モリン
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/25 12:40:13」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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(RS)-2-amino-5-phenyl-1,3-oxazol-4(5H)-one | |
臨床データ | |
法的規制 |
?
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投与方法 | 経口 |
薬物動態的データ | |
代謝 | 肝臓 |
識別 | |
CAS番号 | 2152-34-3 |
ATCコード | N06BA05 |
PubChem | CID 4723 |
DrugBank | DB01230 |
KEGG | D00744 |
化学的データ | |
化学式 | C9H8N2O2 |
ペモリン(Pemoline, Betanamin, Cylert, Tradon) は、中等度の中枢神経刺激薬である。
日本ではベタナミン® (BETANAMIN®)がペモリンを含む医薬品である。
ペモリンは、中枢作用性交感神経刺激アミンである。ペモリンは、交感神経系に弱く作用するため、構造式においても薬力学的側面においても、アンフェタミンなど他の精神刺激薬とは異なる。従って、この種の薬物に典型的に認められる幾つかの副作用が発生しない。ドーパミンの再取り込み阻害などの役割をその作用機序とする。効果は初回投与後2〜3週間経ってから現れるとされる。
ADHD治療用の中枢神経刺激薬とされているが、うつ状態に於ける傾眠および意欲の低下、ナルコレプシーおよび原発性過眠症など傾眠疾患に対し、覚醒作用、精神賦活作用、大脳皮質の賦活作用と脳幹の鎮静作用を示し、睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善に使用されており、慢性疲労時の強壮剤としても効果がある。同種の他の物質と違って、ペモリンには食欲抑制作用は無い。
ペモリンはカフェインよりも強力な中枢神経刺激薬であるが、アンフェタミンやメチルフェニデートよりも強力ではない。スペイン語圏に於ける商品で通常最も良く知られたものとしてMagnesium Pemoline 50mg入り錠剤があるが、これがペモリンの最も一般的な医薬品形態である。
日本ではベタナミン® (BETANAMIN®)錠が10mg、25mg、50mgの三種類の剤形で三和化学研究所から発売されている。かつては、セントラミン(武田)、マイアミン(大日本)も発売されていた。
スペイン語版に於いては処方時の最小有効量は、約25mgである。治療量レベルは75mgから100mgの範囲であり、最大推奨投与量は通常150mgである。
ペモリンにはメチルフェニデートでよくみられる副作用が無く、とりわけその他の興奮剤と比べるとリバウンド現象が無いか、または有ってもごく僅かであるとされる。
日本では、軽症うつ病、抑うつ神経症には、1日10~30mg,朝食後、ナルコレプシー及び近縁傾眠疾患には、1日20~200mg,2回分服(朝・昼食後)が用いられる。
ペモリンは、腸で急速に吸収され、肝臓に運ばれる。生体内での消失半減期は、メチルフェニデートよりも大幅に長い(メチルフェニデートの半減期は約3時間、ペモリンは約12時間)ため、服用を1日当たり1回として投与することが可能である。またペモリンの場合、中毒の可能性は低い。ペモリンの上記以外の比較優位として、向精神薬に関する条約のスケジュールIIに含まれておらず、スケジュールIVに含まれていることが挙げられる[1]。従って、他と比べて大幅に規制を受けない物質である。
近年まで、ADHDの治療において第2選択薬とされ、メチルフェニデートに対する反応やメチルフェニデートの効き目が思わしくない場合に使用されてきた。ADHDの治療において、ペモリンによる治療の成功率はメチルフェニデートよりも大幅に低いが、一定の特質を有するため、処方に於いてはペモリンが優位に立っている。また、そのような特質のため、法的規制に於いても副作用の面でもペモリンは優位に立ち、中毒の可能性も少なく、消失半減期もより長くなっている。しかしながら、アメリカ食品医薬品局が、近年になってペモリンに肝毒性のリスクの可能性があることについて根拠を提示し、ペモリンを使用しないよう勧告した。このため、英国など数ヶ国でペモリンは市場から引き上げられることになった。ペモリンの商業取引が依然として行われている国や地域ではADHDを治療する薬理学的枠組み内にペモリンが含まれることがあり、ADHDほどではないが、ナルコレプシーおよび原発性過眠症の治療に於いてもペモリンが含まれることがある。
ドイツに於いてはペモリンの使用により肝酵素値の上昇と肝毒性反応が認められたことから、ドイツ医師医薬品委員会(Arzneimittelkommission der Deutschen Ärzteschaft <de:Arzneimittelkommission>)は処方制限に踏み切った。ペモリンは、他の治療措置(メチルフェニデートやアンフェタミンといった中枢神経刺激薬を用いた治療)では効果がみられない場合や、それだけでは十分でない場合にのみ、肝機能に十分注意した上で処方が認められた。[1]
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ベタナミン錠10mg
リンク元 | 「精神神経用剤」「ペモリン」 |