ランダム化比較試験
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ランダム化比較試験(ランダムかひかくしけん、RCT:Randomized Controlled Trial)とは、評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法である。従って根拠に基づく医療において、このランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスに次ぐ、根拠の質の高い研究手法である。主に医療分野で用いられる。略称はRCTである。
目次
- 1 概要
- 2 臨床試験におけるバイアス
- 3 関連項目
- 4 脚注
- 5 参考文献
概要
初のランダム化比較試験(RCT)は、イギリスにおいて、結核薬のストレプトマイシンが効くかどうかを調査するために、医学研究審議会(MRC:Medical Research Council)を代表してオースティン・ブラッドフォード・ヒル(英語: Austin Bradford Hill)らによって行われた。結果は1948年に、『英国医師会雑誌』(BMJ:British Medical Journal)に掲載された。差を知りたい介入以外の介入が等しくなければ、因果関係が正しく分からないという、統計学者のロナルド・フィッシャーによる統計理論が適用された。
ランダム化比較試験は、主観的あるいは恣意的な評価のバイアス(偏り)を避けるために、以下の点が揃っている。
- エンドポイント:改善度に関する尺度。改善度に関する主観的評価を避ける。
- 比較対照:治療を施した群と、偽薬あるいは比較のための治療を施した対照群。治療介入の効果を算出するため。対照群がない場合、何が要因なのかはっきりしない。
- ランダム化:母集団からのランダムな抽出や、治療群と対照群のランダムな割り当てを行う。効果が出そうな対照を選ぶことを避ける。
- 盲検化:研究者と被験者に、治療群と対照群がどちらであるかを分からないようにする。計測に主観が入らないようにする。
RCTによる効果検証・効果測定が一般に行われる以前では、いくつかの不合理な治療・投薬が存在していた。広く知られているのは、心筋梗塞の治療後に、予防的にリドカイン(不整脈を防ぐ効果がある)の投薬が行われていた事例である。しかし、心筋梗塞後のリドカイン投薬群、非投薬群の追跡調査の結果、両者に差異が認められなかったため、現在では症例によって使い分けられるか、ほとんどの場合投与しなくなっている[5]。
臨床試験におけるバイアス
ランダム化比較試験だけでは、まだバイアスの可能性は残っている。
製薬会社は、すでに相当成功した領域で薬の承認を得るためRCTに巨額を費やすため、「模倣」薬(“Me Too” Drugs)と呼ばれている[6]。こうして行われたRCTでは、開業医が見落とすような条件、投与量が新薬では多く対照薬では不十分という条件で試験されていたりする[6]。
また、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を得るためには、2つの肯定的な結果が出た試験が必要なだけで、有効性が示せないため臨床試験の数をこなし、否定的な結果が出た試験は提出されたまま公開されていないため、情報公開法に基づいてこれらのデータを結合してメタアナリシスを行うと否定的な結果が示されることもある[7]。
関連項目
脚注
- ^ http://www.synapse.ne.jp/mura1/acs/lidocaine.html
- ^ a b Randal, J. (January 1999). "Randomized Controlled Trials Mark a Golden Anniversary". JNCI Journal of the National Cancer Institute 91 (1): 10–12. doi:10.1093/jnci/91.1.10. PMID 9890163.
- ^ Irving Kirsch (2010年1月29日). “Antidepressants: The Emperor's New Drugs?”. The Huffington Post. http://www.huffingtonpost.com/irving-kirsch-phd/antidepressants-the-emper_b_442205.html 2012年3月1日閲覧。
参考文献
- Medical Research Council (1948-10). "Streptomycin Treatment of Pulmonary Tuberculosis: A Medical Research Council Investigation". BMJ 2 (4582): 769–782. doi:10.1136/bmj.2.4582.769. PMC 2091872. PMID 18890300.
- "The randomised controlled trial at 50". BMJ 317 (7167). 1998-10.
- Yoshioka, A. (October 1998). "Use of randomisation in the Medical Research Council's clinical trial of streptomycin in pulmonary tuberculosis in the 1940s". BMJ 317 (7167): 1220–1223. doi:10.1136/bmj.317.7167.1220. PMC 1114162. PMID 9794865.
- 津谷喜一郎、正木朋也「エビデンスに基づく医療(EBM)の系譜と方向性 保健医療評価に果たすコクラン共同計画の役割と未来」 (pdf) 、『日本評価研究』第6巻第1号、2006年3月、 3-20頁、 NAID 40007259318。
- 津谷喜一郎「日本のEBMの動きからのレッスン-前車の轍を踏まないために」 (pdf) 、『国立教育政策研究所紀要』第140巻、2011年3月、 45-54頁、 NAID 40018959147。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 食道ESDにおける糸付きクリップ牽引法の有用性:無作為化比較試験
- 小池 良樹,平澤 大,藤田 直孝,前田 有紀,大平 哲也,原田 喜博,鈴木 憲次郎,山形 拓,田中 恵
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 57(1), 66-74, 2015
- 【目的】食道ESDにおける糸付きクリップ牽引法(Thread-Traction-method:TT法)の有用性を検討する.<BR>【方法】2012年5月~2013年2月に食道ESDを施行した連続40病変を対象とした.TT法を用いた20病変(TT群)と従来のESD20病変(Conventional group:C群)に無作為に割付けた.TT群では,全周切開後に病変を含んだ標本側の粘膜の口 …
- NAID 130004811854
- 整形外科手術における早期創開放療法の検討 : 前向き無作為化比較試験
- 海外主要文献紹介 慢性腎臓病を有する冠動脈多枝疾患患者におけるXience VとMulti-Link Visionの無作為化比較試験(RENAL-DES Study)
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★リンクテーブル★
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- 英
- randomized controlled trial, RCT
- 同
- 無作為化対照試験、無作為化比較対照試験、無作為化比較試験
- 無作為化臨床試験 ランダム化臨床試験 randomized clinical trial RCT
- 関
- 臨床試験、研究デザイン
-
- 研究デザインの一種で、実験研究の代表的な物
- 研究対象者をランダムに複数の群のどれかに割り付け、特定の検査や治療などの介入を受けた群(介入群)と受けない群(対照群)とで、どのような結果になるか観察し、統計的な有意差の有無を検定する方法。
[★]
- 英
- examination、test、testing、assessment、trial、exam、examine
- 関
- アセスメント、計測、検査、検定、試み、査定、試行、調べる、診断、治験、調査、テスト、判定、評価、検討、影響評価、実験デザイン、研究デザイン、データ品質、対応群、スコアリング法
循環器
肝臓異物排泄能
カルシウム
ビタミン
血液
- ショ糖溶血試験:(方法)等張ショ糖液に血液を加える。(検査)溶血の存在。低イオン強度では補体の赤血球に対する結合性が増し、発作性夜間血色素尿症 PNHにおいては溶血をきたす。スクリーニング検査として用いられ、確定診断のためにはハム試験を行う。
- ハム試験 Ham試験:(方法)洗浄赤血球に塩酸を加え、弱酸性(pH6.5-7.0)条件にする。(検査)溶血の存在。発作性夜間血色素尿症 PNHにおいては弱酸性条件で補体に対する感受性が亢進するため
産婦人科
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視床下部-下垂体-糖質コルチコイド
高血圧
- 立位フロセミド負荷試験:(投与)フロセミド、(検査)血漿レニン濃度:フロセミドでhypovolemicとし歩行負荷で交感神経を興奮させレニンの分泌を促す。原発性アルドステロン症の場合、レニン高値のまま無反応。
膵臓
膵外分泌機能
腎臓
ガストリノーマ
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[★]
- 英
- comparison、compare、weigh、comparative
- 関
- 比べる、比較的、匹敵、秤量、重さである、比較上
[★]
- 英
- random、randomly、at random
- 関
- 無秩序、ランダム
[★]
- 英
- randomization
- 関
- 無作為割付
[★]
- 英
- feasance、factitious