- 英
- judicial autopsy, forensic autopsy
- 関
- 異状死体、行政解剖、死体検案、解剖
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/07 18:13:59」(JST)
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司法解剖(しほうかいぼう、英: internal examination, judicial autopsy)は、犯罪性のある死体またはその疑いのある死体の死因などを究明するために行われる解剖。
目次
- 1 根拠法規
- 2 施行
- 3 運用
- 4 現状
- 5 注釈
- 6 関連
- 7 外部リンク
|
根拠法規
刑事訴訟法168条1項「鑑定人による死体の解剖」、同法229条「検視」、および死体解剖保存法の規定に基づいて、刑事事件の処理を目的に行われる。
多くのケースでは被解剖者の遺族への心情的配慮から、その了承を得た上で解剖が行われているが、法律上は裁判所から「鑑定処分許可状」の発行を受ければ、遺族の同意が得られなくても職権で強制的に行うことが可能である。
施行
司法解剖を行う者の資格について詳細な規定はなく、法的には、学識を有し、かつ捜査当局の嘱託を受けた者なら誰でも行えると解釈できるので、かつては警察協力医などの臨床医によって行われるケースも存在した。
しかし、法医学の分野における科学技術が格段に進歩した今日では、解剖によって得られた情報が刑事事件の真相解明や犯人特定などに重大な影響を与えることから、事件発生現場や死体発見現場に最寄の大学医学部において、高度な専門知識を持つ法医学者の手で執行するのが原則である。この場合、執刀者は前述の「鑑定処分許可状」のもと、捜査を担当する検察官や警察署長などの嘱託を受けて解剖を行う。
運用
犯罪被害死体の全てが司法解剖されるわけではなく、交通事故など受傷状況が明確で外表検査で死因も明らかにし得る場合は解剖せず、検視のみで終わる場合が多い。しかしいったん「解剖必要」との結論に至れば、死因や状況のいかんに関わらず解剖される運用となっており、遺族も事実上拒否できない。事件・事故の場合などはやりきれないという遺族感情が出たとしても無理からぬことである。大規模事件・事故の際、この運用を指摘する新聞記事が掲載されることがある。
現状
現状として、予算や医師不足などの理由から、警察の死体取扱い件数のほとんどが司法解剖されていない。また、同様の事情により変死と思われるような状況でも、自殺や事故、心不全で片付けられることもあるとも云われている[1]。
平成19年の都道府県別死体取扱状況
都道府県警察 |
死体取扱数 |
司法解剖数 |
司法解剖率 |
北海道警 |
6346 |
281 |
4.4% |
青森県警 |
1972 |
106 |
5.4% |
岩手県警 |
1892 |
89 |
4.7% |
宮城県警 |
2544 |
232 |
9.1% |
秋田県警 |
1637 |
195 |
11.9% |
山形県警 |
1582 |
134 |
8.5% |
福島県警 |
2932 |
122 |
4.2% |
警視庁 |
19516 |
251 |
1.3% |
茨城県警 |
3745 |
97 |
2.6% |
栃木県警 |
2975 |
149 |
5.0% |
群馬県警 |
2601 |
91 |
3.5% |
埼玉県警 |
8144 |
112 |
1.4% |
千葉県警 |
7041 |
144 |
2.0% |
神奈川県警 |
11640 |
356 |
3.1% |
新潟県警 |
3051 |
77 |
2.5% |
山梨県警 |
1143 |
36 |
3.1% |
長野県警 |
2322 |
93 |
4.0% |
静岡県警 |
4110 |
82 |
1.4% |
富山県警 |
1170 |
59 |
5.0% |
(警察庁刑事局捜査第一課に報告のあったもの。交通関係を除く。)
この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
注釈
- ^ Japan's police see no evil(Los Angeles Times/November 09, 2007)
関連
- 法医学
- 行政解剖
- 監察医
- オートプシー・イメージング
- 京都府立医科大学法医学教室
- 東京女子医科大学医学部法医学講座
外部リンク
- 司法解剖標準化指針 日本法医学会 司法解剖のあり方検討委員会 平成21年4月
Japanese Journal
- 局在性脳損傷とびまん性軸索損傷の併発の可能性について
- 張 月琳,青村 茂,中楯 浩康,藤原 敏
- 日本保健科学学会誌 13(3), 112-121, 2010-12-25
- … 司法解剖例をコンピュータシミュレーションにより再現した結果,局在性脳損傷が死因と判断された場合でもDAIが併発している可能性が高いことを示した。 …
- NAID 110008144080
- 病理解剖と司法解剖 (特集 魅力ある周産期研修のために--産科編)
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- 次の文を読み、 50~ 52の問いに答えよ。
- 78歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:昨日から 37.4℃の発熱、頭痛および悪心を訴えていた。今朝になって意識がもうろうとしているところを家族に発見され、救急搬送された。
- 既往歴: 30年前から高血圧症の治療を受けている。
- 生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が脳出血のため 82歳で死亡。
- 現症:意識レベルは JCSIII-200。身長 167 cm、体重 68 kg。体温 38.1 ℃。脈拍104/分、整。血圧 106/78 mmHg。呼吸数 20/分。 SpO2 98% (マスク 5 l/分酸素投与下 )。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭に軽度発赤を認める。項部硬直を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。顔面と四肢とに明らかな麻痺を認めない。腱反射に異常を認めない。意識障害のため感覚障害は不明。血液検査と同時に血液培養の検体を提出した。
- 検査所見:血液所見:赤血球 428万、 Hb 13.6 g/dl、Ht 42%、白血球 14,300(桿状核好中球 16%、分葉核好中球 64%、単球 4%、リンパ球 16% )、血小板 23万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dl、アルブミン 3.4 g/dl、AST 24 IU/l、ALT 19 IU/l、 LD 277 IU/l(基準 176~353)、 ALP 283 IU/l(基準 115~359)、 γ -GTP 46 IU/l(基準 8~50)、 CK 124 IU/l(基準 30~140)、尿素窒素 22 mg/dl、クレアチニン 1.0 mg/dl、血糖 106 mg/dl、Na 134 mEq/l、K 4.2 mEq/l、Cl 96 mEq/l。CRP 2.4 mg/dl。翌日、患者の病態は悪化し死亡が確認された。病態の解明のため、遺族の同意の下で、この病院に勤務する病理医による解剖が行われた。
- 当てはまるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108B051]←[国試_108]→[108B053]
[★]
- 58歳の男性。ショッピングセンターの駐車場でエンジンがかかったまま停車している自家用車を不審に思った買い物客により、運転席で死亡しているのを発見された。救急隊が現場に到着した時には既に硬直がみられたため病院には搬送されず、死因等究明のため司法解剖された。身長 170cm、体重 90kg。背面に死斑が高度に発現し、硬直は全身の諸関節で強い。外表に創傷はない。脳は1,750gで浮腫状である。胸郭・脊椎に骨折はなく、左右胸膜腔に液体貯留はほとんどない。心嚢に破裂はない。心重量は610gで冠状動脈に内膜肥厚・血栓はなく、心筋には異状を認めない。大動脈はValsalva洞から左鎖骨下動脈起始部の下15cmの高さにかけて、内外膜間が解離し、両端部の内膜および中膜に亀裂がある。肺と肝臓はうっ血しているが、臓器表面に異状はない。死後解剖前に撮影した胸部CT(別冊No. 5A)及び解剖時に心嚢を切開した際に撮影した写真(別冊No.5B)を別に示す。
- 最も考えられる病態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C035]←[国試_114]→[114C037]
[★]
- 1歳5か月の女児。保育所から心肺停止のため搬入された。3日前に感冒様症状で近医を受診し、
- 抗ヒスタミン薬と鎮咳去痰薬とを処方されていた。保育所では当日の午前中は元気であったが、
- 午後1時半に突然39℃台の発熱に気付き水分を摂取させ、父親が迎えに来るまで眠らせていた。
- 午後4時に父親が迎えに来て患児を見たところ顔面蒼白に気付き、救急車を要請した。
- 救急隊到着時には患児は心肺停止状態にあった。救急車内および病院とで蘇生を試みたが午後5時32分に死亡が確認された。
- 気管挿管時に気管内に吐物は認めなかった。病院到着後に実施したインフルエンザ迅速検査でA型インフルエンザ抗原陽性であった。
- 検視の結果、事件性はないと判断された。担当医が行うのはどれか。2つ選べ。
[正答]
CE
- インフルエンザが死因とは言い切れず、死因は不明なので異状死
※国試ナビ4※ [103G043]←[国試_103]→[103G045]
[★]
- 身元不明の中年男性。公園のベンチで意識がもうろうとしていたため搬入された。体温37.5℃。脈拍52/分、整。血圧170/110mmHg。外傷はなく、画像診断および各種検査の結果、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断され、治療が施されたが、来院3時間後に死亡が確認された。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E040]←[国試_102]→[102E042]
[★]
- 86歳の女性。監察医制度の指定地域にある自宅で死亡した。所轄の警察署が死因について犯罪との関連性はないと判断したので、死亡診断書の作成のため、2日前に初めて往診した医師が自宅に呼ばれた。しかし、前回の診療内容からは死に至った経過を説明できないことから、死因を明らかにするためには解剖が必要と考えられた。
- この解剖はどれにあたるか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105H024]←[国試_105]→[105H026]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102E033]←[国試_102]→[102E035]
[★]
- 関
- 法令
医師が関与する法律
医師が間接的に関与する法律
コメディカルが関する法律
参考
[★]
- 関
- 解剖#解剖の種類、篤志解剖
国試
[★]
- 英
- autopsy
- 関
- 死体解剖保存法
[★]
- 英
- dissection、anatomy
- 関
- 解体、解剖学、解離、精査、切開、分析、解剖学的形態、郭清、ダイセクション
解剖の種類
- SUB12.33改変