ノルトリプチリン
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ノルトリプチリン
|
IUPAC命名法による物質名 |
3-(10,11-dihydro-5H-dibenzo[a,d] cyclohepten-5-ylidene)- N-methyl-1-propanamine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
よく吸収される |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
16、90時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
72-69-5
894-71-3(塩酸塩) |
ATCコード |
N06AA10 |
PubChem |
CID 4543 |
DrugBank |
APRD00602 |
ChemSpider |
4384 |
KEGG |
D08288 |
化学的データ |
化学式 |
C19H21N |
分子量 |
263.38 g/mol |
ノルトリプチリン (nortriptyline) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C19H21N。CAS登録番号 は [72-69-5]。無臭で水に不溶。第1世代の三環系抗うつ薬として知られ、うつ病、うつ状態などの治療に用いられる。脳内神経末端へのノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニンの再取り込みを阻害する。
塩酸塩が、大日本住友製薬からノリトレンという商品名で販売されている。
目次
- 1 薬効薬理
- 2 薬物動態
- 3 臨床成績
- 4 副作用
- 5 用法・用量
- 6 脚注
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薬効薬理
作用機序として、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより、抗うつ作用を示すと考えられている。 ラット脳シナプトゾームにおいては、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが、特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す (in vitro)。 また、レセルピンによる体温下降作用に対し抑制作用を示す (マウス、腹腔内投与)[1]。
薬物動態
最高血中濃度到達時間 (Tmax) は 4.8±0.4 時間、半減期 (t1/2) は 26.7±8.5 時間。 主な代謝産物は、10-hydroxynortriptyline (10-OH-NT)、desmethylnortriptyline (DNT)、10-hydroxydesmethylnortriptyline (10-OH-DNT)。 代謝経路は、主に肝臓において10位の水酸化体、N位の脱メチル体に代謝され、一部は抱合を受ける。 排泄経路は主として尿中で、投与量の約60%が排泄される。 代謝酵素は、シトクロムP450分子種のCYP2D6 (ノルトリプチリンの10位の水酸化)[1]。
臨床成績
二重盲検比較試験および一般臨床試験における有効性についての評価症例数は508例であり、 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態疾患に対し、有効以上が52% (262/508)、やや有効以上が73% (372/508) であった[1]。
副作用
用法・用量
- 初期用量として、1日、ノルトリプチリンとして30~75mgを2回あるいは3回に分け分割経口投与する。その後必要があれば漸次増量する。通常、最大量はノルトリプチリンとして1日150mgまでである。
脚注
- ^ a b c 「ノリトレン 添付文書」 大日本住友製薬(2011年1月6日閲覧)
抗うつ薬 (N06A) |
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再取り込み阻害薬 |
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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
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フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
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セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
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デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
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ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
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アトモキセチン
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ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
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ブプロピオン
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受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
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セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
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トラゾドン
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ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
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ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
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アゴメラチン フリバンセリン
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三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
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三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
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アリピプラゾール タンドスピロン
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サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
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アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ノリトレン錠10mg
組成
成分・含量
- 1錠中ノルトリプチリン塩酸塩をノルトリプチリンとして10mg
添加物
- 乳糖水和物,結晶セルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,タルク,ステアリン酸マグネシウム,プルラン,ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール,精製白糖,酸化チタン,カルナウバロウ,黄色五号
禁忌
- 緑内障のある患者〔本剤の抗コリン作用により,眼内圧が亢進し,症状が悪化するおそれがある.〕
- 本剤の成分および三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
- 心筋梗塞の回復初期の患者〔循環器系への影響を強く受けるおそれがある.〕
- 尿閉(前立腺疾患等)のある患者〔本剤の抗コリン作用により,尿閉が助長されるおそれがある.〕
- モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者〔「相互作用」(1)の項参照〕
効能または効果
- 精神科領域におけるうつ病およびうつ状態(内因性うつ病,反応性うつ病,退行期うつ病,神経症性うつ状態,脳器質性精神障害のうつ状態)
- 抗うつ剤の投与により,24歳以下の患者で,自殺念慮,自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため,本剤の投与にあたっては,リスクとベネフィットを考慮すること.
- 初め1回量としてノルトリプチリン10〜25mg相当量を1日3回経口投与するか,またはその1日量を2回に分けて経口投与する.
その後,症状および副作用を観察しつつ,必要ある場合は漸次増量する.
通常,最大量は1日量としてノルトリプチリン150mg相当量以内であり,これを2〜3回に分けて経口投与する.
慎重投与
- 排尿困難のある患者〔排尿困難が悪化するおそれがある.〕
- 眼内圧亢進のある患者〔眼内圧亢進が増強するおそれがある.〕
- 心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者または甲状腺機能亢進症の患者〔循環器系に影響を及ぼすことがある.〕
- てんかん等の痙れん性疾患またはこれらの既往歴のある患者〔痙れんを起こすことがある.〕
- 躁うつ病患者〔躁転,自殺企図があらわれることがある.〕
- 脳の器質障害または統合失調症の素因のある患者〔精神症状を増悪させることがある.〕
- 衝動性が高い併存障害を有する患者〔精神症状を増悪させることがある.〕
- 自殺念慮または自殺企図の既往のある患者,自殺念慮のある患者〔自殺念慮,自殺企図があらわれることがある.〕
- 小児または高齢者〔「小児等への投与」,「高齢者への投与」の項参照〕
重大な副作用
てんかん発作
- てんかん発作があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,減量または休薬など適切な処置を行うこと.
無顆粒球症
- 無顆粒球症があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行い,異常(前駆症状として,発熱,咽頭痛,インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)が認められた場合には,投与を中止すること.
麻痺性イレウス
- 腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満または弛緩および腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺があらわれた場合には,投与を中止すること.なお,この悪心・嘔吐は,本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので,注意すること.
薬効薬理
- 作用機序として,ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し,シナプス間隙のノルアドレナリン量を増加させることにより,抗うつ作用を示すことが考えられている.
モノアミン再取り込み阻害作用12)
- ラット脳シナプトゾームにおいて,ノルアドレナリン,セロトニン,ドパミンいずれの再取り込みも阻害するが,特にノルアドレナリンに対して強い阻害作用を示す(in vitro).
レセルピン拮抗作用13)
- レセルピンによる体温下降作用に対し,抑制作用を示す(マウス,腹腔内投与).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ノルトリプチリン塩酸塩 Nortriptyline Hydrochloride
化学名
- 3-(10, 11-Dihydro-5H-dibenzo[a,d]cyclohepten-5-ylidene)-N-methylpropylamine monohydrochloride
分子式
分子量
融点
性状
- 白色〜帯黄白色の結晶性の粉末で,においはないか,またはわずかに特異なにおいがある.酢酸(100)またはクロロホルムに溶けやすく,エタノール(95)にやや溶けやすく,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない.1.0gを水100mLに溶かした液のpHは約5.5である.
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- nortriptyline
- 化
- 塩酸ノルトリプチリン nortriptyline hydrochloride
- 商
- ノリトレン、Aventyl, Pamelor
- 関
- 抗うつ薬