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アルビノ(albino 羅"albus;白い + ino" 英: albinism)は、動物学においては、メラニンの生合成に係わる遺伝情報の欠損により 先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患、ならびにその症状を伴う個体のことを指す。対義語はメラニズム(英語版)。
症状のことは先天性白皮症(せんてんせいはくひしょう)・先天性色素欠乏症・白子症などと、個体のことは白化個体・白子(しらこ・しろこ) [1]などとも呼ぶ。またアルビノの個体を生じることを白化(はくか・はっか)とか白化現象という。
また、植物学の分野においては、光合成色素を合成できない突然変異個体のことを指す用語として用いられる[2] 。このような個体は独立栄養が営めないため、種子中の栄養を使い切ってしまった時点で枯死することになる。
本稿では、主として動物学用語としてのアルビノについて解説する。
目次
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先天的なメラニンの欠乏により体毛や皮膚は白く、瞳孔は毛細血管の透過により赤色を呈する。 劣性遺伝や突然変異によって発現する。広く動物全般に見られ、シロウサギやシロヘビが有名である。ほとんどの場合、視覚的な障害を伴い、日光(特に紫外線)による皮膚の損傷や皮膚がんのリスクが非常に高い。また外部から発見されやすく(シロクマなど元々白い動物を除く)、自然界での生存は極めてまれである。そのため、しばしば神聖なものやあるいは逆に凶兆とされ、信仰の対象として畏れられる。また、観賞用としても人気がある。なおアルビノは、正常な遺伝情報により白化した白変種とは異なる。
ヒトのアルビノは医学的に先天性白皮症と呼ばれる。チェディアック・東症候群 (CHS) 、ヘルマンスキー・プドラック症候群 (HPS) 、グリシェリ症候群 (GS) の合併症として起こる色素欠乏を白皮症に含める場合もある。
アフリカ南東部では、「アルビノ」の体には特別な力が宿るという伝統的な考えから、臓器や体の一部など売却する目的で、アルビノの人々をターゲットにした殺人が後を絶たない。
先天性白皮症は、メラニンの生合成に支障をきたす遺伝子疾患であり、その結果、メラニン沈着組織の色素欠乏およびそれに付随する、下記のような症状を先天的にきたす。ただしこれらには大きな個人差がある [3]。
これらは全て先天的症状で、非進行性である。これら以外の点は、アルビノでない人と同じである。
先天性白皮症の治療法は現在のところ見つかっていないため、処置は以下の対症療法となる [3]。
メラニンには、日焼けやDNAの破壊などの紫外線の害から身体を守る働きがあるが、アルビノの人にはこのメラニンが極めて少なく、あるいは全く欠如しているため、日差しの強い日には短時間でも日光に当たっていると、皮膚が赤くなる日焼け(サンバーン)をしてしまう。皮膚がん発病のリスクは、メラニン量の少ない北ヨーロッパ系白色人種よりも遥かに高い。従って、アルビノの人の紫外線対策は非常に重要である。
紫外線の影響を避けるためには日光に当たらないことが望ましいが、日常生活では不可能である。そこで、野外に出るときは直射日光をなるべく避け、SPF値が高く、UV-A・UV-B双方をカットできる日焼け止めクリームを塗り、長袖を着るなどの対策が必要である。また、目の組織も紫外線におかされやすいため、UV-Aカット機能のあるサングラスを着用するとよい(UV-Bは眼鏡のレンズ、UV-Cは大気によってカットされる)。建物の窓ガラス等、外の光を建物の内部に入れるものには、UVカットフィルターを貼るなどすると、さらに安心である。しかし、これらの対策を取っていても、完全に紫外線を取り除くことは不可能であることを留意しておく必要がある [3]。
メラニンの生成には、チロシナーゼという酵素が深く関係している。メラニンは、以下の手順で生成される。
このように、チロシナーゼはメラニンを合成してゆく過程で不可欠だが、アルビノは遺伝情報の欠損により、チロシナーゼを生成できないか、あるいはチロシナーゼが不活性のため、メラニンを生成できない。上記の第1段階・第2段階・第3段階の異常により、それぞれ下記のOCA2, OCA1, OCA3の現象が起こる。
眼皮膚白皮症は、色素の欠乏が全身に起こり、外見上、目と全身の皮膚(体毛も含む)に色素の欠乏が認められることからこう呼ばれる。眼皮膚白皮症は、以下のいくつかの型に分かれる。
(OCA1; Oculocutaneous Albinism Type 1) 11番常染色体上のチロシナーゼ遺伝子(TYR; Tyrosinase gene) の変異により起こる。1989年に名古屋大学のチームによって、白皮症としては初めて責任遺伝子が解明された[4]。全身に色素欠乏が起き、乳白色の皮膚に、プラチナブロンド(あるいはブロンド)、虹彩は無色(あるいは青や紫)である。OCA1はさらにOCA1A、OCA1B、OCA1-TSの3種類に分類される [5]。
(OCA2; Oculocutaneous Albinism Type 2) 第15常染色体上のP遺伝子 (P gene) の変異により起こる。チロシナーゼの活性はあるが、メラノソーム膜タンパク質の異常により、チロシン(メラニンの原料)がメラノソーム内に取り込まれず、メラニンを生成できない。白皮症ではこのタイプが最も多い。OCA1と比べてメラニンが多く、毛髪はブロンドやブラウンなど、虹彩は淡青色や灰色などであるが、OCA1Bのように日焼けをすることはできない [6]。
(OCA3; Oculocutaneous Albinism Type 3) 第9常染色体上のチロシナーゼ関連タンパク質-1遺伝子 (TRP-1; Tyrosinase Related Protein gene) の変異により起こる。チロシナーゼによって生成されたドーパキノンをメラニンに変換する、チロシナーゼ関連タンパク質-1の異常によるもの。Rufous(=Red) Albinism とも呼ばれ、毛髪は赤毛で、赤みがかった皮膚をしており、虹彩は褐色である。アフリカ南部やニューギニアで報告されており、白人やアジア系の人種からは今のところ見つかっていない [7]。
(OCA4; Oculocutaneous Albinism Type 4) 第5常染色体上の膜関連輸送タンパク質遺伝子 (MATP gene; Membrane-Associated Transporter Protein gene) の変異により起こる。少量のメラニンを持ち、人によって色素沈着の度合いは様々である。ほとんどの人種では極めてまれであるが、日本人では白皮症の4人に1人がこの型であり、日本人に特徴的な型である [6]。
(Ocular Albinism; OA) X性染色体上のGタンパク質共役受容体-143遺伝子 (GPR143 gene; G-Protein coupled receptor 143 gene) の変異により起こる。性染色体上の遺伝子の関連症状であるため、伴性遺伝により遺伝する。眼球だけに現れる白皮症で、皮膚や毛髪の色素沈着はほぼ正常である。目の色も人によって様々であるため、網膜検査で診断する。 [8]
古くから白い動物は、その希少性や見た目の美しさから、神の使いや吉凶の前ぶれなどとして畏れられてきた。アルビノも例外ではなく、古くから信仰の対象として地元の人たちに大切にされてきた例がある。
また、アルビノではないが、タイの白象は王の権威の象徴であり、ヒマラヤのホワイトタイガーは神の使いとされている。
魚類・両生類・爬虫類などのアルビノは、希少性と見た目の美しさからとても珍重され、アルビノのスッポンモドキ1匹に180万円の値がつけられるなど、愛好者の間では非常に高価で取引される事もある。このように、飼育・観賞用動物のアルビノは人気が高いため、その形質が飼育下でコントロールされ、アルビノ品種(アルビノはもともと品種ではないが、系統を人為的に固定することで「品種」と呼ばれる)として市場に出されている。中でも、グッピーのアルビノを固定した、リアルレッドアイアルビノ(通称RREA)は有名である。また、コリドラスのアルビノは丈夫で飼いやすい。
爬虫類などの愛好者の間では、リューシスティック(en:Leucism)やアザンティックなど、メラニンに限らず何らかの色素が抜けている色彩異常を総称してアルビノと呼ぶことがある。
『続日本紀』神護景雲2年(768年)9月11日条に、7月11日に赤い眼の白い亀を得た記述があり、次の元号である「宝亀」は白亀が多く献上されたことに由来する。この他、「神亀」も白亀が出現したことにより、改元した元号であり、古代では度々アルビノの亀が元号の由来となっている。
白変種 (en:Leucism) は突然変異で生じた白い個体であるが、アルビノとは別の遺伝形質で、発生のメカニズムや関係する色素が異なる。しかし白変種がアルビノをさす用語として用いられることが多い。また、シロヘビやアルビノの観賞魚などのように、自然にあるいは人為的にアルビノの遺伝形質が固定されたものが白変種と呼ばれる場合もあり、一般の間で用いられる場合にはその定義は明確ではない。また、白い外見や「ホワイト-」「シロ-」などの名称から白変種はアルビノと勘違いされやすく、両者は混同されているのが実情である。
アルビノ種という呼称がしばしば用いられるが、アルビノは遺伝形質であり種ではないため、遺伝形質を指してこう呼ぶのは誤りである。ただし、自然にあるいは人為的にアルビノの系統が維持される場合は新たな品種と見なされ、こう呼ばれることもある。
様々なフィクションにおいて、アルビノやアルビノに似た白い容姿の人物が特殊な存在として登場することがある。彼らの容姿ゆえに、作品中でも特別な意味を持つ登場人物と位置づけられることが多いようである。アルビノの身体的特徴は、幻想・神秘・儚さといった印象を彷彿とさせるため、現実離れしたフィクションの世界観を構築する際には好んで用いられる。正確なアルビノの理解に基づいて作られた作品は少ない。はっきりと「アルビノ」と設定されているものもあるが、視覚的にキャラクターを区別しやすくする為の、単なるカラーバリエーションの一つとして、偶々アルビノに似た配色を施したに過ぎないことも多い。
中でも特にハリウッドをはじめとするアメリカのSF映画では、主人公や主人公の味方としてよりも、不気味な悪役として登場することのほうが際立って多い。例えば、映画『マトリックス リローデッド』には、ツインズと呼ばれる、サングラスをかけた白い双子の殺人者が登場する。「アルビノに対する偏見を助長する」として障害者団体より抗議を受けたが、製作者側は「アルビノではなく、幽霊を模したもの」と主張している(en:Twins (The Matrix)参照)。また『ダ・ヴィンチ・コード』には、シラスというアルビノの刺客が登場する。小説では「赤目」とされているが、映画化に際しNOAH (The National Organization for Albinism and Hypopigmentation)の代表は、「赤目は思い込みである。アルビノの人への偏見を助長する」とコメントしている(NOAH プレスリリース)。完成した映画ではシラスの虹彩は白い。
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイに関しては、「玩具関連のスポンサー(バンダイ[10]、セガ等)の希望で、関連商品を制作する際に、低解像度のコンピュータゲーム画像や、デフォルメしたキャラクターグッズ(人形)などでも、各キャラクターが一目で区別できるようにする為に、綾波レイの髪の色と目の色を、あのような配色にしただけで、特にアルビノという意図はない」と、デザインした貞本自身がエヴァ関連本でコメントした[要出典]。
また、ダレン・シャン作のデモナータという本の中では、ジューニーという名の女性の悪役が登場するが、「先天的にメラニン色素のない人」と書かれている。
三浦哲郎は白い容姿に生まれた女性を登場人物にした多くの作品を書いている。中でも長編小説『白夜を旅する人々』〔1984年)では主要人物としてその内面や家族関係を詳しく描いている。
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リソソーム病 | |
退行現象 | リソソーム病 |
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検査 | 疾患 | 所見 |
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有機酸尿症 | ||
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白血球 | リソソーム病 | 空胞化、異染性顆粒 |
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腎臓 | ガラクトース血症 | 腎不全 |
チロシン血症 | ||
脊髄液 | 高尿酸血症 | 乳酸↑ |
異染性白質ジストロフィー | 蛋白↑ | |
Krabbe病 |
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