糸球体濾過量
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/27 21:52:29」(JST)
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糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう、英: glomerular filtration rate, GFR)は、単位時間当たりに腎臓のすべての糸球体により濾過される血漿量のこと。単位はml/分、またはL/日。
医療
厳密に測定するにはイヌリン・クリアランスを用いるが、医療の現場ではクレアチニン・クリアランスまたはeGFR(estimated GFR; 推定糸球体濾過量)で代用することが多い。単位はml/分/1.73m2
- 血清クレアチニンからのGFR推算式(イヌリン・クリアランスをもとに日本人のGFR推算式を2008年に改訂)
- 男性用 194 × 血清クレアチニン-1.094 × 年齢-0.287
- 女性用 eGFR(男性) × 0.739
- 男性用 104 * Cys-C-1.019 × 0.996年齢 - 8
- 女性用 104 * Cys-C-1.019 × 0.996年齢× 0.929 - 8
- 血清クレアチニンからのCockcroft-Gault計算式
- 0.741×[(140-年齢)×体重kg×0.85]÷(72×血清クレアチニンmg/dl)
eGFRから慢性腎臓病の治療方針を決定するにはエビデンスに基づいたガイドラインに従うことが推奨される。 [1]
eGFR (血清クレアチニンおよびシスタチンCによる換算)や24時間蓄尿データの自動計算フォームがあります.
意義
腎不全では糸球体で濾過ができなくなっているため、GFRを測定することでその進行度を知ることができる。そのため、慢性腎不全においては人工透析を導入する目安ともなる。
通常GFRは正常値から減少するのみで上昇することはないが、糖尿病性腎症の初期では一時的に上昇することが知られている。
脚注
- ^ CKD(慢性腎臓病)診療ガイド公開
関連項目
- 腎臓病学
- ネフローゼ
- クレアチニンクリアランス
- 腎血漿流量
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膀胱結石
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糸球体濾過量 | クレアチニンクリアランス | ナトリウムクリアランス | 尿中ナトリウム排泄率 | 腎不全指数
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腹部X線写真 | 腎盂造影 | レノグラム | 腎生検
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Japanese Journal
- 齋藤 篤史,田畑 勉,辻本 吉広,藤原 木綿子,細見 由佳,上田 恵利子,伊藤 淑子,安田 雅子,山内 裕二
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 44(9), 939-944, 2011-09-28
- … dialysis,以下PD)患者において残腎機能は予後と至適透析を行う上で重要である.シスタチンC(Cystatin C,以下CysC)はすべての有核細胞でほぼ一定の割合で産生され,糸球体から濾過されるため優れた糸球体濾過率(glomerular filtration rate,以下GFR)のマーカーとなりえる.今回,外来通院中の残腎機能を有するPD患者68人の延べ96血清において,血清CysC値が残腎機能の評価に有効か血清β2ミクログロブリン値(β2 …
- NAID 10029747367
- CKDステージ分類に基づくシスタチンCを含めた各種腎機能マーカーの臨床的有用性
Related Links
- 糸球体濾過量(GFR)による腎機能の評価. 腎臓の基本的な機能(腎機能)の良し悪しは 、糸球体濾過量 Glomerular Filtration Rate (GFR) を用いて評価します。 腎機能が 低下すると、体内でつくられたゴミ(クレアチニンや尿素窒素など)を尿中に捨てることが ...
- その指標となるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。 これは、腎臓にどれくらい老廃物 を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いという ことになります。 eGFRは血清クレアチニン値と年齢と性別から計算できます。
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★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097G047]←[国試_097]→[097G049]
[★]
- 英
- glomerular filtration rate, GFR
- 同
- 糸球体濾過率 「糸球体濾過量」の方がよく使われているらしい
- 関
- 糸球体濾過値。イヌリンクリアランス、クレアチニンクリアランス。慢性腎不全。推算糸球体濾過量 eGFR
概念
- 糸球体で濾過される血漿の量(厳密には時間あたりの量)
- 糸球体で完全に排泄される物質を使って算出する
- 成人のGFR:100-150 ml/min (SP.778)
試験
GFRに影響を与える因子
- 上昇:妊娠、糖尿病性早期腎症、蛋白の過剰摂取(尿中のクレアチニンの影響を受ける(出典不明))、アンジオテンシンII
- 低下:脱水
- 考える技術 第2版 p.528
理論値
- Ccr=((140-年齢)×体重(kg))/(72×Cr(mg/dL))(女性では×0.85)
- ref(GFR_fig.png,[糸球体濾過量])
[★]
- 英
- glomerulus (Z)
- 関
- ボウマン嚢、腎小体、腎臓、輸出細動脈#調節
概念
- 1個の腎臓に100万個存在。
- 房状の毛細血管からなる
- 糸球体の毛細血管は有窓型毛細血管である
糸球体の微細構造 (SP.785)
詳細には
血流の調節 (HIM.1742)
- 輸入細動脈:autonomous vasoreactive reflex in afferent arteriole, tubuloglomerular feedback
- 緻密斑でのCl-の低下 = 原尿流速が早い → 腎灌流量の低下と解釈
- 腎灌流圧↑→輸入細動脈の平滑筋収縮
- 腎灌流圧↓→輸入細動脈の平滑筋弛緩
- 緻密斑はNaClの再吸収にとともにATP、(アデノシン)を細胞外に放出。細胞外のecto-5'-nucleotidaseがATPからアデノシンを産生。アデノシンが輸入細動脈のvasoconstrictorとして作用
- loop diureticsは緻密斑でのNaClの再吸収を妨げるので、尿細管糸球体フィードバックを阻害→糸球体濾過量は高レベルに保たれる
- アンジオテンシンIIと活性酸素種は尿細管糸球体フィードバックを増強 → 輸入細動脈収縮 → 糸球体濾過量低下
- NOは尿細管糸球体フィードバックを減弱 → 輸入細動脈弛緩 → 糸球体濾過量上昇
- 輸出細動脈:angiotensin II-mediated casoconstriction of the efferent arteiole
-
臨床関連
[★]
- 英
- rate
- 関
- 比
- 集団における現象発生の頻度を表す指標。全体に対する部分の割合を示す。
- 値は0~1
[★]
- 英
- filtration fraction, FF
- 関
- 糸球体濾過値、腎血漿流量
[★]
- 英
- glomerular filtration
- 関
- 糸球体
[★]
- 英
- spheroidal
- 関
- 楕円体