- 英
- schizoaffective disorder, schizoaffective disorders
- 同
- 分裂感情障害、失調感情障害
- 関
- 精神病、統合失調感情障害、精神病性障害、統合失調症様障害、分裂情動精神病
- ICD-10
- F25
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/20 09:00:22」(JST)
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統合失調感情障害(とうごうしっちょうかんじょうしょうがい、英: Schizoaffective Disorder)とは、精神疾患の一つである。統合失調症の症状に明白な躁病あるいはうつ病の症状の両方が同時に混在しており、永続的な欠陥を残さず寛解する傾向を持つが、再発しやすい。非定型精神病と混同されやすいが、同一の疾患概念ではない。
目次
- 1 概要
- 2 類型
- 3 治療
- 4 出典
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
|
概要 [編集]
統合失調症の症状と気分障害の症状の両方が同時に現れるのが特徴である。統合失調症の症状、あるいは気分障害(躁病、うつ病、または躁うつ混合性)の症状だけが別々の期間に現れる場合は、統合失調感情障害とは診断されない[1]。また躁やうつ(あるいは混合)などの気分障害が生じている時のみ、統合失調症の症状を呈する場合は、気分障害の扱いになる[2]。
DSM-IVによる診断基準は次のようなものになっている。
気分障害のエピソード期間以外にも幻覚・妄想などの精神病症状のある期間が必要とされること(基準B)や、またそれ以外にも気分障害の基準を満たす十分な期間が必要であること(基準C)などの基準がある[2]。
DSM-IVによる診断基準 [編集]
A. 中断されない一つの疾病のエピソードの間に、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードのいずれかと、統合失調症の診断基準Aを満たす症状が同時に存在すること。
B. 同じエピソードの間に、少なくとも2週間、著明な気分障害を伴わずに幻覚や妄想が存在したことがある。
C. 気分障害のエピソード基準を満たす症状が、疾患の活動期および残遺期を含む全期間の大部分に存在すること。
D. 障害は物質(例:乱用薬物、投薬)や一般身体疾患の直接的な生理学的身体作用によるものではない。
類型 [編集]
統合失調感情障害には2つのサブタイプが存在しており、診断書に記載することがある。
- 双極型 -
- 躁病型(躁病エピソードのみの場合)
- 混合型(躁病または混合性エピソードと大うつ病エピソード)
- 抑うつ型 - 大うつ病エピソードのみの場合
疾病エピソードを繰り返す患者、特にうつ状態より躁状態を繰り返す患者は、通常完全寛解し、欠陥を残すことはまれである[1]。
ICD-10による分類 [編集]
- F25.0 統合失調感情障害 躁病型 Schizoaffective Disorder, Manic Type
- F25.1 統合失調感情障害 うつ病型 Schizoaffective Disorder, Depressive Type
- F25.2 統合失調感情障害 混合型 Schizoaffective disorder, mixed type
- F25.8 その他の統合失調感情障害 Other schizoaffective disorders
- F25.9 統合失調感情障害 詳細不明 Schizoaffective disorder, unspecified
治療 [編集]
薬物療法 [編集]
パリペリドンなどの抗精神病薬、リチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬、SSRI や SNRI などの抗うつ薬などを用いる。
抗精神病薬に、バルプロ酸などの気分安定薬を併用することは、抗精神病薬単独での使用よりも、より効果的であることが示されている[3]。ただしリチウムと抗精神病薬の組み合わせは錐体外路症状を引き起こす危険性がある。抗うつ作用を持つラモトリギンの使用は、抑うつ時の患者に薦められる。
フルオキセチンやセルトラリンなどのSSRIや、SNRIの使用は、躁または精神病症状を出現させるおそれがあり、単独での使用は薦められない[4][5]。
出典 [編集]
- ^ a b 野村総一郎、樋口輝彦、尾崎紀夫 (2009) p287
- ^ a b 大熊輝雄 (2008) p360
- ^ Flynn J, Grieger TA, Benedek DM (January 2002). “Pharmacologic treatment of hospitalized patients with schizoaffective disorder”. Psychiatric Services (Washington, D.C.) 53 (1): 94–6. doi:10.1176/appi.ps.53.1.94. PMID 11773657.
- ^ Preda A, MacLean RW, Mazure CM, Bowers MB Jr (2001). “Antidepressant-associated mania and psychosis resulting in psychiatric admissions”. The Journal of clinical psychiatry 62: 30-3. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11235925.
- ^ Fortunati F, Mazure C, Preda A, Wahl R, Bowers M Jr (2002). “Plasma Catecholamine Metabolites In Antidepressant-Exacerbated Mania and Psychosis Plasma catecholamine metabolites in antidepressant-exacerbated mania and psychosis”. Journal of Affective Disorders 68: 331–334. http://uci.academia.edu/AdrianPreda/Papers/264409/.
参考文献 [編集]
- 大熊輝雄 『現代臨床精神医学 改訂第11版』 金原出版、2008年。ISBN 9784307150613。
- 野村総一郎、樋口輝彦、尾崎紀夫 『標準精神医学 第4版』 医学書院、2009年3月。ISBN 9784260007078。
関連項目 [編集]
- 精神疾患
- 統合失調症
- 気分障害
- 双極性障害
- うつ病
- 非定型精神病
外部リンク [編集]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 13 うつ病型統合失調感情障害で服薬アドヒアランス不良の外来女性患者においてRLAI導入が有用であった1例(一般演題C「多岐にわたる女性心身医療1」,これからの女性心身医学におけるサイエンスとその展望:分子レベルから臨床医学まで,第39回日本女性心身医学会学術集会)
- 認知行動療法を用いたアプローチによる効果--非機能的思考記録表を活用して (日本精神科看護学会 第16回専門学会(2))
Related Links
- 統合失調感情障害は,重大な気分症状,精神病,および統合失調症の他の症状によって特徴づけられる。この障害は,抑うつまたは躁症状のエピソードが1回以上発現するという点で統合失調症とは区別される。 統合失調感情障害は,精神病 ...
- 気分障害とは よく間違われるのが『心の病』であるという認識です。ストレスなどからくる心因性のうつ病でしたらその言い方も適当ですが、気分障害は『原因はまだよくわからないが、脳の機能の異常からくる脳性疾患』です。
- というもので、「統合失調感情障害 」の方は 「統合失調症」と「感情障害=躁鬱病」の 合わさったものという意味です。 「癲癇(てんかん)」は近年は 精神障害には入れても 狭義の「精神病」には入れませんので 結局、どちらの 躁 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。75歳の夫と娘夫婦とに伴われて来院した。
- 3か月前ころから「夫が浮気をしている」と疑いだした。ことあるごとに夫を責めるが、家族によれば浮気の事実はない。夫が買い物に出かけ、帰宅が遅れると「女性と会っていた」と激しく夫を責める。そのことで口論になるとますます激しく興奮する。近くに住む娘夫婦が仲介に入るが、全く聞く耳を持たず、夫が浮気をしていることを堅く信じて疑わない。興奮すると夜も眠らずに、夫を責め続けるという。また、物忘れが急に進んだようだと家族がいう。身体疾患、薬物乱用およびアルコール乱用歴はない。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099G003]←[国試_099]→[099G005]
[★]
- 72歳の女性。75歳の夫と娘夫婦とに伴われて来院した。3か月前から「夫が浮気をしている」と疑いだした。ことあるごとに夫を責めるが、家族によれば浮気の事実はない。夫が買い物に出かけ帰宅が遅れると、「女性と会っていた」と激しく夫を責める。そのことで口論になるとますます激しく興奮する。近くに住む娘夫婦が仲裁に入るが、全く聞く耳を持たず、夫が浮気をしていることを堅く信じて疑わない。興奮すると夜も眠らずに、夫を責め続けるという。また、物忘れが急に進んだようだと家族が言う。身体疾患、薬物乱用およびアルコール乱用歴はない。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A003]←[国試_101]→[101A005]
[★]
- 英
- depressive episode
- 同
- うつ病病相
- 関
- 気分障害
- ICD-10
- F32
- 含
- 以下の単一エピソード:抑うつ反応、大うつ病(精神病症状を伴わない)、心因性うつ病・反応性うつ病(F32.0,F32.1,F32.2)
うつ病エピソードの基準
- G1. うつ病のエピソードは少なくとも2週間以上続くこと。 The depressive episode should last for at least 2 weeks.
- G2. 対象者の人生のいかなる時にあっても、軽躁病や躁病エピソードの診断基準を満たす十分な躁病症状がないこと。 There have been no hypomanic or manic symptoms sufficient to meet the criteria for hypomanic or manic episode (F30..) at any time in the individual's life.
- G3. 主要な除外基準:このエピソードは、精神作用物質の使用(F10-F19)、あるいはF00-F09に上げられたような器質性精神障害によるものではないこと。 Most commonly used exclusion clause. The episode is not attributable to psychoactive substance use (F10.F19) or to any organic mental disorder (in the sense of FOO.F09).
F32.0
- 軽症うつ病エピソード Mild depressive episode
- A. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと
- B. 次の3項の症状のうち少なくとも2項目があること
- (1)対象者にとって明らかに異常で、著明な抑うつ気分が、周囲の状況にほとんど影響されることなく、少なくとも2週間のほとんど毎日かつ1日の大部分続く
- (2)通常なら楽しいはずの活動における興味や喜びの喪失
- (3)活動の減退または疲労感の増加
- C. 次に示す付加的な症状を合わせて、B項との合計が少なくとも4項目あること。
- (1)自信喪失、自尊心の喪失
- (2)自責感や、過度で不適切な罪悪感といった不合理な感情
- (3)死や自殺についての繰り返し起こる考え、あるいは他の自殺的な行為
- (4)思考力や集中力の低下の訴え、あるいはその証拠。
- (5)焦燥あるいは遅滞をともなう精神運動性の変化(主観的なものであれ客観的なものであれ、いずれでもよい)
- (6)いろいろなタイプの睡眠障害
- (7)相応の体重変化をともなう食欲の変化(減退または増進)
F32.1
- 中等症うつ病エピソード Moderate depressive episode
- 軽症うつ病エピソード Mild depressive episode
- A. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと
- B. F32.0のB項における3項の症状のうち、少なくとも2項目があること
- C. F32.0のC項における付加的症状を合わせて、B項との合計が少なくとも6項あること。
F32.2
- 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード Severe depressive episode without psychotic symptoms
- 軽症うつ病エピソード Mild depressive episode
- A. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと
- B. F32.0のB項における3項の症状の全てがあること。
- C. F32.0のC項における付加的症状を合わせて、B項との合計が少なくとも8項あること。
- D. 幻覚、妄想または抑うつ性昏迷を欠くこと
F32.3
- 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード Severe depressive episode with psychotic symptoms
- A. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと
- B. 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード(F32.2)の診断基準の中でD項以外を満たすこと
- C. 統合失調症や、統合失調感情障害、抑うつ型(F25.1)の診断基準を満たさないこと
- D. 次の2項のうち、いずれかがあること
- (1) 妄想や幻覚は存在するが、それらは典型的な分裂病(F20.0-F20.3)としての診断基準G1(1b),G1(1c)およびG1(1d)に上げられた以外のものであること。もっとおよく見られる例としては、抑うつ的・罪責的・心気的・虚無的・自己関係づけ的・迫害的な内容のものである。
- (2) 抑うつ性昏迷
F32.8
- その他のうつ病エピソード Other depressive episodes
F32.9
- うつ病エピソード,詳細不明 Depressive episode, unspecified
[★]
- 英
- schizophrenia like symptoms
-
[★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
[★]
- 英
- ataxia
- 関
- 運動失調、失禁 incontinence、incontinent、失調症
概念
- loss of coordination of the muscles
- 円滑に行われるべき運動行為が円滑に行えない状態
[★]
- 英
- affective disorder、emotional disorder, emotional disturbance
- 関
- 情緒障害、情動障害
- DSM-III、ICD-9 感情障害 → DSM-III-R、ICD-10 気分障害
[★]
harm、hazard、injure
- 関
- 危険、損傷、ハザード、傷害を与える、害する
[★]
- 英
- feeling, affection, emotion
- 同
- 気分 mood、情動 affect