- 英
- actinic keratosis
- 同
- 光線性角化症、日光角化症 solar keratosis、日光性角化症、老人性角化症 senile keratosis、老人性角化腫 keratoma senile
- 関
- 有棘細胞癌、老人性角化症、慢性光線皮膚症
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概念
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病理
- 角化細胞の密度が高いが、全層性の極性は乱れていない。 ⇔ ボーエン病ならば異型多核巨細胞、個細胞角化、細胞分裂像がみられる。有棘細胞癌ならば、基底膜を超えての浸潤が見られる。
参考
- http://www.aocd.org/skin/dermatologic_diseases/actinic_keratosis.html
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/06 16:04:24」(JST)
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日光角化症
Actinic keratosis |
分類及び外部参照情報 |
唇上の日光角化症
|
ICD-10 |
L57.0 |
ICD-9 |
702.0 |
DiseasesDB |
29438 |
MedlinePlus |
000827 |
MeSH |
D055623 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
日光角化症(にっこうかくかしょう、英: actinic keratosis, solar keratosis、ICD10コード L57.0)は、メラノーマと基底細胞癌を除く皮膚癌(扁平上皮癌または有棘細胞癌)の前癌病変である。
慢性の紫外線曝露により誘発される皮膚病変であり,日光曝露を受けやすい顔面,耳介,前腕,手背部の皮膚に好発する。急性日光曝露によるいわゆる日焼け(sunburn)とは異なり,年余に渡る慢性的な紫外線曝露でDNA変異が生じ発症する。皮膚癌の前駆病変とはいっても実際に上皮内癌や浸潤癌に発展する例は数パーセントに止まる。太陽紫外光の中でもUV-B領域(280-320nm)の紫外線が表皮細胞のDNA損傷をもたらす。近年,環境問題として世界的な話題となっている成層圏オゾン層の破壊による紫外線量の増加と皮膚癌との関係がますます重要視されてきている。
目次
- 1 疫学
- 2 症状
- 3 病理組織学的特徴
- 4 鑑別疾患リスト
- 5 治療
- 6 予後
- 7 脚注
- 8 参考文献
- 9 関連項目
疫学[編集]
患者の年齢は中高年層がほとんどである。性差はないがやや男性に多い傾向がある。白色人種に比べて黒色人種、黄色人種では有病率は低い。日焼けの際に肌に紅斑を生じやすい人の方が褐色変化する人よりも日光角化症になりやすい。日本人での有病率については,環境省が毎年発行している「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」の中の参考資料「太陽紫外光の影響」の項に具体的で詳細な記述がある([1])。それによれば日光角化症は、全国26 大学病院の受診調査で1980年代より90年代の方が84%増加していた。また、兵庫県と沖縄県の特定地域での皮膚癌検診の結果によると、日光角化症の有病率は兵庫県(1992-1997 年)が人口10万人当たり203人、沖縄県(1993-1998年)が842人であった。年間UV-B量が約2倍の沖縄が約4倍高い有病率を示したと報告されている。
症状[編集]
平坦な角化を伴う皮疹である。通常は大きさ数ミリから最大でも2cm程度の表面がざらざらした斑状病変であり、紅桃色、褐色または肉色を呈する。通常、病変は顔面、耳介周辺、手背部、前腕に生じる。単発病変のこともあるが、複数の病変が同時性または異時性に発生する例もある。軽度の痒みを訴える例もあるが,皮疹以外に自覚症状を来たすことは稀である。ときに鶏冠(とさか)状の角化物が堆積することがあり「皮角」と呼ばれる。病変は自然消退することもあれば同じ部位や別の部位に再発することもある。
前癌病変といっても自然消退する傾向もあり、実際に扁平上皮癌にまで発展する病変はそれほど高頻度ではない。高齢者に多い皮膚の病変であり,整容的な問題を生じない限り医療機関を受診する機会は多くない。しかし日光角化症は皮膚科専門医による定期的なチェックに委ねるべき病変である。
病理組織学的特徴[編集]
病理検査に提出される検体の多くは皮膚病変の一部をパンチバイオプシーした小片である。
病理組織学的には、日光角化症の病態は表皮の異形成である。角化層の肥厚、不全角化、顆粒細胞層の菲薄化、表皮基底層から有棘細胞層中層に異型表皮細胞の出現が認められる。異型細胞は核の腫大、クロマチンパターンの粗網化、孤細胞核化を示す。核分裂像もしばしば観察される。ボーエン病に比較して核異型や核形態の多態性は顕著でない。真皮にはリンパ球、組織球など単核細胞の浸潤があり、弾性線維の増生が認められる。特に萎縮型日光角化症で顕著である。
組織所見に基づき日光角化症を亜型分類する試みもなされ、萎縮性,ボーエン病様,棘融解性,肥厚性,色素性に分類されている。この分類法は鑑別疾患を考えるうえで参考になる。しかし「各亜型に予後的な差はないので、亜型分類は意味がない」とする反論もある。
鑑別疾患リスト[編集]
平坦隆起性病変ではボーエン病(表皮内扁平上皮癌)、皮角形成を示す病変では脂漏性角化症、色素性病変では基底細胞癌との鑑別を要する。実践的にはボーエン病との鑑別に尽きる。
- ボーエン病(Bowen disease)
- 脂漏性角化症 (seborrheic keratosis)
- 基底細胞癌 (basal cell carcinoma)
- 円板状エリテマトーデス (discoid lupus erythematosus)
治療[編集]
保存的な治療が優先される。治療は液体窒素によるクライオサージャリー、または5-fluorouracil (5-FU) 軟膏による局所治療が一般的である。病変部の外科的切除は整容的な目的、またはボーエン病との鑑別が困難な例が対象となる。新たな治療の試みとして光線力学療法などが試行段階から実践的治療に応用されつつある。
日光角化症の治療に用いられるクライオサージェリー機器
- インゲノール メブテート 0.05%(胴および四肢)、0.015%(顔および頭皮)ゲル。治療期間は0.05%ゲルが2日間、0.015%ゲルが3日間[1]。
- ジクロフェナクナトリウム 3%ゲル(非ステロイド性抗炎症薬)[2]。推奨治療期間は60から90日間。
- クライオサージェリー(英語版)。液体窒素用いる凍結手術。
- 5-フルオロウラシル(化学療法剤)。この薬剤を含むクリームは、日光角化症に炎症を引き起こし、その後に病変が剥がれ落ちる。
- 光線力学療法[3]。この新しい治療法は、病変の光に対する感受性を高めるための化学物質を血流に注入する[4]。
- レーザー、特にCO2およびEr:YAGレーザー(英語版)。レーザー・リサーフェシング技術は広範性の日光角化症に対してしばしば用いられる。
- 電気焼灼(英語版)。電気によって日光角化症を焼き取る。
- イミキモド(英語版)[5]。局所的治療のための免疫増強剤。
- 外科手術
予後[編集]
日光角化症そのものは生命予後に無関係である。メラノーマと基底細胞癌を除く皮膚の扁平上皮癌(有棘細胞癌)への進展は10%以下である。
脚注[編集]
- ^ Picato Gel label
- ^ Weedon, David (2010). Weedon's Skin Pathology, 3rd Edition. Elsevier. ISBN 978-0-7020-3485-5.
- ^ Ericson MB, Wennberg AM, Larkö O (February 2008). “Review of photodynamic therapy in actinic keratosis and basal cell carcinoma”. Ther Clin Risk Manag 4 (1): 1–9. PMC 2503644. PMID 18728698. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2503644.
- ^ Pariser D, Loss R, Jarratt M, Abramovits W, Spencer J, Geronemus R, Bailin P, Bruce S (2008). “Topical Methyl Aminolevulinate Photodynamic Therapy in Patients with Multiple Actinic Keratoses: A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Study”. J. Am. Acad. Derm. 59 (4): 569-576. doi:10.1016/j.jaad.2008.05.031. PMID 18707799.
- ^ Hadley G, Derry S, Moore RA (June 2006). “Imiquimod for actinic keratosis: systematic review and meta-analysis”. J. Invest. Dermatol. 126 (6): 1251–5. doi:10.1038/sj.jid.5700264. PMID 16557235.
参考文献[編集]
- Xu XC, Wong WYL, Goldberg L, et al. Progressive decreases in nuclear retinoid receptors during skin squamous carcinogenesis. Cancer Res 2001;61:4306-4310.
- Matsumura Y, Moodycliffe AM, Nghiem DX, Ullrich SE, Ananthaswamy HN. Resistance of CD1d-/- mice to ultraviolet-induced skin cancer is associated with increased apoptosis. Am J Patol 2004;165:879-887.
- Natarajan E, Saeb M, Crum CP, Woo SB, KcKee PH, Rheinwald JG. Cp-expression of p16INK4A and laminin 5 γ2 by microinvasive and superficial squamous cell carcinoma in vivo and by migrating wound and senescent keratinocytes in culture. Am J Pathol 2003;163:477-491.
- Nishigori C, Yarosh DB, Ullrich SE, Vink AA, Bucana CD, Roza L, Kripke ML. Evidence that DNA damage triggers interleukin 10 cytokine production in UV-irradiated murine keratinocytes. Proc Natl Acad Sci USA 1996;93:10354-10359.
関連項目[編集]
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Japanese Journal
- 日光角化症と老人性疣贅の鑑別 (内科医がおさえておくべき皮膚科の基本) -- (皮膚悪性腫瘍をみるコツ)
- [原著]沖縄県における光線角化症と有棘細胞癌の統計的視察
- 高宮城 敦,上原 啓志,長嶺 安司,稲福 和宏,野中 薫雄,Takamiyagi Atsushi,Uehara Keishi,Nagamine Yasushi,Inafuku Kazuhiro,Nonaka Shigeo,琉球大学医学部皮膚科学教室地域医療研究センター
- 琉球医学会誌 = Ryukyu Medical Journal 16(1), 27-31, 1996
- Okinawa is an area in Japan where ultraviolet radiation (UVR) is particularly strong due to its southern location. Recently, an increase in UVR reaching the earth's surface due to ozone depletion has …
- NAID 120002231036
- 光線角化症に由来したと思われる悪性外毛根鞘腫 (多発性) の1例
- 宮本 秀明,大井田 美保,内山 光明
- Skin Cancer 7(3), 321-325, 1992
- An 88-year-old Japanese man presented with 4 lesions of malignant trichilemmoma on the scalp and face. Histopathological examination revealed typical malignant trichilemmoma in all 4 nodules and actin …
- NAID 130001079292
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- Title 有棘細胞癌 ・光線角化症・Bowen 病 なら新しい皮膚科学|皮膚病全般に関する最新情報を載せた皮膚科必携テキスト Author 清水宏 Subject 皮膚病全般に関する最新情報を載せた皮膚科必携テキストとして、有棘細胞癌 ・光線角化症 ...
- 日光角化症(AK)の発生原因、症状、治療法を分かりやすく解説した患者さんとご家族の方向けの情報サイトです。 ... その名前のとおり、日光(紫外線)を浴び続けてきたことにより発症する皮膚疾患です。特に、紫外線のダメージが ...
- 日光角化症(AK)の発生原因、症状、治療法を分かりやすく解説した患者さんとご家族の方向けの情報サイトです。 ... 「日光角化症」情報サイト 監修:信州大学名誉教授 斎田俊明先生 文字の大きさ 大 中 小
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- 英
- squamous cell carcinoma, SCC, prickle cell carcinoma
- 同
- 棘細胞癌 spinous cell carcinoma spinalioma
- ラ
- carcinoma spinocellulare
- 関
- 皮膚癌、扁平上皮癌、有棘細胞
概念
- 先行病変の上に小丘疹~結節を生じる。
- 表皮基底膜を破壊し、浸潤性に肥厚した表皮の内部に異常ケラノサイトを認める。
- 光線角化症(紫外線刺激によって、特に基底層にケラノサイトが悪性化し表皮内で増殖)が悪化してなる。
- 中年以降の男性に好発し、皮膚悪性腫瘍の50%。
リスクファクター
- 紫外線照射
- イオン化放射線
- 免疫抑制
- 慢性炎症
- ヒ素の接触/暴露
- 遺伝子変異:例えば、腫瘍抑制遺伝子のp53の変異など
- 家族歴
- 遺伝性疾患
前癌病変
- 参考1 NDE.392
病理
- 顔面
[show details]
徴候
- 熱傷瘢痕からの発生
[show details]
failpicload@./t_image/104/104D026.jpg
参考
- 1. [charged] Epidemiology and risk factors for cutaneous squamous cell carcinoma (SCC) - uptodate [1]
国試
[★]
- 英
- Bowen's disease, Bowen disease
- 同
- ボウエン病 Bowen病。表皮内有棘細胞癌 squamous cell carcinomain situ SCC in situ、precancerous dermatosis
- ラ
- morbus Bowen、有棘細胞
皮膚癌の分類
表皮系腫瘍
有棘細胞/基底細胞
基底細胞
概念
疫学
病因
病理
- 表皮全層性に核異型の強い異型ケラチノサイトが密に乱雑に増殖
- 多核巨細胞(clumping cell)、異常角化細胞、異常核分裂像
皮膚所見
- 境界明瞭な直径数cm程度の紅褐色~黒褐色局面(NDE.395)
治療
- 外科的切除(第一選択)、抗腫瘍薬軟膏外用(5-FU、ブレオマイシン)、凍結療法
予後
- 放置により基底膜から真皮に進入し(有棘細胞癌)、転移する恐れがある。
参考
- http://4.bp.blogspot.com/_iCcaHsxVvTs/SG_W6-prdLI/AAAAAAAAAXs/ugS3CJJtQzo/s400/bowens%2Bdisease.gif
- http://www.dermpedia.org/files/images/bowen_fig5.jpg
国試
[★]
良性
悪性
-
[★]
- 英
- parakeratosis
- 同
- 角化不全 incomplete keratinization、錯角化、錯角化症
- 関
- 病的角化
定義
- 角化が不完全のために、角層の細胞にも核が残存している状態
病理
原因
- ケラチノサイトの急激な増生 → 脱核が間に合わない
臨床関連
[★]
- 英
- acantholysis
- 同
- 棘細胞離開 segregation of squamous cells、アカントリーゼ
- 関
- [[]]
定義
臨床関連
[★]
- 英
- keratosis
- 同
- 角化異常症 keratotic disorder、角皮症 keratodermia
- 関
- 遺伝性掌蹠角化症
-
-
-
-
-
- 局面状類乾癬parapsoriasis en plaque
- 苔癬状粃糠疹
[★]
- 英
- cornification、keratinization、cornify、keratinize、hornification
- 同
- 角質変性
- 関
- 角質化、角層、表皮
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- ray、light
- 関
- 明るい、見地、光、軽い