酸素 | 94-99% | |
1回換気量(従量式換気) | 6-8ml/kg | |
吸気時間 | 0.5-1秒 | |
最大吸気圧(従圧式換気) | 20-30cmH2O | |
呼吸数 | 乳児 | 20-30回/分 |
小児 | 16-20回/分 | |
青少年 | 8-12回/分 | |
PEEP | 3-5cmH2O |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/01 11:50:35」(JST)
人工呼吸器(じんこうこきゅうき、英: Mechanical ventilator)は、数時間から数年と言う長い時間に渡って人工呼吸を自動的に行うための医療機器である。
なお、本稿は外部リンク[1]と[2]に多くを譲る。
かつては首から下の全身を機械の中に入れ、その機械の中を陰圧(1気圧以下の気圧)として胸腔に空気が吸入されるようにすると言う「鉄の肺」が一部の病院で使われていた。これは大掛かりな設備であり、受けられる患者も限られていた。
やがて気管挿管が一般的になると、その挿管チューブを介して空気を出し入れする現在の方式が広まっていった。
現在では呼吸の状態を様々な形で持続的に測定する機能のついたもの、呼吸器の離脱を自動的に進めて行くもの、在宅人工呼吸に使用する小型で医療従事者以外でも操作できるもの、マスクを使用し気管挿管の必要ないもの(非侵襲的人工呼吸)まで実に様々な種類が使われている。しかし、それぞれに操作が異なり、また独自の動作モードや作動原理を持ったものが特に新しい機種に多く、医療事故の一因ともなる。その一方で、医療事故を防ぐための機能もまた新しい機種ほど備わっているのも事実である。
通常、私たちが意識せずに行っている自発呼吸では胸郭が拡大することによって胸腔内に陰圧をつくり、気管を通して空気(ガス)が入ってくる。 従って、空気を吸い込んだ時に肺内及び気道内の圧上昇は通常おこらない。一方、人工呼吸はガスを肺内に機械的に押し込む。 この方法には,胸郭外を陰圧にすることによって胸郭をひろげガスを入れる方法と、 気管に挿管チューブを入れその気道からガスを入れる方法がある。 一般的には治療器具として認知されているが、人工呼吸器は病気を治療するものではなく、むしろ人体にとっては負担になる。ただし医師の監督の下、正しい使用がなされ、かつ短時間であればこの限りではない。
家族の同意なしに人工呼吸器を外して死なせることは殺意の有無にかかわらず、人工呼吸器を外した者が殺人罪、自殺関与・同意殺人罪、殺人幇助罪となる。家族の同意を得て人工呼吸器を外し、死なせた場合は殺人罪の適用外となる。
用手人工呼吸の適応となる心肺蘇生とは違い、様々な病態によるあらゆる呼吸不全がその適応となる。その原因は何か、急性期か慢性期かによって使用する機種や動作モードも異なってくる。
人工呼吸器に行われる換気経路は一般に以下の3つの場合がある。
他に特殊な状況下において喉頭穿刺などの方法がある。
人工呼吸器の動作モードは以下がある。
呼吸不全の患者においては、「吸気圧」と「1回換気量」、「吸気時間」と「一定時間(例えば1分間)」はそれぞれトレードオフの関係にある。旧世代の人工呼吸器はそのうち2つを固定し、残りのひとつのパラメータを犠牲にするという様式が殆どであった。これが以下の2つである。
しかし現在では、優先するパラメータをひとつ決めれば、それ以外のパラメータを柔軟に変える(吸気時間を延長するなど)によって呼吸器離脱や肺傷害防止を図る方式が各社から発売されている。だが新機種のため割高なのと、アルゴリズムが複雑なため各社とも独自のものを打ち出しており統一性が無いのが現状である。
人工呼吸器は実に様々な物が売られており、年を追うにつれて新たな付加機能を備えたものが発売されている。
人工呼吸器の使用は呼吸不全のとき、あるいは全身麻酔の手術における場合など多数認められる。疾患や状況、患者のバックグラウンドによって適切な設定は変わりえる。呼吸不全における人工呼吸器の設定について纏める。あくまでも無難な設定を示す。
2008年現在、大抵の人工呼吸器にはSIMVモードがあり、プレッシャーサポートがついているためそれを前提とする。患者の体格や病態によって適切な人工呼吸器の設定というものが存在し、集中治療の分野では様々な研究がされている。しかし、気管内挿管が必要な場合、それらの評価を行う時間やデータが不足している場合も多々ある。適切な設定値を求めるあまり気管内挿管が遅れるようでは意味がないので無難な量を纏める。想定しているのは体重が60Kgの成人である。挿管前に準備するものとしてはサクションキット、アンビューバッグかジャクソンリース、SpO2モニター、心電図モニター、呼吸器以外に扱える酸素配管などを確認しておく。
パラメータ | 設定値 |
---|---|
換気モード | SIMV |
FiO2 | 1.0 |
一回換気量 | 450ml |
PEEP | 5cmH2O |
ピーク気道内圧 | 40cmH2O以下 |
吸気フロー | 60l/min |
呼吸数 | 15回/min |
PS | 10cmH2O |
その他設定が必要ならば、トリガー感度は-1~-2cmH2Oまたは2~3l/minとし、呼気・吸気比は1:1~3とする。アラームの設定は気道内圧上限が40cmH2O,気道内圧下限は10cmH2O,呼吸回数上限は30回/minであり換気量下限は設定換気量の60%とする。気管内挿管を行う際に必要なこととしては、全身麻酔である。意識障害があれば不要なこともあるが、鎮痛、鎮静、筋弛緩が必要であり、鎮痛はオピオイドで鎮静は静脈麻酔薬で筋弛緩は筋弛緩薬で行う(厳密な意味ではオピオイドには鎮静作用もあるのだが簡略化する)。
プロポフォールやミダゾラム(ドルミカム)が好まれる。ミダゾラムは同じベンゾジアゼピン系の中でも副作用がジアゼパム(セルシン)よりも少なく、半減期が2~4時間と短いのが好まれる理由である。静注で行うのなら、初回投与はドルミカムならば5mg、セルシンならば10mg程度である。オピオイドを併用すると鎮痛、鎮咳作用によって挿管は容易になるが呼吸抑制が顕著にでるため注意が必要である。静注で併用するのならばフェンタニル0.05mg程度ば無難である。
強オピオイドを利用した場合は弱オピオイドを併用すると効果が減少するため注意が必要である。但し、これはアゴニストとパーシャルアゴニストを併用した時の現象であるため鎮痛効果は同一レセプターに作用していれば弱オピオイドと強オピオイドの中間となる。体動の原因が鎮静不足か鎮痛不足かによってフラッシュする薬物は変わってくるため、他の処方との整合性を図るべきである。
ベクロニウム(英語版)(マスキュラックス)を用いる場合が多い。マスキュラックス10mgを蒸留水10mlで溶解し1mg/mlとして使用する場合が多い。マスキュラックスは0.08mg/Kgが初回使用量となるため5mg程度から使用し、効果を見て8~10mg程度使用する場合もある。それ以外にはマスキュラックス2mgとサクシン(スキサメトニウム)50mgを併用し静注するという方法もある
挿管を行い、人工呼吸器につなげば呼吸不全による死亡は防ぐことができるため、原因精査を行う時間が稼ぐことができる。
鎮静は血圧を下げない範囲で深めにかける。疼痛原因が特になければドルミカム5A+生食40mlで2ml/hr程度あれば十分である。
血圧が少しでも低めになったら昇圧剤、カテコラミンを開始する。ドパミンであるカタボンHi(600mg/200ml)は体重50Kgにて1ml/hrで1γ(1μg/Kg/min)となるように設定されているため7ml/hrあたりから開始する。
血圧が低めならばラクテックを100ml/hrで血圧が正常であればソルデム3Aで60ml/hrで維持をする。
不足HCO3-(mEq/l)=体重(Kg)×0.2×B.Eより計算し、半分量を投与しpHをみながら追加していく。7%メイロン20mlでは17mEq/lであり、8.4%メイロン20mlでは20mEq/lである。
ソルコーテフ200mgの投与を行う。
速やかに血液培養を行い、第三世代のセフェム系抗菌薬の投与を開始する。
ここまで行えば、重症患者に対して最低限の維持ができるので採血、X線写真、心臓超音波検査、腹部超音波検査を行い、治療に向けた計画を作成する。FiO2が1.0の場合は3時間もすると肺胞障害が始まるといわれている。人工呼吸器を用いた長期間理を行う場合は、設定の調節が必要となる。それらは内部リンク呼吸困難を参照のこと。
本来の人間の呼吸は吸気時に胸腔内が陰圧(1気圧以下)になり、呼出時に陽圧(1気圧以上)となる。しかし人工呼吸器を装着している場合、胸腔内は常に陽圧となる。胸腔内にある大静脈や肺の血管が圧迫され、循環の妨げになる。また生体にとって陽圧をかけて肺にガスを送り込むことは無理やり肺を押し広げるため、非生理的なことであり装着時間に比例してダメージも大きくなる。
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挿管人工呼吸 | NPPV | |
気管内チューブ | 必要 | 不要 |
鎮静 | 必要 | 不要 |
飲水、食事 | 不可能 | 可能 |
会話 | 不可能 | 可能 |
吸入気の加湿 | 必要 | 不要(ときに必要) |
回路のリーク | ないことが前提 | ある程度保証できる |
呼気側蛇管および呼気弁 | あり | なし |
気管内吸引 | 可能 | 不可能 |
高いPEEP | 可能 | 不可能 |
人工呼吸器関連肺傷害 : 約 45 件 人工呼吸器関連肺障害 : 70 件
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