- 英
- remifentanil
- 化
- 塩酸レミフェンタニル remifentanil hydrochloride
- 商
- アルチバ
- 関
- 麻薬、麻酔薬、オピオイド、オピオイド受容体
- フェニルピペリジン構造(フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル)
- 選択的μ受容体アゴニスト
- 脳内への移行が速やかなため、作用発現までの時間が短く、消失も早い。
- 投与中中止後、速やかに血中濃度が低下し、術後呼吸抑制の心配が少ない(SAN.55)
- 血中および組織内の非特異的エステラーゼによって加水分解されるため(腎・肝機能に非依存的)、蓄積性がなく、肝・腎機能障害を有している患者にも有効。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/22 10:42:17」(JST)
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レミフェンタニル
|
IUPAC命名法による物質名 |
methyl 1-(2-methoxycarbonylethyl)-4-(phenyl-propanoyl-amino) -piperidine-4-carboxylate |
臨床データ |
法的規制 |
|
投与方法 |
Intravenous |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
Not applicable (intravenous administration) |
血漿タンパク結合 |
70% (bound to plasma proteins) |
代謝 |
cleaved by non-specific plasma and tissue esterases |
半減期 |
1-20 minutes |
識別 |
CAS番号 |
132875-61-7 |
ATCコード |
N01AH06 |
PubChem |
CID 60815 |
DrugBank |
APRD01216 |
KEGG |
D08473 |
化学的データ |
化学式 |
C20H28N2O5 |
分子量 |
376.447 g/mol |
物理的データ |
融点 |
5 °C (41 °F) |
レミフェンタニル(remifentanil)は超短時間作用性の合成麻薬である。おもに手術時の鎮痛に使用される。
投与
レミフェンタニルは塩酸塩の形で供給される。投与経路は静脈内投与で投与速度は体重1kgに対し1分間に0.1マイクログラムから0.5マイクログラムである。なお、添付文書に記載されている投与速度はこれよりも多く、最大でも2マイクログラム/kg/分となっている。この使用量は患者の年齢や疾患の重篤さ、侵襲の程度に応じて増減される必要がある。目標制御注入法(TCI)による投与も行われている。
代謝
合成オピオイドの多くが肝臓で代謝されるのに対し、レミフェンタニルは組織および血漿中の非特異的なエステラ-ゼにより代謝されるのが特徴である。そのため長時間投与後の蓄積性がなく4時間投与後のCSHT(context sensitive half-time : 持続投与中止後、血中濃度が50%に低下するまでの時間)は4分である。代謝産物はレミフェンタニルの4600分の1の作用を持つ。
このようにレミフェンタニルの代謝が非常に速く、作用時間が短いため全身麻酔中の投与量を多くすることができる。また、レミフェンタニルの鎮静作用は他の鎮静薬、たとえばプロポフォールと相乗作用があるため、鎮静薬の使用量を減らすことができる。その結果麻酔終了後の回復が早くなる。
副作用
レミフェンタニルはオピオイドμ受容体の特異的アゴニストである。そのため鎮痛作用の他に交感神経抑制作用、呼吸抑制作用を持つ。用量依存的に心拍数は減少、血圧・呼吸数・一回換気量は低下する。また、骨格筋の硬直も観察される。
最も多い副作用はめまい、掻痒感、嘔気である。対処法としては投与量の変更、鎮静薬や抗ヒスタミン薬の投与である。
力価
モルヒネの2100倍、アルフェンタニルの70倍とされている。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 静脈麻酔 (特集 形成外科手術 麻酔パーフェクトガイド)
- 臨床経験 レミフェンタニル麻酔の術後鎮痛--ブプレノルフィンの有効性についての検討
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アルチバ静注用2mg
組成
- 1バイアル中に下記成分・含量を含有する凍結乾燥製剤で、用時溶解して用いる静注用注射剤である。
成分・含量
- レミフェンタニル塩酸塩2.2mg(レミフェンタニルとして2mg)
添加物
禁忌
- 本剤の成分又はフェンタニル系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 全身麻酔の導入及び維持における鎮痛
- 成人では他の全身麻酔剤を必ず併用し、下記用量を用いる。
麻酔導入
- 通常、レミフェンタニルとして0.5μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、ダブルルーメンチューブの使用、挿管困難等、気管挿管時に強い刺激が予想される場合には、1.0μg/kg/分とすること。また、必要に応じて、持続静脈内投与開始前にレミフェンタニルとして1.0μg/kgを30〜60秒かけて単回静脈内投与することができる。ただし、気管挿管を本剤の投与開始から10分以上経過した後に行う場合には単回静脈内投与の必要はない。
麻酔維持
- 通常、レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、投与速度については、患者の全身状態を観察しながら、2〜5分間隔で25〜100%の範囲で加速又は25〜50%の範囲で減速できるが、最大でも2.0μg/kg/分を超えないこと。浅麻酔時には、レミフェンタニルとして0.5〜1.0μg/kgを2〜5分間隔で追加単回静脈内投与することができる。
- 本剤を単独で全身麻酔に使用しないこと。[本剤は鎮静効果が弱いため、意識消失を得るためには他の全身麻酔剤を併用すること。]
- 本剤を単回静脈内投与する場合は、30秒以上かけて行うこと。
- 肥満患者(BMI25以上)の用量設定は実際の体重よりも標準体重1)に基づいて行うことが望ましい。
注射液の調製方法
- (溶解法)レミフェンタニル濃度が1mg/mLになるように、アルチバ静注用バイアル内に注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を注入し、よく振盪して完全に溶解する。
(希釈法)レミフェンタニルとして100μg/mL(20〜250μg/mL)になるように、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈する。また、希釈後は安定性が低下するので、24時間以内に使用すること。
(注射用水は、溶液が等張とならないため希釈液として用いないこと。)
溶解及び希釈に必要な総液量
最終濃度:100μg/mL
薬剤(1バイアル):アルチバ静注用2mg
- 溶解に必要な液量:2mL
希釈に必要な液量:18mL
溶解後総液量:20mL
最終濃度:100μg/mL
薬剤(1バイアル):アルチバ静注用5mg
- 溶解に必要な液量:5mL
希釈に必要な液量:45mL
溶解後総液量:50mL
慎重投与
- ASAIII、IV2)の患者[血液循環が抑制されるおそれがあるため、開始投与速度を減速し、その後調節すること。]
- 衰弱患者、循環血液量減少のある患者[心血管系に影響を及ぼすおそれがある。]
- 高齢者[心血管系に影響を及ぼすおそれがある。(「高齢者への投与」の項参照)]
- 重症の高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者[血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。]
- 不整脈のある患者[徐脈を起こすことがある。]
- 慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
- 薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]
- 痙攣発作の既往歴のある患者[痙攣が起こることがある。]
- 気管支喘息の患者[気管支収縮が起こることがある。]
重大な副作用
筋硬直
3.0%
- 筋硬直があらわれることがある。筋硬直の発現は本剤の投与量及び投与速度に関連するため、本剤の単回静脈内投与は30秒以上かけて行うこと(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。また、麻酔導入時に発現する過剰な筋硬直に対しては、臭化ベクロニウム等の筋弛緩剤の追加投与による治療を行うこと。なお、必要に応じて本剤の投与速度の減速又は投与中止を含め、適切な処置を行うこと。
換気困難
頻度不明注)
- 筋硬直、喉頭痙攣により換気困難な状況に陥る可能性がある。異常が認められた場合には、筋弛緩剤の使用等適切な処置を行うこと。なお、喉頭痙攣がラリンジアルマスク使用中に出現し、換気困難となった症例が報告されているため、注意すること。
呼吸停止(頻度不明注))、呼吸抑制(1.8%)
- 呼吸停止、呼吸抑制があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては補助呼吸を行い、必要に応じて筋弛緩剤あるいは麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)を使用するなど適切な呼吸管理を行うこと。
血圧低下
41.2%
- 血圧低下があらわれることがあるので、本剤の投与速度の減速、若しくは併用する全身麻酔剤の投与速度の減速又は投与量の減量を含め、輸液、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
徐脈
22.1%
- 徐脈があらわれることがあるので、本剤の投与速度の減速、若しくは併用する全身麻酔剤の投与速度の減速又は投与量の減量を含め、輸液、昇圧剤、アトロピン硫酸塩等の副交感神経遮断剤の使用等適切な処置を行うこと。
不全収縮、心停止
頻度不明注)
- 徐脈に引き続いて不全収縮、心停止があらわれることがある(本剤と他の全身麻酔剤が併用されている場合、重篤な徐脈、不全収縮、心停止がみられることがあるので、十分な患者管理のできる状態で使用すること)。
ショック、アナフィラキシー様症状
頻度不明注)
- 本剤と他の全身麻酔剤が併用されている患者においてアレルギー、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
全身痙攣
頻度不明注)
- 全身痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
鎮痛作用22)、23)
- ラットの輻射熱法において、レミフェンタニルは用量依存的な鎮痛作用を示し、作用持続時間も用量依存的に延長したが、高用量投与時又は持続投与時においても作用消失が速やかであることが示された。また、繰り返し投与による作用持続時間の延長及び鎮痛作用の減弱は認められなかった。さらに、主代謝物の鎮痛作用は未変化体の約1/270と弱いことが示された。
鎮静作用24)
- レミフェンタニルを0.5μg/kg/分でイヌに持続静脈内投与したとき、深い麻酔状態に特有のデルタ波形が脳波図に認められたことから、鎮静作用を有することが示された。
作用機序25)
- 受容体結合試験において、レミフェンタニルはμ-、δ-及びκ-オピオイド受容体に対して親和性を示した(それぞれ、IC50=2.6nmol/L、66nmol/L及び6.1μmol/L)。この結果から、レミフェンタニルは選択的なμ-オピオイド受容体アゴニストとして作用し、強力な鎮痛作用を示すものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
性状
溶解性
- 水、メタノールに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、2-プロパノール、酢酸エチルに極めて溶けにくい。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109E053]←[国試_109]→[109E055]
[★]
- 英
- inhalation alanesthetic agent, inhaled anesthetic
- 同
- ガス吸入麻酔薬、ガス麻酔薬
- 関
- 薬理学、全身麻酔薬
吸入麻酔薬の身体影響
- YN.M7 SAN.40
- 中枢神経系:意識消失、酸素消費量減少、脳血管拡張、頭蓋内圧上昇、(亜酸化窒素のみ)鎮痛作用
- 呼吸器系:用量依存的にコキュを抑制、一回換気量減少、呼吸回数増加、気管拡張作用、線毛運動抑制、気道分泌抑制、低酸素性肺血管収縮抑制
- 循環器系:用量依存的に血圧低下(血管拡張or心筋抑制)、内臓血流減少、脳・筋肉・皮膚血流増加
- 筋肉:(揮発性吸入麻酔薬のみ)
吸入麻酔薬
- SAN.39
化合物名
|
分子式
|
小さいほど強力
|
小さいほど効きが早い
|
特徴
|
麻酔に必要な条件
|
|
|
|
MAC
|
血液ガス分配係数
|
意識消失
|
鎮痛
|
筋弛緩
|
反射抑制
|
笑気
|
N2O
|
101
|
0.47
|
|
△ 低MAC
|
○
|
×
|
?
|
イソフルラン
|
F3C-CH(Cl)-O-CHF
|
1.15
|
1.48
|
|
○
|
×
|
○
|
?
|
セボフルラン
|
FH2C-O-CH(CF3)2
|
1.71
|
0.63
|
|
○
|
×
|
○
|
?
|
ハロタン
|
F3C-CHClBr
|
0.76
|
2.3
|
- 肝障害(3万例に1例)
- アドレナリン感受性↑(不整脈リスク)
- 生体内分解20%
|
○
|
×
|
△
|
?
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
麻酔薬と脳に及ぼす影響
- 参考4
参考
- http://www.geocities.co.jp/Colosseum-Acropolis/6786/Inhaled.html
- http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/ouu/Inhalation.html
- http://www.shinshu-masui.jp/information/2011/06/22/%E5%90%B8%E5%85%A5%E9%BA%BB%E9%85%94%E8%96%AC%E3%81%AE%E8%96%AC%E7%90%86.pdf
- http://www.shinshu-masui.jp/information/2010/05/26/%E5%90%B8%E5%85%A5%E9%BA%BB%E9%85%94%E8%96%AC.pdf
[★]
- 英
- cerebral blood flow
- 関
- 脳血流量
麻酔薬、鎮痛薬と脳血流
- 吸入麻酔薬では脳血管拡張作用により脳血流が増加
- 静脈麻酔薬の興奮性麻酔薬では脳神経活動亢進、酸素消費量増大など代謝の亢進のために脳血管拡張を来たし、脳血流増加 (SAN.45)
- 静脈麻酔薬の抑制性麻酔薬では脳神経活動低下、酸素消費量低下など代謝の低下のために脳血管収縮を来たし、脳血流低下 (SAN.45)
SAN.291改変
[★]
- 英
- narcotic analgesic, narcotic analgesics
- 同
- オピオイド鎮痛薬、モルフィン鎮痛薬???
- 関
- オピオイド
モルフィン鎮痛薬
内因性オピオイド
外因性オピオイド
合成
麻酔薬として
- 心臓手術やハイリスク患者の麻酔に用いる。
- 使用される薬にはクエン酸ファンタネルやモルヒネがある。
- 脳神経に存在する麻酔特有の受容体(オピオイド受容体)をしげきする
- 鎮痛作用は協力
- 麻酔薬なので常習性がある。
- 副作用:呼吸抑制、精神神経作用、消化器症状がある。
- 注意:患者さんの状態に合わせて、睡眠作用のある薬を使用。すなわち、これ単独では眠らない(記憶を失わない)
- ○強力な鎮痛・鎮静。血圧安定
- ×術中覚醒。呼吸抑制。筋硬直。徐脈。術中高血圧
- パンクロニウム(長時間使用で頻脈になる)を併せて使うことがある。
依存性
副作用
[★]
- 英
- total intravenous anesthesia, TIVA
- 同
- 完全静脈麻酔 ← あまりよくない邦訳
- 関
- バランス麻酔
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