アムロジピン
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アムロジピン
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IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
(RS)-3-ethyl 5-methyl 2-[(2-aminoethoxy)methyl]-4-(2-chlorophenyl)-6-methyl-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: ℞-only
|
投与方法 |
経口投与 (錠剤) |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
64 to 90% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
30 〜 50 時間 |
排泄 |
腎臓(尿中) |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
88150-42-9 |
ATCコード |
C08CA01 (WHO) |
PubChem |
CID: 2162 |
DrugBank |
APRD00520 |
ChemSpider |
2077 |
KEGG |
D07450 |
化学的データ |
化学式 |
C20H25ClN2O5 |
分子量 |
408.879 g/mol |
SMILES
-
Clc1ccccc1C2C(=C(/N/C(=C2/C(=O)OCC)COCCN)C)\C(=O)OC
|
アムロジピン(Amlodipine)は、長時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬の一つである。世界中で高血圧治療薬および狭心症治療薬として用いられている。不斉炭素を一つ持つが、光学分割はされていない。他のカルシウム拮抗薬同様に、動脈血管の平滑筋の収縮に必要なCaイオンの流入を抑制し末梢血管(動脈)を拡張させる。
目次
- 1 解説
- 2 適応
- 3 副作用
- 4 商品名
- 5 エビデンス
- 6 脚注
解説
末梢血管抵抗の低下により血圧を下げ、また心臓に血液を送る冠動脈を拡張させ心筋への血流を増加させる事により多くのカルシウムチャネル拮抗薬同様に狭心症発作に有効である[1]。なお、ジルチアゼムやベラパミルなどの非ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬と異なり、心拍数低下作用や房室結節での伝導抑制作用はなく、心房細動やPSVT(発作性上室性頻拍)などの頻脈性不整脈には無効である。
多くの高血圧患者にアムロジピンが使用されている理由として、
- 従来のジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬と異なり顔面紅潮(顔が赤くみえる)や頭痛、頻脈(心拍数の上昇)などの副作用が少ない事
- 半減期(消化管から吸収後の肝臓での代謝に要する時間)が長く、効果も確かであり1日1回投与で効果が持続する事
- 他の薬剤に劣るとの報告もあるが、多くの大規模な臨床試験が実施されており、臨床使用時のエビデンスが豊富である事等
が挙げられる。
適応
- なお、冠攣縮性狭心症に有効性が無いわけではないが、有効血中濃度に達するまでに1週間程度かかり、その間の狭心症は発作(胸痛)に対する効果は弱く、異型狭心症に対する効能も無いことから、専門医は他のカルシウムチャネル拮抗薬であるヘルベッサー®R(持続製剤), アダラート®CR(持続製剤), コニール®などを推奨している[2]。
副作用
肝機能異常や薬疹など一般的にみられる副作用のほかに、アムロジピン等のジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬特有のものとしては、血管拡張に伴う頭痛、顔面潮紅(顔面の血管拡張に伴い顔が赤みがかって見える)、下肢の浮腫や歯肉肥厚などが有る[1]。※頭痛等は2週間程度で自然と治まることが多い。
添付文書には重大な副作用として、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(0.1%未満)、無顆粒球症、血小板減少(0.1%未満)、白血球減少、房室ブロック(0.1%未満)、横紋筋融解症が記載されている[3][4]。(頻度未記載は頻度不明)
商品名
- アムロジン®(大日本住友製薬)[5]
- ノルバスク®(ファイザー)[1]
- 日本での後発品名はすべて「アムロジピン」+「発売会社名」である[6]。
エビデンス
WHOが高血圧のエッセンシャルドラッグに選定しているが、これは臨床試験等によるエビデンス(ALLHAT試験など)があるためである。
- ALLHAT研究は、アメリカ国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)という公的機関による大規模な無作為臨床試験であり、これによりアムロジピンと利尿薬クロルタリドン、ACE阻害薬リシノプリル、α遮断薬が比較された。α遮断薬ドキサゾジンは、心不全や冠動脈血行再建術、狭心症の増加により実験早期から他薬に劣っており、倫理的問題があるということで、試験から脱落した[7]。
- アムロジピンは、クロルタリドン(利尿薬)、リシノプリル(ACE阻害薬)間には、主要評価項目(冠動脈疾患や心筋梗塞の発生予防)で差がみられなかった[8]。
脚注
- ^ a b c d e “ノルバスク錠2.5mg/5mg/10mg/OD錠2.5mg/5mg/10mg インタビューフォーム (PDF)”. ファイザー (2016年4月). 2016年6月28日閲覧。
- ^ 『冠攣縮性狭心症の診断と治療』。
- ^ “アムロジン錠2.5mg/5mg/10mg/OD錠2.5mg/5mg/10mg 添付文書” (2016年7月). 2016年7月1日閲覧。
- ^ “ノルバスク錠2.5mg/5mg/10mg/OD錠2.5mg/5mg/10mg 添付文書” (2016年1月). 2016年6月28日閲覧。
- ^ “アムロジン錠2.5mg/5mg/10mg/OD錠2.5mg/5mg/10mg インタビューフォーム (PDF)”. 大日本住友製薬 (2016年1月). 2016年6月28日閲覧。
- ^ 『医薬品医療機器総合機構』。
- ^ 『大日本住友製薬 学術情報』。
- ^ 『ノバルティスファーマ エビデンス』。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- JMS Seminar 口腔内崩壊錠(OD)のユニバーサルデザイン製剤が登場--アムロジン新OD錠プレスセミナーで澤田東大教授らが講演
- 錠剤のユニバーサルデザインから生まれた口腔内崩壊錠--アムロジンOD錠 (特集 経口製剤の付加価値化--現場に選ばれる有利な製剤とは)
- 脳動脈瘤が霊的施療により解消した一症例(研究発表,第25回生命情報科学シンポジウム)
- 樋口 雄三,吉村 ひろ子
- Journal of International Society of Life Information Science 26(1), 49-52, 2008-03-01
- … ベサトールSR、アムロジンなどによる治療を受けたが、手術は行わず、退院して経過観察とされていた患者に対して霊的施療を6回行った。 …
- NAID 110006632595
Related Links
- ノルバスク,アムロジンとは?アムロジピンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- アムロジンとは。効果、副作用、使用上の注意。カルシウム拮抗剤は、カルシウム(心筋や冠動脈を収縮させる物質)の作用を抑えて心筋の緊張をやわらげたり、冠動脈の内腔(ないくう)を拡げるはたらきをもった薬です。そのため ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アムロジン錠2.5mg
組成
有効成分(1錠中)
- アムロジピンとして2.5mg(アムロジピンベシル酸塩3.47mg)
添加物
- 結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、カルナウバロウ
禁忌
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
- ジヒドロピリジン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
成人の場合
○高血圧症
- 通常、成人にはアムロジピンとして2.5〜5mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。
○狭心症
- 通常、成人にはアムロジピンとして5mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じ適宜増減する。
小児の場合〔アムロジン錠2.5mg、錠5mg、OD錠2.5mg、OD錠5mg〕
○高血圧症
- 通常、6歳以上の小児には、アムロジピンとして2.5mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
- 本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急な治療を要する不安定狭心症には効果が期待できない。〔「薬物動態」の項参照〕
〔アムロジン錠2.5mg、錠5mg、OD錠2.5mg、OD錠5mg〕
- 6歳以上の小児への投与に際しては、1日5mgを超えないこと。
〔アムロジンOD錠〕
- 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込むこと。〔「適用上の注意」の項参照〕
慎重投与
- 過度に血圧の低い患者〔さらに血圧が低下するおそれがある。〕
- 肝機能障害のある患者〔本剤は主として肝臓で代謝されるため、血中濃度半減期の延長及び血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。高用量(10mg)において副作用の発現頻度が高くなる可能性があるので、増量時には慎重に投与すること。「副作用」、「薬物動態」の項参照〕〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 重篤な腎機能障害のある患者〔一般的に腎機能障害のある患者では、降圧に伴い腎機能が低下することがある。〕
重大な副作用
肝機能障害、黄疸(0.1%未満)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血小板減少(頻度不明※1))、白血球減少(0.1%未満)
- 血小板減少又は白血球減少があらわれることがあるので、検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
房室ブロック(0.1%未満)
- 房室ブロック(初期症状:徐脈、めまい等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- 細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルに選択的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させて冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる。18) そのカルシウム拮抗作用は緩徐に発現するとともに持続性を示し、18)また心抑制作用が弱く血管選択性を示すことが認められている。
降圧作用
- 各種高血圧病態モデル(高血圧自然発症ラット、腎性高血圧イヌ)において、単回投与で血圧下降の発現が緩徐で作用持続時間が長いことが認められており、連続投与でも耐性の発現しないことが認められている。19) 脳卒中易発症高血圧ラットにおいては、血圧の上昇を抑制するとともに、高血圧の慢性化に伴う心臓・腎臓等の病変の発生を抑制することが認められている。また、麻酔イヌで大腿動脈、冠動脈及び椎骨動脈の血流量を持続的に増加させるとともに、持続的に全末梢血管抵抗を減少させ血圧を下降させることが認められている。
抗狭心症作用
- 麻酔モルモットにおいて、冠動脈塞栓による心筋虚血性心電図変化を改善(ST上昇を抑制)することが認められている。また、ラット摘出虚血後再灌流心臓において、収縮力の回復を改善し、組織内Ca2+量の増加を抑制するとともに、組織内ATP量及びクレアチンリン酸量を保持することが認められている。20)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine Besilate)
化学名
- 3-Ethyl 5-methyl (4RS)-2-[(2-aminoethoxy)methyl]-4-(2-chlorophenyl)-6-methyl-
1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monobenzenesulfonate
分子式
- C20H25ClN2O5・C6H6O3S(567.05)
性状
- 白色〜帯黄白色の結晶性の粉末。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- vasodilator、vasodilatator
- 関
- 血管拡張薬
商品
[★]
- 英
- amlodipine
- 化
- ベシル酸アムロジピン amlodipine besilate
- 商
- アムロジン、ノルバスク、ザクラス配合(アジルサルタン、アムロジピン)
- 関
- カルシウム拮抗薬、薬理学
- 血管拡張剤
剤形
- アムロジン:2.5mg,5mg,10mg 錠/OD錠
作用機序
- ノルバスク
- 細胞膜の膜電位依存性カルシウムチャンネルに特異的に結合し、細胞内へのカルシウムの流入を減少させることにより、冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる。
- カルシウム拮抗作用の発現は緩徐であり、持続的である。
- また、心抑制作用は弱く、血管選択性が認められている。
適応
添付文書
- ノルバスク錠2.5mg/ノルバスク錠5mg/ *ノルバスク錠10mg/ノルバスクOD錠2.5mg/ノルバスクOD錠5mg/ *ノルバスクOD錠10mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2171022F1029_2_03/2171022F1029_2_03?view=body
参考
- TRAD10 Trial for Administration Method of Amlodipine 10mg
- アムロジピンの降圧効果は服用のタイミングに関わらず 24 時間持続する 石光 俊彦氏 獨協医科大学循環器内科
- http://therres.jp/1conferences/2011/JSH2011/20111107122224.php
<anyweb>Trial for Administration Method of Amlodipine 10mg.mht</anyweb>
[★]
- 英
- rosin
- 同
- コロホニウム colophony、レジン、松脂 まつやに
- 関
- ピッチ