- 英
- superoxide dismutase, SOD
- 同
- スーパーオキサイドジスムターゼ、超酸化物不均化酵素
- 関
- [[]]
O2.- + 2H+ → H2O2 + O2
ペルオキシダーゼと並んで抗酸化酵素の一つ
セルオキシソームに局在。
4量体
サブユニットに1つ鉄イオンが含まれている。
生物種とSOD
Cu-SOD, Zn-SOD 高等動植物の細胞質
EC-SOD(A,B,C) 高等動物の体液と血管表面
Mn-SOD 高等動植物のミトコンドリアと細菌
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/13 06:42:26」(JST)
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スーパーオキシドディスムターゼ |
ヒトのMnのスーパーオキシドディスムターゼの単量体の構造。[1]
|
識別子 |
EC番号 |
1.15.1.1 |
CAS登録番号 |
9054-89-1 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
スーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、スーパーオキシドアニオン(・O2-)を酸素と過酸化水素へ不均化する酸化還元酵素である。活性中心に銅(II)イオンと亜鉛(II)イオン(Cu, ZnSOD)、またはマンガン(III)イオン(MnSOD)や鉄(III) イオン(FeSOD)のように二価または三価の金属イオンを持った酵素で、細胞質(Cu, ZnSOD) やミトコンドリア(MnSOD)に多く局在している。酸化ストレスを減少させる役割を持つ。最近、ニッケルを持つ酵素(NiSOD)も発見されている。生成した過酸化水素はカタラーゼやペルオキシダーゼなどによって分解される。
がん細胞では活性酸素が高頻度に産生されており、SODの阻害に感受性を示す場合があるため、抗がん剤の標的として研究が行われている。
目次
- 1 反応
- 2 類型
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
反応[編集]
SODの触媒機能による活性酸素の分解反応の半反応式は以下のとおりである。
- M(n+1)+-SOD + O2− → Mn+-SOD + O2
- Mn+-SOD + O2− + 2H+ → M(n+1)+-SOD + H2O2
ここで言うMは次のとおり。 M = Cu (n=1) ; Mn (n=2) ; Fe (n=2) ; Ni (n=2)
この反応で、金属カチオンの酸化状態はnとn+1の間を変動している。
類型[編集]
一般[編集]
Irwin FridovichとJoe M. McCordによって発見されたSOD酵素群は以前、未知の機能をもつ金属タンパク質と考えられていた[2]。SODにはいくつかの類型があり、それらタンパク質には銅や亜鉛、マンガン、鉄またはニッケルが補因子として含まれる。例えばBrewer(1967)は、フェナジン-テトラゾリウム法を使ったデンプンゲルのタンパク質分析によりスーパーオキシドディスムターゼの一つとして知られることになったインドフェノールオキシダーゼを特定した[3]。
SODには金属補因子の種類により、Cu/Znタイプ(CuとZnの両方と結合する)、Fe・Mnタイプ(FeとMnのどちらかと結合する)、Niタイプ(Niと結合する)の3つのタイプに大別される。
- 銅/亜鉛 - 主に真核生物に使われるタイプ。事実上すべての真核細胞の細胞質基質はCu-Zn-SODを含む。市販されているCu-Zn-SODは通常はウシ亜科の細胞から精製されているものである。Cu-Zn-SODは分子量32,500のホモ二量体である。ウシ亜科のCu-Zn-SODは1975年に初めて構造が解明されたSODである[5]。8本のストランドがグリークキーでβバレルを形成した構造をしており、活性部位はバレルと表面ループとの間にある。2つのサブユニットは主に疎水的、静電気的相互作用により背中合わせに強く結合している。銅および亜鉛は6個のヒスチジンと1個アスパラギン酸側鎖に配位しており、1つのヒスチジンは2つの金属原子の間で共有されている[6]。
- 鉄/マンガン - 原核生物、原生生物およびミトコンドリア内で使われるタイプ。
- 鉄 - E. coliと多くのバクテリアがFe-SODを含む。いくつかのバクテリアはFe-SODであるが、その他はMn-SODで、さらに両方含むものもある。Fe-SODは植物の色素体で見られる。立体構造ではFeおよびMn-SODは同じαへリックスの配置を持ち、その活性部位のアミノ酸側鎖の配置も同じである。
- マンガン - 鶏の肝臓のミトコンドリアと多くのバクテリアがMn-SODを含む。Mn-SODはヒトのミトコンドリアでも見られる。マンガンイオンの配位子は3個のヒスチジン側鎖、1個のアスパラギン酸側鎖と水またはヒドロキシ配位子で、マンガンの酸化数(IIとIII)に依存する[7]。
- ニッケル - 原核生物に含まれる。右巻きの4-へリックスバンドルからなる六量体構造で、それぞれニッケルイオンをキレートするN末端フックを含む。
ヒト[編集]
ヒト(すべての哺乳動物と大部分の脊椎動物も)では3種のSODが存在する。SOD1は細胞質、SOD2はミトコンドリア、SOD3は細胞外空間に存在する。SOD1は2つのユニットからなる二量体であるが、他の2種は4つのユニットからなる四量体である。SOD1とSOD3は銅と亜鉛を含むのに対し、SOD2はマンガンを活性中心に持つ。
脚注[編集]
- ^ PDB 1VAR; Borgstahl GE, Parge HE, Hickey MJ, Johnson MJ, Boissinot M, Hallewell RA, Lepock JR, Cabelli DE, Tainer JA (April 1996). “Human mitochondrial manganese superoxide dismutase polymorphic variant Ile58Thr reduces activity by destabilizing the tetrameric interface”. Biochemistry 35 (14): 4287–97. doi:10.1021/bi951892w. PMID 8605177.
- ^ McCord JM, Fridovich I (1988). “Superoxide dismutase: the first twenty years (1968-1988)”. Free Radic. Biol. Med. 5 (5-6): 363–9. doi:10.1016/0891-5849(88)90109-8. PMID 2855736.
- ^ Brewer GJ (September 1967). “Achromatic regions of tetrazolium stained starch gels: inherited electrophoretic variation”. Am. J. Hum. Genet. 19 (5): 674–80. PMC 1706241. PMID 4292999. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=1706241.
- ^ PDB 2SOD;Tainer JA, Getzoff ED, Beem KM, Richardson JS, Richardson DC (September 1982). “Determination and analysis of the 2 A-structure of copper, zinc superoxide dismutase”. J. Mol. Biol. 160 (2): 181–217. PMID 7175933.
- ^ Richardson JS, Thomas KA, Rubin BH, Richardson DC (1975). “Crystal Structure of Bovine Cu,Zn Superoxide Dismutase at 3Å Resolution: Chain Tracing and Metal Ligands.”. Proc Nat Acad Sci USA 72 (4): 1349–53. doi:10.1073/pnas.72.4.1349. PMC 432531. PMID 1055410. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=432531. .
- ^ Tainer JA, Getzoff ED, Richardson JS, Richardson DC (1983). “Structure and mechanism of copper, zinc superoxide dismutase.”. Nature 306 (5940): 284–7. doi:10.1038/306284a0. PMID 6316150. .
- ^ PDB 1N0J; Borgstahl GE, Parge HE, Hickey MJ, Beyer WF Jr, Hallewell RA, Tainer JA (1992). “The structure of human mitochondrial manganese superoxide dismutase reveals a novel tetrameric interface of two 4-helix bundles.”. Cell 71 (1): 107–18. doi:10.1016/0092-8674(92)90270-M. PMID 1394426.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 研究最前線、Superoxide dismutaseとその役割 (放射線医学総合研究所)
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Japanese Journal
- レシチン化スーパーオキシドジスムターゼ(PC-SOD)の特発性肺線維症治療薬としての開発
- 水島 徹
- YAKUGAKU ZASSHI 134(1), 69-76, 2014
- Idiopathic pulmonary fibrosis (IPF) and chronic obstructive pulmonary disease (COPD) are thought to involve lung injury induced by reactive oxygen species (ROS), in particular superoxide anion. The …
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- 水島 徹
- Drug Delivery System 28(3), 221-228, 2013
- 特発性肺線維症(IPF)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を初めとして、活性酸素は多くの疾患の根本的な原因となっている。そこで、活性酸素を消去する生体由来タンパク質であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)はさまざまな疾患の治療薬として注目されてきたが、組織親和性や血中安定性の問題でその臨床応用は成功しなかった。我々はSODにリン脂質を結合させ、これらの問題を解決し(PC-SODの創 …
- NAID 130003384376
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- anaerobic bacterium anaerobic bacteria, anaerobe anaerobes, anaerobic bacteria
- ラ
- anaerobie
- 関
- 細菌、好気性菌。嫌気性培養法
概念
- 酸素の存在しないところで増殖する細菌。
- 酸素が存在していても酸化還元電位(Eh)が低い状態では増殖可能 → 還元的な環境(人体でいうと腸管、膿瘍などの閉鎖環境)
- 発酵によりエネルギーを得ている。
- 酸素、酸化物、および過酸化物をハンドリングする酵素を持たない:シトクロム系酵素、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ
分類
臨床
嫌気性菌感染を考慮すべき病態、疾患
嫌気性菌をカバーする抗菌薬
[★]
- 英
- mast cell, mastocyte
- 同
- マスト細胞
- 関
- ヒスタミン、好塩基球
形状
- 20-30μm (HIS.101)
- 細胞質に0.3-0.8μmの顆粒を含む
特徴
- ヘパリン(or コンドロイチン硫酸)、
- ヒスタミン、
- 中性プロテアーゼ(トリプターゼ、キマーゼ、カルボキシペプチダーゼ)
- アリルスルファターゼ
- その他
- β-グルクロニダーゼ
- キニノゲナーゼ
- ペルオキシダーゼ
- スーパーオキシドジスムターゼ
- 好酸球走化因子
- 好中球走化因子
由来
染色像
臨床関連
- 炎症(I型アレルギー)の引き金を引く細胞。喘息患者の気道平滑筋層に存在(健常人では存在しない(HIM. 1598)
[★]
- 英
- MnSOD、Mn-SOD
- 関
- スーパーオキシドジスムターゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、銅・亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ
[★]
- 英
- superoxide dismutase
[show details]
[★]
スーパーオキシドジスムターゼ
- 同
- septo-optic dysplasia
- 同
- superoxide dismutase
[★]
- 英
- copper-zinc superoxide dismutase、Cu-Zn superoxide dismutase
- 関
- スーパーオキシドジスムターゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、マンガンSOD、銅・亜鉛スーパーオキサイドジスムターゼ
[★]
- 英
- manganese superoxide dismutase、MnSOD、Mn-SOD
- 関
- スーパーオキシドジスムターゼ、銅・亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、マンガンSOD、マンガンスーパーオキサイドジスムターゼ
[★]
- 英
- peroxy、peroxyl
- 関
- 過酸化、ペルオキシ
[★]
- 英
- oxide
- 関
- 酸化物、オキサイド