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島(しま)は、大陸の面積より小さく、四方を水域に囲まれた陸地である。
地理学上、大きな陸塊が大陸、小さな陸塊が島に分類される。
現在、世界最小の大陸はオーストラリア大陸、最大の島はグリーンランドである。(右図:これらの陸塊の比較)
面積2位以降は、2:ニューギニア島、3:ボルネオ島、4:マダガスカル島、5:バフィン島、6:スマトラ島、7:本州、…… と続く。
領土がすべて島から成る国を島国と呼び、面積順(非独立国を含む)に、1:グリーンランド、2:インドネシア、3:マダガスカル、4:パプアニューギニア、5:日本、…… と続く。国際連合の加盟国193ヶ国中では47ヶ国である(2011年時点 [1] )。
世界最大の無人島は、カナダのデヴォン島である。面積は、カナダの島の中で第6位、世界の島の中で第27位で、それより狭い中で人口最大の台湾島(38位)や、人口2位の九州本島(36位)より広い。
世界最大の川の中の島は、ブラジルのバナナル島である。面積は、世界の島の中で第49位で、同第50位四国の約1.08倍の面積である。同国中部トカンチンス州のアラグアイア川にある島である。
複数の島がまとまって存在するものを諸島、列島、群島などと呼ぶ場合もある。列島は島が列状に並んだもの、群島は塊状に集まったものを指し、諸島はより適用範囲が広いが、はっきりした定義はない。
海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第121条では、
の3つの条件を満たすものを「島」と定義している。
この条件から外れると領海を形成するために有効な領土ではなくなる。日本が沖ノ鳥島に消波ブロックなどを設置し、波浪による侵食によって満潮時に水没しないようにしているのはこのためである。
同条約同条2項では「島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。」とされている。一方3項では「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」としている。すなはち、広義の「島」であっても狭義の「島」と「岩」に条約上の扱いが分かれるので注意が必要である。(この場合の「岩」は領土であり領海は持つ。)
日本の海上保安庁は「満潮時に海岸線の延長距離が100m以上の陸地」を島と定義している一方、国土地理院は「航空写真に写る陸地」を島と定義している。また、国土地理院の定義では島未満の地形として、暗礁や洗岩、干出岩、水上岩からなる岩礁がある。
湖や川の中に存在する、周囲が水で囲まれた陸地も島と呼ばれる。
プレート境界(沈み込み帯)に位置する列島を島弧、あるいは弧状列島とも言う。島弧はマントル対流の沈み込みによって地殻が盛り上がって生成する。このような島は弓状に分布することが多く、島弧と呼ぶ。島弧は太平洋プレートの周辺(環太平洋火山帯)に目立つ。以下に北極側から反時計回りに記す。
海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく3つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。
大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドとマダガスカル島である。
大陸はプリュームによるマントル対流によって、数cm/年程度の速度で移動している。約6億年前の古生代石炭紀に、先行する超大陸が南北に分離した。それぞれ、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸と呼ばれる。ゴンドワナ大陸は現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいた。1億6000万年前からゴンドワナ大陸自体も数次にわたって分裂を続けた。7000万年 - 9000万年前の中生代白亜紀後期の最後の分裂の際、インド亜大陸と分離したのがマダガスカル島である。そのため動植物の分布がアフリカ大陸とは異なっている。
ローラシア大陸は、現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸、グリーンランドを含んでいた。約5000万年前(新生代第三紀)に、グリーンランドは北アメリカ大陸と分離した。
大陸棚に存在する島を陸島という。海退時や隆起によって大陸と陸続きになりがちで、海進、沈下などの原因により大陸と切り離されることで孤立した陸地である島となる。地質構造や陸上の地形に大陸との類似が見られる。代表例はカリマンタン島、グレートブリテン島、台湾島である。カナダ北部の島々も陸島である。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所では、大陸プレートの周辺部に、海洋プレートの沈み込みによって生じる海溝があり、この海溝に沿うように、大陸側に島が並んで形成される例が多い。その配置が弧状になることが多いため、弧状列島、あるいは島弧と言われる。
陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。
後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフは大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。
大陸棚ではなく、海洋底から直接海面に達している島を洋島という。基本的には火山活動によるが、単純な火山性の島と、火山島などの沈下によって形成されたサンゴ礁に分かれる。
洋島のうち、火山島はホットスポット上に多く位置する。ホットスポットとは下部マントル付近から上部マントルに向かって定常的に熱い物質が上昇している場所のことである。例えばハワイ諸島の場合、約7000万年にわたって、同一のホットスポットが多数の島を生成してきた。古い島は侵食を受け、海面下に海山として残っている。アイスランド島もホットスポット上にある。
この他にカリブ海東端の小アンティル諸島に属する島、例えばマルチニーク島などは、カリブプレートと北アメリカプレートの沈み込み帯上に位置する火山島である。
サンゴ礁は、刺胞動物門花虫綱などに属する造礁サンゴの骨格などが積み上がって形成される地形である。サンゴ礁の主成分は石灰岩(炭酸カルシウム)からできている。石灰岩はサンゴ類の骨格(骨片)のほか、共生藻の分泌物の沈着によって生成する。石サンゴは細胞内に共生する褐虫藻の光合成に依存している。このため、太陽光が十分透過する水深40m - 60mよりも浅い海中でなければサンゴ礁は成長しない。水温も最低でも18度前後でなければならない。
サンゴ礁は島の周辺の海岸を取り囲む裾礁(きょしょう)として発生する。代表例は小笠原諸島、奄美群島、沖縄諸島、先島諸島である。裾礁が形成された後に、中央の島が沈降すると、島の海岸線から数km離れた位置にドーナツ型のサンゴ礁からなる陸地が形成される。これを堡礁(ほしょう、バリアリーフ)と呼ぶ。沈降がさらに進むと中央の島は消え、ラグーンと呼ばれる礁湖を取り囲む幅数100m - 1km程度のドーナツ型の陸地だけが残る。これを環礁(かんしょう、アトール)と呼ぶ。サンゴ礁自体が成長することから、波による侵食に強く、孤島であっても波浪による侵食に耐える。
サンゴ礁に基づく島にはさまざまなバリエーションがある。サイパン島やグアム島を含むマリアナ諸島や小笠原諸島はプレート境界に位置する火山島とサンゴ礁が複合した裾礁の段階にある。南太平洋に位置するメラネシアやポリネシアでは、堡礁や環礁の段階に達している。東部ミクロネシアに位置するマーシャル諸島共和国の国土は30個弱の環礁だけから成る。
宮古島や石垣島などの先島諸島は裾礁形成後に隆起したため、サンゴ礁段丘や隆起サンゴ礁と呼ばれる特異な地形がよく発達している。
島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。
洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類や哺乳類を欠くといったような、大陸に比べて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島やハワイ諸島、小笠原諸島などが有名である。
陸島でも、大陸では絶滅した群が生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。
しかし逆に何らかの要因で外来種が入ってくると島の固有種に壊滅的なダメージを与えたり、固有種と外来種の雑種が生まれたりするなどの影響が出ることが多い。
「島」という漢字は、意符「山」と音符「鳥」からなる形声文字である。異体字として「㠀・嶋・嶌」などがある。和語「しま」は朝鮮語で島を意味する固有語「섬(seom)」と同語源だという説がある。
水底に接していない島を浮島と呼び、天然でも湖沼の一部に浮島が見られる。ミャンマーのインレー湖の浮島は表土を持ち、植物の栽培が可能である。ペルー・ボリビア間に広がるチチカカ湖にも浮島がある。日本では、例えば秋田県鹿角市の作沢沼にはミズゴケ類からできた直径数mの浮島がある。
日本では、律令制時代の8世紀から9世紀にかけて、国(令制国)と同格の行政機関として「島(嶋)」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島府」と言い、国分寺に相当する「島分寺」が建立された。島司は国司に相当する官職であり、中央から派遣された官吏である。
701年制定の大宝律令では、壹伎島・対馬島・多褹島の3島が置かれていた(いずれも西海道)。このうち多褹島は824年に廃止されて大隅国に併合された。また、876年には肥前国から五島列島・平戸島が分割され値嘉島(ちかのしま)が新設されたが、10世紀初頭までには廃止された。壱岐・対馬は「国」に改められたが、この2国を他の令制国(中国風に「州」とも呼んだ)と区別し「島」と呼ぶ慣習は残った。西海道が九州二島と称されたり、日本全土が六十六州二島と称されたりしたのは、このためである。
近代の日本では、伊豆諸島・小笠原諸島・隠岐諸島・奄美諸島などの島嶼部において町村制が施行されず、島嶼町村制と呼ばれる特殊な行政制度が採られた。これらの地域では、「郡役所」に相当する「島庁」が置かれた。島庁の長は「島司」である。島庁は、1920年代には府県の支庁に改められた。島嶼町村制参照。
日本統治時代の朝鮮では、郡と同格の行政機関「島」が置かれていた。長を「島司」、役所を「島庁」と言う。行政機関としての「島」は済州島と鬱陵島の2つであった。日本統治時代の朝鮮の行政区画参照。
奄美地方や沖縄県では、自分たちの生活の場や故郷、集落などのことを「シマ」と表現する(シマ社会)。これは接頭語としても用いられ、泡盛は「島酒」、地元産の農産物は「島野菜」などと呼ばれる。
平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
ウィキメディア・コモンズには、島に関連するメディアおよびカテゴリがあります。 |
ウィクショナリーに島の項目があります。 |
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小島沢瀉M
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