一硝酸イソソルビド
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/15 09:57:46」(JST)
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硝酸イソソルビド(しょうさんイソソルビド)は狭心症の治療薬として用いられる硝酸エステル製剤である。一般名として、ヒドロキシ基の1つが硝酸エステルとなっている誘導体を含む製剤である一硝酸イソソルビドと2つとも硝酸エステル化されている二硝酸イソソルビドがあり、単に一般名で硝酸イソソルビドといった場合は後者(ビス硝酸エステル)を指す。
前者、後者ともに勃起不全治療薬のクエン酸シルデナフィル(商品名バイアグラ)、塩酸バルデナフィル(商品名レビトラ)との併用は、過度の血圧降下となることがあり禁忌である。
一硝酸イソソルビド
一硝酸イソソルビド
|
IUPAC命名法による物質名 |
8-nitrooxy-2,6-dioxabicyclo[3.3.0]octan-4-ol |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C (USA) |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
>95% |
血漿タンパク結合 |
<5% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
5時間 |
排泄 |
Renal: 93% |
識別 |
CAS登録番号 |
16051-77-7 |
ATCコード |
C01DA14 |
PubChem |
CID 27661 |
DrugBank |
APRD00528 |
KEGG |
D00630 |
化学的データ |
化学式 |
C6H9NO6 |
分子量 |
191.139 g/mol |
一硝酸イソソルビド(いちしょうさんイソソルビド、英: isosorbide mononitrate, ISMN)はイソソルビドのヒドロキシ基の1つが硝酸エステルとなっている誘導体。 代表的な製剤名(いわゆる先発医薬品)はアイトロール錠(トーアエイヨー製造販売・アステラス販売)である。その他各種の後発医薬品も利用でき、日本国内では次に示す商品名で販売されている。
- アイスラール錠、アイロクール錠、イソニトール錠、イソモニット錠、ソプレロール錠、タイシロール錠
肝初回通過効果 (first pass effect) による化学的修飾を受けにくく、生体内利用率が100%に近い。生体内利用率 (bioavailability)、薬物動態 (pharmacokinetics) に優れていることから、欧米市場ではマーケットシェアを伸ばしてきた。
重大な副作用は肝機能障害、黄疸などである。
二硝酸イソソルビド
二硝酸イソソルビド
|
IUPAC命名法による物質名 |
1,4:3,6-dianhydro-2,5-di-O-nitro-D-glucitol |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C(US) |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
10–90%, average 25% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
1時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
87-33-2 |
ATCコード |
C01DA08 D03AX08 |
PubChem |
CID 3780 |
DrugBank |
APRD00455 |
別名 |
(3R,3aS,6S,6aS)-hexahydrofuro[3,2-b]furan-3,6-diyl dinitrate |
化学的データ |
化学式 |
C6H8N2O8 |
分子量 |
236.136 g/mol |
SMILES
- [O-][N+](=O)O[C@H]1CO[C@@H]2[C@H](O[N+]([O-])=O)CO[C@H]12
|
二硝酸イソソルビド(にしょうさんイソソルビド、英: isosorbide dinitrate, ISDN)は、イソソルビドのヒドロキシ基が2つとも硝酸エステルとなっている誘導体。 代表的な製剤名(いわゆる先発医薬品)はニトロール錠・カプセル・注・スプレー(エーザイ販売)、フランドル錠・テープ(トーアエイヨー製造販売・アステラス販売)である。 各種の後発医薬品も利用でき、日本国内では次に示す商品名で販売されている。
- アパティアテープ、アンタップR、イソコロナールRカプセル、イソピット、L-オーネスゲン錠、カリアント錠、カリアントTPカプセル、コンスピット錠、サークレス注、サワドールL錠、サワドールテープS、ジアセラL錠、硝酸イソソルビド錠(ツルハラ) 、 硝酸イソソルビドテープ「EMEC」 、ニトラステープ、ニトロバイド錠、ニトロフィックス、ニトロール錠、ニトロールRカプセル、ニトロール注、ニトロールスプレー、フランドル、フランドルテープS、ヘルピニン-Rカプセル、リファタックL錠、リファタックテープS
経口剤としては初回通過効果を受けるため、徐放化や貼付剤として開発され、臨床の場で用いられている。
関連項目
- ニトログリセリン
- イソソルビド
- 製品情報 ニトロール錠5mg(エーザイ)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
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- 日本理学療法学術大会 2012(0), 48100506-48100506, 2013
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- アステラス製薬株式会社のアイトロール錠20mg(循環器官用剤)、一般名 一硝酸 イソソルビド(Isosorbide mononitrate) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アイトロール錠10mg
組成
成分・含量(1錠中)
添加物
- 乳糖水和物、無水乳糖、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者
[血管拡張作用により更に血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。]
- 閉塞隅角緑内障の患者
[眼圧を上昇させるおそれがある。]
- 頭部外傷又は脳出血のある患者
[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]
- 高度な貧血のある患者
[血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]
- 硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)を投与中の患者
[本剤とこれらの薬剤との併用により降圧作用が増強され、過度に血圧を低下させることがある。「相互作用」の項参照]
効能または効果
- 本剤は狭心症の発作寛解を目的とした治療には不適であるので、この目的のためには速効性の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤を使用すること。
- 通常、成人には一硝酸イソソルビドとして1回20mg1日2回を経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には1回40mg1日2回まで増量できる。
ただし、労作狭心症又は労作兼安静狭心症で発作回数及び運動耐容能の面で重症と判断された場合には1回40mg1日2回を経口投与できる。
慎重投与
- 低血圧の患者
[血管拡張作用により更に血圧を低下させるおそれがある。]
- 原発性肺高血圧症の患者
[心拍出量が低下しショックを起こすおそれがある。]
- 肥大型閉塞性心筋症の患者
[心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。]
- 肝障害のある患者[副作用が発現しやすくなる。「副作用」の項参照]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
肝機能障害、黄疸
頻度不明
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
血管拡張作用
- 一硝酸イソソルビドは、ウサギの摘出胸部大動脈及び腹部大静脈において用量依存的な血管弛緩作用を示し、血管組織内のcGMP含量を増加した。このような血管弛緩作用は静脈血管に対して高い選択性を有し、cGMP含量の増加も動脈より静脈において著明であった。6)
- 血行動態に対する作用
- 一硝酸イソソルビドは、麻酔イヌにおいて静脈血管の拡張作用に起因する静脈還流量の減少により心臓の前負荷を減少し、また、全末梢血管抵抗の減少により後負荷を減少した。更に、心筋収縮力に対して直接的な影響を与えず、冠血流量を用量依存的に増加した。7,8)
- 無麻酔イヌに一硝酸イソソルビドを経口投与した場合、用量依存的な脈圧減少作用を示し、生物学的利用率も高かった。血漿中一硝酸イソソルビド濃度と脈圧減少作用の間には正の相関がみられた。9)
- 本剤は狭心症患者の安静時の肺動脈楔入圧及び左室拡張末期容積を有意に減少させ、運動負荷試験中の肺動脈楔入圧及び左室拡張末期容積の増加を有意に抑制した。10)
- 虚血時の心電図及び運動耐容量に対する作用
- 一硝酸イソソルビドは、労作狭心症の病態モデルの1つと考えられているコレステロール餌負荷ウサギのhigh-pacingによるST下降を著明に抑制した。
- 本剤は労作狭心症患者のトレッドミル運動負荷試験において、運動耐容量を有意に延長(p<0.01)し、その作用は7時間以上持続した。また、血漿中一硝酸イソソルビド濃度と運動持続時間の増加との間には正の相関が示された。11)
作用機序
- 一硝酸イソソルビドは、冠血流の増加作用に加えて静脈還流量の減少による前負荷減少作用と全末梢血管抵抗の減少による後負荷減少作用が心筋酸素需給のアンバランスを改善して抗狭心症作用を発現すると考えられ、主にcGMPによって媒介される静脈血管の弛緩作用が重要であると考えられる。6〜8)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- 一硝酸イソソルビド(Isosorbide Mononitrate)
化学名
- 1,4:3,6-Dianhydro-D-glucitol 5-nitrate
分子式
分子量
融点
性状
- 一硝酸イソソルビドは白色〜黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに硝酸ようのにおいがある。一硝酸イソソルビドは水、酢酸(100)、メタノール、エタノール(95)、アセトン又は酢酸エチルに溶けやすく、ジエチルエーテル又はクロロホルムにやや溶けやすく、トルエンに溶けにくく、ヘキサンにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- vasodilator、vasodilatator
- 関
- 血管拡張薬
商品
[★]
- 英
- isosorbide mononitrate
- 商
- アイトロール、一硝酸イソソルビド (2020/5/9)
- アイトロール、アイロクール、イソニトール、ソプレロール、タイシロール
- 関
- 二硝酸イソソルビド=硝酸イソソルビド。硝酸薬
分子式