- 英
- unnatural death
- 関
- 異状死体、死体検案。外因死、内因死
異状死の定義
- 標準救急医学 第4版 p.20
- 自然死もしくは病死以外はすべて異状死となる
- 1. すべての外因死とその後遺症による死亡(疑い例を含む)
- 2. 自殺、他殺
- 3. 死因不明(死因が不明である以上は外因死を完全に否定できない)
- 4. 病死が疑われるものの病名不詳、あるいは病死・自然死と外因死の区別がつかない(従って外因死を完全に否定できない)
ケース
- 094D001
異状死(外因死、または不明)
- 生後5ヶ月の乳児の保育所での突然死
- 高所から墜落した患者のショック死
- 救急来院時の病態不明の心肺停止死
- 交通事故による植物状態に起因する嚥下性肺炎による死亡 ← 交通事故なので来院時に警察に通報があるはずだが
病死(内因死)
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/27 19:59:49」(JST)
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異状死(いじょうし)とは医師法21条にある「異状」な死の状態を指す。
目次
- 1 概要
- 2 日本法医学会の見解
- 3 日本外科学会の見解
- 4 第三者機関設立を求める声明
- 5 議論
- 6 条文
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
専ら法医学または法医病理学的用語として用いられている。
刑事法規上の以下の全てを含む概念である。
- 「変死の疑いのある死(自然死か不自然死か不明のもの)」
- 「変死(不自然死だが犯罪性は不明のもの)」
- 「犯罪死(殺人や過失致死といった犯罪性のあるもの)」
- 「非犯罪死(災害死や自殺といった犯罪性のないもの)」
医師法21条では、医師が異状死に遭遇した場合には警察に届け出ることを義務付けており、違反には刑事罰(2万円以下の罰金)も規定されている。この規定は日本国憲法第38条で規定された自己負罪拒否特権によって違憲とする説もあったが、消毒液を血液凝固阻止剤と取り違えて点滴して死亡した患者を異状死として届けなかった都立広尾病院事件の2004年の最高裁判決では「犯罪発見や被害拡大防止という公益が高い目的があり、また届出人と死体との関連の犯罪行為を構成する事項の供述までも強制されるわけではなく、捜査機関に対して自己の犯罪が発覚する端緒を与える可能性になり得るなどの一定の不利益を負う可能性は(人の生命を直接左右する診療行為を行う社会的責務を課する)医師免許に付随する合理的根拠のある負担として許容されるべき」として合憲判決が出ている。ただし、届け出るべき異状死の範囲には対立する見解が存在しており、明確な共通見解はいまだ存在していない。
福島県立大野病院産科医逮捕事件で医師が起訴されたことで医師業界の波紋が広がった際に医師法21条が注目されたが、自己負罪拒否特権を巡るその他の判例での合憲などを一切無視し、安直に刑事処罰に対する自白強要と混同して、医師の異状死体の届出義務に反発する声が広がっている。
日本法医学会の見解
1994年5月に策定されたガイドラインに規定されるもので、「広義説」とも呼ばれる。このガイドラインでは、内因性急性死(病気が原因の突然死)、診療行為に関連した予期しない死亡、原因不明の死亡(孤独死、因果関係の不明な死亡)を包含して広義の異状死と提案している。この見解で特徴的なのは、いわゆる合併症による死亡も届け出るべき異状死に含むべきと規定していることであり、外科医師などリスクを負った積極的治療を行う医師からの反発が強い。
本見解における定義の拡大は、内因性急性死(病気が原因の突然死)、診療行為に関連した予期しない死亡が、適切な警察の検視や行政解剖の対象にならないまま、医療機関によって病死として最終処理され、急性心不全、老衰、脳卒中など曖昧な死因のまま日本人の死亡統計に反映されている社会状況を憂慮したものである。
日本外科学会の見解
上記の日本法医学会見解への対抗意見として提示されたものであり、「限定説」とも呼ばれる。 2001年4月に日本外科学会ほか外科関連13学会の共同で出された声明「診療に関連した『異状死』について」において、異状死とは「診療行為の合併症で合理的説明ができない死亡」であり「診療行為の合併症として予期された死亡」は異状死に含まれないことが主張された。 また、2002年7月の「診療行為に関連した患者の死亡・障害の報告についてのガイドライン」においては、重大な過誤の存在しない事例における合併症死が異状死に含まれないことを再確認するとともに、重大な医療過誤が存在する(または強く疑われる)場合の医療行為関連死あるいは重大な障害は、異状死と同様に届け出るべきであるとされた。
第三者機関設立を求める声明
2004年2月、日本内科学会、日本外科学会、日本病理学会、日本法医学会の4団体による共同声明「診療行為に関連した患者死亡の届出について〜中立的専門機関の創設に向けて〜」が提出された。この声明では、医療の安全性を高めるためには医療関連死の幅広い収集・分析ならびに患者(遺族)に対する情報提供が重要であること、そのためには犯罪の取り扱いを業とする警察機関は届け出先として不適切であること、届け出先として新たに専門的かつ中立的な分析機関が必要であることを訴えている。ただし、専門的な評価を仰ぐまでもなく重過失や犯罪性が疑われる場合には、従来通りの警察への届け出を行うべきとも主張している。
議論
異状死(意訳:abnormal death)は疾患に基づく病理学的死(意約:pathological death)と区別して考えるべきである。病理学的死における死因の究明は医師または病理医に委ねるべきだが、診療行為に関連した異状死は警察署の検視、監察医による検案または行政解剖を経て、適切な死体検案書を作成されることが要求される。たとえその異状死の原因が最終的に病理学的な異常に基づくものと判明しても、死因究明を第3者に委ねることが科学的根拠に基づく公正な判断に導くとされている。
監察医務院の整備された東京都などを除くと、日本のほとんどの道府県では医師の間で異状死の範囲と警察への届け出について十分な理解が得られていない状況である。
上記の4学会共同声明で求められたような中立的専門機関はいまだほとんど機能しておらず、対立する見解のどちらに拠って対応するか、また警察や検察がどちらの見解を採用するかは、その場その場の現場判断によって行われているのが現状である。しかしながら、外科学会説に従って合併症死を届け出なかったことによって逮捕された事例がある(福島県立大野病院産科医逮捕事件ほか)ことや、法医学会説に従って明らかな合併症死を届け出ても「警察沙汰」となったことから「医療ミス」としての報道や医療訴訟といった社会的制裁を受ける場合がある(たとえば縫合不全の術後死亡例は「ミス」として報じられることが多いが、予期される術後合併症の1つである)ことより、医療従事者からは「どちらに転んでも恣意的に犯罪者扱いされる」という板挟み状態への批判がある。
条文
- 医師法21条
- 医師は、死体又は妊娠4カ月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
関連項目
- 異状死体
- 変死
- 変死体
- 司法解剖
- 行政解剖
- オートプシー・イメージング
外部リンク
- 日本法医学会異状死ガイドライン
- 外科系学会声明
- 4学会共同声明
- 東京都監察医務院
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 指定発言 新しい死因究明制度における医師の役割 (第17回日本警察医会総会・学術講演会) -- (第17回日本警察医会総会・学術講演会シンポジウム 異状死取り扱いにかかわる警察医活動の現状と将来)
Related Links
- 医師法21条は、「医師は、死体又は妊娠4ヶ月以上の死産児を検案して異状があると 認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」と規定しているが 、この届け出るべき「異状死」とは何かについて、しばしば混乱が生じていた。そこで、 日本 ...
- 2月3日(日)東京大学にてWikimedia Conference Japan 2013を開催します。参加者・ スタッフ募集中! 異状死. 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』. 移動: 案内、 検索. 異状死(いじょうし)とは医師法21条にある「異状」な死の状態を指す。 目次 ...
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- 次の文を読み、 64~ 66の問いに答えよ。
- 65歳の男性。頭部挫創を主訴に来院した。
- 現病歴:飲酒後、家の階段の下で倒れているところを帰宅した家族に発見された。頭部に挫創を認めたため家族に付き添われて受診した。
- 既往歴:心房細動のためワルファリン内服中。
- 生活歴:定年退職後無職。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:アルコール臭があるが意識は清明。ただし、本人は受傷時のことは覚えていない。脈拍 80/分、不整。血圧 150/90 mmHg。呼吸数 24/分。頭頂部やや後方に 3 cmの挫創があり出血を認めた。身体の他の部位に創傷は認められなかった。検査所見:頭部 CTでは頭蓋骨骨折は認められず、後頭蓋窩にごくわずかな硬膜下血腫が認められた。
- この患者における頭蓋内病変の重症化を予測する上で、最も注意すべきなのはどれか。
- 蘇生しつつ撮影した頭部 CTでは、硬膜下血腫の増大と小脳内の遅発性外傷性脳内血腫が認められ、脳幹を圧迫する所見が認められた。患者はその 1週後に死亡した。
- 死亡確認後の主治医の対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G065]←[国試_108]→[108G067]
[★]
- 1歳5か月の女児。保育所から心肺停止のため搬入された。3日前に感冒様症状で近医を受診し、
- 抗ヒスタミン薬と鎮咳去痰薬とを処方されていた。保育所では当日の午前中は元気であったが、
- 午後1時半に突然39℃台の発熱に気付き水分を摂取させ、父親が迎えに来るまで眠らせていた。
- 午後4時に父親が迎えに来て患児を見たところ顔面蒼白に気付き、救急車を要請した。
- 救急隊到着時には患児は心肺停止状態にあった。救急車内および病院とで蘇生を試みたが午後5時32分に死亡が確認された。
- 気管挿管時に気管内に吐物は認めなかった。病院到着後に実施したインフルエンザ迅速検査でA型インフルエンザ抗原陽性であった。
- 検視の結果、事件性はないと判断された。担当医が行うのはどれか。2つ選べ。
[正答]
CE
- インフルエンザが死因とは言い切れず、死因は不明なので異状死
※国試ナビ4※ [103G043]←[国試_103]→[103G045]
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- 68歳の男性。午前2時ころ救急隊によって搬送された。当直医が診察したところすでに死亡していた。この患者は前日午後4時ころ、他院の内科外来を受診しており、不安定狭心症と診断されている。入院治療を勧められたが患者はこれを拒否し、投薬を受けて帰宅したとのことである。死体の後頭部に擦過傷を認める。
- 当直医の対応として最も適切なのはどれか。
- a. 死因を狭心症として死体検案書を交付する。
- b. 他院の内科外来担当医に受診時診断名を確認し自ら死亡診断書を交付する。
- c. 他院の内科外来担当医に死亡診断書を交付してもらう。
- d. 病院長に死亡診断書を交付してもらう。
- e. 所轄警察署の警察医に死体検案を依頼する。
[正答]
E
- 後頭部の擦過傷が存在しており、異状死およびその疑いと考える
※国試ナビ4※ [095C002]←[国試_095]→[095C004]
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[正答]
※国試ナビ4※ [102E033]←[国試_102]→[102E035]
[★]
- a 異状死に対して行う。
- b [[解剖の結果を家族へ説明する。
- c 死亡診断書の作成に必須である。
- d 生命保険の書類作成に必須である。
- e 死亡確認から6時間以内に行わなければならない。
[正答]
※国試ナビ4※ [110G004]←[国試_110]→[110G006]
[★]
- certificate
- 英
- death certificate, certificate of death
- 関
- 死体検案書、死因
死亡診断書・死体検案書(SLE. 303-305)
書類名
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発行できる者
|
条件
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死亡診断書
|
医師、歯科医
|
・医師が生前その患者を診察治療し、確定診断を付け、その患者が同一診断名で死亡した場合が、病死体となり死亡診断書を交付する。 ・「無診察治療などの禁止」の例外:「診察中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する診断書については、この限りでない」。異状がない限り、改めて死語診察をしなくても死亡診断書を交付することを認める。 ・(24時間を超えても)診療継続中の患者が、診察にかかる疾患で死亡したことが予期できる場合には、改めて死語診察を行い、生前に診察していた疾病が死因と判定できれば、求めに応じて死亡診断書を発行できる。
|
死体検案書
|
医師
|
上記以外
|
参考
- 1. 平成23年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル
- http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/
国試
[★]
- 英
- extrinsic death
- 英
- violent death
- 関
- 内因死、異状死
死亡診断書にみる外因死の種類 標準救急医学 第4版p.20
- 死亡診断書における外因(2以下)の分類
病死および自然死
不慮の外因死
- 2. 交通事故(自動車によるものばかりでなく,列車,飛行機,船も死亡診断書の記載はすべて交通事故に含まれる)
- 3. 転倒・転落
- 4. 溺水・溺死
- 5. 煙,火災および火焔による障害:火災による死(火災現場で受傷した熱傷,火災に伴うCO中毒,窒息,物の落下などによる死を含む
- 6. 窒息:頸部・胸部の圧迫,気道閉塞,気道内異物)等による死
- 7. 中毒:薬毒物との接触,服用,注射等による死
- 8. その他:熱射病,凍死,潜水病,感電,機械による事故,落下物による事故,落雷,建物の崩壊など上記の交通事故~中毒のどの項目にも当てはまらないもの
その他および不詳の外因死
- 9. 自殺:死者自身の行為に基づく死(手段・方法は問わない)
- 10. 他殺:他人による加害,あるいはその後遺症による死
- 11. その他及び不詳の死因:刑死・戦死の場合,不慮の外因死か自他殺か判別できない場合
不詳の死
[★]
- 英
- postmortem inspection by medical doctor
- 関
- 病死、異状死、死体検案書
- 医師の業務
- 死体に対して医学的判断を下すために行う。
[★]
- 英
- orthothanasia
- 英
- natural death
- 同
- 尊厳死
- 関
- 内因死、外因死、異状死、病死
[★]
- 英
- unexpected death, unnatural death
- 関
- 異状死、監察医制度、死体検案、死体検案書、検案、医師法#第21条
定義
- 異状死体とは犯罪性の有無にかかわらず、全ての外因子、死因が不明な死体、発症や死亡前後の状況に異状のある死体をいう(日本法医学会。異状死ガイドライン)
分類
- 犯罪死体 :明らかに犯罪に起因した異状死体
- 非犯罪死体:犯罪とは無関係な異状死体
- 変死体 :犯罪に起因しているか否かが不明
異状死体に該当する死体
- 参考1
- 1. 外因による死亡(診療の有無、診療の期間を問わない)
- 2. 外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡
- 3. 上記1.または2.の疑いがあるもの
- 4. 診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの
- 5. 死因が明らかでない死亡
異状死体の届け出義務(医師法第21条)
- 医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
参考
- http://www.jslm.jp/public/guidelines.html
国試
[★]
- 英
- death
- 同
- 死亡、脳死、心臓死