- 英
- crescentic glomerulonephritis CrGN
- 同
- 半月体性糸球体腎炎
- 関
- 半月体、急速進行性糸球体腎炎、糸球体腎炎
[show details]
概念
- 糸球体腎炎の病理診断名の一つ
- 糸球体の炎症の首座が、血管ではなく(管外性、係蹄外)、尿腔にあり、正常であれば一層であるボーマン嚢上皮が二層以上に増殖することで見られる管外性増殖性糸球体腎炎である。
- 臨床病名として急速進行性糸球体腎炎で見られる。
- 糸球体腎炎を引きおこす免疫機序により3種類に分類されている;抗糸球体基底膜抗体、免疫複合体、抗好中球細胞質抗体
- 糸球体係蹄の障害により、フィブリノイド壊死/変性が生じ、基底膜の融解や破綻を来す。好中球やマクロファージ、およびフィブリンが血管外に移動し、その結果としてボーマン嚢上皮が増殖する。これが病理像として半月体として観察される。
病理
- 半月体:ボーマン嚢の障害を受けた壁側上皮細胞(parietal epithelial cell)の増殖、および単球やマクロファージの浸潤による。ボーマン嚢上皮が増殖することでボーマン腔(尿腔)は圧迫される。急性期には炎症性細胞が目立つが(細胞性半月)、次第に細胞外基質に置き換えられ、線維性半月と呼ばれるようになる。
- 糸球体:基底膜は融解し、係蹄外にフィブリノイド壊死を生じる。増殖したボーマン嚢上皮による半月体により圧排される。
免疫学的所見に基づく分類
- BPT.557
- type III:ANCA関連(Pauci-Immune)
参考
- http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/zinzo/img/kyusoku01.jpg
- http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/career/course/image/n_jinzo/jinzou_3.jpg
国試
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- MPO-ANCAおよび抗GBM抗体がともに陽性の急速進行性糸球体腎炎の治療経過中に血栓性血小板減少性紫斑病を合併した1例
- 吉原 真由美,長谷川 浩一,小原 史生
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 44(5), 463-467, 2011-05-28
- … .2008年7月発熱,尿蛋白および尿潜血反応陽性,血清Cr値の上昇(0.9→2.3 mg/dL)を認め当科入院となった.ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)が83 EUと高値で,腎生検上pauci-immune型半月体形成性糸球体腎炎の所見を認めたことから,MPO-ANCA関連急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断し,methylprednisolone(mPSL)パルス療法後,prednisolone(PSL)の後療法を開始した.その後Cr 1.2 mg/dL,MPO-ANCA<10 EUと改善を認め …
- NAID 10029406912
- ANCA関連血管炎による腎病変 (AYUMI ANCA関連血管炎--臓器別にみた最近の話題)
- 症例 抗GBM抗体とMPO-ANCAが共に陽性を示した半月体形成性糸球体腎炎の1例
- PR3-ANCA, MPO-ANCAともに陽性の半月体形成性糸球体腎炎に肺外リンパ節結核の関与が示唆された透析導入患者の1例
- 安田 真子,一色 啓二,坂口 正芳,金崎 雅美,加藤 紀子,山原 康佑,高木 彩乃,岩井 環,上田 久巳,荒木 信一,杉本 俊郎,岡田 裕作,宇津 貴
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 42(12), 965-972, 2009-12-28
- … 症例は54歳の男性.10か月間で腎機能が急激に低下(血清Cr値1.2 mg/dLから5.15 mg/dL)したため紹介.腎生検にて半月体形成性糸球体腎炎と診断,proteinase-3-antineutrophil cytoplasmic antibody(PR3-ANCA)が陽性であったため,PR3-ANCA関連腎炎と考えた.ステロイド療法を行わず外来加療していたところ,退院2か月後より微熱が出現.myeloperoxidase(MPO)-ANCAも陽性を示した.4か月後には,貧血の進行・食欲不振・全身倦怠感・胸水の貯留 …
- NAID 10026316028
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- 急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis、以下RPGN)とは WHOにより、『急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿、蛋白尿、貧血、急速に進行 する腎不全症候群』と定義されている。病理学的には多数の糸球体に細胞性から線維 ...
- 糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気を急速 進行性糸球体腎炎といいます。腎生検の所見は、多くの糸球体に半月体という細胞の 増殖する構造物が観察され、壊死性半月体形成性糸球体腎炎とよばれています。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 腎生検PAM染色標本(別冊No. 4)を別に示す。
- 患者の病歴として最も合致するのはどれか。
- a 扁桃炎罹患2週後に乏尿となった男児
- b 全身浮腫が数日の経過で出現した20歳台の男性
- c 発熱、関節痛、顔面の紅斑および浮腫が出現した20歳台の女性
- d 糖尿病腎症の治療中に浮腫が出現し増悪した60歳台の女性
- e 浮腫と腎機能低下とが数か月で進行した70歳台の男性
[正答]
※国試ナビ4※ [105G023]←[国試_105]→[105G025]
[★]
- 英
- microscopic polyangiitis, MPA
- 同
- 顕微鏡的多発性血管炎、顕微鏡的多発動脈炎 microscopic polyarteritis
- 関
- 血管炎。MPO-ANCA、ANCA関連血管炎
概念
- 古典的なクスマウル・マイアー型(Kussmaul-Maier)の多発動脈炎に対し、分節状壊死性糸球体腎炎のような微小血管炎を伴う多発動脈炎を顕微鏡型と称したのに由来する。
- 小血管の炎症であるので、小血管が集まった臓器が冒される、腎臓(急速進行型糸球体腎炎 RPGN)、肺(間質性肺炎)
定義
- CHCC 2012
- 免疫沈着を全くまたはほとんど認めない壊死性血管炎。主に小型血管(すなわち毛細血管、細静脈、または細動脈)を侵す。壊死性血管炎は小型動脈や中型動脈にも認めることがある。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。肺毛細血管炎もしばしば生じる。肉芽腫性炎症は認めない。
症状
- https://www.nanbyou.or.jp/entry/245
全身症状
|
約70%
|
高血圧
|
約30%
|
皮疹
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約60%
|
多発性単神経炎
|
約60%
|
関節痛
|
約50%
|
筋痛
|
約50%
|
間質性肺炎
|
約25%
|
肺胞出血
|
約10%
|
心不全
|
約18%
|
消化管病変
|
約20%
|
検査
尿検査
治療
- ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2017
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0094/G0000931
- ベースとなるのはステロイドであるが、単独で使われるより、組み合わせて使われていることが多い。
- どの治療が最適化は議論中のようである。
- GC
- GC+POCY/IVCY
- GC+RTX
- GC+MTX
- GC+MMF
国試
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症状
|
検査
|
病理
|
治療
|
結節性多発動脈炎
|
polyarteritis nodosa,PN
|
細動脈に壊死性血管炎を引き起こす。糸球体腎炎なし。
|
① 全身症状あり ② 他臓器の虚血障害〈脳出血、肺出血、虚血性心疾患(心臓の冠動脈が虚血)〉 ③ 進行性腎機能低下、腎血管性高血圧(炎症動脈狭窄→レニン分泌)
|
尿所見に乏しい進行性腎機能低下、腰痛
|
・ 腎臓を含む多臓器の動脈に炎症が生じる。 ・ 腎動脈造影で弓状動脈に生じた結節様病変、糸球体病変は軽度。
|
ステロイド&免疫抑制剤(シクロホスファミド)
|
顕微鏡的多発動脈炎
|
microscopic polyangitis,MPA
|
小血管の炎症。糸球体腎炎あり。
|
①全身症状:発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛 ②多臓器の虚血障害:肺出血(血痰) ③進行性腎機能低下(急性進行性糸球体腎炎)(高齢者のRPGNにMPAが多い)
|
①RPGN症状が(血尿、蛋白尿、円柱、週単位での腎機能低下) ②MPO-ANCA陽性が85%を占める。
|
腎の微小血管と糸球体及び、肺の微小血管に炎症が生じる。 ① 半月体形成:糸球体係蹄壁の外側に増殖した細胞が半月状の形態をとる。 ② 免疫グロブリンや補体の沈着はなし。(p-ANCAがELIZA法で検出される。)
|
|
[★]
- 英
- rapidly progressive glomerulonephritis, RPGN
- 同
- 急速進行性腎炎 rapidly progressive nephritis
- 関
- 半月体形成性糸球体腎炎
まとめ
臨床的に数週から数ヶ月の経過で急速に腎機能が低下して腎不全に至る予後不良の疾患であり、病理的には半月体形成がみられる(半月体形成性糸球体腎炎)ことが特徴の疾患である。小児には稀であり、30-60歳に多く、また男性に多い(男女比=2:1)。血清学的に半月体形成性糸球体腎炎は3つの病型に分類され、それぞれ原因が異なる。type Iは抗基底膜抗体の存在が特徴的であり、特発性のものとグッドパスチャー症候群によるものがある。typeIIは免疫複合体型であり、免疫複合体の沈着が特徴的であり、特発性、感染症(溶連菌感染後急性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎、敗血症、感染性心膜炎、B型肝炎、C型肝炎)、悪性腫瘍、自己免疫性(全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、クリオグロブリン血症)、糸球体疾患の続発(IgA腎症、膜性増殖性糸球体腎炎)などよるものがある。type IIIはpauci-immune型(つまり蛍光顕微鏡上、免疫複合体が乏しい)でありANCAが関連しているとされ、特発性の他、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡多発血管炎などが原因となる。初発症状は全身倦怠感、食欲不振、嘔気などの非特異的症状で潜行性に発症するが、急性腎炎症状やネフローゼ症候群で発症することがある。約50%の例に上気道感染症、インフルエンザ、発熱などの潜行性感染が認められる。進行すれば腎炎症状を呈し、浮腫、乏尿、腎不全、血尿・肉眼的血尿、高血圧をきたす。診断は腎生検により行う。治療は半月体が線維化する以前に(つまり細胞性)、できるだけ早期に開始する。ステロイドパルス療法、カクテル療法(副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、抗凝固療法、抗血小板療法)、血漿交換法を行う。予後は極めて不良であり、発症後数週から数ヶ月、遅くとも1年で腎不全に至る。(YN.E-44 PED.1247)
参考
- http://www.hta-co.com/rapidly_progressive_crescentic_glomerulonephritis_02.jpg
- http://www.hta-co.com/rapidly_progressive_crescentic_glomerulonephritis.jpg
- 血尿、蛋白尿、乏尿、高窒素血症
- 乏尿がsevere
- regardless of the cause, the histologic picture is characterized bu the presence of crescents.
- RPGNを来すetiologyは多様
- 進行が急速:数週から数か月で腎不全
- 光顕:半月体の形成(crescentmoon shape)
[★]
- 英
- myeloperoxidase antineutrophil cytoplasmic antibody, myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody
- perinuclear antineutrophil cytoplasmic antibody, perinuclear-anti-neutrophil cytoplasmic antibody, p-ANCA
- 関
- PR3-ANCA=C-ANCA
鑑別疾患
- YN.F-62
- 全身の小血管に炎症を来たし、全身症状が見られるが特に肺(間質性肺炎)、腎(半月体形成性糸球体腎炎)に病変が認められる。全身症状としては発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛が見られ、肺出血(血痰)、進行性腎機能低下を来たし、尿検査では血尿、蛋白尿、円柱が認められる。治療はステロイドと免疫抑制薬である。重症例では血漿交換も適応となる。死因は腎不全が多い。
- 主に中動脈以下の動脈を好発部位とする壊死性肉芽腫性血管炎。高率に肺病変と好酸球増多症を認め、また好酸球の組織浸潤も著明。気管支喘息、好酸球増加、血管炎をみとめる場合、チャーグ・ストラウス症候群である。典型的組織像が見とめられればアレルギー性肉芽腫性血管炎と呼ばれる。検査では、白血球増加、血小板数増加、血清IgE増加、MPO-ANCA陽性、リウマトイド因子陽性、肺浸潤陰影が認められる。治療はステロイドや免疫抑制薬である。結節性多発動脈炎より予後良好であるが脳血管障害、呼吸不全、腸管出血、感染が死因となりうる。
[★]
- 英
- antineutrophil cytoplasmic antibody, anti-neutrophil cytoplasmic antibody, ANCA
- 関
- [[]]
[★]
肝機能検査
- plos
自己抗体
[★]
- 英
- diffuse crescentic glomerulonephritis
- 同
- びまん性半月体性糸球体腎炎、びまん性管外性増殖性糸球体腎炎 diffuse extracapillary proliferative glomerulonephritis
[★]
- 英
- primary crescentic glomerulonephritis
[★]
- 英
- glomerulus (Z)
- 関
- ボウマン嚢、腎小体、腎臓、輸出細動脈#調節
概念
- 1個の腎臓に100万個存在。
- 房状の毛細血管からなる
- 糸球体の毛細血管は有窓型毛細血管である
糸球体の微細構造 (SP.785)
詳細には
血流の調節 (HIM.1742)
- 輸入細動脈:autonomous vasoreactive reflex in afferent arteriole, tubuloglomerular feedback
- 緻密斑でのCl-の低下 = 原尿流速が早い → 腎灌流量の低下と解釈
- 腎灌流圧↑→輸入細動脈の平滑筋収縮
- 腎灌流圧↓→輸入細動脈の平滑筋弛緩
- 緻密斑はNaClの再吸収にとともにATP、(アデノシン)を細胞外に放出。細胞外のecto-5'-nucleotidaseがATPからアデノシンを産生。アデノシンが輸入細動脈のvasoconstrictorとして作用
- loop diureticsは緻密斑でのNaClの再吸収を妨げるので、尿細管糸球体フィードバックを阻害→糸球体濾過量は高レベルに保たれる
- アンジオテンシンIIと活性酸素種は尿細管糸球体フィードバックを増強 → 輸入細動脈収縮 → 糸球体濾過量低下
- NOは尿細管糸球体フィードバックを減弱 → 輸入細動脈弛緩 → 糸球体濾過量上昇
- 輸出細動脈:angiotensin II-mediated casoconstriction of the efferent arteiole
-
臨床関連
[★]
- 英
- glomerulonephritis
- 同
- 腎炎
- 関
- 糸球体病変
症状
臨床的分類
メモ
- 081201
- E:\データセンター\学習\細々とした勉強ファイル\糸球体腎炎_など.xls
[★]
腎臓内科
- 英
- crescent
- 関
- 半月体形成
- ボーマン腔が細胞によって満たされ、半月様の形態を呈しているもの
感染症
- 英
- malarial crescent
- 熱帯マラリア原虫の生殖母体である。
- 末梢血中の赤血球中に見られる?
[★]
- 英
-
- 関
- 型、形、形式、形態、構造、組成、品種、編成、フォーム、成立、形づくる
[★]
- 英
- plastic、formative、tectonic
- 関
- 可塑性、可塑的、可塑物、プラスチック