出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/16 12:45:35」(JST)
次亜塩素酸ナトリウム | |
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別称
Sodium chlorate(I)
|
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 7681-52-9 |
KEGG | D01711 |
RTECS番号 | NH3486300 |
特性 | |
化学式 | NaOCl |
モル質量 | 74.44 g/mol |
外観 | 白色の固体 |
密度 | 1.07-1.14 g/cm3 液体 |
融点 |
18°C (五水和物) |
沸点 |
101°C (分解) |
水への溶解度 | 29.3 g/100ml, 0°C |
危険性 | |
EU分類 | 腐食性(C) 環境への危険性 (N) |
主な危険性 | 刺激性(-5%) 、腐食性(+10%)、酸化剤 |
Rフレーズ | R31, R34, R50 |
Sフレーズ | (S1/2), S28, S45, S50, S61 |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 塩化ナトリウム 亜塩素酸ナトリウム |
その他の陽イオン | 次亜塩素酸リチウム 次亜塩素酸カルシウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさんナトリウム、sodium hypochlorite)は次亜塩素酸のナトリウム塩である。化学式は NaClO で、次亜塩素酸ソーダとも呼ばれる。希釈された水溶液はアンチホルミンとも呼ばれる。水溶液はアルカリ性を示す。
水酸化ナトリウムの水溶液に塩素を通じて得られる。不安定なため、通常は水溶液として貯蔵、使用される。水溶液は安定で長期の保存が可能だが、時間と共に自然分解し酸素を放って塩化ナトリウム水溶液に変化していく。また高温や紫外線等で分解が促進されるが、同時に不均化も起こる。
特異な臭気(プールや漂白剤の臭い)を有し、酸化作用、漂白作用、殺菌作用がある。
生成方法としては、上記の反応のほかに、海水を電気分解する方法もある。この方法は主に、臨海にある工場施設において用いられ、配水管などに海洋生物が付着するのを防ぐために使われる。2008年度日本国内生産量(12%換算)は 963,878t、消費量は 31,662t である[1]。 同様に、歯科医などでは次亜塩素酸ナトリウム水溶液の精製装置(食塩水を電気分解)を導入し、口腔内殺菌に利用している所もある。 電気分解法は機器が高額ではあるが、原料は食塩と水道水とわずかな電気であり、ランニングコストは非常に安い。
家庭用に販売されている液体の塩素系漂白剤、殺菌剤(洗濯用、キッチン用、ほ乳ビンの殺菌用など)などに使用されており、これらの製品のほとんどに次亜塩素酸ナトリウムの水溶液、またはそれに少量の界面活性剤(中性洗剤の主成分)などが加えられている。
また、水溶液はアンチホルミンという名称で食品添加物としても使われる。殺菌料としては野菜、果実などの消毒にも用いられるが、ゴマに対する使用は禁じられている。これは白ゴマを漂白し、より白いゴマとして高値で販売されていたことへの名残であり、今でも禁止されている。また風呂水の殺菌・再利用にも用いられ、業務用が市販されている。
消毒に使用されることも多く、各種細菌やウイルス、芽胞に効果を示すため、医療器具やリネンの消毒に使用されている。 ただし一部金属に使うと錆びるため使用してはならない。
有効成分は水溶液中の次亜塩素酸(HClO)及び次亜塩素酸イオン(ClO−)である。次亜塩素酸の方が数倍~数十倍(消毒対象によって異なる)と高い傾向にあるが、水溶液のpHによって二者の存在比が変化し、それに伴って消毒効果も変化する。
ノーウォークウイルスなどのノロウイルスを滅菌できるため的確な濃度に希釈して使用する場合もある。
家庭用の製品の「混ぜるな危険」などの注意書きにもあるように、漂白剤や殺菌剤といった次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸などの強酸性物質(トイレ用の洗剤など)と混合すると、黄緑色の有毒な塩素ガスが発生する。浴室で洗剤をまぜたことによる死者も出ているので取り扱いには注意が必要である。
次亜塩素酸ナトリウムを含んだ錠剤を不織布で包み、首からさげる「空間除菌剤」と称して販売されていた。 汗などで濡れると局所的に高濃度の水溶液を生成し火傷を起こすため、消費者庁から使用中止の呼びかけが行われた。 次亜塩素酸ナトリウムやさらし粉(次亜塩素酸カルシウム)は、水溶液中の次亜塩素酸(HClO)及び次亜塩素酸イオン(ClO−)が持つ酸化作用により殺菌するものであり、適切な濃度の水溶液に消毒対象を浸漬したり、水溶液を対象物に噴霧して利用する。 当該製品のような、次亜塩素酸ナトリウムの拡散を利用した消毒薬の効果等は不明である。
空間消毒薬としては、常温常圧にて気体である二酸化塩素が存在するが、安全性が懸念されている。
次亜塩素酸ナトリウムによる漂白は、遊離塩素による塩素化反応なので、トリハロメタンを始めとする多種多様な有機塩素化合物を生成してしまう。これを避けるためには、酸素系漂白剤を使用するとよい。
次亜塩素酸ナトリウムから、不均化反応により容易に塩素酸ナトリウムが生じる。これが乾燥した結晶は爆発性を持つため、事故が起こる原因となる。
1980年代に三重県四日市市内で爆発事故が相次いだ。次亜塩素酸ナトリウム水溶液をタンクに移替える時にホースがはずれ、その溶液を浴びた職員が濡れた衣類を洗わずにそのまま干して乾かしてしまった。そのズボンを着て歩き始めたときに摩擦をきっかけに爆発が起こり、その職員が重体になったというものである。
これについては、セルロースを主体とする布地に次亜塩素酸ナトリウムをしみこませて 40–50 ℃ に保って乾燥させると爆発することが確かめられた。不均化により1/3が塩素酸ナトリウムに変わったのである。塩素酸塩は火薬の原料としても知られている。
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ヤクラックスD液1%*
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次亜塩素酸(じあえんそさん、Hypochlorous acid)は塩素のオキソ酸の1つで、塩素の酸化数は+1である。組成式では HClO と表わされるが、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造 H−O−Cl を持つ。不安定な物質であり水溶液中で徐々に分解する。次亜塩素酸および次亜塩素酸の塩類は酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として利用される。
実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じたりして調整した次亜塩素酸塩水溶液を硫酸で中和し、水蒸気蒸留して遊離酸の水溶液を得る。また、酸化水銀 の四塩化炭素懸濁液に塩素を通じた後に水で抽出したり、あるいは酸化ビスマスを水懸濁液中に塩素を通じることで遊離酸の水溶液を得る方法も知られている。
薄い水溶液としては存在するが、25%以上の濃度では一酸化二塩素に変化するので遊離酸を単離することはできない。濃厚水溶液は淡黄色である。また、遊離酸が弱酸 (pKa = 7.53)<ref>「次亜塩素酸」、『岩波理化学辞CD-ROM版』 第5版、岩波書店、1998年。</ref> のため、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩水溶液はかなり強い塩基性を示す。
水溶液中でも不安定で、次のような不均化により塩化水素を放出しながら徐々に分解する。
次亜塩素酸やその塩の水溶液は、カルキ臭と呼ばれるプールの消毒槽のようなにおいを持つ。
また、塩素を水に溶かすと、次のような平衡により一部が塩酸と次亜塩素酸となる<ref>「次亜塩素酸」、『世界百科事典CD-ROM版』 V1.22、平凡社、1998年。</ref>。
{\rm Cl_2 + H_2O \ \overrightarrow\longleftarrow \ HCl + HClO} \quad K _{\rm w}=1.56 \times 10^{-4} </math> すなわち、中性~酸性条件ではこの反応はあまり進行しないが、アルカリ性条件では生成する遊離酸が次亜塩素酸塩となり平衡が右に偏るので、次亜塩素酸塩を製造する方法の1つとなる。
\rm Cl_2O + H_2O \longrightarrow 2HClO </math>
\rm HClO + H_2O_2 \longrightarrow HCl + H_2O + O_2 </math>
<references />
同位体 | NA | 半減期 | DM | DE (MeV) | DP |
228Th | trace | 1.9116 y | α | 5.52 | 224Ra |
229Th | syn | 7340 y | α | 5.168 | 225Ra |
230Th | trace | 75380 y | α | 4.77 | 226Ra |
231Th | trace | 25.5 h | β | 0.39 | 231Pa |
232Th | 100 % | 1.405 × 1010 y | α | 4.083 | 228Ra |
234Th | trace | 24.1 d | β | 0.27 | 234Pa |
.