- 英
- inulin
- 商
- イヌリード
- 関
- 機能検査用試薬
WordNet
- used to manufacture fructose and in assessing kidney function
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イヌリン |
|
|
(C6H12O6)n |
CAS登録番号 |
9005-80-5 |
PubChem |
24763 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
イヌリン (inulin) は自然界においてさまざまな植物によって作られる多糖類の一群である。炭水化物の一種、果糖の重合体である。キク科の植物は球根に栄養源を貯蔵するための手段として利用している。イヌリンを合成・貯蔵する植物は、多くの場合デンプンのような他の物質を貯蔵することはない。イヌリンの名称は、キク科オグルマ属の植物 (Inula) から抽出されたことに由来する[1]。
イヌリンは栄養上の性質に優れることから、食物製品に使用されることが近年増えてきている。薄味のものから甘めのものまで広範に使用されており、砂糖や脂肪、小麦粉の代わりに用いられることもある。これは次の点において有利であるとされる。すなわち、イヌリンは砂糖や他の炭水化物と比較して3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含まず、脂肪と比べて6分の1から9分の1程度のエネルギーしか含まない。さらに、カルシウムの吸収を促進し、おそらくはマグネシウムの吸収も促進する。また、腸におけるバクテリアの活動を増進させる。
栄養学的には水溶性食物繊維の一種であり、多量に摂取すると(特に、過敏な人あるいは不慣れな人にとっては)腹部膨満を来す可能性があることに注意が必要とされる。血糖にはほとんど影響を及ぼさず、糖尿病患者の血糖値を適切な水準に調節する効果があるかもしれない(人体への効果を厚労省は否定している)。そのため、血糖値の異常によっておこる病気の治療への応用を期待する人もいないわけではない。
目次
- 1 生化学
- 2 使用による人体への効果
- 3 イヌリンを含む植物
- 4 その他
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
生化学[編集]
イヌリンは主に果糖の重合体であり、普通は末端にブドウ糖が結合している。果糖はイヌリン中でβグリコシド結合をしている。植物中に存在する場合はおよそ2から140個の果糖を含む。
イヌリン類のうち最も単純なものは1-ケストース (1-kestose) であり、これは2つの果糖と1つのブドウ糖からなる。
加水分解によってオリゴ糖を生ずる。
使用による人体への効果[編集]
イヌリンは人体においてデンプンを消化するために分泌されるアミラーゼとプチアリンという酵素によって消化されない。そのため、人間の消化器官をそのままの状態で通過してしまうことになる。ただし、結腸においてはバクテリアによる代謝が行われ、かなりの量の二酸化炭素またはメタンに変換される。特に慣れていない人にとって、イヌリンを含む食物を多量に摂取するとガス化する可能性があるので、最初のうちは適度に摂取するのが望ましい。しかしながら、たいていの場合は摂取を繰り返すうちに消化が行われるようになってゆく。
通常の消化過程ではイヌリンが単糖類にまで分解されることはないので血糖値が上昇せず、糖尿病患者にとってはその治療に有効性があると考える人がいないわけでもないが、厚労省は否定している。
ジャンボリーキ(無臭ニンニク)の乾燥粉末(イヌリン60%含有)を糖尿病モデルラットに食餌とともに与えたところ食後血糖値の上昇が抑制された[2]。2型糖尿病の女性49人を対象にイヌリンを投与したところ、空腹時血糖値、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、マロンジアルデヒドの低下が認められ、スーパーオキシドディスムターゼの活性が高まるなど抗酸化能力の増加が認められた[3]。
イヌリンは非常に効果的なプレバイオティクスでもあり、腸内において人体に有益な細菌を増やすのに貢献する。既に述べたように、イヌリンは消化されることなく胃と十二指腸を通過し、腸内の細菌にとって有益な物質となる。このことは、乳酸菌が腸にコロニーを形成することができるようになるまでに、消化管を通して非常に過酷な環境に耐えなければならないことと比較しても非常に対照的である。
伝統的な食事には、最高で1日当たり20グラムのイヌリンまたはオリゴ糖を含むものもある。チコリーやニンニク、リーキといった食材はもともと多量のイヌリンあるいはオリゴ糖を含むため、何世紀にもわたって健康への刺激剤と考えられてきた。
医療の現場においては、イヌリンを用いて細胞外液量の総量の測定をすることで腎機能の診断に役立てられてきた。
イヌリンを含む植物[編集]
次の植物は高濃度のイヌリンを含む。
- キクイモ
- ダリア
- ゴボウ
- アザミ
- タンポポ
- ヤムイモ
- アーティチョーク(朝鮮薊)
- チコリー
- 葛芋
- タマネギ
- ニンニク
- リュウゼツラン(竜舌蘭)
その他[編集]
イヌリンは糸球体において完全にろ過され、腎臓によって分泌されることも再吸収されることもないため、重要な腎機能(特に糸球体濾過量)の測定を行う指標物質として使用され続けてきた(イヌリンクリアランス)。
慢性腎臓病患者の大多数に対して、EDTA(エチレンジアミン四酢酸、エデト酸)、クレアチニンクリアランスといった項目を調べることで糸球体濾過量を実際に測定できると確認されており、それはイヌリンの測定よりも単純な方法で可能であるために広く行われるようになっているのであるが、それでもなお、イヌリンの検査をすることで糸球体濾過量を測定することは標準であるとされている。
脚注[編集]
- ^ Oxford Dictionary of English, Oxford University Press, 2003.
- ^ ジャンボリーキが病態モデルラットへの血糖値および肝機能に及ぼす影響について、内田あゆみほか、日本食品科学工学会誌 Vol.55 (2008) No.11
- ^ Effects of high performance inulin supplementation on glycemic control and antioxidant status in women with type 2 diabetes. Pourghassem Gargari B, et. al., Diabetes Metab J. 2013 Apr;37(2):140-8. doi: 10.4093/dmj.2013.37.2.140. Epub 2013 Apr 16.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- イヌリン - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
炭水化物 |
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一般構造 |
アルドース · ケトース · ピラノース · フラノース
|
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立体構造 |
エピマー · アノマー · 変旋光
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|
単糖類 |
トリオース
|
ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン) · アルドトリオース(グリセルアルデヒド)
|
|
テトロース
|
ケトテトロース(エリトルロース) · アルドテトロース(エリトロース、トレオース)
|
|
ペントース
|
ケトペントース(リブロース、キシルロース)
アルドペントース(リボース、アラビノース、キシロース、リキソース)
デオキシ糖(デオキシリボース)
|
|
ヘキソース
|
ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース)
アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース)
デオキシ糖(フコース、フクロース、ラムノース)
|
|
ヘプトース
|
セドヘプツロース
|
|
|
マルチプル |
二糖類
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スクロース · ラクトース · マルトース · トレハロース · ツラノース · セロビオース
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三糖類
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ラフィノース · メレジトース · マルトトリオース
|
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四糖類
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アカルボース · スタキオース
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その他のオリゴ糖
|
フラクトオリゴ糖(FOS) · ガラクトオリゴ糖(GOS) · マンナンオリゴ糖(MOS)
|
|
多糖類
|
グルコース:グリコーゲン · デンプン(アミロース、アミロペクチン) · セルロース · デキストリン · グルカン(β1,3-グルカン)
フルクトース:フルクタン(イヌリン、レバンβ2→6)
N-アセチルグルコサミン:キチン質
|
|
|
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- スクロースから酵素的に作られたイヌリンの生理機能と食品への応用
- 健康食品産業を支える受託企業のいま OEM企業各社の魅力に迫る(第12回)酸化・変性しやすい機能性素材を安定的に粉末化 砂糖由来のイヌリンはタイで増産体制ヘ フジ日本精糖㈱
Related Links
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- 「ドッグスポーツを通して、ペットとの共存共生を行う社会を築いていく」愛犬と一緒に楽しむための、犬のイベント『イヌリンピック』
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イヌリード注
組成
成分・含量
添加物
- リン酸水素ナトリウム水和物
塩化ナトリウム
リン酸二水素カリウム
水酸化ナトリウム
禁忌
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 無尿や乏尿のある患者〔水分の過剰投与に陥りやすく、症状を悪化させるおそれがある。〕
効能または効果
- 本剤1バイアルを加熱溶解し、添付の日局生理食塩液360mLに希釈する。
初回量として、150mLを1時間に300mLの速度で30分間、次いで維持量として150mLを1時間に100mLの速度で90分間点滴静注する。
《注射液の調製方法》
- 本剤は水に溶けにくく沈殿しているので、以下の調製方法を必ず守ること。
沸騰水浴を使用する場合
- バイアルを振り混ぜてから溶解ラックに入れ、あらかじめ沸騰させた水浴中で約20分間加熱する。その間、数回沸騰水浴から溶解ラックごと取り出し、よく振り混ぜる。
【注意】
- 加熱中は、沸騰水がなくならないように注意すること。
- 沸騰水浴からバイアルを溶解ラックごと取り出し、完全に溶解していることを確認する。
【注意】
- 完全に溶解していない場合は、バイアルを溶解ラックに入れた状態で更に約10分間加熱する。約10分後に取り出して完全に溶解していない場合は使用しないこと。
- 溶解したバイアルを室温付近まで放冷する。生理食塩液で希釈する前に無色から微黄色の澄明な状態であることを確かめる。
【注意】
- 本剤は長時間の加熱により黄色に着色することがあるので、黄色に着色した場合は使用しないこと。
- 本剤40mL(全量)を添付の溶解液注入針を用いて、添付の日局生理食塩液360mLに注入し、振り混ぜること(溶解液注入針の使用方法は、注入針裏面を参考にすること)。
ドライバスを使用する場合
- バイアルを振り混ぜてから、あらかじめ約100℃に加熱したドライバスに入れ、約20分間加熱する。この間、数回ドライバスから取り出し、バイアルをよく振り混ぜ、完全に溶解させる。
【注意】
- バイアルを取り出し振り混ぜる際には、厚手の手袋等を用いてバイアルのキャップ部を持って行うこと。
- バイアルをドライバスから取り出し、完全に溶解していることを確認する。
【注意】
- 完全に溶解していない場合は、バイアルをドライバスに入れ更に約10分間加熱する。約10分後に取り出して完全に溶解していない場合は使用しないこと。
- 溶解したバイアルを室温付近まで放冷する。生理食塩液で希釈する前に無色から微黄色の澄明な状態であることを確かめる。
【注意】
- 本剤は長時間の加熱により黄色に着色することがあるので、黄色に着色した場合は使用しないこと。
- 本剤40mL(全量)を添付の溶解液注入針を用いて、添付の日局生理食塩液360mLに注入し、振り混ぜること(溶解液注入針の使用方法は、注入針裏面を参考にすること)。
慎重投与
- 心臓、循環器系機能障害のある患者〔水負荷を行い循環血液量が増すことから、心臓に負荷をかけ、症状を悪化させることがある。〕
- 腎不全あるいは腎透析を受けている患者〔水分、生理食塩液投与により、症状を悪化させることがある。〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- アレルギー素因のある患者
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、血圧低下等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 静脈内投与されたイヌリンは糸球体毛細血管を自由に透過し(透過率Kinulin=1.06)、尿細管では分泌も再吸収もされないことから糸球体ろ過量(GFR)測定のための標準物質として用いられており、真のGFRを示すとされている6〜9)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
本 質
- α-D-Glucopyranosyl-(12)-[(2→1)- β-D-fructofuranan] with average molecular weight between 3,000 and 8,000
分子式
分子量
性 状
- 白色の粉末で、においはない。水、エタノール(99.5)及びアセトンにほとんど溶けない。吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- glomerular filtration rate, GFR
- 同
- 糸球体濾過率 「糸球体濾過量」の方がよく使われているらしい
- 関
- 糸球体濾過値。イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス。慢性腎不全。推算糸球体濾過量 eGFR
概念
- 糸球体で濾過される血漿の量(厳密には時間あたりの量)
- 糸球体で完全に排泄される物質を使って算出する
- 成人のGFR:100-150 ml/min (SP.778)
試験
GFRに影響を与える因子
- 上昇:妊娠、糖尿病性早期腎症、蛋白の過剰摂取(尿中のクレアチニンの影響を受ける(出典不明))、アンジオテンシンII
- 低下:脱水
- 考える技術 第2版 p.528
理論値
- Ccr=((140-年齢)×体重(kg))/(72×Cr(mg/dL))(女性では×0.85)
- ref(GFR_fig.png,[糸球体濾過量])
[★]
- 英
- inulin clearance CIN
- 関
- 糸球体濾過値、クレアチニンクリアランス、クリアランス、イヌリン
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- dog、Canis familiaris、canine
- 関
- 犬歯、イヌ科、イエイヌ