出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/03/24 21:43:29」(JST)
水酸化カリウム | |
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IUPAC名
水酸化カリウム |
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別称
苛性カリ
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 1310-58-3 |
RTECS番号 | TT2100000 |
特性 | |
化学式 | KOH |
モル質量 | 56.10564 g mol−1 |
外観 | 潮解性の白色固体 |
密度 | 2.044 g cm−3, 固体 |
融点 |
360 ℃ |
沸点 |
1320 ℃ |
水への溶解度 | 1100 g/dm3 (25 ℃) |
構造 | |
結晶構造 | 単斜晶系 |
配位構造 | 八面体 |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−424.764 kJ mol−1 |
標準モルエントロピー S |
78.9 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cp |
64.9 J mol−1K−1 |
危険性 | |
EU分類 | 腐食性(C) |
NFPA 704 |
0
3
1
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Rフレーズ | R22 R35 |
Sフレーズ | (S1/2) S26S36/37/39 S45 |
引火点 | なし |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 酸化カリウム; 過酸化カリウム; 超酸化カリウム |
その他の陽イオン | 水酸化リチウム; 水酸化ナトリウム; 水酸化ルビジウム; 水酸化セシウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
水酸化カリウム(すいさんかカリウム、potassium hydroxide)は硬くてもろい白色の結晶で、カリウムの水酸化物であり、カリウムイオンと水酸化物イオンよりなるイオン結晶である。苛性カリ(かせいカリ、caustic potash )とも呼ばれる。
化学式は KOH であり、式量は 56.11 である。塩化カリウムの水溶液を電解して得られる。 製造過程において水分を完全に除去するのが困難であり、市販品はKOH含有量85%程度のものが多く、無水物と一水和物(KOH·H2O)との混合物であり、多少の炭酸カリウムも含まれる。
潮解性があり、水、エタノールによく溶け、水溶液は強いアルカリ性つまり強アルカリを示す。タンパク質に対し強い腐食性があるため、毒物及び劇物取締法で劇物に指定されている。
水和熱および水に対する溶解熱は水酸化ナトリウムより大きく以下の通りである[1]。
物性・化学特性は水酸化ナトリウムとほとんど同じであり、水酸化ナトリウムよりもアルカリとしての強度が大である。したがって無機工業原料としては安価な水酸化ナトリウムが代用される場合が多い。もちろん生成物にカリウムが必要な場合は代用されない。実際の反応では強度の違いが表面化することもある。例えば、ベンゼンスルホン酸塩をアルカリ融解する際、水酸化ナトリウムだけではほとんど進行しないが、水酸化カリウムを1/3程度加えると速やかに完了する。また、油脂の鹸化は水酸化ナトリウム水溶液では時間がかかるが、水酸化カリウムはアルコールに溶けやすく、均一になって容易に進む。
これは希薄水溶液中では水平化効果により塩基性の差はほとんど見られないが、濃厚水溶液では水酸化ナトリウムよりも活量が著しく増大し、熔融塩も同様であるためその差が顕著に現れ、この現象はナトリウムイオンよりもカリウムイオンのほうがイオン半径が大きく、水酸化物イオンとの相互作用が小さく、より強い塩基性が発揮できるためである。
多くの塩基に見られる通り二酸化炭素を吸収する性質を持ち、その能力は固体および濃厚水溶液において水酸化ナトリウムより強く、これは生成した炭酸カリウムの水に対する溶解度が炭酸ナトリウムより大きいためである。
陸上生物は生体内にカリウムを濃縮するため、古来は植物を燃焼させた灰がカリウム資源であった。今日は岩塩鉱の副産物(複塩)など鉱物がカリウム資源となっている。日本国はカリウムの鉱物資源を持たず、カリウム化合物は輸入に頼らざるを得ない。ナトリウムに比べると産出量が少ないため、概ねカリウム化合物はナトリウム化合物より高価である場合が多い。(例外:過マンガン酸ナトリウム等)
水酸化ナトリウムよりも水酸化カリウムの方が塩基性が強いので、加水分解などでより強い塩基性が必要とされる場合は、水酸化カリウムが使用される。油脂の鹸化価を滴定により調べるには、フェノールフタレインを指示薬としてエタノールに油脂を溶かして温め、水酸化カリウムのエタノール溶液を滴下する。水酸化ナトリウムはエタノールに溶けにくく、反応速度も小さいので用いられず、鹸化価の定義には KOH の式量が含まれる。
一般用途としては、廃油、毛髪による配管詰まりの洗浄剤や石鹸の材料として用いられる。水酸化ナトリウムは固形石鹸の材料であり、水酸化カリウムは液体石鹸の材料となる。
その強い塩基性を直接利用し、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)や界面活性剤と合わせて洗浄剤として用いた製品もある。強烈な油汚れやタバコのヤニに対しては大変優れた洗浄力を示すが、物性が危険なため専ら空調業界やクリーニング業界向けの業務用製品である。
医薬品の製造などにも用いる。
水酸化カリウム(固体+液体)の2008年度日本国内生産量は 136,272 t、消費量は 28,044 t である[2]。
ドクツルタケとシロタマゴテングタケ(前者は溶液を付けると黄変するが後者は変色しない)など一部のキノコの判別、皮膚組織を溶かして真菌に感染しているか検査する方法(皮膚病変KOH試験)にも用いられる。
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グリセリンカリ液
リンク元 | 「次亜塩素酸」「グリセリンカリ」 |
関連記事 | 「カリウム」「水酸化」 |
次亜塩素酸(じあえんそさん、Hypochlorous acid)は塩素のオキソ酸の1つで、塩素の酸化数は+1である。組成式では HClO と表わされるが、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造 H−O−Cl を持つ。不安定な物質であり水溶液中で徐々に分解する。次亜塩素酸および次亜塩素酸の塩類は酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として利用される。
実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じたりして調整した次亜塩素酸塩水溶液を硫酸で中和し、水蒸気蒸留して遊離酸の水溶液を得る。また、酸化水銀 の四塩化炭素懸濁液に塩素を通じた後に水で抽出したり、あるいは酸化ビスマスを水懸濁液中に塩素を通じることで遊離酸の水溶液を得る方法も知られている。
薄い水溶液としては存在するが、25%以上の濃度では一酸化二塩素に変化するので遊離酸を単離することはできない。濃厚水溶液は淡黄色である。また、遊離酸が弱酸 (pKa = 7.53)<ref>「次亜塩素酸」、『岩波理化学辞CD-ROM版』 第5版、岩波書店、1998年。</ref> のため、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩水溶液はかなり強い塩基性を示す。
水溶液中でも不安定で、次のような不均化により塩化水素を放出しながら徐々に分解する。
次亜塩素酸やその塩の水溶液は、カルキ臭と呼ばれるプールの消毒槽のようなにおいを持つ。
また、塩素を水に溶かすと、次のような平衡により一部が塩酸と次亜塩素酸となる<ref>「次亜塩素酸」、『世界百科事典CD-ROM版』 V1.22、平凡社、1998年。</ref>。
{\rm Cl_2 + H_2O \ \overrightarrow\longleftarrow \ HCl + HClO} \quad K _{\rm w}=1.56 \times 10^{-4} </math> すなわち、中性~酸性条件ではこの反応はあまり進行しないが、アルカリ性条件では生成する遊離酸が次亜塩素酸塩となり平衡が右に偏るので、次亜塩素酸塩を製造する方法の1つとなる。
\rm Cl_2O + H_2O \longrightarrow 2HClO </math>
\rm HClO + H_2O_2 \longrightarrow HCl + H_2O + O_2 </math>
<references />
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