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強酸性水(きょうさんせいすい)は次亜塩素酸(HClO)の水溶液であり、水に塩化ナトリウムや塩酸などを電解質として加え、イオン交換膜を介して電気分解したとき、陽極側に生成する酸性水溶液をいう。強酸性を示す電解水で強い殺菌作用がある。 なお陰極側の水溶液はアルカリイオン水と呼ばれる。
1987年に強酸化水オキシライザーが誕生し[1]、開発された水である[2]。強酸性電解水は厚生労働省によって、生成装置とのセットで1996年に洗浄消毒、1997年に内視鏡洗浄消毒、2002年に次亜塩素酸水として食品添加物に認可された。2004年には、市場規模は27億円で、食品分野を中心に市場が形成されている[3]。
強い殺菌作用を持ち、機能水の1つとされる。主な成分は次亜塩素酸で、他の有効塩素として塩素と次亜塩素酸イオンを含む。この殺菌作用は電極より発生するラジカル種は関与していないと考えられている[2]。 次亜塩素酸を含む[4]強酸性水は食品添加物用途に利用され次亜塩素酸水と呼ばれている[5]。
通常の消毒液で用いる次亜塩素酸ナトリウム水溶液はアルカリ性であるため、ClO-(次亜塩素酸イオン)が主成分であり、強力なHClO(次亜塩素酸)はあまり含まれていない。 対して、強酸である次亜塩素酸水溶液ではHClO(次亜塩素酸)が主成分であり[5]、10から20分の1の濃度で十分な殺菌力がある[6]。食品・医療・農業といった産業分野での採用がすすんでいる[7]。日本で食品に使用する場合は、最終食品の完成前に除去することと厚生省告示により定められている[8]。 布を洗浄したところ漂白作用がみられ、次亜塩素酸ナトリウムによるものと考えられた[9]。
次亜塩素酸ナトリウムのように規定濃度に希釈する手間が省ける[10]
微生物 | 強酸性 電解水 |
0.1% NaCIO |
---|---|---|
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) |
<5秒 | <5秒 |
S.epidermidis | <5秒 | <5秒 |
Pseudomonas aeruginosa (緑膿菌) |
<5秒 | <5秒 |
Escherichia coli (大腸菌) |
<5秒 | <5秒 |
Salmonella sp. (サルモネラ菌) |
<5秒 | <5秒 |
その他の栄養型細菌 | <5秒 | <5秒 |
Bacillus cereus (セレウス菌) |
<5分 | <5分 |
Mycobacterium tuberculosis (結核菌) |
<2.5分 | <5分 |
他の抗酸菌 | <1-2.5分 | <2.5-30分 |
Candida albicans (カンジダ菌) |
<15秒 | <15秒 |
Trichophyton rubrum (トリコフィトン) |
<1分 | <5分 |
他の真菌 | <5-60秒 | <5秒-5分 |
エンテロウイルス | <5秒 | <5秒 |
ヘルペスウイルス | <5秒 | <5秒 |
インフルエンザウイルス | <5秒 | <5秒 |
0.1%NaCIOは、次亜塩素酸ナトリウム(ミルトン©)を使用 |
酸性を示す以外は、瞬時の殺菌作用、幅広い殺菌スペクトルなど[12][13]塩素殺菌と同様な特徴がある。ただ、その殺菌能力は血液など有機物によって減ってしまうので、殺菌を行う前に有機物を除去するように洗浄しておくことが重要である[12][13]。有機物では失活するという特性はむしろ安全だという利点でもある[6]。従来の消毒液より、人体への安全性も高いと見られている[12]。手荒れも起こりにくい[13][14]。安価に生成でき[13]、環境への負荷が低い点が評価されている[12][15]。薬剤のように残留することもない。うがい薬や食中毒予防のためなどにも使われている。4℃でも殺菌力があるが、10℃以下ではバチルス属に対する殺菌力が低くなる[12]。便器に散布すれば、殺菌できるため雑菌の繁殖を防止し防臭が可能となる[16]。
農産業では、減農薬[17]、病害対策[18]、連作障害[19]に応用されている。畜産動物の消毒にも用いられる[20]。
生野菜を除菌する効果は、水道水との比較で強酸性水のほうが明らかに除菌効果が高かった[21]。O-157を殺菌可能である[22]。
酸性であるので、歯を浸潤させエナメル質を溶かす程度を計測したところ、確かに歯を脱灰させるがその程度は少ないため、通常の洗口では可逆範囲である[23]。洗口剤として利用した強酸性水は、水道水より著しく口臭の発生を抑制し、生理食塩水よりも歯肉ポケット内のプラークを殺菌することが確認された[24]。歯の根管の洗浄液として臨床で応用が可能であるという研究報告がある[25]。
中国では「強酸性電解水皮膚病治療装置器」の特許が登録されている[26]。
1995年の報告では、21例の幼児のアトピー性皮膚炎の患者に、二重盲検法で超酸性水か水道水を霧吹きで噴霧し1週間後に観測したところ、超酸性水を使ったほうのみ皮膚症状の減少が有意であった(効果がないわけではないの意味)[27]。1997年の報告では、二重盲検法で水を噴霧し1週間後に観察したところ、水道水11例は症状に変化がなく、強酸性水11例には症状に改善が見られた[28]。2001年1月に小児科医療の専門誌に、患者23例に対する二重盲検法による2週間にわたる臨床研究を行ったところ、強酸性水を使った13例中の10例に症状の改善が見られたと報告された[29]。
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リンク元 | 「次亜塩素酸」 |
関連記事 | 「強酸」「強酸性」 |
次亜塩素酸(じあえんそさん、Hypochlorous acid)は塩素のオキソ酸の1つで、塩素の酸化数は+1である。組成式では HClO と表わされるが、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造 H−O−Cl を持つ。不安定な物質であり水溶液中で徐々に分解する。次亜塩素酸および次亜塩素酸の塩類は酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として利用される。
実験室的には水酸化カリウム水溶液などに塩素を通じたりして調整した次亜塩素酸塩水溶液を硫酸で中和し、水蒸気蒸留して遊離酸の水溶液を得る。また、酸化水銀 の四塩化炭素懸濁液に塩素を通じた後に水で抽出したり、あるいは酸化ビスマスを水懸濁液中に塩素を通じることで遊離酸の水溶液を得る方法も知られている。
薄い水溶液としては存在するが、25%以上の濃度では一酸化二塩素に変化するので遊離酸を単離することはできない。濃厚水溶液は淡黄色である。また、遊離酸が弱酸 (pKa = 7.53)<ref>「次亜塩素酸」、『岩波理化学辞CD-ROM版』 第5版、岩波書店、1998年。</ref> のため、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩水溶液はかなり強い塩基性を示す。
水溶液中でも不安定で、次のような不均化により塩化水素を放出しながら徐々に分解する。
次亜塩素酸やその塩の水溶液は、カルキ臭と呼ばれるプールの消毒槽のようなにおいを持つ。
また、塩素を水に溶かすと、次のような平衡により一部が塩酸と次亜塩素酸となる<ref>「次亜塩素酸」、『世界百科事典CD-ROM版』 V1.22、平凡社、1998年。</ref>。
{\rm Cl_2 + H_2O \ \overrightarrow\longleftarrow \ HCl + HClO} \quad K _{\rm w}=1.56 \times 10^{-4} </math> すなわち、中性~酸性条件ではこの反応はあまり進行しないが、アルカリ性条件では生成する遊離酸が次亜塩素酸塩となり平衡が右に偏るので、次亜塩素酸塩を製造する方法の1つとなる。
\rm Cl_2O + H_2O \longrightarrow 2HClO </math>
\rm HClO + H_2O_2 \longrightarrow HCl + H_2O + O_2 </math>
<references />
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