- 英
- Barrett's esophagus, Barrett esophagus
- 同
- Barrett食道
- 関
- バレット上皮、バレット症候群、食道腺癌、逆流性食道炎、胃食道逆流症
- バレット上皮が本来の胃食道接合部より3cm以上全周囲性に認められるもの(YN.A-20)
- 扁平上皮が円柱上皮に弛緩された状態なので、筋層は食道の筋層のままである。
- 内視鏡的に食道炎が見られる症例の10%でバレット食道が見られる。
- 年率1%に食道腺癌が発生
- 病因:胃酸逆流に伴う胃酸・胆汁酸・膵液の食道上皮への暴露
- 嚥下障害例では長期的に食道腺癌の発生率が高い。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/01 02:14:50」(JST)
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Barrett's esophagus |
分類及び外部参照情報 |
|
ICD-10 |
K22.7 |
ICD-9 |
530.85 |
Patient UK |
バレット食道 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
バレット食道(英: Barrett's esophagus)とは、下部食道の粘膜が扁平上皮から円柱上皮に変化したもの。
1950年にロンドン大学の胸部外科医Norman Barrettによって報告され、呼ばれるようになった。
目次
- 1 定義
- 2 要因
- 3 疫学
- 4 病理
- 5 治療法
- 6 脚注
- 7 関連
定義
現在、厳格には各国での定義は若干異なっている。
日本・英国
- バレット粘膜:胃から連続して食道内に存在する円柱上皮
- バレット食道:バレット粘膜が全周性で最短長が3cm以上のもの
- SSBE(short segment Barrett esophagus):バレット食道以外のバレット粘膜
米国・ドイツ
- バレット食道(Barrett's esophagus):食道内に存在する円柱上皮で腸上皮化生を伴ったもの
- SSBE(short segment Barrett esophagus):3cm以下のバレット食道
- LSBE (Long segment Barrett esophagus):3cm以上のバレット食道
要因
胃食道逆流症(GERD)によって生じており、胃酸と十二指腸液の双方が関与しているとされている。
疫学
欧米ではLSBEが多く、日本ではSSBEが多い。 SSBEからは食道癌の発生頻度は低いが、LSBEからは食道癌の発生頻度が多い[1]。
病理
円柱上皮化生と粘膜筋板の2層化を特徴としている。
治療法
制酸薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)による治療は、バレット食道を退縮させる事ができる[1]。
脚注
- ^ a b 『日本抗加齢医学会雑誌』第7巻、日本抗加齢医学会、東京都港区、2011年、 68頁、 ISSN 1880-1579。
関連
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Japanese Journal
- 食道癌取扱い規約改訂第10版の要点--病理学的立場から (食道癌--基礎・臨床研究の進歩) -- (食道癌の「取扱い規約」と「診断・治療のガイドライン」)
- かかりつけ医から専門医への質問 バレット食道の経過観察について適切な方法を教えてください (患者・家族の相談に応える がん診療サポートガイド) -- (食道がん)
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★リンクテーブル★
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- 英
- reflux esophagitis
- 同
- peptic esophagitis
- 関
- 胸骨下痛、食道炎、バレット食道、胃食道逆流症 GERD
概念
- 胃食道の逆流防止機構が十分に作動せず、胃・小腸内容液の逆流から粘膜傷害をきたした状態(IMD)。
- 上位の疾患概念に胃食道逆流症 GERDがある。
分類
- ロサンゼルス分類:(内視鏡的な分類)
- Savary-Miller分類
- 食道疾患研究会による分類:色調変化型、びらん型、潰瘍型、隆起肥厚型
リスク
- 肥満、妊娠(腹腔内圧上昇、エストロゲン・プロゲステロンによるLES圧低下)、過食、高カロリー食(チョコレート、和菓子、高脂肪食、餅)・刺激物、食後臥位(3時間以内)、喫煙、アルコール、薬剤(Ca拮抗薬、硝酸薬、テオフィリン)
- 滑脱型食道裂孔ヘルニア、LES機能不全、胃切除後
症状
- 食道症状:胸焼け、呑酸、嚥下困難
- 食道外症状:咳嗽、前胸部痛(胸骨後部痛)、嚥下困難、嚥下痛、つまり感
検査
- 確定診断のために、食道内24時間pHモニター、食道内圧測定、内視鏡検査が重要。特に食道内24時間pHモニターでpHの低下が証明できなければ、胃食道逆流症は否定的。(QB.A-53)
- X線造影
- 胃カメラ
- 食道内24時間pHモニター
24-hour pH monitoring
治療
- (胃酸分泌抑制)H2受容体阻害薬、プロトンポンプ阻害薬
- (胃の逆流阻害)消化管運動促進薬 ← 本当?
- 粘膜保護薬 (QB.A-53)
- 術後胃で十二指腸液の逆流があるばあいには酸分泌抑制薬は無効であり、メシル酸カモスタットが用いられる。
プロトンポンプ阻害薬
- hospitalist vol.2 no.3 2014.9 P.741
- 血液濃度が低い:腸溶コーティングされたPPIが長時間胃に留まると胃の中で溶解してしまい成分が失活して、血液中濃度が十分に上昇しない場合がある。腸管運動の運動改善薬が有効なことがある。
- rapid metabolizer:PPIはCYP2C19の代謝を受けるが、遺伝子多形により代謝の速度が異なる(homozygous extensive metabolizer, heterozygous extenstive metabolizer, poor metabolizer)。ランソプラゾールでは多型の影響をうける。エソメプラゾールやラベプラゾールは影響が少ない。
- 胃内環境が酸性でない:PPIの活性化には酸性環境が必要であるが、食後など胃内に大量の食物がある場合には胃酸が希釈されて酸性環境が得られない場合がある。これに対して腸管の運動改善薬や食前内服が等の対策が必要。
胃酸以外の逆流の可能性
国試
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- 英
- gastroesophageal reflux disease GERD
- 関
- 酸逆流症、胃食道逆流症
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概念
- 胃内容物が食道側に逆流する現象により不快な症状や合併症を伴うもの
- 病態を示すので下位概念として逆流性食道炎などが存在する。
疫学
胃食道逆流症に含まれる疾患概念
- 胃食道逆流症 gastroesophageal reflux disease
- 逆流性食道炎(びらん性食道炎)。症状あり。内視鏡的食道炎あり
- 非びらん性胃食道逆流症(NERD) non erosive reflux disease。症状あり。内視鏡的食道炎なし
- 無症候性GERD(sGERD)(無症候性逆流性食道炎)。症状なし。内視鏡的食道炎あり
病態
- 胃酸分泌過多:Herycobacter pylori除菌後、Zollinger-Ellison症候群
- 食道クリアランス不全
症状
食道症状
食道外症状
分類
- 胃食道逆流症(GERD)の下位概念に以下のようなものがある
- 症状(+)、内視鏡異常(+):びらん性食道炎、逆流性食道炎
- 症状(+)、内視鏡異常(-):非びらん性胃食道逆流症, NERD
- 症状(-)、内視鏡異常(+):無症候性GERD
検査
- 重症度評価 → 改訂ロサンゼルス分類
- そのほかの食道疾患鑑別:好酸球性食道炎、[[アカラシア]
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治療
生活療法
- ファーラー位での臥床睡眠
- 禁煙
- 肥満治療(ダイエット)、
- 食後に前屈を回避
- 就寝前に食事をしない
- アルコールの回避
- 高脂肪食の回避
- 過食の回避
薬物療法
- プロトンポンプ阻害薬
- H2受容体阻害薬
- 消化管運動促進:モサプリド、六君子湯
- (カルシウム拮抗薬服用の場合)他剤への切り替え ← 平滑筋弛緩作用によりLES圧の低下を招く
手術療法
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short-segmentバレット食道, short segment Barrett esophagus:3cm以下のバレット食道
- 関
- バレット食道、LSBE
[★]
- 英
- Barrett ulcer, Barrett's ulcer
- 関
- バレット食道、バレット上皮、食道潰瘍
[★]
- 英
- Barrett epithelium
- 関
- バレット食道、Barrett上皮、バレット症候群
[★]
- 英
- esophagus (Z)
- 関
- 消化器系
解剖
- 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
- L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る
部位区分
- SSUR.456
生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)
- 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
- 切歯から15cm
- 食道の上端で、咽頭に連なる部位
- 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
- 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
- 切歯から25cm
- 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
- 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
運動 (SP.720)
組織
- 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
- 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい
食道の上皮と上皮下の組織
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層構造
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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器官
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単層扁平上皮
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単層立方上皮
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単層円柱上皮
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角化重層扁平上皮
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非角化重層扁平上皮
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上皮表層の構成細胞
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粘膜固有層
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腺の構成細胞
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粘膜筋板
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粘膜下組織 (大抵、粗結合組織)
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筋層
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漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ)
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食道
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○
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食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
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粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す)
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縱層 (縦走筋のみ)
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固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム)
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内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
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外膜(横隔膜まで) 漿膜
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臨床関連
- 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
- 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)
[★]
- 英
- street, meatus
- 関
- 管、街路、街角