パリペリドン
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パリペリドン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(RS)-3-[2-[4-(6-fluorobenzo[d]isoxazol-3-yl)- 1-piperidyl]ethyl]- 7-hydroxy- 4-methyl- 1,5-diazabicyclo[4.4.0]deca- 3,5-dien- 2-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口徐放錠, 月一回筋肉内注射 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
28%(経口) |
半減期 |
22.9時間(経口6mg) |
識別 |
CAS番号 |
144598-75-4 |
ATCコード |
N05AX13 |
PubChem |
CID 115237 |
DrugBank |
DB01267 |
化学的データ |
化学式 |
C23H27FN4O3 |
分子量 |
426.484 g/mol |
パリペリドン(英: Paliperidone、商品名:インヴェガ®、INVEGA®)は、ヤンセン ファーマ社から発売されている非定型抗精神病薬であり、同社から発売されているリスペリドンの活性代謝物(9-ヒドロキシリスペリドン)である。
2006年12月20日にアメリカ合衆国のFDAに統合失調症の治療薬として承認された。日本では2010年10月27日に、米国ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品日本法人、ヤンセンファーマ株式会社が製造販売承認を取得、(商品名「インヴェガ®錠」)。2011年1月17日に発売された[1]。
統合失調症の他に、米国では統合失調感情障害にも適応症がある。
脳の中枢に直接作用し、ドパミンD2受容体拮抗作用ならびにセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用により、統合失調症の陽性症状及び陰性症状を改善する作用がある。更に、α1ならびα2アドレナリン受容体、ヒスタミンH1受容体にも拮抗作用を有する。
目次
- 1 剤形種類
- 2 特徴
- 3 用量・用法
- 4 死亡事故
- 5 脚注
- 6 外部リンク
剤形種類
- 錠剤:3mg、6mg、9mg
- 持続性注射剤:25mg、50mg、75mg、100mg、150mg(商品名ゼプリオン水懸筋注)
特徴
OROSという腸管での浸透圧を利用した特殊な薬物放出制御構造を採用しており、カプセル外皮の一方にはレーザーで開けた孔、内部に薬物層2層(小腸用、大腸用で濃度を調整している)、孔の反対側にプッシュ層がある。カプセル周囲も薬物でコーティングされている。服用すると間もなく表面コートが溶け出し、素早く血中濃度を上昇させ、次にプッシュ層が水分浸透で膨張し薬物層を穿孔から押し出すことで24時間にわたり持続的に効果を保つしくみである。放出を終えたカプセルは外見はそのままの形で糞便中へ排出される。ドラッグデリバリーシステムの一種といえる。その為、この薬は、かんだり、割ったり、くだいたり、溶かしたり、しないでそのまま飲み込むことが必要である。
用量・用法
通常、成人にパリペリドンとして6mgを1日1回朝食後に経口投与する。なお、年齢・症状により1日12mgを超えない範囲で適宜増減する。他の向精神薬との併用は禁忌。
死亡事故
日本では「ゼプリオン水懸筋注」が2013年11月から発売され推定約19000人が使用したが、2014年4月17日、厚生労働省は2014年4月16日までの約半年間で21人が死亡したと発表した。本剤との因果関係は不明。内、14例の死因は心筋梗塞、多臓器不全、肺炎などで、半数は不明。12例は他の抗精神病薬と併用していた。使用から死亡するまでの期間は3~107日だった。また50歳代が最も死亡例が多かった。84の国と地域で承認されているが、発売から短期間の死亡例は日本以外では報告されていない[2][3]。
脚注
- ^ 抗精神病剤「インヴェガ®錠」、新発売のお知らせ ヤンセンファーマ株式会社公式サイト
- ^ "統合失調症治療薬「ゼプリオン水懸筋注」に関する安全性速報(ブルーレター)の発出について" 厚生労働省
- ^ "統合失調症薬で21人死亡 ヤンセンのゼプリオン" 朝日新聞DIGITAL
外部リンク
- INVEGA公式サイト(英語)
- 抗精神病剤「インヴェガ®錠」承認取得のお知らせ
- 抗精神病剤「インヴェガ®錠」、新発売のお知らせ
- インヴェガ錠3mg/インヴェガ錠6mg/インヴェガ錠9mg(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
- ゼプリオン公式サイト
- 4週に1回投与の持効性注射剤 統合失調症治療薬「ゼプリオン®水懸筋注シリンジ」製造販売承認取得のお知らせ
- 【新薬】ゼプリオン(非定型抗精神病薬)4週1回投与のパリペリドン製剤が登場 (2013/12/13)
- 統合失調症治療薬「ゼプリオン水懸筋注」に関する安全性速報(ブルーレター)の発出について 厚生労働省 2014/4/17閲覧
- 統合失調症薬「ゼプリオン」で17人死亡例 読売新聞(ヨミドクター)2014/4/9閲覧
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抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 新規統合失調症治療薬パリペリドンER(インヴェガ^【○!R】錠)の薬理学的特性および臨床試験成績
- 梛野 健司,高 忠石,原田 寧
- 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 137(6), 245-254, 2011-06-01
- パリペリドンは,日本国内および海外で非定型抗精神病薬として広く使用されているリスペリドンの主活性代謝物(9-ヒドロキシ-リスペリドン)であり,リスペリドンと同様にドパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体に対する阻害作用を有し,セロトニン・ドパミンアンタゴニスト(SDA)に分類される.さらに,パリペリドンの製剤は,放出制御型徐放錠であり,放出制御システム(osmotic controlled …
- NAID 10029417778
- 新薬収載 [2010年]12月10日 ザイザル、インヴェガ等12成分21品目を収載
- 統合失調症薬物療法の進歩からみたインヴェガ錠(パリペリドン)登場への期待
Related Links
- インヴェガとは?パリペリドンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる( おくすり110番:薬事典版)
- ヤンセン ファーマ株式会社のインヴェガ錠6mg(中枢神経用薬)、一般名パリペリドン( Paliperidone) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
インヴェガ錠3mg
組成
- 本剤は、浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した、パリペリドンの放出制御型の徐放錠である。
成分・含量(1錠中)
添加物
- 塩化ナトリウム、カルナウバロウ、酢酸セルロース、三二酸化鉄、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン、ポリエチレンオキシド200K、ポリエチレンオキシド7000K、マクロゴール4000、ヒプロメロース、酸化チタン、黄色三二酸化鉄注1)、乳糖水和物注1)、トリアセチン注1)
注1)インヴェガ錠3mgに添加
禁忌
- 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されることがある。]
- アドレナリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 本剤の成分及びリスペリドンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 中等度から重度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分未満)[本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
効能または効果
- 統合失調症
- 通常、成人にはパリペリドンとして6mgを1日1回朝食後に経口投与する。なお、年齢、症状により1日12mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は5日間以上の間隔をあけて1日量として3mgずつ行うこと。
- 軽度腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分以上80mL/分未満)には、1日用量として3mgから開始し、1日用量は6mgを超えないこと[本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)。]
- 本剤は徐放性製剤であるため、分割して投与しないこと。
- 本剤はリスペリドンの活性代謝物であり、リスペリドンとの併用により作用が増強するおそれがあるため、本剤とリスペリドンを含有する製剤との併用については、避けることが望ましい。
- 本剤の投与量は必要最低限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
慎重投与
- 心・血管系疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者[一過性の血圧降下があらわれることがある。]
- 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者[本剤の投与によりQTが延長する可能性がある。]
- パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させるおそれがある。]
- 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
- 軽度の腎機能障害のある患者[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照]
- 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[血糖値が上昇することがある(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
- 高齢者[「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]
- 小児[「小児等への投与」の項参照]
- 薬物過敏症の患者
- 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。]
- 高度な消化管狭窄のある患者[本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、他のOROS製剤の投与により、まれに閉塞症状が報告されている(「適用上の注意」の項参照)。]
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)
頻度不明注)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡することがある。
遅発性ジスキネジア
頻度不明注)
- 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
肝機能障害(4.2%)、黄疸(頻度不明)注)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症
頻度不明注)
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
不整脈
0.6%
- 心房細動、心室性期外収縮等があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
脳血管障害
頻度不明注)
- 脳血管障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
高血糖(1.3%)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明)注)
- 高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照]
低血糖
0.3%
- 低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
無顆粒球症(頻度不明)注)、白血球減少(0.3%)
- 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺塞栓症、深部静脈血栓症
頻度不明注)
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
持続勃起症
頻度不明注)
- α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがあるので、このような場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
抗ドパミン作用22)、23)
- ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアポモルヒネ又はアンフェタミンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した。
抗セロトニン作用22)、24)、25)
- セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン又はメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した。
カタレプシー惹起作用23)、26)
- ラットでのカタレプシー惹起作用は、リスペリドンと同等であった。また、ラットの中脳辺縁系(側坐核)でのドパミンD2受容体に対する占有率は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での占有率より高い。しかしハロペリドールでは側坐核と線条体で同程度であった。なお、セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。
作用機序
- 主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
性状
溶解性(20℃)
- メタノール 2.1mg/mL
エタノール 0.76mg/mL
ジエチルエーテル 0.07mg/mL
水 0.03mg/mL
分配係数
- logP=1.02(1-オクタノール/pH7.0リン酸緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- paliperidone
- 商
- インヴェガ
- 関
- 精神神経用剤
[★]
- 英
- moth
- 関
- 蚊、カ科、ヤママユガ亜科、オオカイコガ