出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/08 09:20:00」(JST)
アントン症候群(アントンしょうこうぐん、英:Anton-Babinski syndrome)は、後頭葉の損傷で発症する障害である。症例は希である。アントン症候群の患者は、全部または一部の視覚を失っていながら、視覚があると証言する。しばしば、視覚障害の証拠に直面しても、作話によって視覚障害を否定しようとする。本症候群の英名は、ガブリエル・アントンとジョセフ・バビンスキの名にちなんで名付けられているが、日本語では一般にアントン症候群と呼称される[1][2]。
アントン症候群は、脳梗塞のあとに起こることが多いが、頭部外傷のあとにも見られる。 症状については、神経学者のMacdonald Critchleyの記述に詳しい。
家族や医療スタッフが、患者の目が見えなくなっていることに気づくのには数日かかる場合がある。その理由は、目が見えなくなっていることを患者が教えてくれないからだけではない。患者自身が行動や話す内容で、周囲の人々に、自分が目が見えているものだとミスリードするのだ。患者が偶然、家具につまずいたり、ものに倒れかかったり、身近にあるものを見つけるのに難儀したりしているのを見て、違和感が呼び起こされる。患者が、周囲には全くない人や物について語ることで、疑惑は強まる[3]。
アントン症候群は、盲視の逆の概念として考えられる。
なぜアントン症候群の患者が、目が見えなくなっていることを否認するのかは結論が出ていない。しかしながら、数多くの理論が提出されている。一つの理論では、ダメージが視覚野と脳の言語を司る部分の連携不全を引き起こすというものである。視覚イメージは受容されるが言葉にはできず、言葉上では嘘の反応をしてしまうのだ[4]。
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リンク元 | 「大脳皮質」「Anton syndrome」 |
関連記事 | 「症候群」「群」「症候」 |
障害 | |
前頭葉 | 後方は一次運動野であり、障害により健側の麻痺。前方は前頭連合野であり、障害により発動性の低下、感情鈍麻。底面の障害は脱抑制症状をきたす |
頭頂葉 | 頭頂連合野の障害により、構成失行、失読・失書、失算が認められる |
側頭葉 | 優位半球側頭連合野後方部の障害でウェルニッケ失語。海馬を中心とする内側面の障害で記憶の障害 |
後頭葉 | 一次舌の損傷で健側の半盲 |
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