オランザピン
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジプレキサザイディス錠5mg
組成
成分・含量
(1錠中):
添加物:
- ゼラチン、D‐マンニトール、アスパルテーム(L‐フェニルアラニン化合物)、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム
禁忌
- 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者
効能または効果
- 統合失調症
- 双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
- 統合失調症:通常、成人にはオランザピンとして5〜10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量として1日1回10mg経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。
- 双極性障害における躁症状の改善:通常、成人にはオランザピンとして10mgを1日1回経口投与により開始する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
- 双極性障害におけるうつ症状の改善:通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与により開始し、その後1日1回10mgに増量する。なお、いずれも就寝前に投与することとし、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
- 本剤は口腔内で速やかに崩壊することから唾液のみ(水なし)でも服用可能であるが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと。
双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善の場合
- 躁症状及びうつ症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。[双極性障害の維持療法における日本人での本剤の有効性及び安全性は確立していない。]
慎重投与
- 糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[「重要な基本的注意」の項参照]
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害のある患者[他の抗うつ剤で精神症状の悪化が認められたとの報告がある1)。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[他の抗うつ剤で精神症状の悪化が認められたとの報告がある1)。]
- 尿閉、麻痺性イレウス、閉塞隅角緑内障のある患者[抗コリン作用により症状を悪化させることがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させることがある。]
- 肝障害のある患者又は肝毒性のある薬剤による治療を受けている患者[肝障害を悪化させることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 本剤のクリアランスを低下させる要因(非喫煙者、女性、高齢者)を併せ持つ患者[本剤の血漿中濃度が増加することがある。]
重大な副作用
- 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡:高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。
- 低血糖:低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
- 悪性症候群(Syndrome malin):無動緘黙、強度の筋強剛、脈拍及び血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、水分補給、体冷却等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。本症発症時には、血清CK(CPK)の上昇や白血球の増加がみられることが多い。また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下に注意すること。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
- 肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 痙攣:痙攣(強直間代性、部分発作、ミオクロヌス発作等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 遅発性ジスキネジア:長期投与により、不随意運動(特に口周部)があらわれ、投与中止後も持続することがある。
- 横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
- 麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- オランザピンはチエノベンゾジアゼピン骨格を有する非定型抗精神病薬である。非臨床薬理試験において定型抗精神病薬とは異なる薬理学的特徴が明らかにされている。
薬理作用
統合失調症諸症状の動物モデルでの選択的作用
- オランザピンは、カタレプシー17)(錐体外路系副作用の指標)を惹起する用量よりも低い用量で、条件回避反応17)(陽性症状の指標)、プレパルスインヒビション18)(陰性症状及び認知障害の指標)、社会的接触減少19)(陰性症状の指標)、コンフリクト17),20)(陰性症状及び不安の指標)あるいは強制水泳(うつ症状の指標)等の統合失調症諸症状の動物モデルにおいて改善作用を示す。
中脳辺縁系及び大脳皮質前頭前野への選択性
- オランザピンは、電気生理学的試験21)や組織学的試験22)において、錐体外路系副作用に関与している黒質線条体系よりも、抗精神病活性と関係する中脳辺縁系及び大脳皮質前頭前野への選択性を示す。
統合失調症に関わる不均衡な神経系との特異的相互作用
- 統合失調症では大脳皮質前頭前野でのドパミンD1系の機能低下やグルタミン神経系の伝達障害が仮説化されているが、オランザピンは大脳皮質前頭前野でドパミンとノルアドレナリンの遊離を増加させ23)、グルタミン酸神経系の伝達障害を回復させる18),19)。
作用機序
- オランザピンは多数の神経物質受容体に対する作用を介して統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状、認知障害、不安症状、うつ症状等に対する効果や錐体外路症状の軽減をもたらし(多元作用型:multi-acting)、また、多くの受容体に対する作用が脳内作用部位への選択性につながる(受容体標的化:receptor-targeting)と考えられる24)〜26)。オランザピンは、ドパミンD2タイプ(D2、D3、D4)、セロトニン5-HT2A,2B,2C、5-HT6、α1-アドレナリン及びヒスタミンH1受容体へほぼ同じ濃度範囲で高い親和性を示すが、ドパミンD1タイプ(D1、D5)やセロトニン5-HT3受容体へはやや低い親和性で結合する27),28)。またムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性はin vitroと比較してin vivoでは弱い29)。オランザピンはこれらの受容体に対し拮抗薬として働く30)。さらにオランザピンによる大脳皮質前頭前野でのドパミンとノルアドレナリンの遊離増加23)や、グルタミン酸神経系の伝達障害の回復18),19)も、オランザピンと複数の受容体との相互作用より引き起こされている可能性がある25)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
化学名:
- 2-Methyl-4-(4-methylpiperazin-1-yl)-10H-thieno[2,3-b][1,5]benzodiazepine
分子式:
分子量:
- 312.43
- 1.8(pH5、緩衝液-オクタノール系)
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