニンの作用によって、アミノ酸10残基から成るアンジオテンシンI が作り出される。その後、これがアンジオテンシン変換酵素(ACE)、キマーゼ、カテプシンGの働きによってC末端の2残基が切り離され、アンジオテンシンII に変換される。アンジオテンシンIIはACE2により、血管拡張作用と抗増殖作用を有するヘプタペプチドであるアンジオテンシン-(1-7)へと変換される。
- アンジオテンシノゲン:Asp - Arg - Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - His - Leu - Val - Ile -...(453アミノ酸)
- アンジオテンシンI: Asp - Arg - Vla - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - His - Leu - OH
- アンジオテンシンII: Asp- Arg - Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - OH
- アンジオテンシンIII: Arg - Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - OH
- アンジオテンシンIV: Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - OH
アンジオテンシンI は昇圧作用を有さず、アンジオテンシンII が最も強い活性を持つ。(アンジオテンシンIII は II の4割程度の活性で、IV は更に低い)。また、アンジオテンシンII は副腎に作用して、鉱質コルチコイドで血液におけるナトリウムとカリウムのバランスを制御するアルドステロンを分泌させる。また、脳下垂体に作用し利尿を抑えるホルモンである抗利尿ホルモンであるバソプレッシン(ADH)の分泌させる。
作用機序
アンジオテンシンII は副腎皮質にある受容体に結合すると、副腎皮質からのアルドステロンの合成・分泌が促進される。このアルドステロンの働きによって、腎集合管でのナトリウムの再吸収を促進し、これによって体液量が増加する事により、昇圧作用をもたらす[4]。また、脳下垂体に作用し利尿を抑えるホルモンである抗利尿ホルモンであるバソプレッシン(ADH)の分泌を促進し、水分の再吸収を促進することにより、昇圧作用をもたらす[5]。
降圧剤の標的として
アンジオテンシンII には血圧上昇作用があるため、これを作らせないか、またはその作用をブロックする化合物ができれば血圧降下剤として用いることができる。前者、つまりアンジオテンシン変換酵素 (ACE) の働きを止めるタイプの薬剤を ACE阻害薬と呼ぶ。またアンジオテンシンII の受容体に結合し、その作用をブロックするタイプの薬剤をアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (angiotensin receptor blocker, ARB) と言う。いずれも臨床上重要な降圧剤として広く用いられている。また近年、これらの前の段階である、レニンを阻害するタイプの降圧剤も登場している。
関連項目
脚注
- ^ 医薬品・医療用具等安全性情報168号
- ^ 医薬品等安全性情報No.157
- ^ 脂肪細胞とインスリン抵抗性、星薬科大学オープンリサーチセンター 鎌田勝雄
- ^ 塩分の摂りすぎによる血圧上昇のしくみを解明 東大病院研究トピックス 藤田敏郎
- ^ 利尿を抑えるホルモン"バソプレシン"の脳の中の新たな作用を発見、自然科学研究機構 生理学研究所 岡田泰伸ほか
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 気管挿管管理を要したアンギオテンシン転換酵素阻害薬およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬が原因と考えられた血管性浮腫の1例
- P-029 アンギオテンシンIIによるエンドカンナビノイド受容体を介した甘味の増強(ポスターセッション,2014年度日本味と匂学会第48回大会)
- 麻酔導入による誘発が疑われた薬物誘発性血管性浮腫の1症例
Related Links
- (ARB)アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 A R B アンジオテンシンⅡは血管にある受容体と結びついて血管を収縮させ、血圧を上げる働きをするタンパク質。 アンジオテンシンⅡの主な作用 動脈の血管を収縮 ...
- 大日本住友製薬の「高血圧と合併症」です。腎臓と高血圧の関係をご存知ですか?患者さんとご家族のために、高血圧の合併症予防の情報をお届けしています。このページでは、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)について解説 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- aldosterone
- 関
- 尿細管
基準値
- 血漿濃度は35-240 pg/ml, EDTA加血漿 安静臥位 30-160 pg/ml
- 30-160 pg/ml (LAB.715)
- 35.7-240 pg/ml (随時), 29.9-159pg/ml (臥位), 38.9-307pg/ml (立位) (SRL)
分類
性状
産生組織
標的組織
生理作用
- 1. 腎の接合尿細管と集合管、唾液腺、乳腺、汗腺等に働いてNa+の再吸収を促進し、K+の排出(分泌)を促進する (SP.791,792 によれば、腎接合尿細管を含む)
- 2. 腎集合管でH+の排出(分泌)を促進する。
- Na+/K+-ATPase活性↑@遠位尿細管・皮質集合管 → 管腔側K↑ → K再吸収/H+分泌 (QB CBT vol2 p.360) ← 成書での裏付けがないが、確かにアルドステロン↑によりK+分泌が↑となれば、管腔側にK+があふれるのでα間在細胞上の管腔側にあるK+/H+交換輸送体担体によりH+管腔側にくみ出されるな。
作用機序
- アルドステロンは何らかの経路を経て、ある遺伝子(アルドステロン誘導タンパク質 AIP)の転写・発現を促進する。これにより、以下の作用を及ぼす (2007年度後期生理学授業プリント)
- (1)Na+-K+ATPaseの発現
- (2)基底膜面積の増加
- (3)Na+チャネルの活性化
- (4)K+チャネルの活性化
- Na+-K+ ATPase活性を上昇させる(SP.792)
- ミトコンドリアのエネルギー産生系が活性化される(SP.792)
分泌調節
- 1. 体液↓、血圧↓→レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系でアンジオテンシンIIが生成→P450scc↑、P450aldo↑
-
- →レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
- 2. 血漿K+↑→アルドステロン分泌↑ ← direct action on the adrenal cortical cells.
- 3. ドパミン、ソマトスタチン→アルドステロン分泌↓ (出典不明)
- 4. ACTH
- アルドステロン分泌作用は弱い。only a short-term effect(NEL.2351).
分子機構
生合成
臨床関連
[★]
- 英
- renin-angiotensin-aldosterone system RAA
- 同
- レニン-アルドステロン系 renin-aldosterone system
- 関
- アンギオテンシノゲン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、アンギオテンシンIII。レニン-アンギオテンシン系
[★]
- 英
- angiotensin II receptor blocker
- 関
- アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、アンギオテンシンII受容体遮断薬
[★]
- 英
- angiotensin II receptor blocker
- 関
- アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬
[★]
- 英
- angiotensin II type 1 receptor
- 関
- 1型アンジオテンシンII受容体
[★]
- 英
- angiotensin II type 2 receptor
- 関
- 2型アンジオテンシンII受容体
[★]
[★]