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慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎 | |
ICD-10 | G93.9 |
ICD-9 | 780.71 |
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慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)は、原因不明の強度の疲労が長期間(一般的に6ヶ月以上)に及び継続する病気である。英語 chronic fatigue syndrome や myalgic encephalomyelitis(筋痛性脳脊髄炎)、 post-viral fatigue syndrome(ウイルス感染後疲労症候群)の頭文字から CFS、ME、PVFS と呼ばれる。また重篤度が伝わらない・慢性疲労と区別がつきにくいということから、chronic fatigue and immune dysfunction syndrome(慢性疲労免疫不全症候群)CFIDSという呼称を患者団体が提案してもいる。以下 CFS と略す。
患者が訴える主な症状は、身体及び思考力両方の激しい疲労と、それに伴い、日常生活が著しく阻害されることである。
長期間の疲労感の他に次の症状等を呈することがある。
原因不明の疾患で、通常、血液検査等も含む全身の検査を受けても他の病気が見つからず、精神疾患も当たらない場合に初めて疑われる(除外診断)病気である。ただし気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)、不安障害、身体表現性障害、線維筋痛症は併存疾患として扱い除外しない。 詳細に検査をすると神経系、免疫系、内分泌系などに異常が認められる場合もある。
アメリカ疾病予防センター (CDC) によると、完治は希で5%~10%であるものの、治療により改善したり、ある程度回復するとされている。日本では人口の0.3%にあたる約38万人がCFSを罹患していると推定されているが、認知度の低さにより、適切な診断を受けていないか、うつ病・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患者が多いと思われる。
疲労とは、身体的または精神的疲労に分別され、痛みや発熱と並んで生体の3大アラームと言われており、身体に休息をとるよう脳に警告するシグナルである。CFS患者では、このシグナルが過剰に働くことにより身体が激しく疲労する症状が続くとされる。すなわちCFSは「身体的な疾患」である。よって、よく間違われることであるが、疲労が蓄積された慢性疲労とは別のものである。体内の不快苦痛・不自由さは生活の障害となっている場合も多く、故に疾病としてのケア・休養・治療、が必要である。
更に、慢性疲労症候群という名称も誤解されやすいものとして、改名を求める声があるが、現時点で改名のコンセンサスは得られていない。
20代から50代のうちに発症するケースが多く、患者全体のうち女性が6~7割程度を占め、アレルギー疾患を併発するCFS患者が多いと言われている。
目次
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6か月以上持続する原因不明の全身倦怠感を訴える患者が、下記の前提I, II, IIIを満たした時、臨床的にCFSが疑われる。確定診断を得るためには、さらに感染・免疫系検査、神経・内分泌・代謝系検査を行うことが望ましいが、現在のところCFSに特異的検査異常はなく、臨床的CFSをもって「慢性疲労症候群」と診断する。
今回、CFSに加え、特発性慢性疲労(英: idiopathic chronic fatigue、ICF)という診断名が追加された。上記前提I, II, IIIに合致せず、原因不明の慢性疲労を訴える場合、ICFと診断し、経過観察する。従来の「CFS疑診例」に相当するものだが、ICFは国際的に通用する用語であり、ICFという病態は患者に説明しやすく、診療報酬の観点からも有用と考えられている。
但し、以上の基準は初期研究段階において、研究対象にする患者を厳格にふるい分けるために作られたものであり、小クライテリアが多く、また、精神疾患を持っていればCFSから除外という問題のある診断基準であるので、実際の診断にはもっと基準を緩めてもいいのではないかという意見が、一線の研究者からも出ている。
また、CFS患者特定の検査は、近年諸処現れているものの血液などの化学検査でそれ一つで確定できるようなものはない。現在では、症状を示す他の疾患である可能性を除外する除外診断が一般的である。このため、客観的にCFSを鑑別できるバイオマーカーの必要性が叫ばれていたが、大阪大学・大阪市立大学共同チームにより、血液 1,2mlに近赤外線をあて、約95%の確率で鑑別できる近赤外線分光法が最近開発された(しかし、CFS患者特有のスペクトルを起こす血液中の物質はまだ特定できておらず、研究プロジェクトを立ち上げる予定)。
疲労・侮怠の程度は、PS(パフォーマンス・ステイタス)により判断される。CFS患者は、PS値が3-9の間である。
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CFSの機序・病原については、国内外とも、生理学・疫学的な研究を含む多くの研究がされているがはっきりしない。
アメリカの医療従事者向けの治療ガイドには、3,000以上の研究報告が存在し、CFSは生理学的な病気である十分な科学的証拠がある[2]と記されている。また、2008年発刊のトキシコロジージャーナルには、CFSは、主として神経・内分泌・免疫系統の機能不全の一群であるとし、外因性の化合物・感染症・ストレス・幼少期の虐待等がCFSを起こす要因である可能性があると述べている[3]。しかし依然、明確に説明できるような原因は見つかっていない[4]。
過去、発症要因と考えられたものには以下のようなものがある(患者により異なる)
かつては原因不明の未知の病気とされたが、決定的な病因は特定されていないものの、そのメカニズムは徐々に解明されつつある。大阪市立大学の研究によると、中でも種々の生活環境ストレスが第一の病気を発症させる引き金になっているとされる。
CDCによる近年の研究では、身体がストレスに対応するのを助ける12の遺伝子群に特別な変化のセットを持つ人々に生じている疾患であり、「トラウマ、感染、負傷などによる身体的・精神的なストレス」によって活性化される「視床下部-下垂体-副腎系 (HPA軸)の混乱」が引き金となって発症する病気と考えられている。
重要なのはストレスとは、楽しくない事柄だけをさすのではなく、「ストレッサー」と呼ばれる外的刺激が原因であり、物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)、心理的ストレッサー(怒り、不安など)に分けられる。ストレス反応とは、ストレッサーに対する防衛機構が働き、身体の恒常性(ホメオスタシス)を変化させるもののことを意味している(よって、本人がストレスと気づかない場合もストレスとなっている場合がある)。これらのストレスに対する作用を主に司っているのが間脳視床下部であり、その指令の伝達網の役割を自律神経系や内分泌系(ホルモン分泌)が担っている。
なお、CFSはストレスとの関連があるが、「心理的な病気」ではなく肉体が激しく疲労する「身体的な病気」である(ただ、患者の中にはCFSにる副次的な精神疾患を併発する場合がある)。医学的研究によりストレスは免疫が介在する疾患で重要な役割を持っており、実際に精神神経免疫学という新しい研究分野として研究が行われている。 種々の外的ストレスが、「自律神経」や「内分泌系」を介して「免疫系の調節」をしていることも明らかになっており、自己免疫の発症の誘因になることも明らかになっている。
患者の疲労の主因として以下のような「身体的な異常」が重なっていると考えられている。
マーカー遺伝子の発現解析結果を検査することで、高精度でCFSの診断が出来ると期待される。 このことにより、診断が困難であったCFSの確定診断としての利用が望まれる。また、有効な治療法が無かった病気だが、新薬の開発への糸口になる可能性がある。 日本では、六反一仁・徳島大学ヒューマンストレス研究センター長らが開発した、血液中の1400以上の遺伝子を調べられるDNAチップなどの遺伝子に関するいくつかの研究を発表しており期待されている。 また、大阪市立大学では、患者に遺伝子発現の検査を行っており、抗ウイルス・NK活性・T細胞・エネルギー産生・細胞死・ミトコンドリア産生の遺伝子の活動レベルを検査している。
人が疲労を感じる際、そのシグナルとなる疲労伝達物質であるサイトカインが産生されるとされる。CFS患者では、このサイトカイン(TGF-β 及び インターフェロン)の産生異常といった免疫機能障害によって、異常な疲労感が引き起こされると考えられている。
サイトカインの産生異常の原因として、様々な研究がされている。 患者の中には免疫の指標であるNK活性が低下している者がおり、免疫低下により体内のウイルスが再活性化してサイトカインが産生されている。 なお、科学誌サイエンスに、XMRVウイルスと慢性疲労症候群の関連が報告されているが、実際にロンドンのKing’s College HospitaやオランダのRadboud 大学で検証したところ患者の誰からもウイルスは見つからなかった。 また、CDCで行われた大規模な検証やその他の多くの研究から、CFSを確実に発症させるような特定のウイルスは存在しないことが明らかになっている。よって、CFSは他人に感染したりするようなものではない。
近年のサイトカイン産生異常の研究では、CFSはストレスと密接な関係があるとされ、脳内サイトカインが様々な「ストレッサー」によるストレス刺激によって産生されることがわかってきている。ストレッサーには、物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)、心理的ストレッサー(怒り、不安など)がある。ストレッサーが存在すると生体は各種ストレスホルモン分泌を増加させ、ストレッサーに対する防衛機構を働かせる。これをストレス反応と呼ぶ。種々の外的ストレスが、「自律神経」や「内分泌系」を介して「免疫系の調節」をしていることも明らかになっており、精神的ストレスが内分泌系や交感神経を介して、末梢の免疫細胞の機能変化を誘導し、自己免疫の発症の誘因になることも明らかになっている。
九州大学の研究によると、脳内サイトカインの産生は、中枢神経系における感染などの炎症によって誘発されるだけでなく、拘束ストレスや環境ストレスなど、非炎症性ストレスによっても誘導される。疲労もまた、様々なストレスによって誘発され、さらに重症化、あるいは慢性化される。疲労の種類は、
に分けることができる。これらの分類は、とりもなおさずストレスの分類法でもあり、従ってストレスと疲労とは、表裏一体をなすものであり、脳内のサイトカインはこれらを結ぶ、キーワードになると考えられる。
CFS患者の発症前の状態として広く報告されている、トラウマ・感染・負傷などによる「物理的もしくは精神的なストレス」は、視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)を活性化し、コルチゾール等の「ホルモン」の放出を促進させ、「免疫系」等の多くの体のシステムに影響するとされる。
コルチゾールとは、ストレスを受けた時に身体の防衛反応が働き、脳視床下部からの指示で副腎から分泌されるホルモンである。 その他の研究においても、CFS患者や、線維筋痛症等のCFSと関連する疾患に、類似のホルモン異常がみられており、コルチゾールは、炎症や細胞性免疫の活性化を抑制する作用を持っているとされ、コルチゾールレベルの低下は、炎症プロセスや免疫細胞の活性化につながると考えられている。また、運動後のコルチゾールに関連した炎症反応を起こす遺伝子発現の異常もみられ、診断法に用いられる可能性がある。
なお、CFS患者はコルチゾールレベルが低下していることが明らかとなっているが、免疫学データによると、CFSにみられるコルチゾールレベルの変化は、正常と認められる範囲内であり、患者群と健常者群の平均値を比較することで、初めてその違いを見ることがでる。すなわち、コルチゾールレベルをCFS患者の診断方法として用いることはできない。
また、TGF-βの産生異常により、神経ホルモンDHEA-Sの低下・アシルカルニチン異常・グルタミン酸・γ-アミノ酪酸 (GABA) の産生低下が起こっていると考えられている。 患者の約半数の血液中に、自己免疫疾患の患者の血液中だけにみられるCHRM1(ムスカリン1型アセチルコリン受容体)抗体という特殊たんぱくが見つかっており、その他 OPRM1(オピオイドμ受容体)、 HTR1A(セロトニン1A受容体)、DRD2(ドーパミンD2受容体)も血液中に存在する患者が存在する。 アセチルコリン受容体に対する自己抗体は、重症筋無力症と関連があり、CHRM1が血中に存在する患者は脱力感・思考力低下の症状が強い。
CFS患者で、脳内の神経細胞の活動性が下がっている部位が幾つかある患者が居る。前頭前野(ブロードマン24,32,33と9/46d野)の部位に限定してのアセチルカルニチン取り込みが低下しており、この前帯状回の神経細胞は、自律神経系の中枢部であり、グルタミン酸などの合成が上手く行われていない可能性があり、このことにより自律神経系の諸症状がでることにつながっていると考えられている。また、血中アセチルカルニチンの濃度低下により、倦怠感・思考力・集中力の低下なども引き起こす原因とされている。
また、ポジトロン断層法 (PET) による脳の血流を調べたところ、前帯状回・眼窩前頭野(意欲やうつ状態と関係している)・背外側前頭前野(新しい計画を立てたり新たな行動の意欲と関係)・側頭葉(記憶に関連している)・後頭葉(視覚と関連)・脳幹部(意識を調節する部分や筋肉との共同運動を調節し、呼吸・心拍・体温調節などの基本的な生命現象の中枢)などの血流が大幅に低下し、神経細胞の活動レベルが下がっている患者が見つかっている。一部の患者の不定愁訴はこれらによるものと推測できる。
CFSにおいて、感染症を原因とした毒素が関連しているのではないかという研究がされている。日本では、ほとんど行われていない。
一般培養での検出が不可能な、偏性細胞内寄生体(リケッチア等)や、 感染後、血液所見にほとんど変化をもたらさない百日咳(Bordetella pertussis)等の、多数の毒素(Bordetella pertussisでは7種の毒素が判明している)を生産する細菌群が上げられる。
アメリカン・ファミリー・フィジシャン in 2002によると、いくつかの病気とかなりのオーバーラップがみられる。多発性硬化症(MS),甲状腺病,貧血,糖尿病などとは、その病気にふさわしい症状があれば、CFSから除外されるとある[6]。
心身共に休養させる必要がある。薬剤に関しては、漢方薬(補中益気湯・人参養栄湯・十全大補湯・六君子湯等)・ビタミンC・メチコバール・抗うつ薬・免疫グロブリン。眠剤等の処方・認知行動療法・段階的行動療法・ペイシングなどで多少の効果が見られる場合があるが、特効薬は見つかっておらず、長期に渡って苦しみ続けている患者は今なお多い。
多くの治療法があるが、ほとんどの治療法に限界はある。重要なのは、PS値や患者の体質によってその効果は異なることで、場合によっては良い効果がみられることがある。治療法の中には、未確認であり、悪影響が考えられるケースもあるので慎重に選択する必要がある。
薬物療法は、個々の患者に特有の症状群を軽減するためのものである。CFS患者は、多くの薬剤に対して過敏であることが多く、中でも中枢神経系に作用する薬剤で顕著である。したがって、一般的な治療指針としては、極低用量から始め、必要性や耐量にあわせて、徐々にその量を増すのが良いとされる。また、患者によって効果は異なることや、副作用がある薬もあるので患者の体質や症状から慎重に選択することが望まれる。
現在、CFSの診察を積極的に行っている医師はごく少数である。また、医師の間でCFSの認識は薄く、専門医でなければこの病気の可能性を見いだせなかったり、的確に診断できない場合がある。精神疾患等に誤診される場合があり、患者は多くの病院を訪れ(ドクターショッピング)、長年の後CFSの診断を受けることが多い。それでもここ数年は、政府の疲労プロジェクト・日本国外の研究報告によってCFSの研究が進んだこと、各メディアが取り上げるようになったことなどによって、認識が広まってきている。また、アメリカ政府が公的にCFSを認めたこともあり、今後の認知は深まると考えられる。
研究者としては倉恒弘彦(現在 関西福祉科学大学教授・大阪市立大学 客員教授)など。
突然にインフルエンザのような症状を呈し発症するか、疲労やストレス等の蓄積で発症し徐々に悪化するケースも多くある。
突然にCFSを発症し、ある日・ある時間に発症するということを覚えている患者もいる。
しばしば、他の病気と一緒に、または、他の病気によって引き起こされる。インフルエンザや気管支炎などへの感染、アレルゲン(ペンキ・新しいペット・建設物の埃)への曝露後、CFSの症状が現れるようになる。組み替え型のB型肝炎ワクチンがCFSの発症原因の一つではないかという説もある。
いくつかのケースでは、ゆっくりとしたペースで(何年にも渡るケースがある)進行する。こうした患者は、発症時にはCFSに気が付きにくい。ストレスや過労からだと思い、しばらくすれば治ると思ってしまうが、長く症状が続くので治療を求めるようになるようである。
一般的に、予後は良くない。発症が突然である場合、数年である程度症状が改善することもある。完治は希であり、数十年もの期間症状が続くケースも多く、寝たきりの状態が続いている患者も多い。早期治療を受けたケースでは予後が良いが、治療を受けずに自然治癒することはあまりない[8]。激しい運動・ストレス・他の病気などにより症状は悪化しやすい。免疫が落ちていることが多いため感染症に罹患しやすく、エイズ患者にしかならないような病気も合併する例があり注意が必要である。また、CFS患者は、平均寿命が短いという報告がなされている。癌・心不全・自殺などが主な理由だとされる。2006年6月13日、32才イギリス人女性が死亡し、厳格な検死鑑定が行われ、CFSにより尿を産生することができず脱水症状を起こし死亡したとされ、初の公的なCFSによる死とされた[9]。彼女の脊髄には炎症が発見された。
CFSは比較的新しい疾病概念であるが、古代医学の巨人ガレン(西暦130~201年)の著書の中にもCFSの病態のように思われる記述が残っている。18世紀にも裕福層に多く同様の病態の患者がいた記録が残っており、著名人の中でも、フローレンス・ナイチンゲール、チャールズ・ダーウィン等も同様の病状のようであったようだという記録が残っている。
1930年代から1950年代にかけて、世界各国60ヶ所以上で発症例が報告された。主な国はアメリカ・イギリス・オーストラリア・アイスランド・ドイツである。当時はCFSという概念がなく、発症した病院名や地域の名をとり、ロイヤルフリー病・アイスランド病などと呼ばれ、異形ポリオ・集団ヒステリーなどではないかと推察されていた。
1930年代後半に、筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyelitis)という名で免疫・神経学的な研究がなされ、WHOによりCFSは、中枢神経系の病気であると、1969年に分類されている。そして、1992、1993年には、"ME(筋痛性脳脊髄炎)"と"CFS(慢性疲労症候群)" 両疾病概念は、WHOの国際疾病分類 ICD-10 G93.3 PVFS(感染症後疲労症候群)にまとめられた。
1984年には、アメリカ・ネバダ州にある人口約2万人のインクラインで、人口の約1%にあたる約200名が強い疲労などを訴えた(ネバダ・ミステリー)。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が調査に乗り出し、病名を慢性疲労症候群 (Chronic Fatigue Syndrome) とした。1988年には診断基準も作成された。当初、未知のウイルスの関連が考えられていたが、現在は否定されている。 ただ、一部の症例ではウイルスや他の病原体が原因となっている可能性があると報告されている。
現在、CFSの発症には様々な仮説が提案されており、原因解明の研究を行っている段階である。患者には脳(前頭葉、後頭葉領域)の血流低下が多く見られることがわかってきており、脳の機能障害が激しい疲労感と同様にCFSに共通した症状とされ、免疫系、内分泌系、神経系の異常が密接に関係してると考えられている。
日本ではあまり関心を持たれてはいなかったが、1991年に、厚生省のCFS調査研究班が発足。1993年には、日本における診断基準を満たす患者が、474例報告された。以後、阪大を中心に、CFSの研究・診察が行われた。2005年には、大阪市立大学医学部に疲労クリニカルセンターが設立された。一般的な疲労を含み、CFSの研究・診察を行っている。
諸外国でも研究が進められ、生理学的な異常が多く報告されるようになっている。2001年には、イギリスの保健省首席医務官が、すべての医師はCFSを深刻な病気とみなし治療するように指導した[10]。アメリカ・ヨーロッパ諸国・韓国等でも同様の動きがある。だが、医師の間ではCFSが身体的疾患か精神疾患か、またそもそもCFSという疾患が存在するのかといった議論が絶えない。しかし、徐々にではあるが世界の医療従事者の中でも認知が深まりつつある。
2006年には、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が、C3(CFS Computational Challenge)[11][12]と題された、ゲノム学者・分子生物学者・数学者・エンジニア等で行った大々的な研究結果を報告し、CFSが存在すること、精神疾患であることを否定し身体的な病気であると宣言をした[13]。これに合わせアメリカ国内で、Get informed. Get diagnosed. Get help. [14][15]と題された認知キャンペーンを400万ドルをかけて開始し、アメリカ疾病予防管理センター長も、CFSを深刻な病として扱うことを訴えた[16][17]。病名の変更もアメリカで議論され、変更される予定である。2007年度、イギリス政府が再び、医師に真剣に治療するように指導し、新しい治療ガイドライン[18]を発布した。
日本においては、厚生労働省CFS研究班が廃止され未だ政府によりCFSを医療従事者に診察・治療を行う指導は行っていない。
1900年代前半には内科的な病気である可能性が高いと思われていた。だが、当時の診断技術では患者特有の異常が見つからず、精神疾患だと医療従事者の中でも思われるようになった。CFS患者は、心の中の問題だけにされてしまう傾向がある。本来なら神経内科医が診る疾病であるが、仮病や心気症的な振る舞い(注意をひいている)・時には詐病とまでされ精神科にまわされることが多く、診察を拒否する医師さえいるので、患者は診断を受けるために長期の時間苦しむことになり、病気を難治化・長期化してしまっている。また、多くの患者は働くこともできず、障害年金も受給されないことが多く、経済的に困窮することになる。周囲の人々から理解を得られにくく、怠けている・精神的[19]に問題があるなどとされる傾向がある。CFS患者の自殺率は非常に高いという報告がある[20]が、こうした周辺環境が関与している可能性がある。CFSは日本全体においても大きな経済負担になっており、CFSによる日本の経済的損失は1.2兆円[21]と推定されている。
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国試過去問 | 「110G056」「114A037」 |
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IRE.376改変
解答形式 正答b,c a 強皮症 b 伝染性単核球症 c トキソプラズマ症 d クリプトコッカス症 e 糖尿病
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