ジアルジア症
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ジアルジア症 |
分類及び外部参照情報 |
Giardia cell, SEM
|
ICD-10 |
A07.1 |
ICD-9 |
007.1 |
DiseasesDB |
5213 |
MedlinePlus |
000288 |
eMedicine |
emerg/215 |
MeSH |
D005873 |
ジアルジア症(英: giardiasis)とは鞭毛虫であるランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)を原因とする寄生虫病で人獣共通感染症。ランブル鞭毛虫はヒトを含む多くの動物の消化管で増殖する[1]。ヒトでの一般的な症状は下痢性胃腸炎である。本稿では、主にヒトの感染症について記述する。
目次
- 1 疫学
- 2 症状
- 3 病原診断
- 4 治療
- 5 法的措置
- 6 出典
- 7 外部リンク
- 8 脚注
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疫学
全世界的にはありふれた感染症で世界中のほとんどの国で有病地を抱えている。特に熱帯・亜熱帯地域に感染者が多く、有病率が20%を超える国もあり、約2億人が感染しているとされる。日本では第二次世界大戦後の動乱期(1956年頃まで)に感染率が3〜6%であった。現在の日本人の感染者は、海外旅行者に多く赤痢菌、下痢原性大腸菌やアメーバ赤痢などとの混合感染例が多いとされている。南アジア、東南アジアなどを旅するバックパッカーの間では、ゲップが卵臭くなることから卵ゲップ病として知られる。
感染様式は糞口経路で、主な感染経路は感染患者や汚染された飲食物である。ヒト-ヒトの接触や食品を介した小規模な集団感染と、飲料水を介した大規模な集団感染が知られている。浄水場における通常の浄水処理で完全に除去することは困難で、塩素消毒にも抵抗性を示す。
「ランブル鞭毛虫」を参照
症状
主な臨床症状は非血性で水様 または泥状便の下痢、衰弱感、体重減少、腹痛、悪心や脂肪便などで、発熱は少ない。有症症例では下痢が必発で、排便回数は1日数回から20回以上と患者により様々。
感染者の多くは無症状で、便中に持続的に嚢子(ジアルジア症の病原体)を排出していおり、感染源として重要視される。
病原診断
患者の糞便(下痢便)から顕微鏡下で原虫を確認。
治療
ジアルジアの治療には、抗トリコモナス薬のメトロニダゾールやチニダゾールなどニトロイミダゾール系の薬剤が用いられる。
法的措置
感染症法、5類感染症全数把握疾患
出典
外部リンク
- ジアルジア症について 横浜市衛生研究所
- ジアルジア症 196 章 寄生虫による感染症 メルクマニュアル家庭版
脚注
- ^ Huang DB, White AC (June 2006). “An updated review on Cryptosporidium and Giardia”. Gastroenterol. Clin. North Am. 35 (2): 291–314, viii. doi:10.1016/j.gtc.2006.03.006. PMID 16880067. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0889-8553(06)00025-2.
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Japanese Journal
- 栃木県内地域中核病院における寄生虫・衛生動物関連疾患症例の検討
- 島田 瑞穂,小松本 悟,桐木 雅史 [他],千種 雄一,松岡 裕之
- 自治医科大学紀要 34, 141-148, 2012-03-01
- … 原虫症として,赤痢アメーバ症,ランブル鞭毛虫症,現在は真菌症に分類されるニューモシスチス肺炎を免疫機能低下例に認めた。 …
- NAID 110008922668
- 長嵜 寿矢,小松 英明,柴田 良仁,山口 広之,中島 正洋
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 108(2), 275-279, 2011-02-05
- … 症例は72歳,男性.腹部造影CTなどで胆嚢癌が疑われ,根治手術を行った.術中胆汁細胞診の際,ランブル鞭毛虫が多数検出され,ランブル鞭毛虫症に胆嚢癌を合併していた.術後メトロニダゾール内服を10日間行った.感染経路は,牛糞などを堆肥に用いた自家栽培の野菜摂取であった.ランブル鞭毛虫は,上部小腸のみならず,胆道系にも寄生することが知られているが,胆嚢癌との併発は極めてまれである. …
- NAID 10029388228
- 河野 敦子,石川 秀樹,山本 達雄,大谷 透,飯石 浩康,石黒 信吾
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 105(11), 1605-1611, 2008-11-05
- … ランブル鞭毛虫症は国内で年間約100例の発症者が報告されているが,症状が軽微で診断されないことも多く,実際の感染率は高いと予想される.われわれは経口腸管洗浄法による大腸内視鏡検査時の腸管洗浄液を検鏡し,感染率を検討した.[方法]1993年から1997年までに大阪府立成人病センターで行った大腸内視鏡検査3035件(2355人)の腸管洗浄液を用い,パパニコロウ染色による検鏡を行った.[結果]12人(0.51%)にランブ …
- NAID 10024849585
Related Links
- 厚生労働省検疫所「FORTH」、海外で健康に過ごすために。 ... ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症) Giardiasis 食べものから、性行為で 重要度:中 頻度:高 ジアルジア症は、ランブル鞭毛虫という寄生虫がうつるとかかる病気で、ヒトから ...
- ジアルジアランブリア(Giardia lamblia)、別名ランブル鞭毛虫とも呼ばれる。鞭毛虫類に属する原虫で、その生活史は栄養型と嚢子より成る。栄養型虫体は左右対称の洋ナシ型で、長径10~15μm 、短径6~10 μm 程度の大きさで 図1 ...
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★リンクテーブル★
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- 28歳の女性。食後の腹部膨満感を主訴に来院した。1か月前から2週間にわたり、南アジアを旅行した。帰国3日前から、1日2、3回の軟便と食後の腹部膨満感とが出現し、帰国後も10日以上持続したため受診した。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧120/70mmHg。腹部に圧痛を認めない。腸雑音は軽度亢進している。血液所見:赤血球 390万、Hb 11.2g/dl、 Ht 34%、白血球 6,500、血小板 32万。血液生化学所見:尿素窒素 20mg/dl、クレアチニン 0.4mg/dl、AST 31IU/l、ALT 40IU/l、LD 203IU/l(基準176-353)。ALP 344IU/l(基準115-359)、Na 140mEq/l、K 4.0mEq/l、Cl 101mEq/L。CRP 0.4mg/dl。便の顕微鏡写真(別冊No.9)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A036]←[国試_105]→[105A038]
[★]
- 35歳の男性。腹痛と粘血便とを主訴に来院した。東南アジアを2週間旅行し、帰国3目目から腹痛とともにイチゴゼリー様の粘血便を1日数回排便している。発熱はない。粘血便の直接鏡検により、偽足を出して活発に運動している虫体が観察される。最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B009]←[国試_098]→[098B011]
[★]
- 英
- afferent infection disease, imported infectious disease
- 同
- 旅行者感染症?、輸入伝染病 imported communicable disease
- 関
定義
- 日本に存在しない伝染病が旅行者や輸入食品などによって国内に持ち込まれたもの
↓拡張
- 過去に日本で存在したが激減した急性伝染病、性感染症を含む。
疫学
- 旅行者下痢症(30-80%)、マラリア、急性呼吸感染症、消化器感染症、性感染症
輸入感染症
- テーブルが載っている
[★]
- 英
- reemerging infectious disease, re-emerging infectious disease
- 関
- 感染症、新興感染症
- 再興感染症(re-emerging infectious diseases)とは、すでに知られてはいたもののその発生数は著しく減少し、もはや多くの人々にとって健康上の問題は少ないと考えられていた感染症のうち、再び出現し問題疾患として復活してきたものとされています
一覧
[★]
- 英
- giardiasis
- 同
- ランブル鞭毛虫症
- 関
- 旅行者下痢症、ランブル鞭毛虫 = Giardia lamblia
特徴
病原体
疫学
- 先進国での有病率は2-4%、発展途上国の小児では15%以上。
潜伏期間
感染経路
- 経口感染:汚染された飲食物からの嚢子(シスト)の摂取
- 性感染:男性瞳孔愛車間の感染
経過
- 発症後、数週間で自然に治癒することが多いが、一部は長期にわたって持続する。
症状
- 消化器症状(下痢(軟便、水様便から悪臭泡沫状の泥状便)、腹痛、鼓腸、倦怠感、悪心、食欲不振など)。
- 時に胆嚢炎。
検査
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診断
治療
予防
- 水道水、井戸水のそのままの摂取や不衛生な食品の摂取を避ける。十分な加熱によりシストを死滅させることが重要。
国試
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- 英
- mastigote、flagellate、Mastigophora、euglenoid
- 関
- ユーグレナ属、鞭毛藻、鞭毛状、鞭毛虫類、鞭毛虫亜門、ユーグレナ藻
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- caterpillar
- 関
- イモムシ
[★]
- 英
- flagellum, flagella