- 英
- tacrolimus
- 商
- プログラフ、タリムス、プロトピック Protopic、グラセプター
- 化
- tacrolimus ointment
- 関
- 免疫抑制剤、シクロスポリン、タクロリムス水和物
- 放線菌から分離されたマクロライド系の物質
- シクロスポリンより低濃度で免疫抑制の作用をもつ
- 腎毒性がある
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/30 22:05:19」(JST)
[Wiki ja表示]
|
ウィキペディアは医学的助言を提供しません。免責事項もお読みください。 |
タクロリムス
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
3S-[3R*[E(1S*,3S*,4S*)]
,4S*,5R*,8S*,9E,12R*,14R*,15S*,16R*,18S*,19S*,26aR*
-5,6,8,11,12,13,14,15,16,17,18,19,24,25,26,26a
-hexadecahydro-5, 19-dihydroxy
-3-[2-(4-hydroxy-3-methoxycyclohexyl)
-1-methylethenyl]-14,16-dimethoxy
-4,10,12,18-tetramethyl-8-(2-propenyl)
-15,19-epoxy-3H-pyrido[2,1-c] [1,4] oxaazacyclotricosine-1,7,20,21(4H,23H)
-tetrone, monohydrate
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
A |
法的規制 |
? |
投与方法 |
Topical, oral, iv |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
20%, less after eating food rich in fat |
血漿タンパク結合 |
75-99% |
代謝 |
Hepatic CYP3A4 |
半減期 |
11.3 hours (range 3.5-40.6 hours) |
排泄 |
Mostly faecal |
識別 |
CAS登録番号 |
104987-11-3 |
ATCコード |
L04AD02 D11AX14 |
PubChem |
CID 656830 |
DrugBank |
APRD00276 |
ChemSpider |
4976056 |
化学的データ |
化学式 |
C44H69NO12 |
分子量 |
804.018 g/mol |
SMILES
- C=CC[C@@H]1C=C(C)C[C@H](C)C[C@H](OC)[C@H]2O[C@](O)([C@H](C)C[C@@H]2OC)C(=O) C(=O)N2CCCC[C@H]2C(=O)O[C@H](\C(=C\[C@@H]2CC[C@@H](O)[C@H](OC)C2)/C)[C@H](C )[C@@H](O)CC1=O
|
タクロリムス(tacrolimus)は、免疫抑制剤の一種で、臓器移植または骨髄移植を行った患者の拒絶反応を抑制する薬剤である。また、アトピー性皮膚炎に対する塗布剤、関節リウマチ治療薬としても用いられる。
目次
- 1 概要
- 2 生理作用
- 3 副作用
- 4 名称
- 5 関連事項
|
概要
1984年、藤沢薬品工業(現アステラス製薬)の研究により筑波山の土壌細菌(ストレプトマイセス・ツクバエンシス)より分離された。23員環マクロライド・マクロラクタム構造を持つ。
1993年5月に肝臓移植時の拒絶反応抑制剤として認可され、後に腎臓、肺、骨髄などの移植に用いられた。さらにアトピー性皮膚炎、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎へも適応が拡大された。
生理作用
タクロリムスは細胞内でまずFKBP (FK506 binding protein) と複合体を形成し、これがさらにカルシニューリンに結合する。そしてそのNFAT脱リン酸化反応を阻害することにより、IL-2に代表される種々のサイトカインの発現を抑制する。これにより、細胞傷害性T細胞の分化増殖を抑制、細胞性免疫・体液性免疫の両方を抑制する。
このメカニズムはハーバード大学のスチュアート・シュライバーによって解明された。シュライバーはタクロリムスをツールとして様々な生命現象の解明を行っており、これらの研究はケミカルバイオロジーという一分野を切り開く先駆けとなったことで知られる。
副作用
- 腎機能障害 (血清クレアチニン値上昇など)
- 高血糖
- 高血圧
- 消化器症状(悪心・嘔吐・食思不振など)
- 免疫抑制による日和見感染など。
- プロトピック軟膏の場合、肌の灼熱感・疼痛などの刺激、ざ瘡、ざ瘡様皮疹、丘疹、皮膚乾燥、接触性皮膚炎、紅斑、酒さ様皮膚炎、浮腫などが起こる場合がある。また、塗布後に紫外線が当たると免疫抑制作用により皮膚癌のリスクが起きうるので、日光浴やPUVA療法には注意が必要。
名称
タクロリムス(Tacrolimus)の名は、筑波で発見されたマクロライド系免疫抑制剤(Tsukuba macrolide immunosuppressant)というところから命名されている。開発コードナンバーはFK506であり、論文などではこちらの名称が使われることも多い。
臓器移植用医薬品としての商品名はプログラフ®で、1993年に藤沢薬品から発売された。2008年に1日1回投与でプログラフの1日分(1錠を2回)の効果をもたらす経口徐放性製剤タイプのグラセプター®(海外ではアドバグラフ®もしくはプログラフXL®)が発売されている。アトピー性皮膚炎用外用剤としては1999年にプロトピック®軟膏として発売されている。山之内製薬との合併により2005年以降はアステラス製薬の製品となっている。
関連事項
- シクロスポリン - 同じく臓器移植による拒絶反応の抑制に用いる
- シロリムス
- テムシロリムス
- エベロリムス
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 能谷 紘子/高村 悦子/三宮 瞳/田尻 晶子/木全 奈都子/篠崎 和美/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E244-E248, 2012-01-31
- … 2010年2月からアトピー性角結膜炎に対して0.1%タクロリムス点眼を開始した。 … 0.1%タクロリムス点眼を中止しアシクロビル眼軟膏、抗菌点眼薬を2週間使用し角膜潰瘍は消失した。 … 引き続き抗アレルギー薬点眼と0.1%タクロリムス点眼を再開し継続している。 …
- NAID 110008767985
- 非血縁臍帯血移植後にサイトメガロウイルス網膜炎の治療中に免疫回復ぶどう膜炎を生じた1例
- 内村 英子/豊口 光子/園部 愛/三宮 瞳/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E234-E238, 2012-01-31
- … ,【症例】52歳男性、2008年7月急性骨髄性白血病に対する非血縁臍帯血移植を施行後、免疫抑制剤 タクロリムス(FK506)が投与されていた。 …
- NAID 110008767983
Related Links
- タクロリムス(tacrolimus)は、免疫抑制剤の一種で、臓器移植または骨髄移植を行った 患者の拒絶反応を抑制する薬剤である。また、アトピー性皮膚炎に対する塗布剤、関節 リウマチ治療薬としても用いられる。
- プログラフ,グラセプターとは?タクロリムスの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も 調べられる(おくすり110番:薬事典版)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
タリムス点眼液0.1%
組成
成分・含量(1mL中)
- タクロリムス水和物1.02mg(タクロリムスとして1mg)
添加物
- ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ベンザルコニウム塩化物、塩化ナトリウム、
リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、リン酸、水酸化ナトリウム
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 眼感染症のある患者
[免疫抑制により感染症が悪化する可能性がある]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 眼瞼結膜巨大乳頭の増殖が認められ、抗アレルギー剤により十分な効果が得られないと判断した場合に使用すること。
- 用時よく振り混ぜたのち、通常、1回1滴を1日2回点眼する。
薬効薬理
薬理作用4)
====ラット実験的アレルギー性結膜炎モデルに対する効果
==
- タクロリムスの点眼は、卵白アルブミン誘発遅発型(I型)
アレルギー性結膜炎モデルにおいて、結膜の好酸球及びT細胞の増加を抑制した。
ウサギ実験的アレルギー性結膜炎モデルに対する効果
- タクロリムスの点眼は、ツベルクリン誘発遅延型(IV型)アレルギー性結膜炎モデルにおいて、
結膜の充血及び浮腫の発症を抑制した。
作用機序
5)により、in vitroにおけるヒト末梢血由来単核球からのサイトカイン(IL-2,IL-4,IL-5,IFN-γ)
産生を抑制することが確認されている(IC50値:0.02〜0.11ng/mL)6)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- タクロリムス水和物
(Tacrolimus Hydrate)〔JAN〕
化学名:
8R,9E,12S,14S,
15R,16S,18R,19R,
26aS )-5,19-Dihydroxy-3-{(1E )-2-[(1R,
3R,4R )-4-hydroxy-3-methoxycyclohexyl]-1-methylethenyl}-14,
16-dimethoxy-4,10,12,18-tetramethyl-8-(prop-2-en-1-yl)-15,19-epoxy-5,6,8,11,12,13,14,15,16,17,18,19,24,25,26,
26a-hexadecahydro-3H -pyrido[2,1-c][1,4]oxaazacyclotricosine-1,
7,20,21(4H,23H )-tetrone monohydrate
構造式:
分子式:
分子量:
性状:
- タクロリムス水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミド又は
エタノール(95)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 挙児希望のある関節リウマチの女性に対して、妊娠前にあらかじめ中止すべき治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A010]←[国試_114]→[114A012]
[★]
- 英
- antirheumatic drug
- 同
- 疾患修飾性抗リウマチ薬 disease-modifying antirheumatic drug DMARD、遅効性抗リウマチ薬 slow-acting antirheumatic drug SAARD
- 関
定義
- 1. 関節リウマチの治療薬であって、関節破壊を抑制する薬剤のことを指す(出典不明)
- 遅効性:一般的にこれらの薬剤は効果が出るまでに数ヶ月要する(別名:SAARDs, slow-acting antirheumatic drugs, 遅効性抗リウマチ薬)。
- 2. 関節リウマチの治療薬のこと。金剤、D-ペニシラミンなど。DMARDsとも呼ばれる(REU.66)
- 免疫抑制薬は、抗リウマチ薬が奏功しない、あるいは疾患の活動性が高いときに切り札的に用いられるが、これを抗リウマチ薬にふくめるかどうかは謎。(REU.66では抗リウマチ薬に含めていない)
- Disease-modifying antirheumatic drugs (DMARDs) is a category of otherwise unrelated drugs defined by their use in rheumatoid arthritis to slow down disease progression. The term is often used in contrast to non-steroidal anti-inflammatory drug, which refers to agents that treat the inflammation but not the underlying cause.
- The term "antirheumatic" can be used in similar contexts, but without making a claim about an effect on the course.
- 抗リウマチ薬はRAの進行を抑えるかどうかは問わない。抗リウマチ薬の下位概念としてDMARDがある(NSAIDsも含まれると考えて良いだろう)。DMARDはNSAIDsを待避させた概念か。
抗リウマチ薬 (リウマチ ガイドライン?より)
抗リウマチ薬の薬剤性肺障害
副作用
- 出現率:50%
- 皮疹、口内炎、脱毛
- 胃腸障害、味覚障害
- 間質性肺炎
- 骨髄抑制
- 肝機能障害
- 蛋白尿
[★]
- 英
- dabigatran
- 化
- ダビガトランエテキシラート dabigatran etexilate、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 dabigatran etexilate methanesulfonate
- 商
- プラザキサ
- 関
- 抗凝固薬
- 適応は非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
- 用量:通常は1回150mg 1日2回。減量が必要な場合は1回110mg 1日2回とする。
- 通常、成人にはダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口投与する。なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回投与へ減量すること。
- 用量を調整する必要がある場合
-
- 1. 本薬品の過敏症の既往
- 2. 透析中の患者、及びCcr 30mL/minの患者
- 3. 出血症状、出血素因、および止血障害のある患者
- 4. 出血リスクのある器質的病変を有する患者(6ヶ月以内の出血性脳梗塞を含む)
- 5. 脊椎・硬膜外カテーテルを留置している患者及び抜去後1時間以内の患者
- 6. イトラコナゾール(経口剤)を服用中
[★]
- 英
- glomerular filtration rate, GFR
- 同
- 糸球体濾過率 「糸球体濾過量」の方がよく使われているらしい
- 関
- 糸球体濾過値。イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス。慢性腎不全。推算糸球体濾過量 eGFR
概念
- 糸球体で濾過される血漿の量(厳密には時間あたりの量)
- 糸球体で完全に排泄される物質を使って算出する
- 成人のGFR:100-150 ml/min (SP.778)
試験
GFRに影響を与える因子
- 上昇:妊娠、糖尿病性早期腎症、蛋白の過剰摂取(尿中のクレアチニンの影響を受ける(出典不明))、アンジオテンシンII
- 低下:脱水
- 考える技術 第2版 p.528
理論値
- Ccr=((140-年齢)×体重(kg))/(72×Cr(mg/dL))(女性では×0.85)
- ref(GFR_fig.png,[糸球体濾過量])
[★]
- 英
- immunosuppressive drug, immunosuppressant
- 関
作用機序
- 56kDa immunophilinに結合 (GOO.1596)
- 56kDa immunophilinはHSP70, HSP90と共にglucocorticoid receptosに結合している。
再生不良性貧血に対する治療薬として
副作用
感染症
リスクの上がる病原微生物
- https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_of_geriatrics_48_5_461.pdf
|
量と投与期間
|
病原微生物
|
予防薬
|
ステロイド
|
プレドニン10mgで8週間以上投与予定
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
リンデロン1mg以上を1カ月以上投与
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
プレドニン15mg以上を2~3週間以上
|
結核
|
感染予防はなし,潜在結核治療としてはイソニアジド
|
ステロイド全般
|
ノカルジア?
|
ST合剤?(ただし,投与下での発症あり)
|
TNFα阻害薬
|
インフリキシマブ、エタネルセプト
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
インフリキシマブ、エタネルセプト
|
結核
|
新規感染予防はなし,潜在結核治療としてはイソニアジド
|
[★]
- 英
- rejection、allograft rejection, graft rejection, rejection reaction RR
- 同
- 拒否反応
- 関
- 臓器移植
YN.N-17改変
[★]
- 英
- tacrolimus-binding protein
- 関
- FK506結合タンパク質
[★]
- 英
- tacrolimus hydrate
- 関
- タクロリムス
[★]
- 英
- tacrolimus binding protein 1A