出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/11 06:39:04」(JST)
表皮(ひょうひ、英: epidermis)は、多細胞生物のもっとも外側を覆う組織である。
往々にして内部を保護する役割を担い、特に陸上生物では硬化したりクチクラ層を持つ例が多い。水中生物では繊毛などをともなう例もある。分類群によってその性質は大いに異なる。
陸上植物の表皮系(epidermis)には根・茎・葉・花などの体表面のほとんどを覆う表皮細胞(epidermal cell)と表皮細胞が不当分裂して出来る呼吸をつかさどる孔辺細胞(気孔 stoma)、様々な形態・機能を持つ毛状突起(trichome)、表皮細胞を守るクチクラ層(cuticle)等がある[1]。
維管束植物では、表皮は一層の細胞が密に並んだ構造で、その表面に非細胞性のクチクラ層を持つ。ほぼ一様な細胞からなるが、種によっては毛を生じる。また、ガスの出入りを保証する気孔があり、これは孔辺細胞という細長い細胞が二つ並んだ間にあり、これらの細胞の変形によって開閉する。通常葉の裏面に多く分布する。なお、表皮細胞は葉緑体を持たないが、孔辺細胞はこれを持っている。植物の場合、表皮は表皮組織系として一つの組織系と認識される。
動物においては表皮は上皮組織によって構成される。無脊椎動物では単層上皮からなる。
ほ乳類においては外胚葉性の重層扁平上皮(英語版)により構成され、真皮、皮下組織とともに皮膚を構成する構造。基底層、有棘層、顆粒層、角質層に区分される。表皮下には真皮、皮下組織が存在する。魚類では原則的に角質層がなく、最外層には粘液層に被われている。魚類の体表粘液には種々の生体防御関連タンパク質が含まれており、その代表的なものとしてレクチンが挙げられる。
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区分 | 部位 | 構造を支持する組織 | 単層扁平上皮 | 単層立方上皮 | 単層円柱上皮 | 角化重層扁平上皮 | 非角化重層扁平上皮 | 呼吸上皮 | 嗅上皮 | 表皮 | 基底細胞 | 杯細胞 | 線毛細胞 | 刷子細胞 | 漿液細胞 | DNES細胞 | 嗅細胞 | 支持細胞 | クララ細胞 | 線毛立方細胞 | I型肺胞上皮細胞 | Ⅱ型肺胞上皮細胞 | 組織 | 腺 | そのほかの特徴 | ||||
肺外気道 | 鼻前庭 | 硝子軟骨 | ○ | ○ | - | 脂腺と汗腺 | 鼻毛 | ||||||||||||||||||||||
鼻腔:呼吸部 | 硝子軟骨と骨 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 鼻甲介と鼻中隔前部に動脈叢と静脈洞。リンパ小節、肥満細胞、形質細胞 | 粘漿混合腺 | |||||||||||||||||||
鼻腔:嗅部 | 骨(篩骨) | ○ | ○ | ○ | ○ | ボウマン腺(漿液性) | |||||||||||||||||||||||
肺外気道 | 咽頭鼻部 | 骨格筋 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | リンパ成分 | 粘漿混合腺 | 咽頭扁桃、耳管 | |||||||||||||||||
咽頭口部 | 骨格筋 | ○← | ←○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | リンパ成分 | 粘漿混合腺 | 口蓋扁桃 | |||||||||||||||||
咽頭喉頭部 | 硝子軟骨 弾性軟骨(喉頭蓋軟骨、楔状軟骨) |
△ (喉頭蓋の上面,声帯ヒダ) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | リンパ成分 | 粘液腺と粘漿混合腺 | 咽頭扁桃、咽頭蓋、声帯ヒダ、前庭ヒダ | |||||||||||||||||
器官と主気管支 | 硝子軟骨と密性結合組織 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 粘液腺と粘漿混合腺 | 外膜にC字型の器官軟骨と器官筋(平滑筋) | |||||||||||||||||||
肺内気道 | 二次気管支 | 硝子軟骨と平滑筋 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 粘漿混合腺 | 硝子軟骨の板とラセン状の2層の平滑筋層 | ||||||||||||||||||
細気管支 | bronchiole | 平滑筋 | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | なし | 直径1mm以下。商用に空気を送る。ラセン状の2本の平滑筋束 | ||||||||||||||||||||
終末細気管支 | terminal bronchiole | 平滑筋 | ○ | ○ | ○ | なし | 直径0.5mm以下。呼吸部に空気を送る。平滑筋少々。 | ||||||||||||||||||||||
呼吸部 | 呼吸細気管支 | respiratory bronchiole | 平滑筋と膠原繊維 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | なし | 壁に肺胞あり。肺胞の入り口には平滑筋の括約筋あり。 | ||||||||||||||||||
肺胞管 | alveolus duct | 細網繊維(III型コラーゲン)と肺胞の平滑筋性括約筋 | ○ | ○ | ○ | なし | それ自体の壁はなく肺胞が並ぶ | ||||||||||||||||||||||
肺胞嚢 | alveolar sac | III型コラーゲンと弾性繊維 | ○ | ○ | ○ | なし | 肺胞の集合 | ||||||||||||||||||||||
肺胞 | alveolus | III型コラーゲンと弾性繊維 | ○ | ○ | ○ | なし | 直径200um。肺胞大食細胞あり |
構造名 | 主な組織の型 | その他の組織 | |
表皮 | 角化重層扁平上皮 | ||
真皮 | 密性かつ不規則に並んだ弾性線維と膠原線維 | 立毛筋 | |
皮下組織 | 浅筋膜 | 疎性結合組織と脂肪 | 汗腺の最深部、血管、リンパ管、皮神経 |
皮膚支帯 | |||
筋膜 | 深筋膜 | 密性かつ規則的に並んだ密性結合組織 | |
骨格筋 |
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