Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/20 15:12:51」(JST)
脳: 前頭葉 | |
---|---|
前頭葉
側頭葉
頭頂葉
後頭葉
外側溝
中心溝
頭頂後頭溝
後頭前切痕
主要な脳溝と葉を側面から見た図。前頭葉は左側に青く示されている。
左大脳半球の外側面。オレンジ色の所が前頭葉。中心溝より前、外側溝より上、の領域として前頭葉は定義される。
|
|
名称 | |
日本語 | 前頭葉 |
英語 | Frontal lobe |
ラテン語 | lobus frontalis |
略号 | FL |
関連構造 | |
上位構造 | 大脳 |
構成要素 | 上前頭回、中前頭回、下前頭回、中心前回、前頭極、直回、眼窩回、(前部帯状回)、一次運動野、前頭前野 |
動脈 | 前大脳動脈 中大脳動脈 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
Digital Anatomist | 内側 上方 |
関連情報 | |
Brede Database | 階層関係、座標情報 |
NeuroNames | 関連情報一覧 |
NIF | 総合検索 |
MeSH | Frontal+Lobe |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
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前頭葉(ぜんとうよう、英: Frontal lobe)は、哺乳類の脳の一部である。大脳の葉のひとつ。前頭葉は両側の大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置する。前頭葉と頭頂葉の間には一次運動野が存在する。一次運動野は中心前回に関連付けられた特定の身体部位の随意運動を制御している。
前頭葉が完全に成熟するのは25歳前後と言われており、これは成人期の認知的成熟の印とされている。UCLA のアーサー・トーガ (Arthur Toga) の研究によって、前頭葉の白質の髄鞘は10代の被験者より若い成人の被験者において増加していることが発見された。成人期初期における統合失調症の典型的な発症は、不十分なミエリン化と、それによって引き起こされる前頭の細胞間の非効率的な結合とに関連がある。
大脳皮質のドーパミン感受性ニューロンの大半は前頭葉に存在する。ドーパミン系は報酬、注意、長期記憶、計画や意欲と関連付けられている。ドーパミンは、視床から前頭へと伝えられる感覚情報の制限、及び選択に関連しているとされている。米国国立精神保健研究所の報告によると、前頭前皮質におけるドーパミン活性の減少を起こす遺伝子変異はワーキングメモリ課題における成績の低下と課題中の前頭前皮質の機能の低下とに関係し、統合失調症のリスクをわずかに増加させると報告されている。
前頭葉の持つ実行機能 (executive function) と呼ばれる能力は、現在の行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力と関係している。
前頭葉は、課題に基づかない長期記憶の保持における重要な役割も担っている。それらはしばしば大脳辺縁系からの入力に由来する情動と関連付けられた記憶である。前頭葉は社会的に好ましい規範に適合するようにこのような情動を調整する。
前頭葉の機能を計測する心理学的テストとして、指叩き課題 (Finger tapping) や、ウィスコンシンカード分類課題、言語や図形処理の流暢性の計測などがある[1]。
20世紀初頭に精神疾患の治療法として、ポルトガルの神経科学者のエガス・モニスによって初めて開発された、前頭葉と大脳辺縁系をつなぐ経路にダメージを与える方法が行われた。前頭のロボトミー (前頭葉切截術とも) により、患者の苦悩を軽減することに成功したが、副作用として感情、意思、人格の鈍化が見られた。この精神外科的方法の無差別な使用は、深刻な副作用と手術の危険性もあいまって、評判を落とし、精神医学的な療法としては姿を消した。
非常にまれではあるが、より的確な形での精神外科的手法は今でも時折行われている。前嚢切開 (anterior capsulotomy) (両側内包前脚の熱損傷) や両側帯状回切除 (bilateral cingulotomy) (両側前帯状回の損傷) といった治療法が、治療困難な強迫性障害やうつ病に用いられる。
前頭葉の障害は様々な現象を引き起こす。
左前頭葉の眼窩面(眼窩のすぐ上、つまり前頭葉を下方から眺めたときに見える部分)
大脳の区分。黄色の所が前頭葉。
脳の底部
頭蓋骨に対する脳の関係を示した絵。青色の所が前頭葉。
ウィキメディア・コモンズには、前頭葉に関連するカテゴリがあります。 |
表・話・編・歴
|
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---|---|---|
外側面 | 外側溝内部 と 極 | 内側面 |
前頭葉
頭頂葉
後頭葉
側頭葉
|
島葉
前頭極
後頭極
側頭極
|
側頭葉
後頭葉
頭頂葉
辺縁葉
前頭葉
|
表・話・編・歴
|
||
---|---|---|
外側面 | 外側溝内部 | 内側面 - 上部 |
上前頭回
中前頭回
弁蓋部
+
三角部
+
眼窩部
ll
下前頭回
中心前回
中心後回
上頭頂小葉
下頭頂小葉
ll
縁上回
+
角回
後頭回
上側頭回
中側頭回
下側頭回
|
島回
横側頭回
|
舌状回
楔部
楔前部
中心傍小葉
帯状回 (前部+後部)
上前頭回
脳梁
梁下野
梁下回
|
脳底部 - 眼窩面 | 脳底部 - 側頭葉下面 | 内側面 - 下部 |
眼窩回
直回
嗅球
|
鉤
下側頭回
紡錘状回
海馬傍回
|
歯状回
紡錘状回
鉤
海馬傍回
|
|
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視床核 | 入力 | 出力 | 関連している機能 | |||
1 | 視床前核 | AP | 乳頭体 | 帯状回 | 大脳辺縁系の一部 | |
前背側核 | A | |||||
前腹側核 | AV | |||||
前内側核 | AM | |||||
2 | 視床内側核 | M | 視床核 | 視床下部・前頭葉 | 情動の体験・情動の具現 | |
3 | 視床外側核 | LT | ||||
背側外側核 | LD | 帯状回? | 帯状回? | 情動の発現 | ||
後外側核 | LP | 頭頂葉の連合野? | 頭頂葉の連合野? | 高等な精神作用と関連 | ||
前腹側核 | VA | 淡蒼球 | 前頭葉運動前野 | 運動系と関連 | ||
外側腹側核 | VL | 小脳歯状核 | 前頭葉運動野・運動前野 | 運動系と関連 | ||
後外側腹側核 | VPL | 体性感覚(下肢~上肢) | 頭頂葉の感覚野 | |||
後内側腹側核 | VPM | 体性感覚(頭部) | 頭頂葉の感覚野 | |||
4 | 視床後核 | 上丘、側頭葉、頭頂葉、後頭葉 | 側頭葉、頭頂葉、後頭葉 | 視覚、聴覚、体性感覚 |
障害 | |
前頭葉 | 後方は一次運動野であり、障害により健側の麻痺。前方は前頭連合野であり、障害により発動性の低下、感情鈍麻。底面の障害は脱抑制症状をきたす |
頭頂葉 | 頭頂連合野の障害により、構成失行、失読・失書、失算が認められる |
側頭葉 | 優位半球側頭連合野後方部の障害でウェルニッケ失語。海馬を中心とする内側面の障害で記憶の障害 |
後頭葉 | 一次舌の損傷で健側の半盲 |