出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/05 23:21:11」(JST)
糸状菌(しじょうきん。英語 filamentous fungi)とは、菌類のうち、菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成されているものの総称。
糸状菌は、空気中、水中などの様々な場に生息している。とりわけ、土壌中には十万種以上存在すると言われ、放線菌より数が多く、土壌微生物の中で最も多いものである。
糸状菌には皮膚病や呼吸器系の疾患などの感染症や気管支喘息などの病気の原因となるものがある。例えば、水虫(白癬)は白癬菌による皮膚病のひとつであり、アスペルギルス症は肺の病気のひとつである。
糸状菌は作物や樹木など、植物の成長を阻害することでも知られ、農家や園芸家などでは嫌われている菌である。
糸状菌による病害の種類は数多くあり、主なものに青かび病、赤枯病、溝腐病、いもち病,糸状菌性やさび病菌による赤衣病、赤星病、灰色かび病、赤焼病、イエローパッチ、萎黄病、萎凋病、うどんこ病、紫かび病、輪紋病、灰斑病、角斑病、糸状菌性による褐色腐敗病、褐色円斑病、褐色円星病、褐点病、褐斑病、せん孔褐斑病、褐変病、褐紋病、株腐病、がんしゅ病などがある。
糸状菌の内、キノコとよばれる大型のものは、食用に用いられる。
カビと呼ばれるものも、病害や食品の変質などの害を起こすものばかりでなく、蛋白質やセルロースの分解、脱水などの作用を食品加工に利用する例も多い。麹は、その代表的なもので、日本酒、味噌、酢などの製造に用いる。例えば、泡盛や焼酎はアワモリコウジカビで生産されている。中国の白酒やトウチと呼ばれる大豆加工品も主にクモノスカビなどの糸状菌の作用を利用して風味を出す。チーズの一部や中国ハムの独特の風味を出すためにも糸状菌が用いられる。
なお、酵母も真菌のひとつであるが、管状の細胞をもたず、糸状菌ではない。
医薬品製造などにも用いられるが、詳細はカビを参照。
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分類群 | 菌名 | 病名 | 出芽分裂 | 菌体 | 菌糸 | 胞子 | 発芽管 | 寄生性 | 感染経路 | 病原体の特徴 | 病型 | 検査 | 治療 |
不完全菌 | Candida albicans | カンジダ症 | 仮性菌糸 | 厚膜胞子 | 形成 | 常在菌→各所 | 日和見感染症 | ||||||
担子菌 | Filobasidiella neoformans | クリプトコッカス症 | 出芽 | 厚い莢膜 | 通性細胞内寄生体 | 鳩の乾燥糞→空気感染→肺(通性細胞内寄生体) | 日和見感染菌 | 肺クリプトコッカス症、 中枢神経クリプトコッカス症、 皮膚クリプトコッカス症、 全身性クリプトコッカス症 |
墨汁染色 | ( アムホテリシンB or フルコナゾール ) ± フルシトシン | |||
不完全菌 | Trichosporon asahii | トリコスポロン症 | 仮性菌糸 | 分節分生子 | |||||||||
子嚢菌 | Aspergillus fumigatus/ 'Aspergillus flavus |
アスペルギルス症 | 糸状菌 不完全菌 |
有隔菌糸 | 土壌や朽ちた植物、空気中の浮遊胞子 | ||||||||
Mucor/'Rhizopus/ Absidia/Rhizomucor |
ムコール症 | 無隔菌糸 | 血管に親和性 | 土壌や朽ちた植物、空気中の浮遊胞子 → 浮遊胞子の吸入 |
鼻眼脳型ムコール症 侵襲性肺ムコール症 全身播種型ムコール症 |
β-D-グルカン陰性。 喀痰、血培陰性 |
アムホテリシンB | ||||||
子嚢菌 | Pneumocystis jirovecii ('Pneumocystis carini) |
ニューモシスチス・カリニ感染症 | |||||||||||
子嚢菌 | Histoplasma capsulatum | ヒストプラスマ症 | 二形性真菌 37℃酵母型発育 25℃菌糸形成 |
空気感染。肺に一次病変を作り様々な臓器に播種 | AIDS患者に好発 | ||||||||
不完全菌 | Coccidioides immitis | コクシジオイデス症 | 二形性真菌 | 内生胞子 | |||||||||
不完全菌 | Sporothrix schenckii | スポロトリクス症 | 二形性真菌 |
SMB. 352
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