- 英
- osmotic pressure
- 関
- 圧力、オスモル
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浸透圧(しんとうあつ、英語:osmotic pressure)は物理化学の用語である。半透膜を挟んで液面の高さが同じ、溶媒のみの純溶媒と溶液がある時、純溶媒から溶液へ溶媒が浸透するが、溶液側に圧を加えると浸透が阻止される。この圧を溶液の浸透圧という(岩波理化学辞典・同生物学辞典等)。浸透圧は希薄溶液中において、物質の種類に依存しない法則が成立するという束一的性質の一種である。
目次
- 1 概要
- 2 生物における浸透圧
- 3 その他
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
概要[編集]
半透膜、すなわち溶媒(小さな分子)だけを透す膜で隔てられた2室に溶媒・溶質が同じで濃度の異なる2つの溶液があると、濃度の低い(溶質分子の密度が相対的に低い)溶液から濃度の高い(溶質分子の密度が相対的に高い)溶液に移動する溶媒分子の数は逆向きのものより多くなる。これは、低濃度溶液中の溶媒分子の方が、高濃度溶液中の溶媒分子よりも、溶媒自身の密度が高く、拡散の原理に従って、溶媒分子が[高]→[低]へと移動することによっている。結果として、溶媒は溶質濃度の高い溶液の方へ移動し、平衡状態に達するまで続く。
浸透圧 π [atm] は次の式で表される(ファントホッフ(van't Hoff)の式)。
M はモル濃度 [mol / dm³]、R は気体定数 [atm · dm³ / K · mol]、T は 温度 [K] である。モル濃度は容積モル濃度を用いる[1]。上式は理想気体の状態方程式と同じ形をしている。
溶質のモル濃度は溶液中の溶質の粒子のものであるため、電解質の水溶液の浸透圧は式量によるモル濃度ではなく生じたイオンのモル濃度から求める。前記の方法の他、同じ浸透圧をもつ非電離質水溶液のモル濃度で浸透圧を示すオスモル濃度が用いられることもある。溶液は純溶媒に比べ気化しにくく、沸点上昇を示すため、半透膜を介さず純溶媒と溶液を溶媒蒸気で満たした管でつないでも浸透と同様に溶液の液面が上昇する。このため、沸点上昇によって浸透圧を示すこともある。
生物における浸透圧[編集]
生物においては、細胞膜は半透膜である。
細胞内の溶液と比較して、浸透圧が高い溶液を高張液(hypertonic)、低い溶液を低張液(hypotonic)、等しい溶液を等張液(isotonic)という。
細胞内の溶液と浸透圧が等しい食塩水を生理食塩水と呼び、ヒトの場合は約 0.9w/v% である。また生理食塩水にカリウムなどを入れ人間の体液に近付けた液をリンゲル液と呼ぶ。
水道水などで目を洗う際にしみて痛くなるのは、この浸透圧の作用による。濃度が0の真水や水道水に比べて眼球の細胞内の溶液の浸透圧が高いため、外側の水分子が細胞内へ移動して細胞が膨張し、その時に痛みを伴う。そのため目薬などの点眼薬は、浸透圧を生理食塩水に合わせ、目にしみないように作られている。
赤血球を真水に入れると、内部へ浸透した水の圧力により赤血球が破壊される溶血が起こる。
自然界の生物においては、淡水は細胞内より浸透圧が高く、海水は浸透圧が低いので、それぞれに浸透圧調節が必要となる。シロザケのように海と河川を往復する水生物にはエラの付け根にある塩類細胞の増減で行い、河口付近で半月~1か月待機して適応する* [1]。動物においては排出器の役割の一つである。
植物細胞には細胞壁があるため、陸上植物の細胞を高張液に入れた場合には原形質分離が起こり、真水に入れた場合には一部の細胞を除き膨らむだけで破裂することはない。細胞膜が細胞壁を内部から圧する力を膨圧と言い、細胞壁の薄い植物体を支えたり、気孔の開閉、オジギソウ・食虫植物の運動の原動力となっている。
極端に糖分や塩分が高い食品が腐敗しにくいのも浸透圧によるものである。細菌が取り付いて繁殖しようとしても、自身の細胞から水分が吸い出され、死滅してしまったり非常に遅い速度でしか繁殖できないためである。
その他[編集]
浸透圧は溶液のもつ属性であり、語の使用に際して注意する必要がある。例えば「細胞内部の溶液の浸透圧」という用法は妥当だが、「細胞の浸透圧」という記述は意味するところが不明瞭であり誤解を招くおそれがある。「半透膜の両側に濃度の違う溶液があると、浸透圧が発生し…」という表現も誤用である。この場合は、「浸透圧差が生じ、」とすべきである。
脚注[編集]
- ^ 磯直道,上松敬禧,真下清,和井内徹 『基礎物理化学』 東京教学社,1997年
関連項目[編集]
- 半透膜
- 全透膜
- 溶液
- 凝固点
- 温泉 - 浸透圧で温泉を分類。
外部リンク[編集]
- 海と河川湖沼の行き来に必須の塩類細胞の働き
- 神無久 (2013年4月16日). “浸透圧の原理”. サイエンスあれこれ 科学と暮らし. 2013年4月16日閲覧。
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Japanese Journal
- 人にやさしい技術(271回)協和機電工業(長崎県長崎市) 海水と淡水から電気を作る浸透圧発電
- 低ナトリウム血症補正に随伴する浸透圧性脱髄症候群の治療
- 高浸透圧凍結希釈液を用いたバークシャーおよびアグー精子の凍結保存におけるglycerol濃度の影響
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- 2012年7月9日 ... 1.浸透圧を簡単に説明すると、「溶液が水を引っ張る力」です。 厳密には、温度の影響 も受けますが、溶液の濃度(モル濃度)に比例して浸透圧が決まります。 細胞の内部は 溶液なので、その濃度に応じた浸透圧があります。 細胞を濃度の ...
- 2012年5月16日 ... 2012/10/5追記浸透圧の説明については F_Master(えふますたー)の目 浸透圧 について http://1st.geocities.jp/f_master001/biology/htmlfile/osmp.html 上記ページ が一番わかりやすいと思います。 この記事は自分の考えを書いているだけ ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アセトキープ 3G注(500mL)
禁忌
- 高カリウム血症、乏尿、アジソン病、重症熱傷、高窒素血症の患者[本剤はカリウムを含有するので血清カリウム値を上昇させることがある。]
- 高リン血症、低カルシウム血症、副甲状腺機能低下症の患者[本剤はリンを含有するので血清リン値を上昇させることがある。]
- 高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症の患者[本剤はマグネシウムを含有するので血清マグネシウム値を上昇させることがある。]
効能または効果
効能又は効果
- 経口摂取が不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持、エネルギーの補給。
用法及び用量
- 通常、成人には、1回500〜1,000mLを、小児には、1回200〜500mLを点滴静注する。投与速度は、成人・小児ともにブドウ糖として1時間あたり0.5g/kg体重以下とする。
なお、年齢、症状、体重などに応じて適宜増減する。
- 小児における一般的な維持輸液量の計算方法は下記のとおりである。
ただし、個々の患児に対する輸液量は年齢、症状、水分喪失量や病態なども考慮したうえで決定する。
- 体重:10kgまで 一日量:100mL/kg
- 体重:11〜20kg 一日量:1,000mL+50mL/kg×(体重−10kg)
- 体重:20kg以上 一日量:1,500mL+20mL/kg×(体重−20kg)
- 本剤は1,000mL当たりエネルギー量として200kcal含んでいるが、本剤のみでは1日に必要とされるエネルギー量を十分に満たすことはできないので、手術等による経口摂取不能な患者に対する本剤のみでの使用は短期間とすること。
- 投与速度がブドウ糖として1時間あたり0.5g/kgを超えた場合、ブドウ糖は生体内で利用されず一部は尿中に排泄される場合のあることが知られている。
慎重投与
- 高カリウム血症を伴わない腎不全のある患者[酸塩基平衡の異常、電解質異常が起こることがある。]
- 心不全のある患者[体液量の過剰により心負荷を起こすことがある。]
- 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[体液量が過剰となることがある。]
- 糖尿病の患者〔血糖値の上昇、水・電解質異常を起こす、又は増悪するおそれがある。〕
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095E029]←[国試_095]→[095E031]
[★]
- 英
- urine osmolality, urinary osmolality, urine osmotic pressure, urine osmolarity
- 同
- Uosm
- 関
- 浸透圧、尿
[show details]
基準範囲
- 50-1200 mOsm/l (QB)
- 50-1000 mOsm/kg・H2O (30-0.5 l/day) (2007年後期生理学)
- 尿の浸透圧は最大1200mOsmに及ぶ
尿の浸透圧を形成する物質
ナトリウム
- 尿の浸透圧に対するナトリウムの寄与は最大600mOsm
- A.Khun&Ramelの能動輸送モデル(SP.818)
- Koko&Rector, Stephenson (SP.815)
尿素
- 尿の浸透圧に対する尿素の寄与は最大600mOsm
- 尿素は抗利尿時に集合管にて再吸収を受ける (SP.805)
- 尿浸透圧mOsm/kg = ( 尿比重 -1 ) x 30-35 x 1000
[★]
- 関
- 浸透圧、血液、血漿浸透圧
血液の浸透圧(SP.484)
- 血漿の浸透圧 :細胞膜を介する水の移動 (電解質の濃度に依存して電解質と水が移動)(285mOsm)
- 血漿の膠質浸透圧:毛細血管壁を介する水の移動にある程度関与(20-30mmHg程度)
- 275-290 mOsm (SP.484)
- 等張のグルコース溶液は血液の浸透圧を280mOsm/lとすると。
- 280 mOsm/l= 280 mEq/l = 280x180 mg/l = 50.4 g/l = 5.04 g/dl = 5.04 g/100ml ≒ 5.04%
- 0.9% NaCl = 154 mEq Na+/L + 154 mEq Cl-/L
- = 154 mOsm Na+/L + 154 mOsm Cl-/L
- = 308 mOsm
公式
- 2 x ([Na+] + [K+]) + [urea] + [glucose] [単位:mOsmol/kg]
- (Na+とK+に対応してCl-が存在すると近似するので 2 x ([Na+] + [K+])
- 血清Na(mEq/L)x2 + 血糖(mg/dL)/18 + BUN(mg/dL)/2.8 (血漿浸透圧(mOsm/kgH2O)
[★]
浸透圧
2007年後期生理学実習書(1)
- 浸透圧は粒子数に比例するので、浸透圧を粒子数で表してもよい。このときに用いられる粒子数の単位がOsm
- πV=nRT (ファントホッフの法則から)
- 浸透圧
反応に関わる分子の数を表す
- 当量(Eq)=物質量(mol) x 価数(無次元)
- 生理学において、電気的な中性であるかを考えるためによく使われる。
- Ca2+が1mmol/l存在するとき、2mEq/lとも表すことができる。水溶液が電気的に中性であるならば、2mEq/l分の陰イオンが存在すると考えてよいことになる。
化学当量
臨床検査
- 単位変換 SI unit<-> conventional unit
[★]
- 英
- osmole
- 同
- Osm
- 関
- 浸透圧
- 一定量の液体に含まれる粒子の数。
- 浸透圧を表現するために用いられる。
- 書籍などでOsmと表記されている場合には重量もしくは体積の次元が省略されていると考えてよい?たとえばOsm→Osm/kg、Osm/l。
- 0.9% NaCl = 154 mEq Na+/L + 154 mEq Cl-/L
- = 154 mOsm Na+/L + 154 mOsm Cl-/L
- = 308 mOsm
[★]
- 英
- plasma osmolarity
- 同
- Posm
- 関
- 血液、血液の浸透圧、浸透圧
血漿浸透圧の標準値 (SP.484)
血漿浸透圧の近似式
- Posm=2×Na [mEq/l]+(BG/18) [mg/dL]+(BUN/2.8) [mg/dL]
血漿浸透圧に影響を与える病態
- 尿素の蓄積 →
- 高血糖 → 糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧性非ケトン性昏睡
[★]
- 英
- osmolar clearance measurement
- 関
- フィッシュバーグ濃縮試験
[★]
- 英
- osmolyte、osmoticum
- 関
- オスモライト
[★]
低浸透圧性低ナトリウム血症
[★]
- 英
- corticomedullary osmotic gradient
[★]
- 英
- osmosis
- 関
- 浸透圧
[★]
- 英
- pressure
- 関
- 圧力