- 英
- eosinophilic esophagitis EoE
- 関
- 食道炎、好酸球性消化管疾患
概念
- 食道の食道粘膜上皮層に多数の好酸球が慢性的に浸潤したもの。その結果、粘膜固有層と粘膜下層を中心に線維化が起こって最終的には食道狭窄がおこる疾患
- アミノ酸成分栄養食や特定の食品を除去することで、病理的、臨床的な改善を認めることからアレルギー性疾患と考えられている。
疫学
- 欧米では人口10万人に対して年間10例程度の新規発症
- 日本では20分の1以下の発症数と言われているが、最近の調査では胃カメラ施行1000人に1人の発見率であったという。
- 暖かい季節に後発し、アレルギー疾患を有している例が半数ある。男性が70-80%を占め、女性は少ない。発症年齢は30-50歳が後発。
症状
- 嚥下障害、胸のつかえ、胸痛、胸やけ
- 日本では症状が軽く、無症状の場合も少なくない。
検査
- 上部消化管内視鏡:縦走溝、ring、白斑が特徴的。生検で好酸球の浸潤を証明する(15以上/HPF)。
- 血液検査:末梢血好酸球増多(30%の例で見られる)、IgE高値(感度・特異度低い)
診断
治療
- 低脂肪食
- アレルゲン除去食:原因食材の同定が困難であることが多いため、小麦、ミルク、卵、大豆、ナッツ、海産物の6種の食材を除去した除去食が試され、有効率は70%である。ただし、継続は困難である。
- プロトンポンプ阻害薬(高用量で8週間継続で60%の例で症状改善、内視鏡的にも改善したという)。不応例でもP-CABが奏効した例がある。
- フルチカゾンやブデソニドなどの局所作用ステロイド内服:フルタイドディスカスのブリスターを割り、粉末を口腔内に含み30分程度掛けて食道粘膜と接触させる。400-800μg分2。2-3ヶ月で70%程度の例で臨床的、内視鏡的に改善が得られる。
- ステロイド全身投与:
予後
- 15年程度で半数近くの例に食道の線維化に伴う狭窄が起こると言われている。
参考
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 見逃してはいけない鑑別疾患 好酸球性食道炎の臨床的特徴とその診療 (特集 難治性逆流性食道炎/NERDを診る)
- 難治性逆流性食道炎/NERDの鑑別疾患・合併疾患は何か? どう対応するか? (特集 難治性逆流性食道炎/NERDを診る)
Related Links
- 好酸球性食道炎の診断指針 症状(嚥下障害、つかえ感等)を有する。 食道粘膜の生検で上皮内に20/HPF以上の好酸球が存在している。(生検は食道内の数ヶ所を行うことが望ましい) 内視鏡検査で食道内に白斑、縦走溝、気管様狭窄 ...
- 好酸球性食道炎と胃腸炎は食物を含む物質が抗原となってアレルギー反応がおこり、食道あるいは胃/腸に好酸性の白血球が浸潤して慢性炎症を引き起こし、これが原因となって食道や胃腸の正常な機能が障害される疾患です。
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★リンクテーブル★
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- 81歳の男性。嚥下困難を主訴に来院した。1か月前から嚥下困難を自覚しており、2週間前から食事摂取が困難となったため受診した。前立腺癌でホルモン療法を受けている。身長 160cm、体重 56kg。体温 36.1℃。脈拍 72/分、整。血圧 136/88mmHg。呼吸数 14/分。甲状腺の腫大を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。上部消化管内視鏡像(別冊No. 17)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A043]←[国試_113]→[113A045]
[★]
- 英
- gastroesophageal reflux disease GERD
- 関
- 酸逆流症、胃食道逆流症
[show details]
概念
- 胃内容物が食道側に逆流する現象により不快な症状や合併症を伴うもの
- 病態を示すので下位概念として逆流性食道炎などが存在する。
疫学
胃食道逆流症に含まれる疾患概念
- 胃食道逆流症 gastroesophageal reflux disease
- 逆流性食道炎(びらん性食道炎)。症状あり。内視鏡的食道炎あり
- 非びらん性胃食道逆流症(NERD) non erosive reflux disease。症状あり。内視鏡的食道炎なし
- 無症候性GERD(sGERD)(無症候性逆流性食道炎)。症状なし。内視鏡的食道炎あり
病態
- 胃酸分泌過多:Herycobacter pylori除菌後、Zollinger-Ellison症候群
- 食道クリアランス不全
症状
食道症状
食道外症状
分類
- 胃食道逆流症(GERD)の下位概念に以下のようなものがある
- 症状(+)、内視鏡異常(+):びらん性食道炎、逆流性食道炎
- 症状(+)、内視鏡異常(-):非びらん性胃食道逆流症, NERD
- 症状(-)、内視鏡異常(+):無症候性GERD
検査
- 重症度評価 → 改訂ロサンゼルス分類
- そのほかの食道疾患鑑別:好酸球性食道炎、[[アカラシア]
[show details]
治療
生活療法
- ファーラー位での臥床睡眠
- 禁煙
- 肥満治療(ダイエット)、
- 食後に前屈を回避
- 就寝前に食事をしない
- アルコールの回避
- 高脂肪食の回避
- 過食の回避
薬物療法
- プロトンポンプ阻害薬
- H2受容体阻害薬
- 消化管運動促進:モサプリド、六君子湯
- (カルシウム拮抗薬服用の場合)他剤への切り替え ← 平滑筋弛緩作用によりLES圧の低下を招く
手術療法
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- 英
- EGIDs
- 関
- 好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎、難病
- 日本を含む先進国でアレルギー疾患が増加しているが、消化管のアレルギー疾患としての好酸球性消化管疾患が増加しつつある。
- アレルギー素因を有する患者が慢性的な嚥下障害、胸やけ、下痢を訴える場合には疑う。
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/3934
[★]
- 英
- esophagus (Z)
- 関
- 消化器系
解剖
- 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
- L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る
部位区分
- SSUR.456
生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)
- 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
- 切歯から15cm
- 食道の上端で、咽頭に連なる部位
- 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
- 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
- 切歯から25cm
- 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
- 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
運動 (SP.720)
組織
- 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
- 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい
食道の上皮と上皮下の組織
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層構造
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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器官
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単層扁平上皮
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単層立方上皮
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単層円柱上皮
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角化重層扁平上皮
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非角化重層扁平上皮
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上皮表層の構成細胞
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粘膜固有層
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腺の構成細胞
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粘膜筋板
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粘膜下組織 (大抵、粗結合組織)
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筋層
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漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ)
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食道
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○
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食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
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粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す)
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縱層 (縦走筋のみ)
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固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム)
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内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
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外膜(横隔膜まで) 漿膜
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臨床関連
- 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
- 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)
[★]
- 英
- eosinophil (Z), eosinophile
- 関
- 顆粒球、白血球、好塩基球
組織学
- 酸性色素(エオシン)で染まる顆粒(好酸性顆粒)を持つ → ギムザ染色で赤っぽい顆粒がみえる (HIS.190 図10-3)
- 塩基性の成分が含まれている?
- 二分葉の核 (HIS.197)
- 直径は10-14μm (HIS.197)
- 末梢血
顆粒
-
- 特殊顆粒:主要塩基性タンパク質、好酸性陽イオンタンパク、好酸球由来神経毒素
機能 (HIS.198)
- ヒスタミン、ロイコトリエン、好酸球走化因子と結合して、これに向かって遊走する。
- 抗原抗体複合体の取り込み、およびファゴサイト内での分解
基準値
好酸球数の変化
- 寄生虫感染症、アレルギー疾患(特に、I型アレルギー)
- 喘息、ある種の腫瘍
サイトカイン
- IL-5の受容→好酸球の前駆細胞増殖、前駆細胞から好酸球への分化促進 (HIS.197)
臨床関連
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- 英
- esophagitis
原因
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- アルコール
- 香辛料
- 喫煙
- 熱すぎる飲食物
- 長期間の胃管留置
- 腐食性化学物質
- クローン病
- 鉄・ビタミンB群欠乏:プランマー・ビンソン症候群
-esophagitis
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- 英
- eosinophilic
- 関
- エオシン好性、エオジン好性、好酸球、好酸性、好酸球性
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- 英
- eosinophilic
- 関
- エオシン好性、エオジン好性、好酸、好酸球、好酸性