- 英
- lacrimation, epiphora
- ラ
- epiphora
- 関
- 涙腺、涙液
- 涙液の過剰産生あるいは排出の排出障害が原因となって起こる(SOP.37)。
- 涙液分泌亢進:癌表面刺激や羞明による反射性減少、眼痛、角膜異物、角結膜炎、角膜上皮欠損・潰瘍、異物、角膜ジストロフィ、虹彩毛様体炎
- 涙液排出障害:鼻涙管狭窄、眼瞼導涙ポンプ機能障害、外傷性涙小管断裂、涙嚢炎、慢性結膜炎、副鼻腔炎術後鼻涙管閉塞、眼瞼縁異常
WordNet
- repetition of the ends of two or more successive sentences, verses, etc. (同)epistrophe
- shedding tears (同)lachrymation, tearing, watering
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/08 11:16:23」(JST)
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この項目では、生理学的見地から見た涙について記述しています。その他の「涙」については「涙 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
涙(なみだ、淚、涕、泪)は目の涙腺から分泌される体液のことである。眼球の保護が主要な役割であるが、ヒト特有の現象として感情の発現として涙を流すことがある。
目次
- 1 普段分泌している涙 - 涙の生理学 -
- 2 感情が高ぶった時などの涙
- 3 涙と演技
- 4 関連項目
- 5 参照資料
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普段分泌している涙 - 涙の生理学 -
涙は涙腺で分泌される。その後 目の表面を通り、涙道を抜け、鼻をくだって最後に喉で吸収される。
通常の分泌量は1日平均2-3cc。涙の原料は血液。9割以上が水で出来ており、タンパク質(アルブミンやグロブリン、後述のリゾチームなど)、リン酸塩なども含有する。涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したもの。一般的に弱いアルカリ性の液体である。分泌された涙液は目の表面を通過したあと涙点に入り、涙小管・涙嚢・鼻を経て、喉から再吸収される。
涙には以下のような役割があるとされている。
- 目の表面(角膜・結膜)への栄養補給
- 瞼を円滑に動かす潤滑材
- 細菌・紫外線から目を守る防御壁
- 雑菌の消毒
涙は「油層」「涙液層」「ムチン層」の3層で目を保護して、その3層の合わせた厚さは約7µm(マイクロメートル)しかない。涙の持っている抗菌成分はリゾチームという。このリゾチームは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する作用を持つ。
眼の使用頻度によって涙が蒸発しやすくなったり分泌量が減ったりすると、ドライアイと呼ばれる状態に陥る。
感情が高ぶった時などの涙
感情の高ぶった際にも多量に分泌される。悲しいとき、嬉しいときに流れることが多い。痛みを感じたときや、吐き気がするときや、大笑いしすぎるときや、あくびをしたときに流れることもある。感情による涙の場合は通常の排出(涙点経由のもの)では間に合わず、涙が目の外へ流出する。悲しみによって涙を流し、声を出す一連の動きのことを「泣く」と言う。
- 大量の涙を流した際に出てくる鼻水は、涙が鼻涙管を経由して排出されたものである。(鼻水も参照)
感情と涙の関係の謎
感情が高ぶった時に、人は何故涙を流すのか? その問いへの答えを探求した人がいる。生化学者のウィリアム・フレイ二世(William H. Frey II)は、涙は感情的緊張によって生じた化学物質を体外へと除去する役割があるのだろう、という仮説を提案した。この生理学者は自身の仮説の妥当性を調べるために実験をしてみた。実験の内容としては、被験者に、いかにも涙を誘う映画を見せて収集した涙と、同じ被験者にタマネギをむかせて収集した涙の、成分の比較をするというものであった。80人あまりの被験者の涙の比較は(この時点の実験で用いられた検出能力でも、少なくとも)感情による涙は、刺激による涙よりも、より高濃度のタンパク質を含んでいるということを示していた。フレイはその実験内容を含む著書を1985年に出版している。[1] [2] [3]
この実験により、感情と涙の成分には何らかの関係がある、ということは示され、フレイの仮説をおおよそ裏付ける内容となっている。そしてこれは、「泣きたい時は思い切り泣くことで様々な感情を洗い流すがいい」といった通念が、生化学的観点ともそれなりの整合性がある、ということも示しているようである。 ただし、フレイの実験では、様々な種類の感情とタンパク質の関係が明らかにされているわけでもないようであり、感情と涙の関係は興味深いテーマとして存在しつづけているようである。
涙と演技
涙は演技で出すことも可能である。俳優を始めとする芸能人はそれを行っている。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、涙に関連するカテゴリがあります。 |
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ウィキメディア・コモンズには、涙の形に関連するカテゴリがあります。 |
- 感情
- あくび(欠伸)
- 高見山(元力士)涙のことを「目から汗が出た」といった最初の人物
- 汗
- 生理学
- 催涙スプレー・催涙剤・催涙弾
参照資料
- ^ 『まだ科学が解けない疑問』ジュリア・ライ、晶文社1991年、p.60-63。
- ^ Crying: The Mystery of Tears, William H. Frey. Winston Pr, 1985.
- ^ 『涙―人はなぜ泣くのか』 ウィリアム・H・フレイII, 日本教文社, 1990年。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 目指せ!眼の形成外科エキスパート(第25回)涙道編 涙道内視鏡を用いた流涙症の検査と治療 : 涙カメラで不治の病,涙目に挑む
- 機能性流涙に対する涙管チューブ挿入術の効果 (第4回 日本涙道・涙液学会)
- 症例報告 微小血管減圧術が奏効した結膜充血と流涙を伴う難治性の短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)の1例
Related Links
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- ティーエスワンにおける流涙は、角膜障害による涙液分泌亢進や涙道障害による涙液排出低下がその原因として疑われます。角膜障害の原因として、フルオロウラシルは細胞分裂の盛んな細胞においてDNA、RNAの合成障害を引き起こす ...
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★リンクテーブル★
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- 67歳の男性。頭痛と右下眼瞼の痛みとを主訴に来院した。 3か月前から右眼に流涙があり、 3日前から右下眼瞼に痛みを伴うようになった。 2日前から頭痛があり、次第に増悪してきたため受診した。体温38.5℃。脈拍76/分、整。血圧118/76mmHg。右下眼瞼の腫脹を認める。項部硬直を認める。血液所見:赤血球420万、 Hb13.0g/dl、 Ht37%、白血球21,000(桿状核好中球20%、分乗核好中球60%、好酸球1%、単球2%、リンパ球17%)、血小板21万。 CRP18mg/dJ。右下眼瞼の写真(別冊No. 26)を別に示す。
- 直ちに行うべき治療として適切なのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106D057]←[国試_106]→[106D059]
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- 32歳の女性。くしゃみ、鼻汁および鼻閉を主訴に来院した。3年前から、毎年2月から4月にかけて同様の症状を繰り返していた。症状は外出時に増強し流涙を伴う。体温36.4℃。眼球結膜は軽度発赤している。咽頭扁桃に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 410万、Hb 14.0g/dl、Ht 39%、白血球 4,800(桿状核好中球2%、分葉核好中球41%、好酸球13%、好塩基球2%、単球5%、リンパ球37%)、血小板 21万。免疫学所見:CRP 0.3mg/dl、IgE 260IU/ml(基準250未満)、IgE RASTスコア:スギ3 (基準0)。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I075]←[国試_105]→[105I077]
[★]
- 13歳の女子。呼吸困難を主訴に来院した。通学する中学校で体育大会に参加していた。午前11時ころ、次の競技に参加するため集合していたところ、目のチカチカ、流涙およびのどや鼻の痛みを自覚し、しばらくすると息苦しさを覚えたという。天気は晴れ。気温28℃、湿度55%。風は穏やかであった。意識は清明。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧102/72mmHg。呼吸数16/分。皮膚は軽度湿潤している。眼球結膜は充血している。咽頭には発赤がみられる。同様の症状を訴える生徒が他に数名いるという。
- 原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107B040]←[国試_107]→[107B042]
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- 54歳の女性。眼の違和感、のどの灼熱感および強い咳を主訴に来院した。風呂場でカビと汚れとを除去するために酸性洗剤をスプレーし、直後に次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする洗剤をスプレーしたところ、眼の症状に続いてのどの症状が出現し、咳が止まらなくなったため救急外来を受診した。意識は清明。脈拍84/分、整。血圧132/74mmHg。流涙が著しい。眼球結膜に充血を認める。
- この患者の症状の原因物質として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106G052]←[国試_106]→[106G054]
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- 20歳の男性。右眼を開けられないことを主訴に来院した。今朝、起床時に右の開瞼が困難であることに気付き、その後も改善しないため受診した。 10日前から、同居の弟の両眼に同様の症状がみられているという。体温36.2℃。流涙を認める。顔面の写真(別冊No. 12A、 B)を別に示す。
- この疾患でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I055]←[国試_106]→[106I057]
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- 25歳の男性。流涙と眼瞼腫脹とを主訴に救急外来を受診した。早朝から海釣りに行き、一日中、晴天下の洋上にいた。帰宅して午後11時を過ぎたころから両眼の痛みが現われ次第に増強してきた。流涙、両眼眼瞼腫脹および結膜の充血があり、眼を開けられなくなった。細隙灯顕微鏡検査で両眼に点状表層角膜症がみられる。
- 原因で最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G042]←[国試_102]→[102G044]
[★]
- 42歳の女性。左眼の流涙を主訴に来院した。数年前から左眼に涙がたまりやすいことを自覚しており、1年ほど前から流涙をきたすようになった。涙道造影で涙嚢は正常に描出されており、そこから尾側の鼻涙管が造影されない。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D054]←[国試_104]→[104D056]
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- 21歳の女性。両眼痛と流涙とを主訴に来院した。昨晩、ハードコンタクトレンズを装用したまま就寝し、午前4時ころコンタクトレンズを外した。その直後から強い眼痛が生じたため家族に付き添われて受診した。
- まず行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E045]←[国試_109]→[109E047]
[★]
- 2か月の乳児。左眼の角膜混濁と流涙とを主訴に来院した。左眼の角膜径は縦径、横径ともに13.0mmである。右眼に異常はない。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H012]←[国試_101]→[101H014]
[★]
- a. 縮瞳
- b. 流涙
- c. 流涎
- d. 発汗停止
- e. 気道分泌亢進
[正答]
※国試ナビ4※ [097B003]←[国試_097]→[097B005]
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- 英
- tear fluid, tear, lacrimal fluid
- ラ
- lacrimae
- 同
- 涙 tears
- 関
- 流涙
涙液の分泌支配
基礎分泌
- 自律神経-交感神経:眼の保護(角膜結膜表面の湿潤を保つ、異物・老廃物の排出)、栄養補給
- 情動性分泌
- 自律神経-副交感神経:情動刺激で涙腺が刺激されて涙液が分泌される。
- 体性神経-三叉神経:物理的な刺激で涙腺が刺激されて涙液が分泌される。
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- 関
- lacrimal
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- 英
- lacrimal reflex
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- 英
- dacryorrhea
- 関
- ワニの涙
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- 英
- epiphora
- 関
- 涙器疾患