出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/04 01:57:36」(JST)
不均化(ふきんか)とは、同一種類の化学種(多くの場合は分子)が2個以上互いに反応して2種類以上の異なる種類の生成物を与える化学反応のこと。不均化の逆反応は均等化である。
化学反応式で記述するとnを2以上として
で表される反応のことである。場合によっては他の物質が関与することもある。
まず、A のうちある分子が酸化剤、別の分子が還元剤として反応し、酸化された B と還元された C を与えるタイプの反応がある。 例えば塩素酸カリウムは 400 ℃ 以上で過塩素酸カリウムと塩化カリウムに不均化する。
この反応では 3分子の塩素酸イオンが還元剤として働いて+V価から+VII価へ酸化され、1分子の塩素酸イオンは酸化剤として働いて+V価から−I価へ還元されている。
カニッツァロ反応では2分子のアルデヒドから酸化されたカルボン酸塩と還元されたアルコールそれぞれ1分子が生成する。
アルコキシドを触媒とすると、エステル化まで進む。これをティシチェンコ反応と呼び、酢酸エチルや安息香酸ベンジルの製法となっている。
ラジカル連鎖反応の終止反応として1分子のラジカルがもう1分子のラジカルから原子団(通常は水素原子)を引き抜いてそれぞれ飽和化合物と不飽和化合物となりラジカルが消滅する反応がある。
一方のラジカルは水素を失って、もう一方のラジカルは水素を得ているので、この反応も酸化還元反応である。
スーパーオキシドジスムターゼは生体内で発生する活性酸素の一つであるスーパーオキシドアニオンラジカルを不均化させて過酸化水素と酸素に変換している。
また、同一種類の2分子の間で原子団を交換した結果、異なる2つの生成物となり不均化することもある。 例えば非対称なジスルフィドは塩基触媒により対称なジスルフィドへと不均化する。
生体内にはトランスフェラーゼと呼ばれるある原子団をある基質から別の基質に転移させる酵素が存在するが、転移元と転移先が同一の物質をであるならこの反応は不均化反応となる。 このような反応を行う酵素としては、デキストリン間で糖鎖の転移を行うデキストリングリコシルトランスフェラーゼが知られている。
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次亜塩素酸(じあえんそさん、Hypochlorous acid)は塩素のオキソ酸の1つで、塩素の酸化数は+1である。組成式では HClO と表わされるが、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造 H−O−Cl を持つ。不安定な物質であり水溶液中で徐々に分解する。次亜塩素酸および次亜塩素酸の塩類は酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として利用される。
実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じたりして調整した次亜塩素酸塩水溶液を硫酸で中和し、水蒸気蒸留して遊離酸の水溶液を得る。また、酸化水銀 の四塩化炭素懸濁液に塩素を通じた後に水で抽出したり、あるいは酸化ビスマスを水懸濁液中に塩素を通じることで遊離酸の水溶液を得る方法も知られている。
薄い水溶液としては存在するが、25%以上の濃度では一酸化二塩素に変化するので遊離酸を単離することはできない。濃厚水溶液は淡黄色である。また、遊離酸が弱酸 (pKa = 7.53)<ref>「次亜塩素酸」、『岩波理化学辞CD-ROM版』 第5版、岩波書店、1998年。</ref> のため、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩水溶液はかなり強い塩基性を示す。
水溶液中でも不安定で、次のような不均化により塩化水素を放出しながら徐々に分解する。
次亜塩素酸やその塩の水溶液は、カルキ臭と呼ばれるプールの消毒槽のようなにおいを持つ。
また、塩素を水に溶かすと、次のような平衡により一部が塩酸と次亜塩素酸となる<ref>「次亜塩素酸」、『世界百科事典CD-ROM版』 V1.22、平凡社、1998年。</ref>。
{\rm Cl_2 + H_2O \ \overrightarrow\longleftarrow \ HCl + HClO} \quad K _{\rm w}=1.56 \times 10^{-4} </math> すなわち、中性~酸性条件ではこの反応はあまり進行しないが、アルカリ性条件では生成する遊離酸が次亜塩素酸塩となり平衡が右に偏るので、次亜塩素酸塩を製造する方法の1つとなる。
\rm Cl_2O + H_2O \longrightarrow 2HClO </math>
\rm HClO + H_2O_2 \longrightarrow HCl + H_2O + O_2 </math>
<references />
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