- 英
- leishmaniasis
-leishmaniasis
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/06 14:17:50」(JST)
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リーシュマニア症(-しょう、leishmaniasis)とはトリパノソーマ科の原虫リーシュマニアの感染を原因とする人獣共通感染症の総称。サシチョウバエ類によって媒介される。原虫の種によって症状にかなりの差があり、ヒトでは主に内臓リーシュマニア症(カラアザール・黒熱病・ダムダム熱)と皮膚リーシュマニア症(東洋瘤腫・エスプンディア・チクレロ潰瘍)とに分類される。WHOの試算によれば、88ヶ国1200万人がリーシュマニアに感染しており、リーシュマニア症は緊急に対策を要する6つの感染症の1つとされている。犬の媒介性疾患としても注目されている。
目次
- 1 症状
- 2 疫学
- 3 感染経路
- 4 治療
- 5 歴史
- 6 関連事項
- 7 参考文献
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症状[編集]
リーシュマニア症には大きく分けて内臓型と皮膚型がある。皮膚型にはさらに散在性のものや粘膜へ拡大するものが知られている。
内臓リーシュマニア症は、感染後数ヶ月から数年たってから、発熱、肝臓や脾臓の腫大と貧血といった症状が出て、放置すれば死に至る。脾臓の肥大は極めて特徴的であり、肝臓よりも大きくなる場合がある。各地で様々な名称で呼ばれているが、おそらくカラアザール(Kala azar、黒熱病)という名が著名である。これはL. donovani、L. infantumなどによって引き起こされる。オーストラリア大陸を除く全ての大陸の熱帯・亜熱帯地域に見られるが、なかでもバングラデシュ・ブラジル・インド・ネパール・スーダンに多い。
皮膚リーシュマニア症は皮膚を冒すもので、サシチョウバエに刺されたあと数週間から数ヶ月後に皮膚に潰瘍や結節が生じる。比較的軽症であり、自然に治癒して醜い瘢痕を残すだけの場合もある。L. major、L. tropica、L. aethiopicaなど旧世界の種が引き起こす東洋瘤腫(Oriental sore)が有名である。新世界においてはL. mexicana、L. amazonensis、L. venezuelensisなどが皮膚型の病変(チクレロ潰瘍)を示す。皮膚型はアフガニスタン・ブラジル・イラン・ペルー・サウジアラビア・シリアなどで良く見られる。L. (Viannia) braziliensisなどは粘膜皮膚型(エスプンディア espundia)の症状を示し、刺された箇所から広がって粘膜にまで転移し致死的になる。粘膜皮膚型はボリビア・ブラジル・ペルーなどに多い。
疫学[編集]
リーシュマニア症は熱帯や亜熱帯の88ヶ国で流行しており、流行地域の人口はおよそ3億5千万人におよぶ。地理的には中南米の熱帯雨林から西アジアの砂漠地帯まで幅広い。新世界では中南米を中心に、アルゼンチン南部からテキサス州南部まで蔓延しているが、ウルグアイ・チリ・カナダでは珍しい。旧世界ではヨーロッパ南部(多くはない)・アジア南部から西部・中東・アフリカ(特に東部と北部)に多く見られる。オーストラリアやオセアニアには見られない。内臓リーシュマニア症の症例の9割はインド・バングラデシュ・ネパール・スーダン・ブラジルで占められている。
感染経路[編集]
主にサシチョウバエに刺されることで伝染するが、薬物乱用者が注射針を共有することでも引き起こされる。
治療[編集]
5価アンチモン製剤や、スチボグルコン酸ナトリウム(Pentostam®)やアンチモン酸メグルミン(Glucantim®)が用いられている。これらの薬剤の作用機序はよく判っていないが、原虫のエネルギー産生を阻害するらしい。アムホテリシン(Amphotericin)も使われる[1]が、HIVや結核との重複感染例で効かない場合がある。最近承認されたばかりの新しい薬剤として、経口投与が可能なミルテホシン(Impavido®)がある[2]。第III相治験での治癒率は95%であった。特に粘膜皮膚型リーシュマニア症の場合には他の薬剤と比較して優れた効果を示した。インドで2002年、ドイツで2004年、コロンビアで2005年に承認され、アメリカでは2006年に希少疾患医薬品に指定された。主な副作用は消化管機能異常だが、特に治療の効果に悪影響があるわけではない。パロモマイシンも開発され希少疾患医薬品に指定されている。パロモマイシンの皮膚リーシュマニア症に対する奏効率は81%(対照58%)であった。[3]はDNDi(Drugs for Neglected Disease Initiative)が新規薬剤の探索を行っている。Leishmania majorのゲノムが解読された[4]ので、薬剤標的分子の探索に役立つと思われる。免疫療法が効く場合もある[5]。ワクチンの開発も進められているが、利用可能なものはない。
歴史[編集]
紀元前7世紀のアッシュールバニパルの粘土板から、皮膚リーシュマニア症のような傷の記述が見付かっており、なかには紀元前1500年から2500年まで古記録に由来するらしきものもある。イブン=スィーナーをはじめとする10世紀ペルシアの医師たちは、バルフ潰瘍(Balkh sore)と呼んで詳しい記述をのこしている[6]。トルコ人患者を診察したAlexander Russellは1756年に非常に詳しい記述を著している。新世界では、エクアドルやペルーで見付かる1世紀先インカ期の陶器には皮膚リーシュマニア症と思われる顔の傷が描かれている。15~16世紀ごろのインカやスペイン人植民者の文書には"valley sickness"・"Andean sickness"・"white leprosy"などという記述がある。
内蔵リーシュマニア症に関しては、古代の記述がまったく見つかっていない。熱帯病でこのように新しい原虫疾患は、内蔵リーシュマニア症のみである。現時点では1800年代後半に、はじめて流行したとされているが、その世界最初の流行地でさえ、正確名位置(経度緯度)が同定されていない。 インド亜大陸の医師たちはカラアザール(Kala-azar; ウルドゥー語・ヒンディー語・ヒンドゥスターニー語でKalaは「黒」、azarは「発熱」の意)と呼んでいた。
関連事項[編集]
- World Community Grid:治療薬探索の為の分散コンピューティング
参考文献[編集]
- ^ Sundar S, Chakravarty J, Rai VK, et al. (2007). “Amphotericin B Treatment for Indian Visceral Leishmaniasis: Response to 15 Daily versus Alternate-Day Infusions”. Clin Infect Dis 45: 556–561. http://www.journals.uchicago.edu/CID/journal/issues/v45n5/50485/brief/50485.abstract.html.
- ^ Jha TK, Sundar S, Thakur CP et al. (1999). “Miltefosine, an oral agent, for the treatment of Indian visceral leishmaniasis”. New Engl J Med 341: 1795–800.
- ^ Salah AF et al.Topical Paromomycin with or without Gentamicin for Cutaneous Leishmaniasis.N Engl J Med 2013; 368:524-532.
- ^ Ivens AC, et al. (2005). “The genome of the kinetoplastid parasite, Leishmania major”. Science 309 (5733): 436–42. PMID 16020728.
- ^ Badaro R, Lobo I, Munõs A, et al. (2006). “Immunotherapy for drug-refractory mucosal leishmaniasis”. J Infect Dis 194: 1151–59. http://www.journals.uchicago.edu/JID/journal/issues/v194n8/36472/brief/36472.abstract.html.
- ^ Cox, Francis E G (1996). The Wellcome Trust illustrated history of tropical diseases. London: The Wellcome Trust. pp. 206-217. ISBN 1869835867, 9781869835866. OCLC 35161690. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=126866#id2621583.
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Japanese Journal
- 山口 さやか
- 日本皮膚科学会雑誌 124(1), 13-21, 2014
- 輸入感染症診断の重要な点は渡航歴の確認とともに輸入感染症を疑うことである.皮膚科医が診察にあたる際に特異な臨床像を示す感染症が念頭になければ確定診断は遅れ,早期の治療を逸することになり感染が拡大する恐れがある.治療が遅れることでリーシュマニア症のように醜形や瘢痕が残り,時に輸入真菌症では致死的ともなりえる.本稿では輸入感染症の最近の動向,皮疹を呈する輸入感染症の種類や病態について概説する.
- NAID 130003397402
- 松本 芳嗣,後藤 康之,三條場 千寿
- 日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association 66(1), 5-7, 2013-01-20
- NAID 10031168941
- 面白い寄生虫の臨床(4)犬のリーシュマニア症 (日本獣医師会雑誌(日獣会誌))
- 松本 芳嗣,後藤 康之,三條場 千寿
- 日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association 66(1), 5-7, 2013-01
- NAID 40019538614
Related Links
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Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- lymph node swelling
- 関
- リンパ節、リンパ節症、リンパ節炎、リンパ節生検
- also see IMD. 395
定義
- 直径1cm以上。肘窩では0.5cm以上、鼡径部では1.5cm以上
- 3cm以上は悪性腫瘍を疑う
- 耳介前部リンパ節、上腕内側上顆リンパ節など、通常触知しない場所にある場合は小さくても有意な腫脹とする
分類
原因
腫脹の分布
- 頭頚部:55%
- 鼡径:14%
- 腋窩:5%
- 鎖骨上:1%
体表から触知できるリンパ節
- see 診察手技みえ p.62,125 BAT.238,392,475,483 N.68(頭頚部)
- 頭頚部
- 鎖骨上窩
- 腋窩
- 肘部(上腕骨内側上窩)
- 鼡径部・大腿部
- 膝窩
頭頚部 N.68,69
- 頚静脈二腹筋リンパ節(下顎角直下のリンパ節)(N.69):化膿性扁桃炎
- 耳介前リンパ節:流行性角結膜炎
- 顎下リンパ節:口腔内・歯肉の炎症、舌癌
- 後頚三角のリンパ節:甲状腺癌、咽頭癌などの転移、伝染性単核球症、悪性リンパ腫
- 鎖骨上窩リンパ節:消化器癌の転移
全身リンパ節腫脹の原因
IRE.376改変
-
-
全身リンパ節腫脹の鑑別診断
- DIF
全身のリンパ節腫脹について
- 参考2
- 強皮症とクリプトコッカスは国試的にも全身リンパ節腫脹はしない!らしい。
解答形式 正答b,c
a 強皮症
b 伝染性単核球症
c トキソプラズマ症
d クリプトコッカス症
e 糖尿病
参考
- 1. [charged] Evaluation of peripheral lymphadenopathy in adults - uptodate [1]
- 2. 血液内科 - 順天堂大学
- http://www.juntendo-hematology.org/stu6_01.html
[★]
- 英
- hemophagocytic syndrome, HPS
- 関
- 血球貪食性リンパ組織球症, HLH、感染関連血球貪食症候群、家族性血球貪食性リンパ組織球症
病因
- 参考1 YN.G-67
- 頻度:悪性リンパ腫50%、ウイルス30%、細菌・真菌10%、数%膠原病
-
病態
- 血球を貪食した活性化マクロファージが骨髄、肝臓、脾臓、リンパ節で増殖。
症状
- 発熱、全身倦怠感、汎血球減少(少なくとも2系統)、DIC、肝脾腫、肝不全
検査
[show details]
治療
- 参考1
- HLH-2004 protocolに基づく治療を
- デキサメタゾン、エトポシド、メトトレキサート
- 造血細胞移植
診断基準
参考
- 1. [charged] 血球貪食性リンパ組織球症(HLH) - uptodate [2]
- 2. wiki ja
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E7%90%83%E8%B2%AA%E9%A3%9F%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/722
国試
[★]
- 英
- neglected tropical diseases, NTDs
neglected tropical diseases
other 'neglected' conditions
参考
- http://www.who.int/neglected_diseases/diseases/en/
[★]
- 英
- reemerging infectious disease, re-emerging infectious disease
- 関
- 感染症、新興感染症
- 再興感染症(re-emerging infectious diseases)とは、すでに知られてはいたもののその発生数は著しく減少し、もはや多くの人々にとって健康上の問題は少ないと考えられていた感染症のうち、再び出現し問題疾患として復活してきたものとされています
一覧
[★]
- 関
- リンパ節腫脹
全身リンパ節腫脹
- IRE.376改変
- 全身のリンパ節で免疫反応が起こるために生じる。
- 細胞内寄生する病原体で多い傾向。スピロヘータ感染症も全身の免疫反応が起こる。
[★]
- 英
- cutaneous leishmaniasis
- ラ
- leishmaniasis cutis
- 同
- 東洋瘤腫 oriental sore
- 関
- アメリカリーシュマニア症、新世界リーシュマニア症、ブラジルリーシュマニア群
[★]
- 英
- American leishmaniasis
- 関
- 皮膚リーシュマニア症、東洋瘤腫、新世界リーシュマニア症
[★]
カラアザール
visceral leishmaniasis, VL
[★]
- 英
- sis, pathy